index
int64 0
16.3k
| text
stringlengths 0
318k
|
---|---|
900 | ----
鬼ごっこは複数人で行う外遊びである。特に子供の中では人気の遊びとなっている。体を動かす運動にもなる。鬼ごっこは遊ばれる過程で新しい遊び方が生まれていく遊びであり、さまざまな変種がある(後述
まずじゃんけんで「鬼」を決める。鬼は秒数を数え、鬼が秒数を数えている間に鬼以外は逃げる(10秒のことが多い)。数えている間、鬼は逃げる人を追いかけたり、捕まえたりすることはできない。鬼は秒数を数え終わったら逃げていったものを追う。鬼が逃げる人に追いついて捕まえれば、もともとの鬼と捕まった人の立場が変わり、もともとの鬼は逃げる人になり、もともとの逃げる人は鬼になる、というのが基本の遊び方である。
鬼ごっこの基本の遊び方は地域や遊ぶ人によって異なり、上記の内容が完全に正しいとも限らないので、ご注意願いたい。
前述したとおり、鬼ごっこは遊ばれる過程で新しい遊び方が生まれていく遊びである。そうして生まれていったものの内、いくつかを紹介する。
いわゆる「普通」の鬼ごっこ。
鬼は逃げる人を捕まえてもその人と交代しない。鬼に捕まった人は動けなくなり(「こおる」などという)、逃げる人のうちこおっていない人がこおった人に触れるとこおった人は動けるようになる(「解凍」などという)。つまり、鬼にこおらされたものを、こおらされていないものが助けるということが基本の遊び方と異なる。全員がこおったら鬼の勝ちとなる。鬼はこおらせたものを解凍されないように守るか、逃げる人をこおらせるかの2つの事をする必要がある。
鬼は逃げる人を捕まえてもおにのままというところが、基本の遊び方と異なる。そして鬼に捕まった人は、鬼となる。
逃げる人は地面より高い所に乗れば鬼を回避できる。ただし、鬼が秒数を数えて、それまでには地面に戻らなくてはならないルールがある場合もある。
鬼が色を指定して、逃げる人はいち早くその色のものがあるところへ向かわなければならない。普通、一つの場所に一人がポピュラー(そのため先行者がいたら別の所を探さなければならない)。
鬼に捕まった人は、鬼と手を繋いで共に走る。つまり、鬼が増えるほど残りの逃げている人は隅に追い込まれやすくなるということである。
鬼は相手の体ではなく影を踏む。夕方になると影が長くなるので、夕方に行うこともよい。
元来は、フィクションの世界で「鬼に捕まった人は殺される」という内容で行われるものである。
遊びでやる場合、鬼は逃走者を捕まえたら靴を脱がせたり地面にうつ伏せにして寝かせたりと罰ゲーム的な要素が多い。
バリア
鬼に捕まりそうになった時、体の前で腕を組み「バリア」と宣言すれば捕まらずに済む。ただし、ずっと捕まらずに済み不公平であるため使用には注意が必要である。 |
901 | 主食、主菜、副菜、汁ものをバランスよく取る。
主食(しゅしょく)とは、ごはん、パン、めんなど、淡水化物の多く取れるもの。
主菜とは、魚、肉、卵、豆や、それらを使った おかず。野菜のことではない。主菜は、たんぱく質や脂質の供給源。
副菜とは、いわゆる野菜。野菜、海藻、きのこ、など。ビタミン、ミネラル、食物繊維の供給源。
米と汁ものに、菜を2~3種類あわせたものを一汁三菜(いちじゅう さんさい)という。
献立は、1日3食を前提にし、1回の食事で、1日の栄養の必要量の3分の1の量の栄養を取れるように工夫するのが望ましい。
最近では、食事の洋風化により、メニューが肉類や油料理などに、かたよりやすいので、気をつける。なので、和食を取ると、食物繊維などを取りやすくなるので、メニューを工夫する。
ただし和食だけの食事をつづけると、注意しないと塩分を取り過ぎになりやすいので気をつける。
なので、なるべく、いろんな料理を食べるのが良い。
野菜、魚、肉などは、時間がたつと品質が低下しやすく、また、腐敗も早い。
これら野菜、魚、肉などを生鮮食品(せいせん しょくひん)という。
生鮮食品には、その食品の収穫期などによって、1年の中で、多く出回る時期がある。このような、生鮮食品の多く出まわる時期のことを旬(しゅん)あるいは出盛り期(でざかりき)という。
なので、購入するときは、鮮度を確認してから購入するのが望ましいだろう。また、野菜や果物は、季節の旬にあった物を購入すると、鮮度がよい。また、旬の品物のほうが安く購入できることが多い。
最近では、外国からの輸入などによって、旬に関わりなく、1年中、生鮮食品を買えることが多い。
また、栽培方法も発達しているので(促成栽培や抑制栽培など)、いままでの旬でなくても、生鮮食品を買える。
みずみずしく、つやのある物をえらぶ。
肉汁が出ていない。
ブタ肉の場合、肉の色がピンク色かどうか。(つまり、茶色に変色していないか。)
不快な におい がしない。
目が澄んで(すんで)いる。
食品表示では、名称、原材料、内容量、消費期限、賞味期限、保存方法などが表示されている。
○消費期限
食品を安全に食べられる期限。製造日をふくめて、おおむね3日以内の期限がつけられている。
鮮度が早く落ちやすく、品質が早く劣化しやすい物につけられている。
・消費期限のつけられている食品の例
○賞味期限
食品の鮮度やおいしさを保証する期間。比較的に長く保存できる物につけられる。
・賞味期限のつけられている食品の例
原材料表示には、食品添加物(しょくひん てんかぶつ)も表示される。
アレルギー物質をふくむ食品(特定原材料)では、以下の7品目を、必ず表示しなければならない。もし表示していなければ違法。
・特定原材料
・表示が薦められている物。
JAS法により、遺伝子組み換え食品では、重量の5%以上をふくむ場合は表示する義務がある。
・農産物
・加工食品
日本国の食品についていることのある、品質に関するマーク
画像:JAS_mark.svg|JASマーク農林水産省の定める日本農林規格に合格した食品につけられるマーク。「JAS」とは、日本農林規格の英語の略称。法律「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」に基づき、つけられている。
ファイル:冷凍食品認定証マーク2.gif|冷凍食品認定証マーク
食品に使用しても良い食品添加物は、食品衛生法で定められており、その添加物の安全性は確かめられている。
食品が、どこで生産され、どこで加工されてきたかなど、履歴の情報が管理されており、購入者などが必要に応じて知ることのできるシステムをトレーサビリティという。
生産情報公表JASマークがついている商品は、インターネットや店頭などで生産情報を見る事ができる。
thumb|left|生産情報公表JASマーク |
902 | ウビフ語には3個の母音音素と81個の子音音素(外来語由来を合わせれば84個)があります。
正書法が定められる前に死滅してしまったため現在でも特にウビフ語の表記方法については定められていません。
ここでは国際音声記号を用います。参考文献を参照する際は以下の表記法に参考に変換してください。
赤字 - Georges Dumézil 1975 "Le verbe oubykh." での表記。
青字 - Hans Vogt 1963 "Dictionnaire de la langue Oubykh." での表記。
橙字 - トルコ語などの外来語でのみ出現。
母音は3音素のみですが、実際は異音化がウビフ語でも発生しますCharachidzé, G. 1991 Nouveaux récits Oubykhs.。
子音についてもアブハズ語のような異音化が発生します。
子音の数が多いためアブハズ語の頁にあるような対応表は省略します。 |
903 | 第1条
皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
第1条
本条は、皇位の世襲制を定めた日本国憲法第2条を踏まえ、世襲の具体的な内容として皇位継承資格を男系の男子に限ることを規定している。皇位継承資格が男系男子に限るという規定と、日本国憲法第14条の規定との関係について、学説は、天皇の地位の特殊性などにより違憲としない説、性別による差別を禁止した憲法14条に反するため違憲とする説などがあり、前者が通説とされる。ただし、憲法2条では性別について規定していないため、女性皇族に皇位継承資格を認めることとする場合、憲法改正の必要はなく、皇室典範の改正により可能となるとされる。 |
904 | thumb|200px|回転するカムと、往復運動をするカムフォロワとを示す動画。
カム(cam)は、回転軸に取り付けられる機械要素の一種である。形が非対称な輪郭を持つ板状の物あるいは立体形状の物で、カムを回転させることで、カムに接触したフォロワ(follower)と言われる機械要素に、様々な運動をさせる機械要素である。
カムの側を、他のものを動かすことから、原動節あるいは原節という。フォロワのように他の原動節の動きによって、動きを与えられる側を、従動節あるいは従節という。
カムとフォロワなどをまとめて、カム機構やカム装置などと呼ぶ。カムの輪郭曲線を平面曲線で表せるものを平面カムという。輪郭曲線が平面内に無く、輪郭曲線が3次元曲線になるカムを立体カムという。
平面カムのうち、回転板をカムとした物を板カムという。
フォロワの先端には、摩耗を減らすため、ころを付ける場合がある。
従動節を往復運動させるカム機構を直動カム(translation cam)という。
従動節に特殊形状を持たせたカム機構を反対カム(reverse cam)や逆カムなどという。
円筒に溝を彫ったカム。円柱カムともいう。
円錐に溝を彫ったカム。
球に溝を彫ったカム。
円筒などの回転体の端面が特殊な形状のカム。
回転軸に対して、斜めに板を取り付けたカム。
thumb|left|500px|カム線図
グラフによって、カムの回転角を横軸の値で表し、フォロワの動きを縦軸の値で表したグラフのことをカム線図(cam diagram)という。左図の場合、線図のT1とT3に対応する時期に、フォロワは動き、T2とT4ではフォロワは静止する。 |
905 | 次の〔資料〕に基づき,貸借対照表に計上すべき引当金の合計額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。(8点)
〔資料〕
1.役員賞与
当社は,目標利益を上回る経営成績になることが判明したため,定時株主総会で役員賞与に関する議案を提出する取締役会決議を行った。代表取締役に2,500 千円,取締役3 名に各1,000 千円,監査役3 名には各200 千円を支給する予定である。なお,「役員賞与に関する会計基準」に従うこと。
2.工事損失
A工事の請負金額は32,500 千円であり,B工事の請負金額は19,200 千円である。期末の未成工事支出金には,A工事代として27,000 千円,B工事代として17,500 千円が計上されている。A工事の実行予算残工事予定額は,15,000 千円である。B工事の実行予算残工事予定額は,1,250 千円である。両工事とも既に計上された損益はない。ただし,A工事とB工事とは別契約であり,当社の規程により両工事とも工事完成基準により会計処理をしている。なお,「工事契約に関する会計基準」に従い,棚卸資産と工事損失引当金を相殺表示せず,両建てで表示するものとする。
3.損害補償損失
当社は,完成し引き渡した工事について,完成時期が大幅に遅れたことにより,発注元から,機会利益を逸したことによる損失の賠償請求訴訟を提起されている。期末後の時点では,裁判所から当社に21,200 千円の和解金の支払案を提示されたが,当社は,上級審を含め裁判を継続する予定である。当社の顧問弁護士も,相手方の主張は事実誤認が著しいため,当社の主張が認められる可能性が高いと判断している。なお,企業会計における偶発債務および引当金に関する原則的な処理に従うこと。
4.退職給付
当社は小規模企業等であるため,退職給付引当金を,比較指数を求めて計算する簡便法で算定し計上している。当社の退職金制度は,非積立型の一時金制度である。基準年度の比較指数は,0.8 であり,計算基礎等に重要な変動はない。前期末の自己都合期末要支給額の合計は,8,900 千円である。当期の自己都合要支給額について,増加は1,100 千円で,退職による減少は3,000 千円である。なお,「退職給付に関する会計基準」に従うこと。
4
※以下,単位は千円
役員賞与引当金
A工事損失引当金
B工事損失引当金
損害補償損失引当金
退職給付引当金 |
906 | 次に行列どうしの積について説明する.
行列の積は少々面倒である.
成分ごとに積というわけにはいかない.
行列の積の基本は,次のような1行からなる行列と1列からなる行列の計算のしかたである.
\left(
\begin{array}{c}
a & b
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{c}
x \\
y
\end{array}
\right)
ax + by \quad\quad\quad
\left(
\begin{array}{c}
a & b &c
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{c}
x \\
y \\
z
\end{array}
\right)
ax + by + cz
左の行列を列ベクトルとしてみれば,この計算はちょうど列ベクトルどうしの内積の値に等しくなる.
\left(
\begin{array}{c}
a \\
b
\end{array}
\right)
\cdot
\left(
\begin{array}{c}
x \\
y
\end{array}
\right)
ax + by \quad\quad\quad
\left(
\begin{array}{c}
a \\
b \\
c
\end{array}
\right)
\cdot
\left(
\begin{array}{c}
x \\
y \\
z
\end{array}
\right)
ax + by + cz
2 行の行列と 1 列の行列の積は次のようにして計算する.
\left(
\begin{array}{c}
a & b \\
c & d
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{c}
x \\
y
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{c}
ax + by \\
cx + dy
\end{array}
\right)
\quad\quad\quad
\left(
\begin{array}{c}
a & b & c\\
d & e & f
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{c}
x \\
y \\
z
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{c}
ax + by + cz\\
dx + ey + fz
\end{array}
\right)
左の行列を行にわけて計算するところがポイントである.
2 次の正方行列どうしの積,(2, 3) 型行列と (3, 2) 型行列の積はつぎのようになる.
\left(
\begin{array}{c}
a & b \\
c & d
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{c}
x & z\\
y & w
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{c}
ax + by & az + bw \\
cx + dy & cz + dw
\end{array}
\right)
\quad\quad\quad
\left(
\begin{array}{c}
a & b & c\\
d & e & f
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{c}
x & w \\
y & u \\
z & v
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{c}
ax + by + cz & aw + bu + cv \\
dx + ey + fz & dw + eu + fv
\end{array}
\right)
左の行列は行に分け,右の行列は列に分けて計算する.
ここまでの例で一般の行列の積の計算の要領をわかっていただけたものと思う.
一般の行列の積に関してまとめると次のようになる.
定義7
行列の積
A を (l, m) 型行列,B を (m, n) 型行列とすると,
AB は (l, n) 型行列であり,(i, j) 成分は A の第 i 行と B の第 j 列の積である.
\blacksquare
行列 A, B の積 AB が計算できるためには,A の列のサイズと B の行のサイズが一致しなければならないことに注意する.
なお,この定義によると 1 列の行列と 1 行の行列の積は,
\begin{pmatrix}a \\ b\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}x & y\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}ax & ay \\ bx & by\end{pmatrix}\quad\quad
\begin{pmatrix}a \\ b \end{pmatrix}
\begin{pmatrix}x & y & z\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}ax & ay & az \\ bx & by & bz \end{pmatrix}\quad\quad
となる.左の行列の行で,右の行列を列に分けると1つずつの成分で行,列を構成することになってしまうのでこうなるわけである.
盲点になっている人がいるので念のため.
こうして定義された行列の積について,次のような計算法則が成り立つ.
定理7
行列の積の計算法則
(1) (AB)C = A(BC)\ \ \ (結合則)
(2a) (A+B)C = AC + BC\ \ \
(2b) A(B+C) = AB + AC\ \ \ (分配則)
(3) AO = OA = O
証明
以下、行列 M の第 i 行第 j 列成分を m_{ij},
これと並行に成分の表示方法として,行列 M の各成分を (M)_{ij} と表示するものとする.
(1)
行列の積 AB, (AB)C, BC, A(BC) のすべてが定義できるものと仮定する.
定理7 より、
(AB)_{ij} = \sum_k a_{ik}b_{kj}
よって、
(AB)_{ij} = \sum_x a_{ix}b_{xj}
\therefore \left\{ (AB)C \right\}_{ij} = \sum_y (AB)_{iy}c_{yj}
= \sum_y \left( \sum_x a_{ix}b_{xy} \right)c_{yj}
= \sum_y \sum_x a_{ix}b_{xy}c_{yj}\ \ \ (\because c の添え字は内側の \sum_x の添え字x(従属変数)と関係ない。)
同様に、
\left\{A(BC)\right\}_{ij} = \sum_x a_{ix}\left(BC\right)_{xj}
=\sum_{x}a_{ix}\sum_y b_{xy}c_{yj}
=\sum_x \sum_y a_{ix}b_{xy}c_{yj}\ \ \ (\because a の添え字は内側の\sum_y の添え字y(従属変数)と関係ない。)
=\sum_y \sum_x a_{ix}b_{xy}c_{yj}
= \left\{ (AB)C \right\}_{ij}
\therefore A(BC) = (AB)C
(2a)
行列の積 (A + B)C, AC, BC が定義可能であると仮定する.
\left\{ (A+B)C \right\}_{ij} = \sum_k (A + B)_{ik}c_{kj}
= \sum_k (a_{ik} + b_{ik} )c_{kj}
= \sum_k (a_{ik}c_{kj} + b_{ik}c_{kj})
= \sum_k a_{ik}b_{kj} + \sum_k b_{ik}c_{kj}
= (AC)_{ij} + (BC)_{ij}
= (AC + BC)_{ij}
\therefore (A + B)C = AC + BC
(2b)
行列の積 A(B + C), AB, AC が定義可能であると仮定する.
\left\{ A(B + C) \right\}_{ij} = \sum_k a_{ik} (B + C)_{kj}
= \sum_k a_{ik}(b_{kj} + c_{kj})
= \sum_k a_{ik}b_{kj} + a_{ik}c_{kj}
= \sum_k a_{ik}b_{kj} + \sum_k a_{ik}c_{kj}
= (AB)_{ij} + (AC)_{ij}
= (AB + AC)_{ij}
\therefore A(B + C) = AB + AC
(3)
O を零行列とし、行列の積 AO および OA のいずれも定義可能であると仮定する.
(AO)_{ij} = \sum_k a_{ik}o_{kj}
= \sum_k a_{ik}\cdot 0 \ \ \ \because o_{kj} \equiv 0
\equiv 0
\therefore AO = O
(OA)_{ij} = \sum_k o_{ik}a_{kj}
= \sum_k 0\cdot a_{kj} \ \ \ \because o_{kj} \equiv 0
\equiv 0
\therefore OA = O
\therefore AO = OA = O
\blacksquare
行列の積の計算練習を行う.
演習5.\quad行列の積
A =
\left(\begin{array}{c}
2 & -1 \\
3 & 1
\end{array}\right)
, \ B =
\left(\begin{array}{c}
-2 & 3 \\
2 & 1
\end{array}\right)\ のとき,AB, BA を求めよ.
解答例
AB = \left(\begin{array}{c}
2 & -1 \\
3 & 1
\end{array}\right)
\left(\begin{array}{c}
-2 & 3 \\
2 & 1
\end{array}\right)
\left(\begin{array}{c}
2(-2) + (-1)\cdot 2 & 2\cdot 3 - 1\cdot 1 \\
3(-2) + 1\cdot 2 & 3\cdot 3 + 1\cdot 1
\end{array}\right)
\left(\begin{array}{c}
-6 & 5 \\
-4 & 10
\end{array}\right)
BA = \left(\begin{array}{c}
-2 & 3 \\
2 & 1
\end{array}\right)
\left(\begin{array}{c}
2 & -1 \\
3 & 1
\end{array}\right)
\left(\begin{array}{c}
-2\cdot 2 + 3\cdot 3 & (-2)\cdot 2 + 3\cdot 3 & (-2)(-1) + 3\cdot 1 \\
2\cdot 2 + 1\cdot 3 & 2\cdot (-1) + 1\cdot 1
\end{array}\right)
\left(\begin{array}{c}
5 & 5 \\
7 & -1
\end{array}\right)
AB \ne BA となっている。この例からわかるように、一般に行列の積は交換法則が成り立たない.
正方行列でない行列の席の場合は、そもそも AB が計算できても BA が計算できるとは限らない.
\blacksquare
演習6.
A =
\left(\begin{array}{c}
-3 & 0 & 0 \\
0 & 1 & 0 \\
0 & 0 & 2
\end{array}\right)、
\left(\begin{array}{c}
1 & 0 & 0 \\
0 & -3 & 0 \\
0 & 0 & 3
\end{array}\right)
のとき、AB、BA を計算せよ.
解答例
\blacksquare |
907 | ここでは、入門編をマスターした方に、より高度なウィキペディアの書き方をお教えします。入門編を読んでいない方は、先に入門編をご覧ください。
中級編をよく読んで理解したら、上級編に進みましょう。 |
908 | 2015年9月末で任期末を迎える管理者を対象に、再信任投票を行いたいと思います。以下の対象者ごとに「留任」または「解任」を選び、日時付き署名 (~~~~) を使って投票してください。
投票期間は二週間、つまり 2015年10月6日 (火) 14:04 (UTC) までです。宜しくお願いいたします。 --Kanjy (トーク) 2015年9月22日 (火) 14:04 (UTC)
Note to Stewards:As per our policy, every admin listed here shall lose her/his access if s/he gets 3 "remove" votes (or more) and less "keep" votes than "remove". --Kanjy (トーク) 2015年9月22日 (火) 14:04 (UTC)
→ 投票が終了し、異議待ち期間(72時間)も経過し、結果は確定しました。2015年9月の再信任投票の対象者1名に、留任票なく、解任票が寄せられましたが、解任には至りませんでした。今回の投票資格は2015年8月16日以降に50回の投稿実績を有するアカウントでした。再信任投票に結果判定は必要なく、投票終了後 72 時間以内に異議(無資格投票の指摘等)がなければ結果は確定します。期間外の誤投票等を防ぐため、蛇足ながら結果を記録しておきます。 --Kanjy (トーク) 2015年10月15日 (木) 12:47 (UTC) |
909 | 600px|漢文『春望』
春望杜甫
国破山河在国破れて山河在り
城春草木深城春にして草木深し
感時花濺涙時に感じては花にも涙を濺ぎ
恨別鳥驚心別れを恨んでは鳥にも心を驚かす
烽火連三月烽火三月に連なり
家書抵萬金家書万金に抵る
白頭掻更短白頭掻けば更に短く
渾欲不勝簪渾て簪に勝えざらんと欲す
国家は(戦乱で)ぼろぼろになったが、山河は(昔からの姿で、変わらずに)ある。
この戦乱は、安史の乱(755年~763年)。この詩の成立は757年頃、一度奪われた長安城を回復した当時のものとされる。「やぶれる」は「敗れる」ではなく、「あれはてる」こと。
城内には春が来て、草木が青く茂っている。
城と言うとき、日本の「しろ」を想像すると誤る。中国の城は、「万里の長城」で想起されるような城壁で囲まれた都市である。そこは、庶民も生活し農耕も行われていた訳であるが、戦乱により住民が逃げ(又は殺され)、農地などに草が生い茂っている様である。
家族と別れて暮らすことを恨んでは、(朝に)鳥が鳴くのも(家族が戻ったのではないかと)そわそわしてしまう。
「感時花濺涙、恨別鳥驚心」は、日中とも伝統的に「花」「鳥」は、杜甫が心を動かす対象とする。しかし、各々対象であれば、文法的には、「濺涙於花」など、動詞に後置するのが通常である。一部では、各々擬人化した表現として、「花は涙を濺ぎ」「鳥は心を驚かす」と解することもある。
このときの「三月」は「何ヶ月も」の意。「一日三秋(日本では『一日千秋』)」、「白髪三千丈」などの「三」の用法。
家族からの手紙は、何よりもの宝物である。
まったく、かんざし(簪)を挿すこともできなくなってしまった。
盛唐期の詩人杜甫の五言律詩。 |
910 | This page makes use of Color Code Boxes. To leave your feedback regarding this new feature, please click [http://en.wikibooks.org/w/index.php?title=Talk:Programming:PHP&action=edit§ion=19 here].
This example makes use of the five basic operators used in mathematical expressions. These are the foundation of all mathematical and string operations performed in PHP.
The five mathematical operators all function identically to those found in C++ and Java
{{Code:PHPHTML
|Examine this example. Each mathematical expression to the right of the ''assign'' operator is evaluated, using the normal order of operations. When the expression has been evaluated, the resultant value is assigned to the variable named to the left of the ''assign'' operator.
|
";
$z = $x/$y;
echo $z;
echo "";
$z = $y*$y*$x;
echo $z - 1250;
echo "";
?>
|35<br />2.5<br />1250<br />
|
35
2.5
1250
|
{{Code:Tip
|Note: If you are not familiar with (X)HTML, you may not know the purpose of this part of the above code:
|echo "";
|Its purpose is to insert an HTML "line break" between the results, causing the browser to display each result on a new line when rendering the page. In the absence of this line, the above code would instead print:
352.51250
This is of course not the desired result.
There are two code options that perform the opposite of the assign (=) operator. The keyword null should be used for variable nullification, which is actually used with the assign operator (=) in place of a value. If you want to destroy a variable, the unset() language construct is available.
{{Code:Alt
|Examples:
|$variable = null;
|or
|unset($variable);
|
This example demonstrates the ''concatenation'' operator (.), which joins together two strings, producing one string consisting of both parts. It is analogous to the plus (+) operator commonly found in C++ string class (''see STL''), Java, JavaScript, Python implementations.
{{Code:Basic
|The statement
|$string = $string . " " . "All the cool kids are doing it.";
|prepends the current value of $string (that is "PHP is wonderful and great.") to the literal string " All the cool kids are doing it." and assigns this new string to $string.
{{Code:Output
|
|
|PHP is wonderful and great. All the cool kids are doing it.
|
As we all know, or for those new to programming will soon find it, programmers are always searching for "tighter code". Simply put, we pride ourselves in doing the most work with the fewest keystrokes. With that in mind, here's a trick that can save those precious keystrokes: concatenate and assign at the same time. It's easy. Let's take the same example as above.
{{Code:Output
|
|
|PHP is wonderful and great. All the cool kids are doing it.
|
You just saved 8 keystrokes with the exact same output. Big deal? Imagine having to do that with 100 lines of template code like I did recently. Yes, it's a big deal. By the way, if you change the implementation without changing the output, that's known as refactoring. Get comfy with that term. You'll be using it a lot. See more examples of compound assignments below.
This snippet demonstrates self-referential shortcut operators. The first such operator is the ++ operator, which increments $x (using the postfix form) by 1 giving it the value 2. After incrementing $x, $y is defined and assigned the value 5.
The second shortcut operator is *=, which takes $y and assigns it the value $y*$x, or 10.
After initializing $z to 180, the subsequent line performs two shortcut operations. Going by order of operations (see manual page below), $y is decremented (using the prefix form) and divided into $z. $z is assigned to the resulting value, 20.
{{Code:Output
|
|
|2 10 20
|
{{Code:Tip
|Note: The expanded version of the above code (without the shortcut operators) looks like this:
|
|The output is the same as seen in the above example.
An operator is any symbol used in an expression used to manipulate data. The seven basic PHP operators are:
In addition, each of the above operators can be combined with an assignment operation, creating the operators below:
These operators are used when a variable is added, subtracted, multiplied or divided by a second value and subsequently assigned to itself.
{{Code:Alt
|In other words, the statements
|$var = $var + 5;
|and
|$var += 5;
|are equivalent.
There are also increment and decrement operators in PHP.
These are a special case of the addition and subtraction assignment operators.
{{Code:Output
|This code uses the addition assignment operator to increment and decrement a variable.
|
$var = 0;
$var += 1;
echo "The incremented value is $var.\n";
$var -= 1;
echo "The decremented value is $var.\n";
|
The incremented value is 1.
The decremented value is 0.
|
While this is perfectly legal in PHP, it is somewhat lengthy for an operation as common as this. It can easily be replaced by the increment operator, shortening the statement.
{{Code:Output
|This code snippet uses the increment and decrement operators to increase and decrease a variable's value by one.
|
$var = 3;
$var++;
echo "The incremented value is $var.\n";
$var--;
echo "The decremented value is $var.\n";
|
The incremented value is 4.
The decremented value is 3.
|Using the increment operator makes your code slightly easier to read and understand.
For a more in-depth overview of PHP's operators, including an explanation of bitwise operators, refer to the manual link below.
Precedence determines the priority given to certain operators to be performed earlier in a statement. If an operator has higher precedence, it doesn't mean that it is of greater importance; the opposite can often be true.
Associativity
When multiple operators occur that have the same precedence (whether multiple instances of the same operator or just different operators with the same precedence), it becomes important to consider the associativity: whether right (to left), left (to right), or non-associative.
Examples where associativity is irrelevant
In certain cases (as in the example below), especially where the same operator is present, the associativity may make no difference to the result.
The following...
$a = 5*2*3*4; // Equals 120
...with its left associativity is equivalent to:
$a = (((5*2)*3)*4); // Equals 120
However, in this case, right associativity would have produced the same result:
$a = (5*(2*(3*4))); // Would also equal 120
Examples where associativity is relevant in PHP (but not mathematically)
In mathematics, it may be considered irrelevant in which direction a calculation is performed for operators with the same precedence.
For example, the following...
$a = 5 + 3 - 2 + 8; // Equals 14
...is equivalent to this (left associative) statement:
$a = (((5 + 3) - 2) + 8); // Equals 14
And, if this were considered according to human conventions in mathematical calculations, the following equivalent right associative expression would produce the same result:
$a = (5 + (3 + (-2 + 8))); // Would also equal 14
However, since we are dealing with a linear computer language that doesn't know to convert the "2" into a negative number and group it with the "8" before adding it to the "3" (and then the "5"), if PHP were to perform the following expression in a strict right associative manner, the following (mistaken) outcome would occur:
$a = (5 + (3 - (2 + 8))); // Would equal -2
Thus, the associativity is relevant and should be memorized (though it is generally good practice to make one's groupings explicit anyhow—both to avoid mistakes and to improve readability for others looking at the code).
Similar problems occur with multiplication and division. Although with human convention, all adjacent multiplication and division groups would have the multiplication performed at the numerator level and the division at the denominator level, the PHP interpreter does not know to do this, so it is bound to set the left(-to-right) convention when explicit groupings (via parentheses—that have highest precedence) have not been made:
$a = 5*4/2*3; // Equals 30
This is equivalent to the left associative:
$a = (((5*4)/2)*3); // Also equals 30
However, as with the addition/subtraction example above, performing this by right associativity (in a strictly reverse linear fashion) does not produce the same (intended) result:
$a = (5*(4/(2*3))); // Equals 3.33333
Both of the below examples make use of the newline character (\n, \r\n or \r, basing on the OS) to signify the end of the current line and the beginning of a new one.
{{Code:Output
|The newline is used as follows:
|echo "PHP is cool,\nawesome,\nand great.";
|PHP is cool,
awesome,
and great.
|
Notice: the line break occurs in the output wherever the\n occurs in the string in the echo statement. However, a\n does not produce a newline when the HTML document is displayed in a web browser. This is because the PHP engine does not render the script. Instead, the PHP engine outputs HTML code, which is subsequently rendered by the web browser. The linebreak \n in the PHP script becomes HTML whitespace, which is skipped when the web browser renders it (much like the whitespace in a PHP script is skipped when the PHP engine generates HTML). This does not mean that the\n operator is useless; it can be used to add whitespace to your HTML, so if someone views the HTML generated by your PHP script they'll have an easier time reading it.
In order to insert a line-break that will be rendered by a web browser, you must instead use the <br /> tag to break a line.
Notice: The newline is \n for Linux/Unix-based systems, \r\n for Windows and \r for Mac's (until 1996, where MkLinux that bases on Linux came to the market).
{{Code:Basic
|Therefore the statement above would be altered like so:
|echo 'PHP is cool,<br />awesome<br />and great.';
|
The functionnl2br() is available to automatically convert newlines in a string to <br /> tags.
{{Code:PHPHTML
|The string must be passed through the function, and then reassigned:
|
$string = "This\ntext\nbreaks\nlines.";
$string = nl2br($string);
print $string;
|
This
text
breaks
lines.
|
This
text
breaks
lines.
|Additionally, the PHP output (HTML source code) generated by the above example includes linebreaks.
Other special characters include the ASCIINUL (\0) - used for padding binary files, tab (\t) - used to display a standard tab, and return (\r) - signifying a carriage return. Again, these characters do not change the rendering of your HTML since they add whitespace to the HTML source. In order to have tabs and carriage returns rendered in the final web page, &tab; should be used for tabs and <br /> should be used for a carriage return.
PHP has a set of functions that retrieve input. If you are using standard input (such as that from a command-line), it is retrieved using the basic input functions:
{{Code:Alt
|Reading from standard input:
|
$mystring = fgets($stdin);
|Or:
|
$stdin = fopen('php://stdin', 'r'); // opens standard input
$line = fgets($stdin); // reads until user presses ENTER
|
On Web servers, information sent to a PHP app may either be a GET operation or a POST operation.
For a GET operation, the parameters are sent through the address bar. Parameters within the bar may be retrieved by using accessing $_GET['parameter']. On a POST operation, submitted input is accessed by $_POST['parameter'].
A more generic array, $_REQUEST['parameter'] contains the contents of $_GET, $_POST, and $_COOKIE. |
911 | 法学>コンメンタール>コンメンタール刑事訴訟法=コンメンタール刑事訴訟法/改訂
(外国代表者等の告訴の特別方式)
第244条
刑法第232条第2項の規定により外国の代表者が行う告訴又はその取消は、第241条及び前条の規定にかかわらず、外務大臣にこれをすることができる。日本国に派遣された外国の使節に対する刑法第230条又は第231条の罪につきその使節が行う告訴又はその取消も、同様である。
----
{{前後
|刑事訴訟法
|第2編 第一審
第1章 捜査
|第243条(告訴・告発と取消しへの準用)
|第245条(自首)
244 |
912 | 企業結合における取得原価の算定に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)
ア.被取得企業を取得するに際して,将来の業績に依存する条件付取得対価がある場合には,その時価を支配獲得日において合理的に見積り,被取得企業の取得原価に含めなければならない。
イ.親会社が子会社に会社分割により事業を移転し,その対価として子会社株式のみを受け取る場合,親会社の個別財務諸表上,子会社株式の取得原価が移転事業に係る会社分割直前の適正な帳簿価額による株主資本の額に基づいて算定されるため移転損益が認識されないが,連結財務諸表上も,当該会社分割が子会社株式の追加取得に該当するため移転損益は認識されない。
ウ.株式交換が逆取得に該当する場合,被取得企業(完全親会社)の個別財務諸表において,取得企業(完全子会社)の株式の取得原価は,株式交換直前の適正な帳簿価額による株主資本の額に基づいて算定しなければならない。
エ.市場価格のある取得企業の株式が取得の対価として交付される場合には,被取得企業の取得原価は,原則として,企業結合に関する主要条件(交換比率など)が合意されて公表された日における株価を基礎として算定しなければならない。
4
ア.被取得企業を取得するに際して,将来の業績に依存する条件付取得対価がある場合には,その時価を支配獲得日において合理的に見積り,被取得企業の取得原価に含めなければならない。条件付取得対価の交付又は引渡しが確実となり、その時価が合理的に決定可能となった時点で、支払対価を取得原価として追加的に認識するとともに、のれん又は負ののれんを追加的に認識する。企業結合に関する会計基準27(1)
イ.親会社が子会社に会社分割により事業を移転し,その対価として子会社株式のみを受け取る場合,親会社の個別財務諸表上,子会社株式の取得原価が移転事業に係る会社分割直前の適正な帳簿価額による株主資本の額に基づいて算定されるため移転損益が認識されないが,連結財務諸表上も,当該会社分割が子会社株式の追加取得に該当するため移転損益は認識されない。事業分離等に関する会計基準19,93,94,企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針226,229
ウ.株式交換が逆取得に該当する場合,被取得企業(完全親会社)の個別財務諸表において,取得企業(完全子会社)の株式の取得原価は,株式交換直前の適正な帳簿価額による株主資本の額に基づいて算定しなければならない。企業結合に関する会計基準36
エ.市場価格のある取得企業の株式が取得の対価として交付される場合には,被取得企業の取得原価は,原則として,企業結合に関する主要条件(交換比率など)が合意されて公表された日企業結合日における株価を基礎として算定しなければならない。企業結合に関する会計基準23,24 |
913 | 感動詞(かんどうし)は、自立語のうち、体言にも用言にも属さず、さらに単独で独立語になることのできる品詞。感嘆詞(かんたんし)、間投詞(かんとうし)などともいう。
「こんにちは」や、「おお!」等の気持ちの揺れ動きによって出る言葉。 |
914 | 第3編 債権
(差押えを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止)
第511条
差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできないが、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができる。
前項の規定にかかわらず、差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときは、その第三債務者は、その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。ただし、第三債務者が差押え後に他人の債権を取得したときは、この限りでない。
2017年改正により、以下のとおり改正
第1項に以下の文言を確認的に付加。
第2項を新設。
相殺することができない場合について定めた規定の一つである。
無制限説
第三債務者は、差押債務者に対して、差押え時に反対債権を有していれば、対抗できるとする。
第三債務者の保護を重視する、判例の立場。
制限説
第三債務者は、差押債務者に対して、差押え時に反対債権を有すだけでは対抗できず、反対債権の弁済期が差押え債権の弁済期より先に到来する場合に限り、対抗できるとする。
差押え債権者による差押えの実効性を重視する。
債権差押の第三債務者が差押前に取得し差押後に相殺適状を生じた反対債権と被差押債権との相殺の効力。
甲が乙の丙に対する債権を差し押えた場合において、丙が差押前に取得した乙に対する債権の弁済期が差押時より後であるが、被差押債権の弁済期より前に到来する関係にあるときは、丙は右両債権の差押後の相殺をもつて甲に対抗することができるが、右両債権の弁済期の前後が逆であるときは、丙は右相殺をもつて甲に対抗することはできないものと解すべきである。
相殺に関する契約の対外的効力。
債権者と債務者の間で、相対立する債権につき将来差押を受ける等の一定の事由が発生した場合には、両債権の弁済期のいかんを問わず、直ちに相殺適状を生ずる旨の契約および予約完結の意思表示により相殺することができる旨の相殺予約は、相殺をもつて差押債権者に対抗できる前項の場合にかぎつて、差押債権者に対し有効であると解すべきである。
債権が差し押えられた場合において、第三債務者が債務者に対して反対債権を有していたときは、その債権が差押後に取得されたものでないかぎり、右債権および被差押債権の弁済期の前後を問わず、両者が相殺適状に達しさえすれば、第三債務者は、差押後においても、右反対債権を自働債権として、被差押債権と相殺することができる。
銀行の貸付債権について、債務者の信用を悪化させる一定の客観的事情が発生した場合には、債務者のために存する右貸付金の期限の利益を喪失せしめ、同人の銀行に対する預金等の債権につき銀行において期限の利益を放棄し、直ちに相殺適状を生ぜしめる旨の合意は、右預金等の債権を差し押えた債権者に対しても効力を有する。
金融機関が預金者から第三者に転付された預金債権を右預金者に対する手形貸付債権又は手形買戻請求権をもつて相殺した結果預金債権が転付前に遡つて消滅した場合には、金融機関は、手形貸付けについて振り出された手形又は買戻の対象となつた手形を右預金者に返還すべきであり、預金債権の転付を受けた第三者に返還すべきではない。
敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合において,当該賃貸借契約が終了し,目的物が明け渡されたときは,賃料債権は,敷金の充当によりその限度で消滅する。
----
{{前後
|民法
|第3編 債権
第1章 総則
第6節債権の消滅
第2款相殺
|民法第510条(差押禁止債権を受働債権とする相殺の禁止)
|民法第512条(相殺の充当)
511
511 |
915 | 法学>民事法>民事訴訟法>コンメンタール民事訴訟法
(契約上の債務に関する訴え等の管轄権)
第3条の3
社団又は財団が法人である場合にはそれが日本の法令により設立されたものであるとき、法人でない場合にはその主たる事務所又は営業所が日本国内にあるとき。
同号に定めるとき。
2011年改正において新設。
----
{{前後
|民事訴訟法
|第1編総則
第2章 裁判所
第1節 日本の裁判所の管轄権
|第3条の2(被告の住所等による管轄権)
|第3条の4(消費者契約及び労働関係に関する訴えの管轄権)
003の03
003の03 |
916 | {{コラム|人口問題が諸問題の根源|
教科書に書いてないが、江戸時代の人口は、中盤以降、約3000万人の水準がつづき、幕末まで人口はそのままの水準で停滞するのである。
もし人口が4000万人くらいになろうとすると、飢饉などが起きて、3000万人の水準にもどるのが史実である。
江戸時代の財政難や飢饉などの根本的な原因のひとつは、日本の国土での米などの食用農作物の生産量に対して、人口が多すぎることである。しかし幕府の歴代の政権は人口問題にまったく手をつけない。
おそらく幕府にとっては、農民たちが子供をたくさん産んでくれたほうが、将来の労働力が増えて好都合なので、産児制限をしないのだろう。
歴代の政権は、その場しのぎで、様々な改革をする。
1716年に7代将軍 家継(いえつぐ)が幼くして(8歳で)死去し、徳川本家の血統が絶えると、三家のひとつの紀州藩主の徳川吉宗(よしむね)が8代将軍になった。
吉宗は綱吉以来の側用人による政治をやめ、有能な人材をとりたてた。吉宗の在職期間の29年間の改革のことを享保の改革(きょうほうのかいかく)という。
吉宗は財政の再建のため、武士には倹約令を出し、また、増税的な手法や、統制経済的な手法を行った。
まず、諸大名に石高1万石につき米100石を納めさせる上米の制(あげまいのせい)を定め、かわりに参勤交代の期間を半減した。(しかし1730年に上米制を廃止し、参勤交代も元の制度に戻した。)
また、年貢をそれまでは豊作/凶作に応じて代官らが調節していたが(検見法(けみほう) )、吉宗は年貢を豊凶に無関係に一定にする定免法(じょうめんほう)を実施し、また年貢を引き上げた。
さらに、米の収穫量そのものを増やすために、新田開発も推進した。江戸の日本橋には高札を立てられた。享保年間には町人請負新田として、越後の紫雲寺潟新田や河内の鴻池新田が作られた。
統制を行う一方、1730年に大阪の堂島の米市場(堂島米市場)を公認し、米価の統制を行った(公認する=幕府が口出しできる)。
このように米の問題に積極的に吉宗は取りくんだため、吉宗は「米将軍」(こめしょうぐん)「米公方」(こめくぼう)といわれた。
また、(おそらく裁判にかかる行政費用を削減するためか、)金銭貸借に関しては幕府に訴えさえず当事者間で済ませる相対済し令(あいたい すましれい)を出し、幕府は金銭貸借の争訟を放置した。
(※ 中学校では、江戸時代の改革の内容については、現代でも通用するような政策を中心に習った。
株仲間をつくることを認めるかわりに、運上金(うんじょうきん)や冥加金(みょうがきん)などの営業税を納めさせた。
また、旗本の大岡忠相を取りたてて町奉行にするなど、人材の登用も積極的に行った。
さらに(大岡忠相など有力な奉行(3奉行)の成果か)裁判の判例などを紹介した公事方御定書(くじがた おさだめがき)を制定するなどの改革をして、司法を合理化した。公事方御定書は上下二巻からなっていて、下巻のことを「御定書百箇条」という。
江戸の都市改革にも力を入れた。
そして、江戸の防災として、防火に力を入れた。火災時の延焼をふせぐための空き地である火除け地を江戸の各地に設定した。
さらに、それまでの定火消(じょうひけし)のほかに、町火消(まちひけし)を設置させた。なお、町奉行として大岡忠相を登用したのも都市改革のひとつ。
さらに、評定所に目安箱(めやすばこ)を設置し、庶民の意見を聞いた。そして、医者小川笙船の目安箱への投書にもとづき、貧しい人のための病院である小石川養生所(こいしかわ ようじょうじょ)を設置した。
また、青木昆陽(あおき こんよう)や野呂元丈(のろ げんじょう)にオランダ語を学ばせ、蘭学を学ばせた。また、キリスト教に関係のない、中国語に翻訳された洋書(漢訳洋書(かんやく ようしょ))の輸入を許可した。
さらに、青木昆陽の奨励のもと、甘藷(かんしょ)の栽培を推進した。(甘藷とは、サツマイモのこと)
その他、さとうきび、櫨(はぜ)、朝鮮人参の栽培を奨励した(ハゼからは、蝋燭(ろうそく)の原料がとれる。)
しかし1732年、享保の大飢饉が起き、翌年、江戸で米問屋に対する打ちこわしが起きた。
thumb|right|蝦夷錦(えぞにしき)を着たアイヌ。蝦夷錦(えぞにしき)はアイヌと中国・ロシアとの交易品。この時代の前後、アイヌは、サハリン経由の通商路で中国東北部・ロシア南東部とも交易を行っていた。
thumb|蝦夷錦。国立民族学博物館にて
10代将軍家治のとき、1772年に田沼意次(たぬま おきつぐ)が側用人から老中になった。
この頃、ロシアがオホーツク海の近隣に進出しており、ロシアはアイヌとも交易をしていた。
仙台の医師の工藤平助は、そのような状況について書籍を書いて『赤蝦夷風説考』(あかえぞ ふうせつこう)を著した。
工藤の研究成果が幕府の耳にも入り、田沼は最上徳内らに蝦夷地の調査を命じた。また、田沼は、ロシアとの交易も企画したが、最終的に失敗に終わった。
経済政策では、田沼は、年貢に頼る財政では限界があると考え、商業の経済力を活用して財政再建をしようとする政策を目指した。
田沼は、銅座や人参座や真鍮座(しんちゅうざ)など、扱う商品ごとに株仲間を認め、営業税として運上金や冥加金を取って、税の増収をした。
なお、田沼意次は、大阪の商人資本を活用して下総(しもうさ、現在の千葉県あたり)の印旛沼(いんばぬま)および手賀沼(てがぬま)の干拓工事を試みたが、(利根川の)洪水で、1786年に中止になった。
長崎貿易では、金銀の獲得のため、銅の輸出を目指すとともに、海産物(ふかひれ、いりこ、ほしあわび、等)の「俵物」(たわらもの)の輸出を目指した。
いっぽう、幕府役人のあいだで、賄賂(わいろ)による人事が横行するなど、問題になった。
また、1782〜83年ごろに凶作が起き(冷害が原因だと言われる)、さらに1783年に浅間山の噴火が起き、天命の大飢饉(てんめいの だいききん)となり、東北地方で多くの餓死者を出した。それに加え田沼意次の息子の田沼意知が1784年に佐野政言に江戸城で殺される事件が起こった。
このため、全国で百姓一揆や打ちこわしが起こった。将軍家治が死去すると、田沼は老中を罷免(ひめん)され、失脚した。
8代吉宗が将軍になる前の1695年、天文学者の西川如見は、長崎にあつまる世界地理の情報をもとに『華夷通商考』を表した。
その後、1716年ごろに吉宗が将軍になり、漢訳洋書の輸入を許可して、洋学が発達した。
そして、吉宗は、青木昆陽(あおきこんよう)や野呂玄上(のろ げんじょう)にオランダ語を学ばせた。
thumb|220px|『蔵志』の解剖図
thumb|解体新書。
医学では、洋学よりも先に、山脇東洋(やまわき とうよう)が1754年に、実際の解剖観察にもとづく知見をまとめた『蔵志』(ぞうし)を発表し、大まかな解剖図ではあるが、人体の内臓の大まかな様子が分かった。また、これらの研究により、解剖観察による実証的な解剖学への関心が高まった。
その後、医師の前野良沢(まえの りょうたく)は、目にした西洋の医学書にある精密な解剖図などの図におどろき、前野はオランダ語の医学書を翻訳しようと思い立ち、晩年の青木昆陽からオランダ語を習った。
そして、前野良沢は杉田玄白(すぎた げんぱく)とともに、オランダ語の解剖書を翻訳し、1774年に『解体新書』として発表した。この『解体新書』には、かなり正確な人体解剖図があり、人々をおどろかせた。
前野・杉田らは自分らの学問を「蘭学」と読んだため、オランダ語の翻訳によって輸入された学問は、以降「蘭学」と呼ばれるようになった。
ついで、良沢の門人である大槻玄沢が入門書『蘭学階梯』(らんがくかいてい)を出した。また、宇田川玄随(うたがわ げんずい)は、西洋医学の内科書の翻訳書を出した。
また、大槻玄沢の門人である稲村三伯(いなむら さんぱく)が、日本最初の蘭日辞典である『ハルマ和解』(はるまわげ)を1796年に出した。
いっぽう、田沼意次よりも9歳ほど若い平賀源内(ひらが げんない)は、長崎で学んだ科学知識をもとに、摩擦発電機や寒暖計などを作成したり、西洋画法を日本に伝えたりした。
このような洋学の普及により、西洋のさまざまな自然科学が輸入された。
日本の古典を実証的に研究する国学(こくがく)は、元禄時代に契沖(けいちゅう)による『万葉集』の研究によって始められた。
その後を継いで、荷田春満(かだの あずままろ)や賀茂真淵(かもの まぶち)が、日本の古代思想を研究した。
特に真淵は、仏教や儒学が伝わる前の日本の古代思想を研究する必要性を主張した。
賀茂真淵より約40歳ほど若い本居宣長は、国学の研究を目指して賀茂真淵の弟子になって学んだ。
そして本居宣長は、35年間もの歳月をかけて古事記を研究し、『古事記伝』をあらわし、
また宣長は、『源氏物語』なども研究し、日本のこころの本質は「もののあはれ」であると、宣長は主張した。
真淵に学んだ盲目の塙保己一(はなわ ほきいち)は、幕府の援助を受けて、和学講談所を設立し、古典の収集・保存・分類を行い、『群書類従』(ぐんしょ るいじゅう)を出した。
thumb|350px|松平 定信(まつだいら さだのぶ)
田沼意次(たぬま おきつぐ)が失脚し、新しい老中として松平定信(まつだいら さだのぶ)が1787年に老中になり、定信は11代将軍家斉(いえなり)に仕えた。定信はもともと奥州白河(おうしゅうしらかわ、福島県)の藩主。
ちょうど、その1787年のころ、江戸で天明の打ちこわしがあった。
定信は、吉宗の時代の政治を理想と考え、緊縮的な政策を行った。松平定信の行った改革のことを 寛政の改革(かんせいの かいかく) という。
飢饉(ききん)により、まず、食料生産を増やさないと国が危険な時代になってるので、定信は、食料生産を増やす政策を取る。
定信は、農民による江戸への出稼ぎを制限し、江戸に出稼ぎに来ている農民を農村に帰らせた(旧里帰農令(きゅうり きのうれい))。また、各地に食糧を貯蓄するための社倉(しゃそう)や義倉(ぎそう)を立てさせた(囲米(かこいまい))。
武士相手に米の売却業と金融業をする職である札差(ふださし)による6年以前の武士への借金を放棄させた(棄捐令(きえんれい))。かわりに、幕府は札差に低利で融資を行った。
また、江戸の町々に町費(町入用)を節約させ、節約金の7割を積み立てさせ(七分積金(しちぶ つみきん))、災害や飢饉のさいの資金源にしようとした。
江戸の石川島に人足寄場(じんそく よせば)をつくり、無宿人を強制的に収容し、職業訓練(や手工業などの強制労働)などの教育をして定職につかせようとした。
また、人足寄場は、無宿人のほかにも、軽犯罪者に(社会復帰のための)職業訓練や、懲役のような労働をさせるための施設でもある。
この政策のおかげで江戸の治安は良くなっていった。
湯島の学問所(のちの昌平坂学問所)では、朱子学以外(異学)の学問を禁止した(寛政異学の禁)。(儒学の派には、朱子学の他にも陽明学(ようめいがく)などがある。)
朱子学が正式な儒学である正学(せいがく)とされ、(陽明学などの)他の派の儒学は異学(いがく)とされた。
民間に対しては、出版統制を行い、政治への風刺や批判を取り締まった。
そして、林子平(はやし しへい)が1791年に発刊した『海国兵談』(かいこく へいだん)などで海防の必要性をとなえたことが、幕府批判と捕らえられ、処罰をされた。
そのほか、幕府は洒落本(しゃれぼん)の出版を禁止した。このため、『仕縣文庫』の作者で有名な洒落本作家の山東京伝(さんとう きょうでん)などが弾圧された。
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松平定信が老中の時代の1789年、光格天皇が実父(閑院宮典仁親王)に与える称号について、朝廷は幕府に同意を求めてきたが、定信はこれを拒否した(「尊号一件」 (「そんごういっけん」))。
この尊号一件の是非をめぐって、定信は将軍家斉と意見が対立し、1793年、定信は老中の座から しりぞいた。
松平定信の退任後も、しばらくの間、寛政の改革と似たような政策が続いた(松平信明ら率いる寛政の遺老と言われる定信の盟友らが政治を引っ張った為)。
寛政の改革のころ、それぞれの藩も、改革を行い、倹約や農業育成などにつとめた。
藩の財政収入を増やすため、特産品の生産と専売に力を入れる藩もあった。
また、藩校を設立して、教育に力を入れる藩もあった。
米沢藩の上杉治憲(はるのり)、秋田藩の佐竹義和(さたけ よしまさ)が、この時代の藩の名君だと言われる。
狂歌には、
と、うたわれた。
「蚊ほど」は、「これほど」の意味の「かほど」と かけている。「ぶんぶ」は、蚊の羽音のぶんぶんと、文武をかけてる。
「白河」とは、元・白河藩主の松平への皮肉。「田沼」とは、田沼意次と かけている。
1789年、クナシリ・メナシでアイヌの蜂起が起きた。 |
917 | 法学>民事法>商法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)
(取締役会への出席義務等)
第383条
第373条第1項の規定による特別取締役による議決の定めがあるときは、監査役の互選によって、監査役の中から特に同条第2項の取締役会に出席する監査役を定めることができる。
監査役は、前条に規定する場合において、必要があると認めるときは、取締役(第366条第1項ただし書に規定する場合にあっては、招集権者)に対し、取締役会の招集を請求することができる。
前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を取締役会の日とする取締役会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監査役は、取締役会を招集することができる。
前二項の規定は、第373条第2項の取締役会については、適用しない。
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{{前後
|会社法
|第2編 株式会社
第4章 機関
第7節 監査役
|会社法第382条(取締役への報告義務)
|会社法第384条(株主総会に対する報告義務)
383 |
918 | (納税義務者)
第4条
製造たばこの製造者は、その製造場から移出した製造たばこにつき、たばこ税を納める義務がある。
製造たばこを保税地域から引き取る者は、その引き取る製造たばこにつき、たばこ税を納める義務がある。
)
(納税義務者)
第4条
製造たばこの製造者は、その製造場から移出した製造たばこにつき、たばこ消費税を納める義務がある。
製造たばこを保税地域から引き取る者は、その引き取る製造たばこにつき、たばこ消費税を納める義務がある。
本条は、たばこ税の納税義務者について規定している。
国産品については製造たばこの製造者、輸入品については保税地域から引き取る者である。
{{前後
|たばこ税法
|第1章 総則
|たばこ税法第3条(課税物件)
|たばこ税法第5条(保税地域に該当する製造場)
04 |
919 | (監護者わいせつ及び監護者性交等)
第179条
18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条第1項の例による。
18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第177条第1項の例による。
2023年改正により、以下のとおり改正。
(改正前)第176条の例による。
(改正後)第176条第1項の例による。
(改正前)第177条の例による。
(改正後)第177条第1項の例による。
2017年改正において以下に定められた条項に替え新設。以下の条項の趣旨は第180条に移動。
(未遂罪)
第176条から前条までの罪の未遂は、罰する。
18歳未満の者に対して、その者を現に監護する者(監護者)であることによる影響力があることに乗じてわいせつ行為又は性交等をした場合には、同意の有無に関わらず、不同意わいせつ罪(第176条)又は不同意性交等罪(第177条)が成立する。
「監護者」とは、18歳未満の者を「現に監護する者」であり、真正身分犯である。「現に監護する者」の範囲は、民法第820条による親権の効果としての「監督保護」を行う者をいい、法的権限に拠らなくてもそれと同等の監督保護を行う者を含む。具体的には養親(両親が離婚等し片方の親の親権に服している場合の親の配偶者又は内縁関係にある者も含まれる)に加え、養護施設等の職員が含まれ得る。
監護者わいせつ罪および監護者性交等罪については、脅迫・暴行や意識喪失の機会などの要件は不要であるが、「影響力があることに乗じて」が要件となる。しかしながら、「影響力があることに乗じて」は明示であることを要さず、暗黙の了解であることで足りると解されており、被害者の同意もこの文脈で考慮されることとなり、同意があることで罪の成立は妨げられない。
未遂は、罰する。
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{{前後
|刑法
|第2編 罪
第22章 わいせつ、不同意性交等及び重婚の罪
|刑法第177条(不同意性交等)刑法第178条の2削除
|刑法第180条(未遂罪)
179
179 |
920 | コンメンタール>コンメンタール行政法>コンメンタール公職選挙法
公職選挙法(最終改正:平成一九年六月一五日法律第八六号)の逐条解説書。 |
921 | 法学>民事法>商法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)
(会計監査人の資格等)
第337条
会計監査人は、公認会計士又は監査法人でなければならない。
会計監査人に選任された監査法人は、その社員の中から会計監査人の職務を行うべき者を選定し、これを株式会社に通知しなければならない。この場合においては、次項第二号に掲げる者を選定することはできない。
次に掲げる者は、会計監査人となることができない。
企業会計の専門家であり、会社外部の独立した存在である公認会計士・監査法人を株式会社の監査に参加させることにより、より適正かつ充実した監査の実現を目指したものである。
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{{前後
|会社法
|第2編 株式会社
第4章 機関
第3節 役員及び会計監査人の選任及び解任
|会社法第336条(監査役の任期)
|会社法第338条(会計監査人の任期)
337 |
922 | 第2編 株式会社>第2編第1章 設立
(設立に関する事項の報告)
第87条
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{{前後
|会社法
|第2編 株式会社
第1章 設立
第9節 募集による設立
|会社法第86条(創立総会に関する規定の準用)
|会社法第88条(設立時取締役等の選任)
087 |
923 | 出題に図表やグラフの読み取りが多いので、これらの問題形式も学習を進める中で慣れていく必要がある。地理的思考が必要な一例として、石油産出国上位の国にロシアが入っていることである。原油というと一般的に中東のイメージがあるが、ロシアも有力な産出国の1つである。そういった一般的なイメージから想像しにくい「例外」をしっかり押さえ、「常識」を、いっぺん、客観視する勉強法が必要である。それが「これは例外、試験に出される」と判断できる地理的思考能力、洞察力を養うトレーニングである。また、ボリビアのスズ、ボツワナのダイヤモンドなど、一般的に耳にしない国が上位にランクインしている場合もしっかり把握する必要がある。センター試験にかかわらず、地理はそういった「例外」が出題される。(英語の動名詞しか目的語にとれない「メガフェプス」に通ずるものがある。)
学習を進めるにあたっては、まずはじめにセンター試験の過去問を数年分ほど解き、現時点で自分がどの程度の実力があるのか知ると学習計画を立てやすい。
このため、まず対策学習に必要なものは地図帳・統計集である。センター試験地理Bの対策学習では、毎日の学習では普段からこれらを手元に置いておき、不明な点はすぐに確認する。
地図帳は高校で使っているもので構わないが最新のものを使うようにする。地図で位置を確認したり、書き込んだりし、普段から地図を見慣れておくとよい。
統計集は必ず最新のものを使い、学習をすすめる中で逐一統計を確認する。特に参考書では古い統計がそのまま掲載されている場合があるので、そのような場合は統計集で必ず最新の統計を確認するようにする。
またわからない用語や事項は用語集などがあると便利な場合があるが、これは必要に応じて利用するとよい。
このように、普段から不明な点をこまめに確認する癖をつけておき、地理の基礎知識を定着させるようにする。
センター試験の過去問演習の結果が悪く、おおむね5割以下または平均点以下の場合や、不安定な成績の場合には、地理Bの基礎的な知識が不足している可能性が大きい。その場合の対策は、まず教科書レベルの比較的に易しめの参考書を通読して基礎的な地理の知識を得る必要がある。その後、センター試験対策の参考書などを使いセンター試験の傾向や頻出事項、基礎から応用の学習事項を確認するとよい。ある程度の知識の吸収が終わったら、その後にマーク式の基礎問題集などを使い知識の定着を図る。このときに、参考書で知らなかった事項を習得し、また自分の苦手な分野を確認する。それから実践問題集などを使いセンター試験の問題形式・傾向に慣れ、応用レベルの事項も確認する。そして最後に過去問を使い傾向や問題内容を再確認して、仕上げをする。
センター試験の過去問を解いた結果で、安定して平均点以上または7割以上を得点できる場合には、地理Bの基礎知識はある程度あると思われる。なので対策には、センター試験対策の参考書から学習をすすめ、その後マーク式の基礎問題集、そして実践問題集へと進め、最後に過去問演習をするとよい。
時間がない場合や緊急避難的な場合には、センター試験対策の参考書を1冊に絞り繰り返し学習することが大切である。
ほかの教科にも言えることだが、いずれの参考書や問題集も何度も繰り返し学習し、あれこれ手を広げすぎないことが重要である。また地理Bは日本史や世界史に比べて、時事的な要素が非常に大きいので普段から最新の世界情勢や地理情報、統計に関心を持ち、確認しておくことが大切である。近年は環境問題と絡めた出題が多いので、その方面のニュースなども興味、関心をもつ必要がある。
図表やグラフや地形図の読み取りの出題が多い。
経年による問題傾向・内容の変化も、ほとんど見られない。
まず基礎知識の習得をし、センター試験の頻出事項を確認し、問題形式に慣れ、過去問を中心に演習を行うのがよい。
センター試験地理Bの難易度は、例年、教科書レベル~標準レベルであり、基本的に難問・奇問は少ない。
一般的に日本史や世界史と比べれば単純に暗記で回答できる問題は少ない。
日本史や世界史と違い、単純に暗記すればいいというものではない。それはすなわち、むしろ地理的思考・センスが必要な問題が多いと言えて、そのため一問一答のような知識では思うような得点は取れない場合がある。
もちろん用語や事項を知っておくのは当然であるが、必要な学力である地理的思考・センスとは出題に対して臨機応変にそれらの知識を応用し、推測し、洞察する力である。
地理は同じ地歴科目である日本史・世界史に比べれば、暗記事項が少ないと言われている。
なので、比較的短期間で得点アップが見込める科目である。
仮に試験対策をゼロから始めた場合には、個人差はあるものの得点率7割程度までは比較的に楽に伸びる。ただし9割を超える得点を狙う場合は日本史や世界史に比べてリスクが大きく、緻密に学習したとしても必ずしも高得点がとれる保証がないという側面があり、高得点を安定的に取ろうとするのは難しい。
時事的な要素の強い出題もあるため、最新の地理情報や世界情勢・統計を確認しておく必要がある。
学習の際、現代史も知っておくと個別の事象の成り立ちなど歴史的背景を知る上で大いに役立つ。
そのため、国公立大の受験者には公民受験で科目が決まって無い場合には科目「現代社会」での受験も考えるべきだろう。
出題は知識問題だけでなく図表・グラフ・地形図の読み取り問題の割合も大きい。
特に、毎年、出題される地形図には慣れていないと読み取りに時間がかかってしまう。対策勉強では地形図を見た瞬間に、等高線・地図記号など地図に記載されている情報をインプットし、アバウトでよいのでどのような地域であるのか理解できるようにしたい。 |
924 | (一部に大赦があった場合の措置)
第52条
併合罪について処断された者がその一部の罪につき大赦を受けたときは、他の罪について改めて刑を定める。
本条は、併合罪一部の罪につき、大赦があった場合の措置を定めたものである(恩赦も参照)。
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{{前後
|刑法
|第1編 総則
第9章 併合罪
|刑法第51条(併合罪に係る二個以上の刑の執行)
|刑法第53条(拘留及び科料の併科) |
925 | 実際の気体はボイル・シャルルの法則は、高温・低圧の場合はよく当てはまるが、低温・高圧の場合には、ずれが大きくなってくる。ボイル・シャルルの法則が、厳密に成り立つ気体を考えると、計算の都合がいい。このような、ボイル・シャルルの法則が厳密に成り立つ想像上の気体のことを理想気体(ideal gas)という。現実の気体を実在気体という。thumb|500px|理想気体からのズレ。 温度一定
ファンデルワールスの状態方程式
分子の大きさと分子間力を考慮して、理想気体の状態方程式を改良したファンデルワールスの状態方程式がある。
ファンデルワールスの状態方程式は、
である。a,bは定数であり、aが分子間力、bが分子の大きさを反映したものである。
まず式中のaの係数について考えよう。
係数の+\frac{n^2}{v^2} が分かりづらいかもしれないが、プラス符号がついているのは、分子間力によって圧力が減少するからであり、そのためには、符号をプラスにする必要がある。
では、+\frac{n^2}{v^2} をどう解釈するかを述べる。
先に結論を述べるが、
である。
では、この結論を導く。
まず、このような気体中の、ある1つの分子に作用する分子間力の大きさは、その分子の近くにあるまわりの分子の数に比例するので、よって、ある1つの分子に作用する分子間力の大きさは、気体の濃度
c= \frac{n}{v}
に比例する。
そして、すべての分子が、このような分子間力を作用しあっている事を考慮する必要があるが、しかし分子間力の性質として、近くどうしの分子のみを考えれば充分なので、現実的には、単位体積中の分子数で計算する事になる。
単位体積中の分子数とは、つまり、その気体のモル濃度 c= \frac{n}{v} である。
(なお、理想気体の式 pv=nRT は、P = cRT と変形できたことも、思い出そう。)
結局、+\frac{n^2}{v^2} は、単に、
という計算である。
さて、bの係数について考えよう。
ボイル・シャルルの法則PV = nRT での体積Vとは、何かというと、これは気体分子が動ける空間である。だったら、それぞれの分子が動ける空間の体積は、その分子以外の他分子の体積を減算する必要がある。一般の気体の分子数は膨大なので他分子の数はn[mol]に比例すると見て良い。こうして、他分子の体積を減算した、気体分子が動ける分だけの体積(V-nb)を考慮すればよい。
このような気体における、上述のようなファンデルワールス方程式のような実験結果をひきおこす分子間力の原因は何だろう?
読者の高校生は、化学Iで「ファンデルワールス力」を習ったと思う。
このファンデルワールス力こそが、このような実在気体での、分子間力の原因だと考えられてる。
分子や原子では瞬間的な分極が頻繁に起きていて、つまり、瞬間的に、プラス電荷とマイナス電荷が分子の両端に発生していて、ほかの分子と電気的な引力をおよぼしあっている、・・・というような説が、定説である。(量子力学などによるエネルギーの「ゆらぎ」が、その瞬間的な分極の起きる根拠とされている。)
分極の影響は、たとえば磁石なら遠くにいくほど、測定位置から両極の距離がほぼ同じになり、そして反対符号のN極とS極の磁力が打ち消しあうので、磁石全体の影響は逆2乗よりも急激に減少していく。このような原理で、分極では、遠くの物体の影響は無視できるのである。
反応しあわない分子式の異なる気体を混合させた複数種の気体を、一つの密閉した容器に混ぜた気体を、混合気体という。
混合して生じた混合気体の圧力を、その混合気体の全圧という。
例として、2種の気体Aと気体Bを混ぜた混合気体を考える。混合気体の各成分AとBをそれぞれ別に、Aだけにして同じ容器に同じ温度で入れた時の圧力を気体Aの分圧(ぶんあつ)という。同様に、気体Bを気体Bだけにしておなじ容器に同じ温度で入れたときの圧力を気体Bの分圧という。
気体Aの分圧をp_A として、気体Bの分圧をp_B とすると、全圧pと分圧の間に次の関係が成り立つことが知られている。
p=p_A +p_B
このような、「全圧は分圧の和に等しい。」という関係式をドルトンの分圧の法則という。
気体成分が3個以上の場合でも、同様の結果が成り立つ。3種の場合は、気体A,B,Cについて、全圧と分圧の関係は、
p=p_A +p_B+p_C
である。気体成分の種類の数に関わらず、これらの「全圧は分圧の和に等しい。」という関係式をドルトンの分圧の法則という。
分圧の法則は、「混合気体でも、状態方程式が各成分単独の場合と同様に成り立つ」と仮定すれば、状態方程式から分圧の法則を導出できる。この法則は、気体成分の種類が何種類でも成り立つが、説明のため、気体成分は3種類と仮定しよう。混合気体の物質量について、以下のような関係が導出できる。
n= n_A +n_B + n_C
これを示そう。まず、状態方程式より、全圧の状態方程式を表すと、
pv=nRT
である。
このとき、分圧と物質量は、分圧の定義より、次の式になる。
p_A v=n_A RT
p_B v=n_B RT
p_C v=n_C RT
これ等の3個の式を足し合わせると
(p_A +p_B +p_C ) v= ( n_A +n_B + n_C ) RT
これを、pv=nRTで割ると、
\frac{p_A +p_B +p_C }{p} = \frac{ n_A +n_B + n_C }{n}
また、物質量の n と、 n_A +n_B + n_C との関係は、質量保存の法則より、以下の関係が成り立つ。
n= n_A +n_B + n_C
これより、
\frac{p_A +p_B +p_C }{p} = \frac{ n_A +n_B + n_C }{n} =1
つまり、
\frac{p_A +p_B +p_C }{p} =1
両辺に分母を掛けて
p_A +p_B +p_C =p
これは、分圧の法則に他ならない。
かくして、ドルトンの分圧の法則は導出された。
混合気体の物質量の総和に対する、各成分の物質量の比をモル分率という。
たとえば、3種類の混合気体A,B,CにおけるAのモル分率は
\frac{n_A}{n}
である。
同様に、Bのモル分率は、
\frac{n_B}{n}
である。
モル分率と全圧について、次の関係式が成り立つ。
各成分の分圧は、全圧にその成分のモル分率を掛けたものに等しい。
p_A v=n_A RT ・・・(1)
pv=nRT ・・・(2)
これより、(1)を (2)で割って、
\frac{p_A}{ p}= \frac{n_A}{n}
分母の全圧pを両辺に掛ければ、
p_A = p \frac{n_A}{n}
となり、命題「各成分の分圧は、全圧にその成分のモル分率を掛けたものに等しい。」を状態方程式から導出できた。以上。
水素H2などを水上置換法で集める場合を考える。水上置換法で集められる気体は、水蒸気の混じった混合気体である。捕集した気体の圧力には、水蒸気の分圧が含まれている。
この例の水素の場合、水素のみの分圧を求めたい場合は、捕集した気体の全圧から、水蒸気の分圧を差し引く必要がある。
つまり水素の分圧 p_{H_2}は、全圧P から水蒸気の分圧p_{H_2 O} を差し引いた値になる。
p_{H_2} = P - p_{H_2 O}
大気圧下での水蒸気圧については表などで与えられるので、それを利用する。なお、参考値を言うと、温度t=27℃で、水蒸気圧は、およそ3.6kPa、あるいは単位を変えれば27mmHgである。
酸素と窒素のまじった大気中の空気などのように、2種類以上の気体が混在してる時、この混合気体を、仮に1種類の気体からなると仮定して、その気体の分子量[mol]を算出したものを平均分子量という。たとえば、空気は混合気体であり、主成分の窒素と酸素の物質量[mol]の割合が、
窒素:酸素=4:1
であるが、モル質量が窒素28g/molであり、酸素は32g/molなので、空気の平均分子量は
''28.0[g/mol] ×'' \frac{4}{5} ''+ 32.0[g/mol]×'' \frac{1}{5}''= 28.8[g/mol]''
となる。
実際にはアルゴンやニ酸化炭素なども含まれているので、これより少し式や値は変わるが、ほとんど同じ値になる。
以上の例では、大気中の空気を例に平均分子量を解説したが、なにも空気で何くても平均分子量は必要に応じて定義される。 |
926 | 本項は、龍谷大学の入学試験対策に関する事項である。
龍谷大学は京都市に本部を置く私立大学である。略称は「龍大」。一般入試に3回も日程があるのが本学の特徴である。
龍谷大学の公募推薦入試は倍率・合格最低点ともに非常に高く合格するのは困難である。例年、この推薦入試に落ちて、一般入試に合格している受験生も少なからずいるので、不合格だったとしてもあまり気にすることはない。
日程はA(1月下旬~2月初め)・B(2月上旬)・C(3月上旬)がある。C日程は2科目(国語・英語)のみと科目数は少ないが、倍率は非常に高くなり、合格するのはA、B日程に比べ非常に困難である。
英語
長文読解問題が2題と会話文問題・整序問題から成る。試験時間は70分。全体的に読解力重視の傾向が見られるが、英文の量・質ともに標準レベル。全体的に論旨が掴み易く、選択肢も短めで紛らわしいものはほとんどなく、日本語のものもあるので、基礎的な読解力があれば十分対応できる。会話文問題は流れを問うものが主流で、特別な読解力は要求されない。整序問題は龍谷大の英語ではやや難の問題であるが、日本語が示されているタイプのものなので、落ち着いて前後の品詞・文構造をよく考えて解答したい。
国語
現代文2題、古文1題の3題構成。試験時間は60分。現代文は本文の趣旨が理解しやすい読みやすいものが多く、設問の選択肢にも紛らわしいものは少ないので、かなり易しい出題と言える。古文は、説話や物語がよく出題される。本文も設問も比較的易しい出題が目立つので落ち着いて解答できれば高得点も望めるはずである。高得点が期待できるが、逆にミスをすると一問が重いので注意したい。古文は知識問題が出題される(和歌の表現など)。古文の文学史は頻出で、現代文の文学史も出題される
日本史
龍谷大の日本史の大半は標準的なレベルの問題であり、細かい知識を要求する設問は全体の2~3割ほどで、難しい問題と易しい問題がハッキリと分けられている構成となっている。ボーダーラインが低く、他選択科目との得点調整も行われるので、実質的な難易度はそれほど高くないだろう。基本~標準レベルの事項をしっかり押さえて習熟しておけば6割程度は得点できるだろう。ただ、難易度の高い2~3割の問題は教科書レベルでは対応できない問題が多く、非常に緻密で、いわゆる重箱の隅をつつくような出題も目立ち、選択肢は大変選びにくく、高い総合力と強い注意力を持ってしても解答は容易ではないので、日本史で得点を稼ぎたい人にとっては厳しい入試となるだろう。
世界史
センター試験と似た問題形式である。
難易度はセンター試験よりも数段高く、関西大等の上位私大よりも難しい知識を問う問題も散見される等、比較的高い。
東洋史や文化史、図や地図を用いた問題が頻出であり、中には細かい知識が問われることも多く、選択肢もちゃんとした知識がなければ消去したり選ぶことは難しいだろう。
龍谷大学の世界史で高得点を狙うには、基礎レベルの知識は大前提として、その上に用語集等で細かな知識を積み上げて定着させなければならない。
政経
政経も難易度の高い問題が出る。四択であることも影響して6割程度なら取れるだろう。しかし本学の政経で8割以上を取るのはしっかり勉強をしないと難しい。
数学
基礎的な問題が多く、教科書レベルである。しかし難易度の低い問題が多いため、平均点が高くなる傾向にある。その場合、得点調整に遭い、点数が大幅に下がってしまうこともある。
センター試験の成績のみで合否が決まる入試方式である。科目数は3科目型と4科目型がある。合格するには学部学科や科目数によるが、70~75%が必要である。 |
927 | 法学>民事法>コンメンタール商業登記法>コンメンタール商業登記規則
(電子情報処理組織による登記の申請等)
第101条
第1項の指定は、告示してしなければならない。
----
{{前後
|商業登記規則
|第3章 電子情報処理組織による登記の申請等に関する特例
|商業登記規則第100条(登記の抹消)
|商業登記規則第102条(登記申請の方法)
101 |
928 | プログラミングにおけるコレクション(Collection)は、複数の要素をまとめて管理するためのデータ構造です。コレクションは、配列やリスト、セット、マップなど、さまざまな形式で提供されます。これらのデータ構造は、異なる目的や要件に応じて使われ、データの格納、検索、操作、管理を行うための便利な手段として利用されます。
コレクションの主な特徴は以下の通りです:
動的サイズ: コレクションは通常、要素の追加や削除などの操作によって動的にサイズが変化します。配列のように固定サイズではなく、必要に応じて要素を増減させることができます。
ジェネリック: 多くの場合、コレクションはジェネリック型をサポートしており、異なるデータ型の要素を格納することができます。これにより、汎用的なコレクションを作成し、様々な種類のデータを扱うことが可能になります。
高度な操作: コレクションは、要素の追加、削除、検索、ソート、フィルタリングなど、さまざまな操作をサポートします。これにより、効率的なデータの管理や処理が可能になります。
相互変換: コレクション間でデータを相互変換することができる場合があります。たとえば、配列をリストに変換したり、リストをセットに変換したりすることができます。
プログラミングにおけるコレクションは、さまざまな用途に活用されます。例えば、データの一時的な保存や処理、データの集計や集合演算、データの操作や変換など、さまざまな場面で利用されます。多くのプログラミング言語やフレームワークは、標準ライブラリやサードパーティライブラリを通じてさまざまなコレクションを提供しています。
Javaのコレクションは、複数の要素を格納し、効率的なデータ操作を可能にするためのフレームワークです。Javaのコレクションフレームワークは、java.utilパッケージに含まれており、さまざまなインターフェースとそれらを実装するクラスが提供されています。主なコレクションインターフェースには、リスト、セット、マップなどがあります。
以下は、Javaのコレクションフレームワークを使った例を1つのソースコードにまとめたものです。
import java.util.*;
public class CollectionQuickTour {
public static void main(String[] args) {
// リストの例
List myList = new ArrayList<>();
myList.add("Apple");
myList.add("Banana");
myList.add("Orange");
System.out.println("List: " + myList);
// セットの例
Set mySet = new HashSet<>();
mySet.add(1);
mySet.add(2);
mySet.add(3);
mySet.add(1); // 重複した要素は無視される
System.out.println("Set: " + mySet);
// マップの例
Map myMap = new HashMap<>();
myMap.put("One", 1);
myMap.put("Two", 2);
myMap.put("Three", 3);
System.out.println("Map: " + myMap);
// キューの例
Queue myQueue = new LinkedList<>();
myQueue.add("First");
myQueue.add("Second");
myQueue.add("Third");
System.out.println("Queue: " + myQueue);
// デッキの例
Deque myDeque = new ArrayDeque<>();
myDeque.addFirst(1);
myDeque.addLast(2);
myDeque.addLast(3);
System.out.println("Deque: " + myDeque);
}
}
このコードでは、リスト、セット、マップ、キュー、デッキのそれぞれのコレクションを作成し、要素を追加しています。それぞれのコレクションの要素が出力されます。これにより、Javaのコレクションフレームワークの基本的な使い方を示しています。
以下は、Javaのコレクションフレームワークに含まれる主要なクラスとインターフェースの一覧を、名前、クラス・インターフェースの別、説明の順に表組みで示したものです。
これらのクラスとインターフェースは、Javaのコレクションフレームワークを構成し、さまざまなデータ構造を効率的に操作するための手段を提供します。
Javaのコレクションフレームワークは、データを効率的に管理し、操作するための標準的なAPIセットです。これにより、プログラマーはリスト、セット、マップなどのさまざまなデータ構造を使用してデータを格納し、操作することができます。Javaのコレクションフレームワークは、java.utilパッケージに含まれており、多くのインターフェースとクラスから構成されています。
コレクションフレームワークの主な特徴は次のとおりです:
柔軟性: コレクションフレームワークは、異なる種類のデータ構造を提供し、プログラマーがプログラムの要件に応じて適切なデータ構造を選択できるようにします。
再利用性: 既存のコレクションクラスやインターフェースを使用することで、プログラマーは再利用可能なコードを作成しやすくなります。
拡張性: コレクションフレームワークは、カスタムコレクションの作成や既存のコレクションの拡張を容易にします。プログラマーは独自のデータ構造を定義し、それをコレクションとして使用することができます。
効率性: コレクションフレームワークは、データの効率的な格納、検索、操作を実現するために最適化されています。さまざまなデータ構造は、特定の操作に対して最適な性能を提供します。
型安全性: ジェネリクスを使用することで、コンパイル時の型安全性が向上します。これにより、コンパイル時に型エラーを検出しやすくなります。
コレクションフレームワークは、Javaプログラミングにおいて非常に重要であり、さまざまなアプリケーションやライブラリで広く使用されています。プログラマーは、これらのAPIを十分に理解し、適切に活用することで、効率的で堅牢なコードを作成することができます。 |
929 | 漁業法施行令(最終改正:平成二〇年一月二五日政令第一五号)の逐条解説書。 |
930 | Under construction
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(۲۸) آموزِشِ زَبانِ فارسی
第28課
特別な複合動詞 (فِعلهایِ لازمِ یِک شَخصه)
名詞、形容詞と動詞は組み合わせて複合動詞が作られます。動詞は自動詞でいつも三人称単数で用いられます。
人称語尾(م، ت، ش، مان ،تان ،شان)は名詞、形容詞に付けられます。このタイプの複合動詞は主に人間の感動や反応を表す。
複合動詞と用いられる動詞は:
شُدَن، بودَن، بُردَن، گِرِفتَن، زَدَن، دادَن، کَردَن، آمَدَن
خُوش آمَدَن(khosh --- āmadan:気に入る)
سَردَم اَست. 「寒いです。」(私は寒さを感じる。)
اَز بَس او عَوض شُده بود هَمِه ماتِمان زَد.「彼女はあまりに変わったので、みんな驚いた。」
ایکاش - کاش (kāsh :だったらよいのになあ)
I.不可能な願い
願いの時制には過去完了形、過去進行形を用います。
کاش این کار را نِمی کَردَم/ نَکَردِه بودَم 「私はこんなことしなかったらよかったのに。」
願いの時制には仮定法、仮説法完了形を用います。
کاش فَردا هَوا بارانی نَباشَد. 「明日は雨が降らなかったらよういのになあ。」
ایکاش بِه موقع رسیدِه باشَند. 「ちょうどの時間着いたらよいのになあ。」
باと抽象名詞は合成で副詞になって、主語の動作をする状態と表情を表す。
او با عَلاقِه دَرس می خوانَد. 「興味深く勉強する。」
با خوشحالی قَبول کَرد. 「喜んで受け入れました。」
من از این خورش خیلی خوشم میآید.
私はこのシチュー料理を大変気に入った。
آنها از آن هتل خوششان نیامد.
彼らはあのホテルが気に入らなかった。
من دلم میخواهد باز شما را ببینم.
私はまたあなたに会いたい。
اِ، تو هنوز در شرکتی!
ええ、(君は)まだ会社にいるの!
کاش تا فردا حالش خوب بشود.
明日までに、元気になればなあ。
کاش همه مثلِ تو فکر میکردند.
みんなが君のように考えればいいのになあ。
گَرمَم- گَرمَت - گَرمَش - گَرمِمان - گَرمِتان - گَرمِشان
است - بود - شد - میشد- باشد- میشود - شده است- شده بود- شده باشد- خواهد شد
تِشنِه اَم - تِشنِه ات - تِشنِه اَش - تِشنِه مان - تِشنِه تان - تِشنِه شان
نیست - نبود - نشد - نمیشد- نباشد- نمیشود - نشده است- نشده بود- نشده باشد- نخواهد شد
دیر - گرسنه - سرد - گرم - تشنه
مثال: فریبا جان، من (تشنهام) است. یک لیوان آب به من بده.
۱. مهتاب جان، ما (———————————) شده است. لطفاً ما را تا شرکت برسان.
۲. من (———————————) شد. کولر را خاموش بکن.
۳. شاید بچّه (———————————) باشد. به او غذا بده.
۴. هوا سرد است ولی من چون زیاد لباس پوشیدهام اصلاً (———————————) نیست.
۵. نصفِ شب اگر تو (———————————) شد. خودت کولر را خاموش بکن.
۶. مهمانان (———————————) شده است. برایِ همه شان چای ببر.
۷. رؤیا جان، ما (———————————) است. کولر را روشن بکن.
خوش - یاد - حیف - خواب (م- ت -ش - مان - تان - شان) آمدن
خواب (م- ت -ش - مان - تان - شان) بردن
خواب - گریه - خنده - درد (م- ت -ش - مان - تان - شان) گرفتن
مثال۱: نمی دانم چرا من این قدر (خوابم میآید). < خواب آمدن >
مثال۲: من اصلاً از این رسم (خوشم نمیآید). < خوش آمدن >
۱. من اصلاً از خورشِ بادنجان(———————————). < خوش آمدن >
۲. چه رفتارِ خوبی دارد. من از او خیلی(———————————).< خوش آمدن >
۳. مادرم میگوید شاید این چیزها بعداً لازم بشود. او(———————————) که آنها را دور بیاندازد. < حیف آمدن >
۴. من هر چه فکر میکنم معنیِ هیچکدام از این کلمه ها(———————————). < یاد آمدن >
۵. همیشه روزهایِ تعطیل تویِ خانه من(———————————). < دل گرفتن >
۶. تو برو بخواب. من الان اصلاً(———————————). < خواب آمدن >
۷. من اصلاً میانِ قطار(———————————). < خواب بردن >
۸. من خیلی زبانِ انگلیسی را غلط حرف میزنم. برایِ همین از طرزِ حرف زدنِ من همه (———————————). < خنده گرفتن >
۹. مادرم هر وقت عکسِ مادربزرگم را که پارسال مرده است میبیند (———————————). < گریه گرفتن >
۱۰. از بس مهتاب، دخترِ رؤیا خانم قشنگ است. هر کس که او را میبیند (———————————). < مات بردن >
۱۱. به تازگی آنقدر خانه مان کثیف و شلوغ شده است که اگر کسی ببیند (———————————). < آبرو رفتن >
میانِ پرانتز را با کلمهٔ مناسب پر کنید.
درد میکند- میسوزد - میخواهد - نمیخواهد - گرفته است - تنگ میشود
۱. برایِ او دلم (———————————). سال گذشته هم خواهرش مُرد هم برادرش.
۲. از صبح دلم (———————————). باید به دکتر بروم.
۳. دلم (———————————) به کوه بروم ولی وقت ندارم.
۴. اگر تو به مأموریت بروی واقعاً برایِ تو دلم (———————————).
۵. چقدر امروز دلم (———————————). برویم بیرون کمی بگردیم.
۶. از او اصلاً از رفتارهایِ عجیبِ او خوشم نیامد. دلم (———————————) او را دوباره ببینم.
چقدر - اَه - بَه بَه - اِ، عجب - آفرین - ماشاءاللّه - حیف - وای
مثال: (ای بابا) تو هنوز حاضر نشدهای!
۱. (———————————) امسال هوا گرم است!
۲. (———————————) متأسفانه من نرسیدم که ایشان را ببینم!
۳. (———————————) من اصلاً خبر نداشتم که مادرش را از دست داده است!
۴. (———————————) خیلی خوب یاد گرفتی!
۵. (———————————) چه اتاقِ کثیفی!
۶. (———————————) چقدر بچّه شما بامزه است!
۷. (———————————) چه روزِ قشنگی!
۸. (———————————) خیلی قلبم درد میکند!
مثال ۱: کاش او از هدیهای که برایش خریدیم (خوشش بیاید). < خوش آمدن >
مثال ۲ : کاش آنها الان در خانه (باشند). < بودن >
مثال ۳ : کاش هواپیما هفتهٔ دیگر برایِ ما جا (داشته باشد). < داشتن >
۱. کاش آنها به موقع به آنجا (———————————). < رسیدن >
۲. کاش حالِ بچّه زودتر خوب (———————————). < شدن >
۳. کاش فردا (———————————). خیلی وقت است که باران نباریده است. < باران آمدن >
۴. کاش دخترم در دانشگاه (———————————). < قبول شدن >
۵. کاش آنجا هوا خوب (———————————). < بودن >
۶. کاش من زودتر کار (———————————). < پیدا کردن >
مثال ۱: کاش دیروز تو به من( زنگ میزدی - زنگ زده بودی). < زنگ زدن >
مثال ۲: کاش من انگلیسی را بهتر (بلد بودم). < بلد بودن >
مثال ۳: کاش من هم ماشین (داشتم). < داشتن >
۱. کاش شکمِ من کوچکتر (———————————). < بودن >
۲. کاش آنها زودتر به من (———————————). < خبر دادن >
۳. کاش من هم با آنها به کوه (———————————). < رفتن >
۴. کاش من رانندگی (———————————). < بلد بودن >
۵. کاش شما بیشتر پیشِ ما (———————————). < ماندن >
مثال ۱: کاش آنها به موقع به آنجا (رسیده باشند).< رسیدن >
۱. کاش مهتاب از هدیهٔ ما خوشش (———————————). < آمدن >
۲. کاش آنها کارشان (———————————). < تمام شدن >
۳. کاش دخترم هم این خبر را (———————————). < شنیدن >
۴. کاش تا ما به آنجا میرسیم مغازهها باز (———————————). < شدن >
۵. کاش تا ما به خانه میرسیم، دخترم غذا را (———————————). < پختن >
میانِ پرانتز را با کلمهٔ مناسب پر کنید.
مثال: من این کار را (با عشق و علاقه) انجام دادم.
با ناراحتی - با مهربانی - با لهجه - با علاقه - با عجله - با گریه - با خوشحالی - با دل و جان
۱. وقتی شنیدیم که او را به بیمارستان بردهاند، همه (———————————) به بیمارستان رفتیم.
۲. مهتاب (———————————) به من گفت که کیفِ پولش را گم کرده است.
۳. همه (———————————) به داستان گوش میدادند.
۴. پدرم (———————————) به همه گفت: «مادرتان، دیگر در میانِ ما نیست.»
۵. (———————————) به من گفت: «آفرین دخترم، خیلی زحمت کشیدی.»
۶. او فارسی را (———————————) حرف میزند.
۷. مسئولِ این قسمت واقعاً (———————————) کار میکند و برایِ مردم زحمت میکشد.
۸. (———————————) به من گفت: «در دانشگاه قبول شدم.»
(در هواپیما)
یومیکُو : ببخشید خانم، بیدار بشوید. دارند غذا میآورند.
مسافرِ هواپیما : خیلی ممنونم که بیدارم کردی. خیلی گرسنهام شده است.
یومیکُو : تویِ هواپیما چه خوب خوابتان میبرد. حیفم میآمد بیدارتان بکنم. من اصلاً میانِ هواپیما خوابم نمیبرد.
مسافرِ هواپیما : اِ! شما چقدر خوب فارسی بلدید!؟ من فکر میکردم که شما فارسی بلد نیستید!
یومیکُو : من در رشتهٌ زبانِ فارسی تحصیل کردهام.
مسافرِ هواپیما : برایِ کار به ایران رفته بودید؟
یومیکُو : تقریباً برایِ ثبتِ نام در دانشگاه رفته بودم.
مسافرِ هواپیما : پسرِ من هم در ژاپن در دانشگاه کار میکند. الان میروم تا او را ببینم.
یومیکُو : ایشان در چه دانشگاهی کار میکنند؟
مسافرِ هواپیما : واللّه، اسمِ دانشگاه را یادم نمیآید. سه سال است که او را ندیدهام. دلم برایِ او خیلی تنگ شده است.
یومیکُو : ایشان در توکیو زندگی میکنند؟
مسافرِ هواپیما : بله، شما از کدام شهرِ ایران بیشتر خوشتان میآید؟
یومیکُو : این دفعه خیلی با عجله به ایران آمدم. فقط تهران و اصفهان را دیدهام.
مسافرِ هواپیما : اگر دوباره به ایران بیایید، دلتان میخواهد به کدام شهر سفر کنید؟
یومیکُو : نمی دانم. هنوز تصمیم نگرفتهام.
مسافرِ هواپیما : من اهلِ شمالِ ایران هستم. خانهٔ ما کنارِ دریاست. کاش بعداً بتوانید به خانهٔ ما بیایید. من خوشحال میشوم.
یومیکُو : متشکّرم. شما واقعاً لطف دارید.
تمرین ۱ - سؤال ۱. (دیرمان) ۲. (سردم) ۳. (گرسنه اش) ۴. (سردم) ۵. (سردت) ۶. (تشنه شان) ۷. (گرممان)
تمرین ۲ - سؤال ۱. (خوشم نمیآید) ۲. (خوشم میآید) ۳. (حیفش میآید) ۴. (یادم نمیآید) ۵. (دلم میگیرد) ۶. (خوابم نمیآید) ۷. (خوابم نمی بَرَد) ۸. (خنده شان میگیرد) ۹. (گریه اش میگیرد) ۱۰. (ماتش میبرد) ۱۱. (آبرویمان میرود)
تمرین ۳ - سؤال ۱. (میسوزد) ۲. (درد میکند) ۳. (میخواهد) ۴. (تنگ میشود) ۵. (نمیخواهد) ۶. (گرفته است)
تمرین ۴ - سؤال ۱. (چقدر) ۲. (حیف) ۳. (اِ، عجب) ۴. (آفرین) ۵. (اَه) ۶. (ماشا اللّه) ۷. (بَه بَه) ۸. (وای)
تمرین ۵ - سؤال ۱. (برسند) ۲. (بشود) ۳. (باران ببارد) ۴. (قبول بشود) ۵. (باشد) ۶. (پیدا بکنم)
تمرین ۶ - سؤال ۱. (بود) ۲. (خبر میدادند) ۳. (رفته بودم) ۴. (بلد بودم) ۵. (میماندید)
تمرین ۷ - سؤال ۱. (آمده باشد) ۲. (تمام شده باشد) ۳. (شنیده باشد) ۴. (شده باشند) ۵. (پخته باشد)
تمرین ۸ - سؤال ۱. (با عجله) ۲. (با ناراحتی) ۳. (با علاقه) ۴. (با گریه) ۵. (با مهربانی) ۶. (با لهجه) ۷.(با دل و جان) ۸. (با خوشحالی)
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931 | 法学>民事法>商法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第9章 清算 (コンメンタール会社法)
(清算人の職務)
第481条
清算人は、次に掲げる職務を行う。
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{{前後
|会社法
|第2編 株式会社
第9章 清算
第1節 総則
|会社法第480条(監査役の退任)
|会社法第482条(業務の執行)
481 |
932 | 小学校・中学校・高等学校の学習>高等学校の学習>高等学校地理歴史>高等学校世界史探究>アラブの大征服とイスラーム政権の成立Ⅱ
アラブの大征服とイスラーム政権の成立Ⅱでは、アッバース朝~ブワイフ朝までの内容を学習します。
『コーラン』には、信者は誰でも平等と書かれています。そのため、非アラブ人は、イスラーム教に改宗すれば、アラブ人と同じ権利を持てるようになると考えました。これらの非アラブ人をマワーリーといいました。しかし、改宗は権力を持ったアラブ人に頼っていたため、主人とマワーリーの地位には格差が生まれました。また、農民の地租が政府の財源となっていたため、全員が同じ税金を納めるのは難しく、ウマイヤ朝の強権政治を嫌がるアラブ人もいました。次第に、アラブ人ムスリムは、イスラーム共同体を導くのはムハンマド家の一族が相応しいと考えるようになりました。この家系のアッバース家はこの考え方を利用しながら、マワーリーやシーア派ムスリムと協力して、ウマイヤ朝を倒そうと密かに運動を始めました。革命軍は、イラン東部のホラーサーン地方で立ち上がり、ウマイヤ朝の軍隊を追い払って西へ移動しました。749年、彼らはイラクの首都クーファにたどり着き、750年になると、アブー・アル=アッバースを初代カリフとして迎え入れました。以降、アッバース朝がイスラーム帝国として支配を始めました。
サムネイル|291x291ピクセル|アッバース朝時代のバグダード(767年頃~912年頃)
しかし、ウマイヤ派を追い出したアッバース朝も、政権運営を安定させるため、やはりスンナ派(多数派)に従わなければなりませんでした。革命運動に協力したシーア派の期待は裏切られ、多くのシーア派ムスリムの命が奪われました。第2代カリフのマンスールは、アッバース朝国家の基礎を築きました。マンスールは、アラブ人兵士の子孫を中心に成り立ち、王朝を築くために多くの功績を残したホラーサーン軍に頼りました。この軍隊こそが、カリフを支える主要な存在でした。また、租税庁や文書庁などの官庁を設けてイラン人の書記を雇うほか、各官庁をまとめる宰相(ワズィール)という役職を設けて、官僚機構の整備を進めました。また、主要な街道に沿って馬を走らせる駅伝の制度を設けたのも、地方の状況を知るのに有効で、駅伝の制度がやがて中央集権的な体制作りにつながっていきました。
このように、ウマイヤ朝からアッバース朝への移行は、アラブ人が非ムスリム人を支配するという考え方から、民族よりも宗教を重視した仕組みへの移行と考えられます。こうした理由から、ウマイヤ朝の時代を「アラブ帝国」、アッバース朝の時代を「イスラーム帝国」と呼ばれています。
サムネイル|342x342ピクセル|コルドバのメスキータは、8世紀の終わり頃イベリア半島に建てられました。世界遺産に登録されています。柱廊を持つ二重アーチの礼拝堂、礼拝を呼びかけるミナレット、オシンジの木がある中庭、レコンキスタ後に増築されたキリスト教会などを備えています。
アッバース朝の成立後、ウマイヤ家のアブド・アッラフマーン1世は北アフリカに亡命しました。756年、地中海からイベリア半島に渡って、後ウマイヤ朝を建国しました。コルドバを首都として、ペルペル人の反乱を抑えるとともに、政権の基礎を固めました。後ウマイヤ朝とアッバース朝は政治的に対立しましたが、学者達はバグダードやダマスカスへ行き、東方のイスラーム文化を学びました。そして、学んだ成果をイベリア半島に持ち帰りました。アブド・アッラフマーン3世の時代、後ウマイヤ朝は最盛期を迎えて、コルドバは人口50万人の大都市に成長しました。アブド・アッラフマーン3世は、マグリブ(エジプト以西の北アフリカの一部)西部の大部分とイベリア半島を支配しました。アッバース朝に対してカリフの称号も使いました。
一方、東側のアッバース朝では、東西貿易の発展と灌漑農業の拡大によって、ハールーン=アッラシードの時代に黄金時代がやってきました。9世紀から10世紀にかけて、バグダードは「無敵の都市」と呼ばれるほどの成功を収めました。しかし、ハールーン=アッラシードが亡くなると、イランのホラーサーン地方でターヒル朝がすぐに独立を宣言すると、東部では鍛冶職人(サッファール)出身のヤークーブがサッファール朝を建国しました。中央ユーラシアのアム川の東側では、イラン出身の貴族がサーマーン朝を建国すると、サッファール朝を倒してホラーサーン全域を支配しました。
このようにカリフから独立王朝が登場すると、カリフの勢力は徐々に衰退していきました。エジプトでは、トルコ総督がバクダッドへの納税を拒否したため、トゥールーン朝が独立するようになりました。さらに、969年、チュニジアから始まったファーティマ朝がエジプトを支配すると、フスタートの北側に首都カイロを建設しました。ファーティマ朝前期のエジプトは紅海貿易で繁栄しました。しかし、ファーティマ朝後期のエジプトはカリフの統治が悪く、十字軍の侵攻を受けたため、衰退しました。ファーティマ朝は、シーア派の中でも最も過激なイスマーイール派に属していました。統治当初からカリフの称号を使用して、アッバース朝カリフの権力を否定していました。
山川出版社『詳説世界史研究』木村端二ほか編著最新版と旧版両方を含みます。 |
933 | ----
本書は、コンピュータのハードウェアとユーザーの間のインターフェースとして機能するオペレーティング・システム(Operating system; OS)を対象としている。オペレーティング・システムは、コンピュータの限られた資源の共有や活動の管理・調整を担っている。
オペレーティング・システムは通常、カーネルとユーザーランドに分離される。
カーネル
ソフトウェアがハードウェアと相互作用するための境界線を提供する。
カーネルはハードウェアを抽象化し、多くのソフトウェアが全く異なるハードウェア上で同じように動作することを可能にする。
カーネルは、ユーザーランドがカーネルと対話できるようにするためのシステムコールを提供する。
ファイルシステム(常にではありないが、通常は)、デバイス、プロセスの制御を含む多くのことを処理する。
ユーザーランド
カーネル以外のすべてのものとして存在する。
端末を含め、ユーザーが作成するすべてのプロセスはユーザーランドに属する。
プログラムを表示するGUI(Graphical User Interface)もユーザーランドに属する。
ウェブサーバーなどのデーモンもユーザーランドに属する。
一般的に用いられているOSには、以下のような種類がある。
スマートフォン用のOSとして、以下、Android(アンドロイド)やiOS(アイ オーエス)などがある。
大まかには上記のとおりとなる。以下に、それぞれの特徴を記す。基本的な使い方など踏み込んだ話題は、Windows については『Windows入門』を、macOSについては『MacOS入門』を、Unixについては『Unix/Linux入門』を、それぞれ参照のこと。
『Microsoft Windows』(ウィンドウズ)は、米Microsoft社(マイクロソフト社)が販売する商用OSである。Windowsを使用できるハードウェアは、かつては「PC/AT互換機」と言われたが、現在ではほぼすべての市販のパソコンでWindowsは動作する。Windowsは、企業から一般家庭まで、多くのパソコンのOSとして用いられており、事実上の世界標準である。CPUアーキテクチャはx86およびamd64をサポートするほかARMアーキテクチャをサポートしたエディションもある。
Windowsは、歴史的にMS-DOS(エムエス ドス)上のアドオンソフトウェアとしてスタートし、1985年以降、Windows1.0からWindows 3.2までこの状態は続いたが、1993年にMS-DOSを必要としない32ビットOSであるWindows NT 3.1がリリースされた。その後の1995年、16ビットコードと32ビットコードが混在したWindows95がリリースされ、爆発的に普及した。その後も、複数回にわたってバージョンアップ版が提供された。その変遷は以下の通りである。
GUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)を標準ユーザーインターフェイスとするOSである。
Windows Vista からが64ビット版と32ビット版が並売されていた。
Windows 7 は長く人気があり、後継の Windows 8/8.1 のシェアは Windows 7 を一度も超えることがなかった。
Windows 8からは大きなボタンのスタートメニューにするなどタブレット型のPCを意識したインターフェースの製品となっている。
Windows 10ではスタートメニューが復活した。
Windows 11では、32ビット版は廃止され、IE11が無効化された。
米Apple社(アップル社)が開発・販売するPC向けのOS。対応するプラットフォームはMac OS X以前では最初はMC68000後にPowerPCのみである。Mac OS Xで初めてPC/AT互換機、x86(Intel製CPUのみ)プラットフォームへの対応がなされたが、Appleが販売するコンピュータ以外のPC/AT互換機では動作しない。ユーザー主体の操作性を重視している。その登場はWindowsよりも早く、1984年の最初のシステムからすでにGUI(文字だけでなく、アイコンなどの画像や映像などで視覚的に分かりやすくした操作環境)を搭載していた。2001年にMac OS Xがリリースされたが、これは従来のMac OSとは仕様が大きく異なるものとなっている。
一般ビジネス用としてのシェアはWindowsに全く及ばないが、グラフィックデザイン、音楽、映画など、芸術・コンテンツ産業といった、いわゆる「クリエイティブ」な分野では一定の支持を得ており、また家庭用としても根強いユーザーを確保している。2006年、プロセッサのIntel製への全面移行に伴い、起動時にMac OS XとWindowsを選択したりあるいはMac OS XとWindowsを同時に使用できる機能(ブートキャンプ)が実用化、Windows専用PCからの乗り換えを検討するユーザーが増え始めた。また、Mac OS XはBSD系Unix(後述)ベースになっており、その中核部分(カーネル)はオープンソースOSであるFreeBSDをもとにして開発されている(Mac OSは、オープンソースの Darwin と、非オープンソースのコンポーネントから構成されている)。 そのため、Unix系のコマンドがマックOS上でも使用できる場合も多く、このようなUnixとマックとの親和性の高さから、Unix系 OSのプログラマーが、Mac OS X環境でUnixアプリケーションのプログラムを開発する例も見られる。
大まかに次のような変化をたどる。
※ Mac OS X Server 1.0 があるが、この製品は Mac OS X とは異なるコードベースの製品で互換性はなく、他方 Mac OS X Server 10.x は Mac OS X と互換性があった。
2001年登場の Mac OS 9.2.2(コードネーム:LU1) を最後に、登場以来の系統(上記の Classic 系)の Mac OS の開発は終了した。
Mac OS X は当初から多言語(英語やフランス語、日本語、中国語など)に対応しており、Classic Mac OS や Windows のような「xx語版」という区別はない。Mac OS X 10.4.5 より、それまでの PowerPC 版に加えて Intel プロセッサ版が登場した。
2020年にリリースされた macOS 11.0 Big Sur からは、Apple内製のM1プロセッサーがサポートするプラットホームに加わった。
1960年代,米AT&T社(エーティー アンド ティー社)のベル研究所で誕生した。しかし近年はUnixそのものが使われることは殆どなく、Unixシステムをベースとして様々な改良を施したOSがUnix系OSとして利用されている。主なものとしては、BSD系Unix, HP-UXやSolarisなど。
Unixの特徴:
これらに加え、カリフォルニア大学バークレー本校で開発されたBSDによる追加された機能
がAT&Tにもバックポートされ普及した。
かつてはミニコンやスーパーミニコンでの利用が中心であったが、その後、ワークステーションやサーバーでの採用が増加し、386BSD の登場でPCでの利用にも道がひらけたが、「UNIXの権利を侵害している」と主張する提訴をうけ、配布が停滞している間に登場した GNU/Linux にニッチを奪われる展開となった、その後「UNIXの権利を侵害していない」4.4BSD-LiteをベースにNetBSDやFreeBSDが再実装・リリースされた。
一般ユーザーに関してはWindowsのシェアは大きいが、しかしIT企業などでのサーバーや基幹コンピュータといった分野においては、現在でもUnixが多くのシェアを占める。
狭義の「Linux」(リナックス)は、カーネルだけを意味する。Linuxは、Free Software Foundation(FSF)の提供するGNUソフトウェア群などでユーザーランドを補いオペレーティング・システムとして構成されることが多い。
このため、FSFは Linux カーネルにGNUのユーザーランドを組合せてオペレーティング・システムとしているプロダクトを「GNU/Linux」と表記する事を推奨している。オペレーティングシステム全体を「Linux」と呼称するか、それとも「GNU/Linux」と呼称するかは、論争を引き起こすこともある。
オペレーティング・システムとしてのプロダクトは「Linuxディストリビューション」と言うのが厳密な用法である。「Linuxディストリビューション」とは、Linuxカーネルを元に、実用OSとするために多くのアプリケーションの実装を行ったものである。
カーネルにどのようなアプリケーションを加えるかにより、何通りもの構成がありえ、実際にOSとしての構成が何十通りもあるので、それら個々のプロダクトについては「Linuxディストリビューション」と表現することでカーネルとは区別する。
Linuxディストリビューションは、ディストリビューターごとにカスタマイズされて配布されており、Fedora(フェドラ)、Ubuntu(ウブンツー)、Debian(デビアン)などのディストリビューションがある。
Windowsに対するLinuxの大きなアドバンテージは、パッケージ管理システムが充実していることである(WindowsにもWindows Package Managerやchocolateyというパッケージマネージャがある)。
オープンソースのソフトウェアは、他のオープンソースのソフトウェアを組み合わせて作られている場合が多い。そのため、特に大きいソフトウェアでは、そのソフトウェアの動作に必要になる別のソフトウェアとして、どんなソフトウェアを準備して導入すればいいかの確認と導入が必要である。
このような確認・導入の作業を「依存関係の解決」という。
この依存関係わ解決のためのソフトウェアが開発されており、RPM(レッドハット系)、dpkg (デビアン系)などの依存関係の解決を自動化するソフトウェアがある。
2022年7月の時点で、macOS 上の類似のソフトウェアとして、Homebrewなどがある。
また、Linuxの誕生以前からBSD Unixでパッケージ管理システム ports/pkg があり、 パッケージ管理としてはGNU/Linuxは後発である。
Windows, Mac OS Xと大きく異なる点として、Linuxでは広範囲のカスタマイズができることがあげられる。例えば、LinuxにおいてはGUIはX Window Systemが用いられるが、これはオプションであり必須では無い。特に、主にサーバーとして扱う場合には、GUI無しで導入した方がよい場合もあるかも知れない。
Linuxを用いる上で難しいのが、ハードウェアのドライバ(そのハードウェアをパソコンで制御できるようにするためのプログラム)の導入である。特に、既に所持しているハードウェアがLinux上で動作するかを知るのは難しい。具体的にこれらについて調べるには、インターネットを使うのが普通だが、多くの情報は英語で与えられている場合があり、英語が使えないなら調べることは ほぼ不可能である。
別の方法として、LinuxはOSのソースコードが公開されているため、特に linux-x.x.x/drivers/ 以下を参照することで、自分の所持する機器のドライバがあるかを確かめることができる。ただし、これには相当のコードリーディング力と英語力が必要なため、あまりおすすめはできない。
Linux上で動くソフトウェアは、基本的に、Windows上では動作しない。なぜなら、LinuxとWindowsでは使えるライブラリが異なっているため、両者の間でソフトウェアを兼用できないのが通常である。
ただし、ビットマップ画像やJPEG画像、PNG画像などは、規格化団体などのより規格化されているので、Windowsなどの(ubuntuなどの)LinuxディストリビューションでもOSでも読み取れる。また、テキストファイル(拡張子が .txt) も、LinuxディストリでもWindowsでも読みとれる。
しかし、画像などのようなのは例外で、いわゆる実行ファイル(Windowsでいう拡張子「.exe」)のようなものは、まずLinuxでは読み取り不可・起動不可である。
世間のソフトウェアのなかには、Firefox(ファイアフォックス)、Inkscape(インクスケープ)、GIMP(ギンプ)などのように、Windowsと Linuxの両側で同じソフトウェアがあるが、これらは、それぞれのOSのライブラリに合わせて、1つのソースツリーから、別々のプラットホーム向けのバイナリーを生成している。
そのため、Windows用のインストールファイルをLinuxで実行しても、インストールできない。そもそも公式サイトからダウンロードをする時点で、すでに、各OSごとに対応バージョンのインストールファイルをダウンロードするようになっている。
他には、たとえば『午後のこーだ』というMP3エンコーダがあるが、このソフトウェアは中でLAMEを用いているため、似た機能はLinux上でも用いられる(ただし、ライセンス上の理由で、Fedora等はこのソフトウェアの使用を推奨していない)。
具体的にLinuxを導入するための注意を述べるが、いずれにしても、高校レベルのパソコン知識が、最低限、必須である。
ほとんどのLinuxは、少なくとも、インテル系のCPUや、AMD系のCPUで用いることができるのが普通である。
インテルの古いCPUにもとづく仕様で、X86系という仕様があり、AMDもこのX86系を踏襲しているので、Linuxでも想定されているCPUはX86系である。
LinuxとWindowsを同時にハードディスク上に入れておき、必要に応じて使い分けることは可能である。このことをデュアルブートとかマルチブートと呼ぶことがある。電源を入れてOSを起動することを「ブート」というのである。2種類(デュアル)のOSを起動できるようにするからデュアルブートというのである。
デュアルブートにより使用しているOSを変更する際には、いったん電源をシャットダウンするか再起動するなどして、ともかく一時的に電源を終了させて、再起動をする必要がある。
そのため、普段はWindowsを使っていても、特定用途でLinuxを導入することは可能である。ただし、その分のディスク容量は必要となるので注意。
デュアルブートとは別に、Windows内に、あるソフトを用いて、リナックスをアプリケーションとして認識させインストールする方法もあるが、これは「仮想化」(かそうか)といい、デュアルブートとは別の手法である。仮想化をするには、Windowsに、仮想化のための専用ソフトウェア(VirtualBoxなど)をインストールする必要がある。仮想化によるLinuxの起動中は、ウィンドウズのプログラムとリナックスのプログラムの両方を起動しているので、そのぶんメモリの使用量は多くなるので、動作が緩慢になったりする。
また、仮想化の場合でも、その分のディスク容量は必要となるので注意。
アプリケーションは、しばしば「応用ソフト」と呼ばれ、「基本ソフト」であるOSとの対比される。OSがコンピュータの動作における基本的な機能やシステムを提供するソフトウェアであるのに対し、アプリケーションはOSの提供するものを土台として、より専門性に特化した機能を追加・提供するためのソフトウェアである。OSにインストールすることで、使用することができる。
アプリケーションはOSに依存するため、OSの種類によってアプリケーションの対応状況は異なり、そのアプリケーションがサポートしていないOSで使用することはできない。例えば、Microsoftt 社の Word 2000というソフトはWindows用であり、MacやUnixでは使えない。Mac用にはMicrosoftから Word 2004 for Macというソフトが販売されているが、こちらは Windows や Unix では使えない、などといった具合である。
以下に、代表的なアプリケーションの種類と主なソフトを示す。
OSが提供している機能や、他のアプリケーションへのサポート的な役割を果たすソフト。代表的な機能としては、ウイルスチェック、メモリの使用状況やクリーンアップ、ハードウェア情報の表示など。
コンピュータウイルスが入ってこないか、または入っていないか監視するソフト。自動設定しておけば、毎日決まった時間にコンピュータ内をチェックすることもできる。基本的に、メールの送受信やファイルのダウンロードなど、ウイルスが入る可能性のある状況になると自動的にチェックを行ったりする。
Linuxでは、あまり用意されていない(少なくとも、家電屋にはLinux用のウイルス対策ソフトウェアは売ってない)。
PC-Unix上ではGNOME、KDEなどのソフトウェアを組み合わせてGUI環境を構築するようになっており、これらのソフトウェアを「デスクトップ環境」という。
デスクトップ環境の中身は、ランチャー、ファイル管理などのツールを組み合わせたものと言われる。Windows、Mac OSでは、これらの機能がOS付属であるので、一般ユーザーが「デスクトップ環境」という一般名詞を特に意識することは少ない。
各ソフトウェアのインストールやアンインストールを行うソフトウェアであるが、ソフトウェアのアップデートにも用いられる。
種類にもよるが、ソフトウェアのインストールに必要なパッケージをパッケージごとの依存関係を考えてインストールするものもある。ライブラリやソフトウェアの重複がなくなるので、インストールのデータ量が少なくてすみ、また、インストールに必要な時間も短い。
代表的なものに。Fink、RPM、dpkg(Debianを参照)などがある。
日本では、下記に述べる、ワープロソフト、表計算ソフト、プレゼンテーションソフトをまとめて、「オフィスソフト」という。
印刷までを想定して、文書を作成できるソフト。文字の種類や大きさ、色を変えたり、表や画像を挿入したりすることができる。
Word(ワード)、一太郎(いちたろう)、Writer(ライター)など。
『Word』は、マイクロソフト社の製品のワープロソフトである。
リブレオフィスWriter(ライター)は、無料である。
表計算ソフトは、計算式を用いて表計算をできるソフトである。集計表や家計簿を作成したり、式に基づいてグラフを挿入したりできるソフト。
Excel(エクセル)、Lotus1-2-3(ロータス)、Calc(カルク)、三四郎など。
『Excel』は、マイクロソフト社の製品の表計算ソフトである。
リブレオフィスCalc(カルク)は、無料である。
プレゼンテーションに特化しており、1ページ1ページを視覚的に表現することに特化されている。静止画的な修飾だけでなく、アニメーション機能なども搭載されている。
PowerPoint(パワーポイント)、Impress(インプレス)、Agreeなど。
Impress(インプレス)は、無料である。
マイクロソフト社が、マイクロソフト『Office』のような名前で、Windows用のオフィスソフトを販売している(基本的に有料)。
Linux では基本的に、マイクロソフト『Office』は動作せず、使えない。
そして、マイクロソフト『Office』には、上記のように『Word』『Excel』『Power Point』などがある。
マイクロソフト『Office』とは別に、オープンソースのコミュニウティの開発する無料の『リブレオフィス』(Libre Office)というオフィスソフトがある。
リブレオフィスには上記のように『Writer』『Calc』などがある。
データベースを作成し、多くの情報を管理しやすくするソフト。また、作成したデータベースの保守・管理・運用なども含む。
Access(アクセス)、MySQL(マイ エスキューエル)、PostgreSQL、Baseなど。
企業などで用いられる大規模データベースシステムでは、米国Oracle(オラクル)社のデータベース製品が主流となっている。
既存の画像などを加工したり、一から画像を作るためのソフト。様々な種類があり、用途に応じて使い分けられている。
映像関係の企業などでブランド的に用いられているのは、米国アドビ社のPhotoshop(フォトショップ)、Illustrator(イラストレーター)などだが、高価であり、数十万円ほどをする。
米Adobe社(アドビ社)が、PhotoshopとIllustratorを生産販売している。
アドビの製品が高価なこともあり、他の会社が、より低価格な製品を出している。
画像編集ソフトは、他にも多々ある。[https://www.hitpaw.jp/photo-enhancer.html HitPaw Photo Enhancer]は、AIを使ったモノクロ写真の自動カラー処理や低解像度の画像の高解像度化を楽しむことができる画像高画質化ソフトの一つである。
[https://picwish.com/jp/ PicWish]、Remove bg、[https://vanceai.com/ja/ VanceAI]、[https://www.fotor.com/jp/ Fotor]などのオンライン画像編集ツールもある。
線や円などといった、図形の情報によって画像を記録する方式の画像形式をベクター画像という。
SVGファイル形式などが、ベクター画像である。
inkscape(インクスケープ)はオープンソースの無料ソフトである。
ビットマップ形式やJPEG形式の画像をラスター画像という。
GIMPは無料ソフトである。
Internet Explorer( IE )のサポートは、2022年6月16日に終了しています。以下の文章は IE のサポート終了前のもので2022年以降の状況を反映していません。
HTMLファイルなどを閲覧するためのソフト。主に、インターネット上の情報を閲覧するのに使用する。Windowsに標準搭載されているInternet Explorer(インターネットエクスプローラー、通称「IE」アイイー )が一般に使われているが、個人の開発者や民間企業が多く参入しており、シェア争いの激しい分野でもある。また、ほとんどがフリーで提供されている。
IEの他には、Firefox(ファイアフォックス)、Opera、Sleipnir(スレイプニル)、Lunascape(ルナスケイプ)など。これらはすべて無料で提供されている。また、IEはTridentエンジン、FirefoxはGeckoエンジンを使用し、Sleipnir,LunascapeなどはTridentとGeckoエンジンを切り替えて使用可能となっており、OperaについてはGecko、Tridentとは違う、独自に開発したPrestoエンジンを搭載している。
Firefoxはオープンソースである。
メールサーバからメールを受け取ったり、メールをメールサーバーに送信するソフトウェアである。
Windows メール、Thunderbird(サンダーバード)、Shurikenなど。
Thunderbird を提供している団体は、Firefoxを提供している団体と同一で、モジラ(Mozilla)財団である。
コンピューターネットワーク(主にインターネット)上でリアルタイムコミュニケーションを実現するアプリケーション。
ICQなど。
IP電話を行うためのソフトウェア。
Skypeなど。
PC上で作曲を行う作業をDTM(ディーティーエム)という。Desktop Music の略である。楽譜データを扱えるソフトウェアであることが多い。
Rosegarden(リンク先は英語)など。
そもそも現在、音楽制作では、すでにDTMソフトウェアに、主要な楽器の音で、それぞれの音階の音が、ソフトウェアに内蔵されている。
DTM作曲家は、それらのソフトウェア内蔵音を組み合わせて、作曲をしているのである。
PC上で書籍の編集を行う作業をDTP(ディーティーピー)という。Desktop Publishing の略である。PC上で出版物の内容データを扱うソフトウェア。操作性はワープロソフトと似ているが、DTPソフトのほうがレイアウトの自由度が高い。
Adobe InDesign、Scribusなど。
3Dのポリゴンデータを作ることを一般に「3Dモデリング」といい、そのためのソフトウェアを3Dモデラ―という。
Blender、LightWaveなど。
動画を再生するためのソフトウェアを、動画プレイヤーと呼んだり、ビデオプレイヤーなどという。
VLC、[https://www.hitpaw.jp/video-converter.html HitPaw Video Converter]など。
動画を編集するソフトウェア。
iMovie、Kinoなど。
低解像度動画の画質を上げるソフトウェア。
[https://www.hitpaw.jp/hitpaw-video-enhancer.html HitPaw Video Enhancer], [https://anyrec.io/ja/video-enhancer/ AnyRec Video Enhancer], [https://www.avclabs.jp/video-enhancer-ai.html AVCLabs Video Enhancer AI], [https://www.topazlabs.com/topaz-video-ai Topaz Video Enhance AI]など。
プログラミングを助けるためのソフトウェア。
VisualStudio、Eclipseなど。
また、VisualStudioはコンパイラ、デバッガ、GUIビルダを含んでいる。
ソースコードを実行形式に変換するソフトウェア。個別のプログラム言語に対して、それぞれのプログラム言語用のコンパイラが0種類インタープリターしか言語処理系がない言語もある。以上ある。
Windowsの場合、マイクロソフト社の提供するVisual Studio を導入すると(現在(2019年)は無料版がある)、いっしょにWindows用プログラムのコンパイラが付いてくる。
そのほかの団体の提供するコンパイラもあり、Unix系のOSので使える
などもある。
実行形式やバイトコードの動作を確認するソフトウェア。バグ(不具合)を取り除く作業をデバッグといい、そのためのソフトウェアなので、デバッガという。
Windowsの場合、Visual Studio にデバッガも付いてくる。
Unix系のOSでは、GCCを提供する団体と同一の団体であるGNU(グニュー、団体名)によるデバッガの
がある。
GUIの制作の際、GUIは、いくつかのパーツに分けられており、そのGUI部品をウィジェット(コントロール)という。ウィジェットを組み合わせてGUIを作るソフトウェアをインターフェースビルダーという。
gladeなど。
他のプロセス(クライアント)の要求を処理するソフトウェア。クライアントは同じPC上にあることもあるが、他のPC上にあってもよい。例えばWebサーバはネットワーク越しにクライアント(Webブラウザー)からの要求を受けることがある。
ホームぺージをクライアントに送るサーバー。このWikibooksのページもHTTPサーバーで運用されている。
ファイルをクライアントと送受信するサーバー。ファイル保存、ホームページファイルのアップロードで運用されている。
暗号や認証の技術を利用して、安全にリモートコンピューターと通信するサーバー。
多く運用されているプロトコルはPOP3(受信)、SMTP(送信)、IMAP(サーバー同期型)で、個人で運用すると取得ドメインの元に限って自由な利用ができる。 |
934 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第5編 相続 (コンメンタール民法)
(配偶者居住権の登記等)
第1031条
居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。
第605条の規定は配偶者居住権について、第605条の4の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用する。
2018年改正により新設。本条に定められていた以下の条項の趣旨は、「遺留分侵害額の請求」として民法第1046条に定められた。
(遺贈又は贈与の減殺請求)
第1031条
前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。
明治民法において、本条には限定承認に関する債権届出公告の満了時の取り扱いの規定があった。戦後民法では、民法第926条に継承された。
----
{{前後
|民法
|第5編 相続
第8章 配偶者の居住の権利
|民法第1030条(配偶者居住権の存続期間)
|民法第1032条(配偶者による使用及び収益)
m1031
m1031 |
935 | 前)(次)
(被保険者の種別等の変更の届出)
第20条
前項の届出は、機構に船員保険法施行規則第15条 の規定によつて届書を提出するときは、これに併記して行うものとする。
20 |
936 | < | ^ | >
さて、ソースコードを入手したら、次にこれをビルドします。
1) プロジェクトファイルであるOsiriX.pbproj ファイルを開きます。
2) アクティブターゲットを Unzip Binaries にしてビルドをおこないます。
3) 次にアクティブターゲットを Development に設定して、'Osirix.pbproj' をコンパイルビルドします。
これでアプリケーションの起動が可能となりました。すでに OsiriX をインストールしている場合には、あらかじめ OsiriX のユーザデータフォルダをバックアップしてください。新たにビルドした OsiriX を起動した場合、コンフリクトを起こす危険性があります。
Online OsiriX Documentation/Building OsiriX |
937 | 法学>コンメンタール>コンメンタール刑事訴訟法=コンメンタール刑事訴訟法/改訂
(緊急逮捕)
第210条
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
第200条の規定は、前項の逮捕状についてこれを準用する。
以下のとおり改正。2025年6月1日施行。
刑訴第210条の緊急逮捕の規定は憲法第33条に違反しない。
刑訴210条は、死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足る充分な理由がある場合で、且つ急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができるとし、そしてこの場合捜査官憲は直ちに裁判官の逮捕状を求める手続を為し、若し逮捕状が発せられないときは直ちに被疑者を釈放すべきことを定めている。かような厳格な制約の下に、罪状の重い一定の犯罪のみについて、緊急已むを得ない場合に限り、逮捕後直ちに裁判官の審査を受けて逮捕状の発行を求めることを条件とし、被疑者の逮捕を認めることは、憲法33条規定の趣旨に反するものではない。
司法警察官の職務を行う麻薬取締官が麻薬不法譲渡罪の被疑者を緊急逮捕すべくその自宅に赴いたところ、被疑者が他出中であつたが、帰宅次第逮捕する態勢をもつて同人宅の捜索を開始し、麻薬を押収し、捜索の殆んどを終る頃帰宅した同人を適法に緊急逮捕した本件の場合の如く、捜索差押が緊急逮捕に先行したとはいえ、時間的にはこれに接着し、場所的にも逮捕の現場でなされたものであるときは、その捜索差押を違憲違法とすべき理由はない。
----
{{前後
|刑事訴訟法
|第2編 第一審
第1章 捜査
|第209条(留置・弁護人選任申出)
|第211条(通常逮捕の規定の準用)
210 |
938 | 日本料理
Cookbook:Cuisine of Japan |
939 | thumb|300px|応仁の乱が始まった当時(1467年)人名:青字が東軍、赤字が西軍守護大名の領土水色:東軍、黄色:西軍、黄緑:両軍伯仲
'''のころになると、守護大名は、各国で大きな力をもち、幕府にたよらず領地を強力におさめるようになりました。日本各地では、大名同士や国人同士での勢力争いや後継者争いも数多く見られるようになりました。特に、関東においては、関東の政治を行なっていた鎌倉府が、鎌倉公方(足利氏)と関東管領(上杉氏)と対立し、また、上杉氏の中でも争って、京都の幕府にもしたがわないなど、関東の中での争いの原因となっていて、15世紀初めから、ずっと戦乱が続き、幕府もなかなかこれを止められませんでした。
が第10代将軍となっています。。また、関東では、京都での争いと関係なくずっと争いが続いていました。
応仁の乱以後は、多くの武士は将軍にしたがわなくなり、幕府は各地の争いを止める力を失って大名間で競って領土を争うようになります。この時代を「戦国時代」と言います。
平安時代に成立した土地の仕組みである荘園は、鎌倉時代以降、年貢の多くを武士である守護や地頭に横取りされていましたが、それでも、公家や寺社といった領主は、そこから収入を得ていました。しかし、戦国時代に入ると、税は戦国大名がすべて取りまとめるようになり、京都などの遠方の領主におさめることはなくなって、荘園は消滅していきます。また、おのおのの戦国大名の領地が独立国のようになり、大名の領地を離れるところに大名は関所をもうけ、人の出入りが監視され、通行税をとったりしました。
といいます。また、家系は同じであっても、国人領主となっていた分家が本家を乗っ取ることも少なくありませんでした。このように実力で大名となり、周囲の大名と争った大名を戦国大名'''と言います。
があらわれ、その地方の争いをおさめます。
'''といいます。
と呼ばれました。特に、次の節でのべる鉄砲伝来'''が、この戦い方に影響を与えました。足軽から武士になって出世をしていく者もあらわれました。
がみだれた時代でしたが、実力により世に出ることができる時代でもありました。
]]
15世紀から、西ヨーロッパの国々、特にポルトガルとスペインは世界中に船を出して貿易を始めたり、新たな土地を発見したりしていました(大航海時代)。
)が習得され、全国で製造されるようになって、各地の戦国大名がもちいるようになり、戦争の様子が大きく変わりました。
(※ 一部分)南蛮貿易のようすがかかれています。日本人がえがいたものです。]]
''')。
南蛮貿易で、ボルトガルは、ヨーロッパから持ち込んだものではなく、日本・中国(明)・インド(ゴアという町をポルトガルの領地にしていました)・東南アジアを結んだ貿易をしていました。
火薬の材料、薬、砂糖
、人(奴隷)
など。
を混ぜて作られる料理ですが、トウガラシが伝わるまでからい料理ではありませんでした。また、キムチはトウガラシを大量に使った料理ですが、南蛮貿易で日本に伝わったトウガラシが朝鮮半島に伝わったのは秀吉の朝鮮出兵の時です。・タバコが日本にもたらされましたこれらのアメリカ大陸原産の農作物より、遅れて江戸時代に伝わったアメリカ大陸原産の農作物にサツマイモやトマトがあります。。
'''もあちこちにできました。
thumb|200px|フランシスコ・ザビエル
にもとづいた大変わかりやすい教えで、また、当時の仏教の寺の多くが地主や大名のように振る舞っていたことへの反発、さらに、貿易の目的から保護をする大名などもいて、多くの信者(キリシタン)をえました。戦国大名自身でキリシタンとなった者(キリシタン大名)もいました。
時代'''とも言います。」と言います。
200px|thumb|織田信長
がやったこと'''
をたおしました。
をつけました。
などの商人を保護し、南蛮貿易'''をはじめとする商業をさかんにしました。
南蛮貿易をさかんにするためなどの理由で、ポルトガル人宣教師によるキリスト教の布教を認めました。
将軍義昭と対立し、1573年京都から義昭を追放しました。そのため、室町幕府は滅亡しました。
三好氏・朝倉氏・甲斐武田氏といった有力な戦国大名をほろぼし、京都をはじめとした主要な土地を領地として、その領土に自分の家臣をおきました。
''' を築かせ、そこで政治をとりました。
''')。
それまで戦国大名ができなかったことが、信長にはなぜできたのでしょう。信長がそれまでの戦国大名と違うと言われるところを以下にあげます。
にできたので、信長は天下統一に手がとどいたのかもしれません。
400px|thumb|長篠の戦い。左側が織田・徳川の連合軍。右側が武田軍。
に大量の鉄砲を用いました。
の火縄銃でむかえうち、武田軍を圧倒しました。
信長は、それまで武将(多くは国人領主)単位に編制されていた軍隊を鉄砲隊、槍隊、騎馬隊など機能ごとに編成しました。また、各地での連絡や移動途中の食糧の確保などを重視し、軍隊が素早く動けるよう工夫しました。
が集団戦で数が多い方が有利となり、足軽などが増えたのですが、多くは農民をかねていて稲作の時期など思うようにあつめられず、また、鉄砲や槍といった取り扱いに訓練や経験が必要なものは、農作業のあいまにということではうまくいきませんでした。信長は、これらの足軽を城下に集め、専門の兵士としました。また、これを逆から見ると、専門の兵士でないものは農業ばかりやるようになり、生産が増えることが期待できる他、武器を持った反乱などのおそれがへるということになります。
鉄砲を買ったり、専門の兵士として足軽を雇うためにはお金が必要です。信長は、お金をえるためにいろいろなことをしました。
は、中国の貨幣で当時日本でも共通の貨幣であった「永楽通宝」です。信長が、いかに経済を大事に考えていたかがわかります。
(予算)を決めることができます。お金の出入りが計画的であれば、売ったり、貸したりする方も安心して取引ができます。
領地内の関所を廃止し通行税をとることをやめ、商品が安価で大量に流通するようにしました。
などで自由に物を売らせるようにし、いろいろなものが大量に取引されるようにしました。
を直接おさめ、堺の商人に自由にものごとを決めさせて、南蛮貿易'''などを盛んに行いました。
など、家柄や出身地にかかわらず能力のあるものを登用しました。
められ、信長の部下になりました。]]
thumb|200px|大阪城
をうちました。
をうって、信長の天下統一の事業を引き継ぎました。
にし、安土城同様またはそれ以上に、城下に堺の商人も含め多くの人々をあつめました。
秀吉は、以下のとおり、順々に全国を統一して行きます。
中国地方の毛利氏とは、毛利氏がその当時もっていた中国地方9カ国の領地をそのまま認めることで同盟を結びました。
(謙信の後継者)とも同盟を結びました。
]]を味方にして戦いますが、翌年には家康は秀吉に従います。
(現在の高知県)一国のみを残し、その他を取り上げました。
1585年秀吉は、関白に、翌年太政大臣となり、天皇から「豊臣」の姓をあたえられました。
(現在の宮崎県)の一部のみを残し、九州を平定しました。
は小田原まで来て、秀吉にしたがいました。こうして、秀吉に対抗する戦国大名はいなくなり、天下は統一され、戦国時代が終わりました。
城(伏見城)を作り、各国の大名を集め、そこで政治を行いました。
」とは、「戦争」の意味です。といいます。朝鮮出兵は朝鮮の強い抵抗と、明の援軍にあい、侵攻が進まないなか、1598年秀吉が死去し朝鮮出兵は撤退しました。
秀吉の政策
秀吉は信長の政策の多くを引き継ぎました。
'''
」と呼びます。
制」でしたが、農地の把握が不確実であったことに加え、貨幣の量が十分でなく、米との交換価格が不安定であったため、検地で収穫量を明確にし安定した収入を確保することで「石高制」に変わりました。。
また、その土地を耕し、年貢を納める人が明確になったので、荘園は名実ともになくなりました公家は、荘園からの収入がなくなり、武家同様、知行からの収入のみとなりました。。
'''
'''を出しました。逆に刀などを持ち続ける場合には、武士であって、農地を手放すということです。この刀狩で、武士とそうでない民衆は明確に区別されました。
また、刀狩によって、寺や神社で武器を持つことができなくなり、これ以降、寺社が武士のようにふるまうことがなくなりました。
秀吉が、天下を統一したころには、キリスト教の信者(キリシタン)はかなり増えており、大名の中にも信者がいました(キリシタン大名)。しかし、各地で寺社との対立があったり、スペインなどの侵略のうわさなどもあり、1587年、宣教師(バテレン)を国外に追放し、キリスト教の布教を禁止しました(バテレン追放令 禁教令)。この時は、個人として信じることは許されたのですが、キリシタン大名の中には信仰をやめる者や信仰を続ける代わりに大名をやめる者もありました。
」と呼ばれています。
以下は学習の参考ですので覚える必要はありません。
----
{{前後
|type=章
|小学校社会/6学年/歴史編
|日本の歴史の流れ
|室町文化の誕生-室町時代
|江戸幕府の成立と安定した社会-江戸時代Ⅰ |
940 | (認知の訴え)
第787条
子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から3年を経過したときは、この限りでない。
認知には任意認知と強制認知とがある。この規定は強制認知の場合についての規定である。細部の部分については人事訴訟法も参照する必要がある。
認知の訴えは子からの認知請求権の存在を前提とする。認知請求権を放棄することは許されないと考えられている(判例)。
父の死亡後の認知の訴えも一定の場合には可能である。民法立法当時明治民法第835条においては死後認知は認められていなかったが、1942年(昭和17年)の改正により認められた。認知制度の立法主義に関しての意思主義から事実主義への変更と理解されている。戦後の民法改正においても、この規定を踏襲している。
認知の訴えは古くは給付訴訟と考えられていたが、現在は形成訴訟と考えるのが判例である(判例)。しかし、確認訴訟と考える学説も存在する。
認知の訴は、現行法上これを形成の訴と解すべきものである。
認知の訴につき言い渡された判決は、第三者に対しても効力を有するのであり、そして認知は嫡出でない子とその父母との間の法律上の親子関係を創設するものである。
子の父に対する認知請求権は、放棄することができるか。
子の父に対する認知請求権は、その身分法上の権利たる性質およびこれを認めた民法の法意に照らし、放棄することができないものと解するのが相当である。
認知請求権は長年月行使しない場合、行使できなくなるものか。
認知請求権はその性質上長年月行使しないからといつて行使できなくなるものではない。
民法第772条の類推適用により父性の推定を受ける子についても、認知の訴の提起にあたつては、出訴期間の制限に関する同法787条但書の適用がある。
保存された男性の精子を用いて当該男性の死亡後に行われた人工生殖により女性が懐胎し出産した子と当該男性との間に,法律上の親子関係の形成は認められない。
親権に関しては,父が死後懐胎子の親権者になり得る余地はない。
扶養等に関しては,死後懐胎子が父から監護,養育,扶養を受けることはあり得ない。
相続に関しては,死後懐胎子は父の相続人になり得ない。
代襲相続は,代襲相続人において被代襲者が相続すべきであったその者の被相続人の遺産の相続にあずかる制度であることに照らすと,代襲原因が死亡の場合には,代襲相続人が被代襲者を相続し得る立場にある者でなければならないと解されるから,被代襲者である父を相続し得る立場にない死後懐胎子は,父との関係で代襲相続人にもなり得ない。
このように,死後懐胎子と死亡した父との関係は,上記法制が定める法律上の親子関係における基本的な法律関係が生ずる余地のないものである。そうすると,その両者の間の法律上の親子関係の形成に関する問題は,本来的には,死亡した者の保存精子を用いる人工生殖に関する生命倫理,生まれてくる子の福祉,親子関係や親族関係を形成されることになる関係者の意識,更にはこれらに関する社会一般の考え方等多角的な観点からの検討を行った上,親子関係を認めるか否か,認めるとした場合の要件や効果を定める立法によって解決されるべき問題であるといわなければならず,そのような立法がない以上,死後懐胎子と死亡した父との間の法律上の親子関係の形成は認められないというべきである。
「父子関係」の存在がもたらす、法的効果を列挙している。項番1、2については「生前懐胎・死後出生子」についても当てはまるが、項番3、4については、相続人の地位が認められている。
明治民法において、本条には婚姻の取消しに関する以下の規定があった。趣旨は民法第748条に継承された。
----
{{前後
|民法
|第4編 親族
第3章 親子
第1節 実子
|民法第786条(認知に対する反対の事実の主張)
|民法第788条(認知後の子の監護に関する事項の定め等)
787 |
941 | 法学>民事法>借地借家法>コンメンタール借地借家法
(借地権の対抗力)
第10条
有償契約として民法第559条を通じ契約不適合責任が適用になったことにより、第3項及び第4項を削除。
第3項
民法(明治29年法律第89号)第566条第1項 及び第3項 の規定は、前2項の規定により第三者に対抗することができる借地権の目的である土地が売買の目的物である場合に準用する。
第4項
建物保護ニ関スル法律(建物保護法)を継承。
一筆の土地全部の賃借人が地上に登記のある建物を所有するにいたつたときは、その後右土地が分筆され、建物の存在しない部分につき所有権を取得した者がある場合においても、これに対し賃借権を対抗することができる。
建物保護に関する法律1条は、登記した建物をもつて土地賃借権の登記に代用する趣旨であり、当該建物の登記に所在の地番として記載されている土地についてのみ、同条による賃借権の対抗力を生ずる。
土地の賃借人は、借地上に妻名義で保存登記を経由した建物を所有していても、その後その土地の所有権を取得した第三者に対し、建物保護に関する法律1条により、その土地の賃借権をもつて対抗することができない。
右法条により土地の賃借人がその賃借権を第三者に対抗しうるためには、その賃借人が借地上に自己の名義で所有権保存登記等を経由した建物を所有していることが必要であつて、その賃借人が他人の名義で所有権保存登記等を経由した建物を所有しているにすぎない場合には、その賃借権を第三者に対抗することができない。
----
{{前後
|借地借家法
|第2章 借地
第2節 借地権の効力
|借地借家法第9条(強行規定)
|借地借家法第11条(地代等増減請求権)
10
借10 |
942 | ISO/IEC 9899:1999(C99)で標準に追加されたヘッダーでは、引数の型に応じて対応する数学関数を呼び出す型総称マクロType-generic macrosが定義されます。
をインクルードすると、とが(暗黙に)インクルードされます。
C言語の数学関数には実数型と複素数型があります。それぞれ引数の型に応じて、float、double、long doubleの3種類があるので 2\times 3=6通りの組み合わせを生じます。
C言語はC++のようなオーバーロードをサポートしていないため、引数の型が異なる関数のバリエーションには { sin, sinf, sin, sinl, csinf, csin, csinl } のような名前が付けられています。
には、呼び出すべき正しい数学関数の選択を簡単にするマクロが含まれています。マクロは渡された型に応じて正しい関数を呼び出します。
例えば、マクロsqrt()では、sqrt(2.0f) は sqrtf(2.0f)を、sqrt(2.0) は sqrt() をマクロプロセッサは、マクロ展開の結果に再びマクロを適用することはしないのでマクロ名と展開先の関数名が一致している事は問題になりません。、sqrt(2.0L) ならば sqrtl(2.0L) を呼び出します。
[https://paiza.io/projects/ff4FsPGaoO64R1l2xboTXQ?language=c コード例]
int main(void)
{
printf("%32.30f\n", sqrt(2.0f));
printf("%32.30f\n", sqrt(2.0));
printf("%32.30Lf\n", sqrt(2.0L));
float complex f = 2 + I * 2;
f = sqrt(f);
printf("%32.30f+%32.30fi\n", creal(f), cimag(f));
double complex d = 2 + I * 2;
d = sqrt(d);
printf("%32.30f+%32.30fi\n", creal(d), cimag(d));
long double complex l = 2 + I * 2;
l = sqrt(l);
printf("%32.30Lf+%32.30Lfi\n", creal(l), cimag(l));
}
結果
1.414213538169860839843750000000
1.414213562373095145474621858739
1.414213562373095048763788073032
1.553773999214172363281250000000+0.643594264984130859375000000000i
1.553773974030037363647238635167+0.643594252905582586699040348321i
1.553773974030037307377145883169+0.643594252905582624700326493938i
ISO/IEC 9899:2011(C11)で、キーワード _Generic が導入されました。
_Generic は、型ジェネリック式を実現するためのもので、C++のオーバーロードの様に引数の型によって処理を選択します。
構文
_Generic( 式, 型: 値, 型: 値, 型: 値, ... 型: 値)
型ジェネリック式は、与えられた「式」と一致する型に対応した値を取ります。
特別な「型」として default があり、他の全ての型に一致しなかった場合に default に対応した値を取ります。
_Generic の使用例(C11:WG14/N1570 Committee Draft ISO/IEC.p.68, §6.5.1.1 ''Generic selection''.から抜粋)
long double: cbrtl, \
default: cbrt, \
float: cbrtf \
)(X)
crrt()は、立方根(cube root)を返す関数ですが、引数の種類によって、
double cbrt(double x);
float cbrtf(float x);
long double cbrtl(long double x);
の3つのバリエーションがあります。
この例で示された型総称マクロcbrt()では、_Generic() で渡された仮引数 X によって呼び出す関数を切り替えています。
実際のプログラムで、このマクロを使って試してみましょう。
[https://paiza.io/projects/5SFrSFHrrjy0bWWP9eHtLQ?language=c コード例]
long double: cbrtl, \
default: cbrt, \
float: cbrtf \
)(X)
int main()
{
printf("%32.30f\n", cbrt(2.0f));
printf("%32.30f\n", cbrt(2.0));
printf("%32.30Lf\n", cbrt(2.0L));
}
結果
1.259921073913574218750000000000
1.259921049894873190666544360283
1.259921049894873164754112437880 |
943 | 前)(次)
(除斥又は忌避の申立てについての決定)
第27条の4
除斥又は忌避の申立てについては、労働委員会が決定する。
除斥又は忌避の申立てに係る公益委員は、前項の規定による決定に関与することができない。ただし、意見を述べることができる。
第1項の規定による決定は、書面によるものとし、かつ、理由を付さなければならない。
27の4 |
944 | 有機化学>アルカン
炭素間に単結合のみを含む炭化水素をアルカン (alkane) という。
H
|
H-C-H
|
H
H H H
| | |
H-C-C-C-H
| | |
H H H
H H H H
| | | |
H-C-C-C-C-H
| | | |
H | H H
H-C-H
|
H
などはすべてアルカンである。
炭素原子が1個のアルカンの分子式はCH _4である。
同じように、炭素原子が2個のアルカンはC _2 H _6、3個ならC _3 H _8、4個でC _4 H _{10}、である。
このようにアルカンは一般的にC _n H _{2n+2}で表される。この式をアルカンの一般式という。
この表から分かるとおり、アルカンの名前は「数」を表す部分と「アルカン」を表す「-ane」から成っている。
分子式は同じであるが、構造や性質の異なる化合物を、互いに異性体と呼ぶ。
異性体には、構造式の違う構造異性体と、構造式は同じだが立体構造の異なる立体異性体がある。
構造異性体を単に異性体と呼ぶこともある。
アルカンは、炭素原子が4個以上のとき構造異性体を持つ。
そのため、同じ分子式を持つアルカンでも構造異性体同士で区別する必要がある。
例えば、
CH2-CH3 CH3-CH2-CH2
| |
CH3-CH-CH-CH-CH2-CH2-CH2-CH2-CH-CH3
| |
CH3 CH2-CH2-CH3
というアルカンを考える。
まずこの中で一番長い炭素の鎖を探す。
一番長いのは真ん中の列の炭素10個では無い。
真ん中の列の左から9個と、9個目から上に3個の、合わせて12個が一番長い炭素の鎖である。これを主鎖という。
このように主鎖は構造式のどこに書いてあるかは関係ない。
主鎖が12個と決まったのでこのアルカンは「~ドデカン」で終わる。
これ以外の炭素と水素の塊は、すべて置換基として扱われる。
アルカンの置換基は、別の小さいアルカンから水素原子を一つ取り除いたものとして表せる。これをアルキル基(alkyl group)という。
アルキル基の名称は、アルカンのaneをylに置き換えることで作る。
左から2個目の炭素から出ている置換基はメタン(methane)から水素原子を一つ取り除いたものに等しいので、メチル(methyl)基ということになる。
同様に、左から3個目の炭素から出ているのがエチル(ethyl)基、左から4個目の炭素から出ているのがプロピル(propyl)基、左から9番目の炭素から右に出ているのがメチル基である。
これらをまずアルファベット順に並べる。すると、ethyl、methyl、propylの順になる。
次に、エチル基から順に、主鎖の何番目の炭素に付いているかを示す。
ここで、左から数えたので3番目という考え方と、右から数えたので10番目という考え方があるが、なるべく番号が少なくなるようにつける。
よって、「3-エチル~」となる。
次に、メチル基はふたつ付いているので、「ジ(di)メチル」という風にする。位置番号は、一度決めた番号は変えないので、「2,9-ジメチル」となる。文字と数字の間をハイフンでつなぐと、「3-エチル-2,9-ジメチル~」となる。
最後にプロピル基は「4-プロピル」となるので、すべてをつないでこのアルカンの名前は「3-エチル-2,9-ジメチル-4-プロピルドデカン」となる。
基が何個あるかはギリシャ語の数詞を使って表す。
1から10まで、順に、モノ (mono)・ジ (di)・トリ (tri)・テトラ (tetra)・ペンタ (penta)・ヘキサ (hexa)・ヘプタ (hepta)・オクタ (octa)・ノナ (nona)・デカ (deca)である。5から10まではアルカンの名称とも関係する。
水には溶けにくいが、有機溶媒にはよく溶ける。
常温では反応性に乏しい。酸塩基とは反応せず、酸化性・還元性もない。
燃焼しやすく発熱量も大きい。
置換反応とは、原子(団)が他の原子(団)と置き換わる反応である。
アルカンは、紫外線(日光)の存在下でハロゲンと連続的に置換反応を起こす。 |
945 | thumb|防災用品はしばしばこのように背嚢へ詰められ持ち出ししやすいように保管される
防災 > 防災用品一覧
防災用品一覧(ぼうさいようひんいちらん)は、災害発生に際し避難や避難生活、復旧の為に使用する用品の一覧である。
防災用品は、自治体、企業、家庭、個人によって目的が異なるので、内容に違いがある。
本稿では以下のように各系統を区別する。
なお、一般的ないし最低限必要と考えられるものには「※」を付けている。近年、アウトドアブームによりランタンやテントなどの需要が高まり、安価で手に入ったり、改良されてきている。
一般に非常食または保存食と呼ばれる専用の食品が利用される。しかし、通常の食品も「定期的に消費しながら、常に新しいものを家庭内に一定量を備蓄する」という方法を取ることができる。調理が必要な食品は、調理に使用する飲料水も断水によって止まる可能性もあり、別に用意しなければならない。さらに、暖かい食事には熱源も必要になるため、調理せずにそのまま飲食できるものの方が簡便である。
例外的では有るが、宇宙食やレーション(自衛隊の戦闘糧食II型や救命糧食は、パッケージは異なるが、それらを納入しているメーカーが同様の内容の商品を市販している)も流用できる。
災害時には水は貴重品であるため、食器類を洗えない場合がある。このため使い捨ての紙製食器を利用したり、日常使っている食器の上に食品用ラップフィルムを被せて使用し使用後にそれを剥がすことで食器を清潔に保ち、食器を再利用できるようにする。また給水車からの配水を受けるために、水用の容器が欠かせない。
各個人が、自分のできる応急処置に見合った装備を持っていることが望ましい。医薬品やガーゼなどは消費期限に留意する必要がある。怪我だけではなく、衛生的ではない状況では風邪や消化不良なども起こりうるため、それら常備薬も必要となる。疾患のある者がいる場合は、治療薬や服用薬もすぐ持ち出せる状態が望まれる。
その他として、
がある。特に新聞紙は有用。また病院などが遠い場合、応急的な簡易の手術器具を用意する場合もある。
動力源として手回しなどで発電する発電式と、乾電池や充電池を用いる電池式がある。手回し発電式は点灯するために発電するために両手が塞がり、体力を多少消耗する。
電池式では電池切れと電池の消費期限に留意を要し、こと液漏れのおそれがある乾電池は別保存とし、他の電池を使用する機器と使い回しが出来るよう、(単3や単4等)規格を統一しておくことが望ましい。
また、豆電球を使う製品は使用電圧の低い製品に光源の輝度が低く暗いものがある。LEDライトでは高輝度・長時間発光の製品も見られるが光の照射範囲の狭いものも少なくない。ラジオや携帯電話充電器、防水機能の有無など用途による使い分けが肝心である。
暑さ寒さをしのいだり、雨風を避けたり、ある程度快適に居住するための道具
これらは防災倉庫にも一定数用意されているが、震災などの大規模な災害では数が不足する場合があるため、住民である各個人が持ち寄ることで更に多くの人手を動員することができる。ただし救助活動中の二次災害に注意する必要がある。
防災備蓄用としての保護帽は、下記の理由から繊維強化プラスチック (FRP) 製の保護帽が最も適しているといえる。これは FRP の多くが熱硬化性樹脂を繊維で強化しているために耐熱性が高く、火災などの熱で炙られても軟化しにくいためである(このため消防服のヘルメットにも利用される)。
ABS・PC・PEといった熱可塑性樹脂製品であっても落下物に対しては有用といえるが、FRP に強度面で劣る上に、熱で軟化しやすい。
FRP 製品は材質の特性上、熱可塑性樹脂製品(3年)に比較すれば長寿命(5年)であるため、比較的長期の保存にも耐えることができる。また、当然ながら帽体の丈夫さも上回ることとなる。
なお形状に関しては、頭頂部のリブなどデザインが施された製品は同一の厚みで強度が増す反面、このリブが引っかかるなどが懸念されるため、とくに凹凸の無いデザインのほうが防災用品に向く。また戸外での作業用の安全帽ではつばや庇の長いものも見られるが、視界を制限してしまうほか場所もとるため、シンプルなデザインのほうが防災用品に向く。
バイク用のヘルメットも代用できるが、フルフェース型は足元が見辛くなるため、防災用には向いていない。
地震では落下物への注意を必要とするため。防災頭巾は水に濡らすことで火災の熱から頭を守ることができる。国会議事堂本会議場は天井がステンドグラスで、大揺れの際には非常に危険なため、全ての議員席下には防災頭巾が用意されている。また、静岡県の公立小中学校では東海地震に備えて防災頭巾を全員に購入させるケースが多い。普段は座席に取り付け、座布団代わりに使用されている。
災害時には情報伝達手段が制限される場合がある。また普段何気なく利用している日用品がとたんに不足することもある。以下に示すのは通信手段や身の回りの道具である。また治安悪化に備えて防犯用品を入れる事が望ましい。
乾電池(自然放電するため消費期限に留意を要する。また、電池を使用する機器は同じ規格の電池を別の機器でも使えるよう規格を統一することが望ましい。
ホームセンターや作業用品店などでは、瓦礫などの上を歩く際に靴底を貫通する釘などを防ぐための「踏抜防止用ソール」が販売されており、これを使用することで安全性が増す。安全靴という選択肢もあるが、履きなれない靴は靴擦れなどのケガを招く。
・学校 |
946 | SQLiteは、MySQLのようなサーバー・クライアント方式ではなく、アプリケーションに直接組み込んで使用することができる関係データベース管理システム (RDBMS) です。
身近なところでは、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの多くのアプリケーションで使用されており、Google AndroidではOSに組み込まれています。
これにより、SQLiteは世界で最もインストールベースの多いRDBMSの1つとして認知されています。
__TOC__
SQLiteは、高速かつ軽量なリレーショナルデータベース管理システムです。SQLiteは、コンパクトなライブラリとして提供され、モバイルデバイス、デスクトップアプリケーション、Webブラウザ、組み込みシステムなど、あらゆるプラットフォームで使用されています。
SQLiteは、標準のSQLをサポートし、トランザクション処理、データの完全性維持、およびACID(原子性、一貫性、分離性、耐久性)の保証を提供します。また、多くの主要なプログラミング言語(C、Java、Python、PHPなど)で利用可能であり、簡単に統合することができます。
SQLiteの最も重要な特徴の一つは、ファイルベースのデータベースであることです。つまり、データはファイルに保存され、ファイルを別の場所にコピーするだけで、データを移行したりバックアップしたりすることができます。また、複数のプロセスが同時にデータベースにアクセスすることができるため、アプリケーションのパフォーマンスが向上します。
SQLiteは、他のリレーショナルデータベース管理システムと比較して、データベースが比較的小規模である場合に最適です。大量のデータを処理する必要がある場合や、高い同時アクセスが必要な場合には、より高機能なデータベースシステムを検討する必要があります。
ただし、SQLiteは非常に高速であるため、多くの場合、大量のデータを処理する必要がある場合でも、十分なパフォーマンスを発揮します。SQLiteはまた、カスタム拡張機能を提供することができ、標準のSQLコマンド以外の機能を簡単に実装することができます。
SQLiteは、プログラマにとって非常に使いやすく、学びやすいです。SQLの基本構文を理解しているだけで、すぐにSQLiteを利用することができます。また、SQLiteは非常に広く利用されているため、オンラインで豊富な情報を見つけることができます。
本書では、SQLite version3の保守管理用のコマンドラインインターフェース sqlite3の操作を中心に、SQLiteの機能の解説を行いますので、まずsqlite3が、ご自身の環境にインストールされているか確認します。
コマンドラインでsqlite3のバージョンを確認(インストールされている場合):
$ sqlite3 -version
3.45.0 2024-01-15 17:01:13 1066602b2b1976fe58b5150777cced894af17c803e068f5918390d6915b4alt1 (64-bit)
-versionの前の -(ハイフン)は1つです。
バージョンは異なるかもしれませんが、この書式で1行表示されたら sqlite3 はインストールされています。
その場合は、追加のインストール手順は不要ですが、2フィールド目の日付が年オーダーで古い場合は、よりあらたしいバージョンの入手も検討してください。
コマンドラインでsqlite3のバージョンを確認(インストールされていない場合):
$ sqlite3 -version
bash: sqlite3: command not found
メッセージの細部は異なるかもしれませんが、”command not found” や ”コマンドまたはファイル名が違います” のようなメッセージが返された場合は、 sqlite3 はインストールされていません。
その場合は、下記のインストール手順が必要です。
SQLite公式([https://www.sqlite.org/download.html ダウンロードページ])の Precompiled Binaries for Windows にある sqlite-tools-win-x64-3450000.zip(4.77 MiB)をダウンロードします(3450000の部分はバージョンによって変わります。この場合は、3.42.0)。
sqlite-tools-win-x64-3450000.zipは、ZIP書庫で
Archive: sqlite-tools-win-x64-3450000.zip
Length Date Time Name
--------- ---------- ----- ----
3730432 2024-01-16 02:32 sqlite3.exe
3092992 2024-01-16 02:32 sqldiff.exe
4365824 2024-01-16 02:33 sqlite3_analyzer.exe
--------- -------
11189248 3 files
と3つの実行形式があります。
これらはインストーラーではなく、コマンドそのものです。
このまま実行できます。
2022年11月現在サポートが継続されている macOS には、最初からインストールされています。
Terminalを起動してバージョンを確認してください。
% sqlite3 --version
3.28.0 2019-04-15 14:49:49 378230ae7f4b721c8b8d83c8ceb891449685cd23b1702a57841f1be40b5daapl
-versionの前の -(ハイフン)は1つです。
ports/pkg のdatabases/sqlite3 にあります。
自分でビルド:
% sudo make -C /usr/ports/databases/sqlite3/ all install clean
...
% sqlite3 -version
3.44.0 2023-11-01 11:23:50 17129ba1ff7f0daf37100ee82d507aef7827cf38de1866e2633096ae6ad8alt1 (64-bit)
-versionの前の -(ハイフン)は1つです。
ビルド済パッケージを導入:
% sudo pkg install sqlite3-3.42.0,1
...
% sqlite3 -version
3.42.0 2023-05-16 12:36:15 831d0fb2836b71c9bc51067c49fee4b8f18047814f2ff22d817d25195cf3alt1
GNU/Linuxの場合は、ディストーションやパッケージマネージャーによってパッケージの名前やインストール方法が異なるので以下は一例です。
Chromebrewは、sqlite の名前で SQLite のパッケージが用意されています。
$ crew install -sv sqlite
...
$ sqlite3 -version
3.42.0 2023-05-16 12:36:15 831d0fb2836b71c9bc51067c49fee4b8f18047814f2ff22d817d25195cf3alt1
-versionの前の -(ハイフン)は1つです。
$ sudo dnf install sqlite
...
$ sqlite3 -version
3.36.0 2021-06-18 18:36:39 5c9a6c06871cb9fe42814af9c039eb6da5427a6ec28f187af7ebfb62eafaalt1
-versionの前の -(ハイフン)は1つです。
SQLiteのデータベースは、1つの通常のファイルなので、バックアップはファイルをコピーするだけです。
また、sqlite3のコマンドに、.backup コマンドと .restore が用意されています。
バックアップはファイルレベルのコピーでできますが、障害発生に備えてのバックアップとしては、テキストファイルへのダンプが有用です。
ダンプは、SQLiteのコマンドライン管理インターフェース sqlite3を使います。
操作と結果概観で作成したデータベース periodic.dbの テーブル elementsをテキストファイルperiodic.txt にダンプする例です。
$ sqlite3
SQLite version 3.40.0 2022-11-16 12:10:08
Enter ".help" for usage hints.
Connected to a transient in-memory database.
Use ".open FILENAME" to reopen on a persistent database.
sqlite> .open periodic.db
sqlite> .table
elements
sqlite> .dump elements
PRAGMA foreign_keys=OFF;
BEGIN TRANSACTION;
CREATE TABLE elements( number, name, symbol );
INSERT INTO elements VALUES(1,'Hydrogen','H');
COMMIT;
sqlite> .output periodic.txt
sqlite> .dump elements
sqlite> .output stdout
sqlite> .quit
$ cat periodic.txt
PRAGMA foreign_keys=OFF;
BEGIN TRANSACTION;
CREATE TABLE elements( number ,name ,symbol );
INSERT INTO elements VALUES(1,'Hydrogen','H');
COMMIT;
$ _
sqlite> .open periodic.db
.open コマンドで、データベース periodic.dbを開いています。
$ sqlite3 periodic.db
と、最初にコマンドラインからデータベースを指定して開くこともできます。
sqlite> .table
elements
.table コマンドで、開いているデータベースに含まれるテーブル名を表示します。
.dump elements
PRAGMA foreign_keys=OFF;
BEGIN TRANSACTION;
CREATE TABLE elements( number ,name ,symbol );
INSERT INTO elements VALUES(1,'Hydrogen','H');
COMMIT;
.dump コマンドで、テーブルelementsをダンプしています。既定の出力先は標準出力です。
sqlite> .output periodic.txt
出力先をファイルperiodic.txtに変更。
sqlite> .dump elements
sqlite> .output stdout
出力先を標準出力に戻します(直後で終了しているので不要とは言えます)。
sqlite> .quit
sqlite3 を終了します。
.dumpコマンドでダンプしたデータを現在のデータベースにリストアするには .read コマンドを使います。
$ sqlite3
SQLite version 3.40.0 2022-11-16 12:10:08
Enter ".help" for usage hints.
Connected to a transient in-memory database.
Use ".open FILENAME" to reopen on a persistent database.
sqlite> .open restore.db
sqlite> .read periodic.txt
sqlite> SELECT * FROM elements;
1|Hydrogen|H
SQLiteでは、テーブルにデータが追加されると、データベースファイルのサイズは徐々に大きくなるが、テーブルからデータを削除しても、データベースファイルのサイズはすぐには小さくなりません。
sqlite3では、VACUUMコマンドで空き領域の開放を行います。
$ sqlite3
SQLite version 3.40.0 2022-11-16 12:10:08
Enter ".help" for usage hints.
Connected to a transient in-memory database.
Use ".open FILENAME" to reopen on a persistent database.
sqlite> .open restore.db
sqlite> VACUUM ;
SQLiteはアプリケーションに組込まれ使われますが、ここでは Python からの利用の例を紹介します。
Pythonでは、[https://peps.python.org/pep-0249/ PEP 249 -- Python Database API Specification v2.0] でデータベースAPIが標準化されており、sqlite3 モジュールでSQLite3をサポートしています。
[https://paiza.io/projects/Q90iBzW93QoWtWbokaBG_A?language=python3 都道府県コード一覧表(Python版)]:
import sqlite3
with sqlite3.connect(":memory:") as conn:
cur = conn.cursor()
cur.execute('CREATE TABLE 都道府県コード一覧表 (都道府県コード INTEGER, 都道府県 STRING, prefectures STRING)')
prefs = """\
01 北海道 Hokkaido
02 青森県 Aomori
03 岩手県 Iwate
04 宮城県 Miyagi
05 秋田県 Akita
06 山形県 Yamagata
07 福島県 Fukushima
08 茨城県 Ibaraki
09 栃木県 Tochigi
10 群馬県 Gumma
11 埼玉県 Saitama
12 千葉県 Chiba
13 東京都 Tokyo
14 神奈川県 Kanagawa
15 新潟県 Niigata
16 富山県 Toyama
17 石川県 Ishikawa
18 福井県 Fukui
19 山梨県 Yamanashi
20 長野県 Nagano
21 岐阜県 Gifu
22 静岡県 Shizuoka
23 愛知県 Aichi
24 三重県 Mie
25 滋賀県 Shiga
26 京都府 Kyoto
27 大阪府 Osaka
28 兵庫県 Hyogo
29 奈良県 Nara
30 和歌山県 Wakayama
31 鳥取県 Tottori
32 島根県 Shimane
33 岡山県 Okayama
34 広島県 Hiroshima
35 山口県 Yamaguchi
36 徳島県 Tokushima
37 香川県 Kagawa
38 愛媛県 Ehime
39 高知県 Kochi
40 福岡県 Fukuoka
41 佐賀県 Saga
42 長崎県 Nagasaki
43 熊本県 Kumamoto
44 大分県 Oita
45 宮崎県 Miyazaki
46 鹿児島県 Kagoshima
47 沖縄県 Okinawa
"""
cur.executemany('INSERT INTO 都道府県コード一覧表 VALUES(?, ?, ?)',
(line.split("\t") for line in prefs.splitlines()))
print('SELECT * FROM 都道府県コード一覧表')
for row in cur.execute('SELECT * FROM 都道府県コード一覧表'):
print(*row, sep=',')
print()
print('SELECT * FROM 都道府県コード一覧表 WHERE 都道府県コード = 22')
for row in cur.execute('SELECT * FROM 都道府県コード一覧表 WHERE 都道府県コード = 22'):
print(*row, sep=',')
print()
print('SELECT * FROM 都道府県コード一覧表 WHERE 都道府県コード >= 2 and 都道府県コード <= 7')
for row in cur.execute('SELECT * FROM 都道府県コード一覧表 WHERE 都道府県コード >= 2 and 都道府県コード <= 7'):
print(*row, sep=',')
print()
import sqlite3
with sqlite3.connect(":memory:") as conn:
with 文を使うと open関数同様、スコープを抜けると自動的にclose(とcommit)が行われるので、commit忘れを防止するためにも with を使うべきです。
try/except で例外にも対応すべきかもしれません。
単一のファイル(かインコアDB)で構成されるSQLite3に connect するのは奇異に感じますが、これは Python Database API 2 が汎用的に設計されているためで、MySQLのようなサーバークライアントモデルを採用したRDBMSではまさにDBサーバーへの接続(認証付き)で「接続」を行いますので、その意味論に揃えた形です。
cur = conn.cursor()
cur.execute('CREATE TABLE 都道府県コード一覧表 (都道府県コード INTEGER, 都道府県 STRING, prefectures STRING)')
prefs = """\
01 北海道 Hokkaido
02 青森県 Aomori
03 岩手県 Iwate
︙
47 沖縄県 Okinawa
"""
cur.executemany('INSERT INTO 都道府県コード一覧表 VALUES(?, ?, ?)',
(line.split("\t") for line in prefs.splitlines()))
.executemany()は、プレースホルダー(?)を含むSQL文にリストの内容を順に渡します。
プレースホルダーを使うこのやり方は、SQLインジェクションへの耐性を上げることができると考えられています。
print('SELECT * FROM 都道府県コード一覧表')
for row in cur.execute('SELECT * FROM 都道府県コード一覧表'):
print(*row, sep=',')
print()
print('SELECT * FROM 都道府県コード一覧表 WHERE 都道府県コード = 22')
for row in cur.execute('SELECT * FROM 都道府県コード一覧表 WHERE 都道府県コード = 22'):
print(*row, sep=',')
print()
print('SELECT * FROM 都道府県コード一覧表 WHERE 都道府県コード >= 2 and 都道府県コード <= 7')
for row in cur.execute('SELECT * FROM 都道府県コード一覧表 WHERE 都道府県コード >= 2 and 都道府県コード <= 7'):
print(*row, sep=',')
[https://paiza.io/projects/xAoitZVydOzwPdZK9k4DcQ?language=python3 周期律表(Python版)]:
import sqlite3
with sqlite3.connect("periodic.db") as conn:
cur = conn.cursor()
cur.execute('CREATE TABLE 周期律表 (原子番号 INTEGER PRIMARY KEY AUTOINCREMENT, 和名 STRING, 英名 STRING, 元素記号 STRING)')
#cur.execute('INSERT INTO 周期律表 (name, symbol) VALUES("H", "Hydrogen")')
cur.executemany('INSERT INTO 周期律表(和名,英名,元素記号) VALUES(?, ?, ?)', [
("水素", "Hydrogen", "H"),
("ヘリウム", "Helium", "He"),
("リチウム", "Lithium", "Li"),
("ベリリウム", "Beryllium", "Be"),
("硼素", "Boron", "B"),
("炭素", "Carbon", "C"),
("窒素", "Nitrogen","N"),
("酸素", "Oxygen", "O"),
("弗素", "Fluorine", "F"),
("ネオン", "Neon", "Ne"),
("ナトリウム", "Sodium", "Na"),
("マグネシウム", "Magnesium", "Mg"),
])
cur.execute('INSERT INTO 周期律表 VALUES(null, "アルミニウム", "Al", "Aluminium")')
cur.execute('INSERT INTO 周期律表 VALUES(null, "珪素", "Si", "Silicon")')
with sqlite3.connect("periodic.db") as conn2:
cur = conn2.cursor()
print("テーブルスキーマーは、PRAGMA table_info(TABLE) で取得できます。")
for row in cur.execute('PRAGMA table_info("周期律表") '):
print(*row, sep=',')
print('SELECT * FROM 周期律表')
print(*(row[1] for row in cur.execute('PRAGMA table_info("周期律表") ')),sep=',')
for row in cur.execute('SELECT * FROM 周期律表'):
print(*row, sep=',')
print("VIEW は、仮想的なテーブルで検索式に名前をつけたような働きをします")
cur.execute('CREATE VIEW 原子番号4未満の元素 AS SELECT 英名, 元素記号 FROM 周期律表 WHERE 原子番号 < 4')
for row in cur.execute('SELECT * FROM 原子番号4未満の元素'):
print(*row, sep=',')
print("INDEX は、検索性能が向上する一方レコード追加時にオーバーヘッドが生じるというトレードオフがあります。")
cur.execute('CREATE INDEX 英名インデックス ON 周期律表(英名)')
print("UNIQUE INDEX は、同一のテーブル内で値の重複のないフィールドを使ったインデックスです。")
cur.execute('CREATE UNIQUE INDEX 原子番号英名ユニークインデックス ON 周期律表(原子番号,英名)')
print("sqlite_master はデータベース毎にあるテーブルの台帳です。")
for row in cur.execute('SELECT * FROM sqlite_master'):
print(*row, sep=',')
print("----")
for row in cur.execute('SELECT name,sql FROM sqlite_master WHERE type="table"'):
print(*row, sep=',')
for row in cur.execute('PRAGMA database_list'):
print(*row, sep=',')
print(cur.execute('SELECT sqlite_version()').fetchone())
print("----")
for line in conn2.iterdump():
print(line)
実行結果:
テーブルスキーマーは、PRAGMA table_info(TABLE) で取得できます。
0,原子番号,INTEGER,0,None,1
1,和名,STRING,0,None,0
2,英名,STRING,0,None,0
3,元素記号,STRING,0,None,0
SELECT * FROM 周期律表
原子番号,和名,英名,元素記号
1,水素,Hydrogen,H
2,ヘリウム,Helium,He
3,リチウム,Lithium,Li
4,ベリリウム,Beryllium,Be
5,硼素,Boron,B
6,炭素,Carbon,C
7,窒素,Nitrogen,N
8,酸素,Oxygen,O
9,弗素,Fluorine,F
10,ネオン,Neon,Ne
11,ナトリウム,Sodium,Na
12,マグネシウム,Magnesium,Mg
13,アルミニウム,Al,Aluminium
14,珪素,Si,Silicon
VIEW は、仮想的なテーブルで検索式に名前をつけたような働きをします
Hydrogen,H
Helium,He
Lithium,Li
INDEX は、検索性能が向上する一方レコード追加時にオーバーヘッドが生じるというトレードオフがあります。
UNIQUE INDEX は、同一のテーブル内で値の重複のないフィールドを使ったインデックスです。
sqlite_master はデータベース毎にあるテーブルの台帳です。
table,周期律表,周期律表,2,CREATE TABLE 周期律表 (原子番号 INTEGER PRIMARY KEY AUTOINCREMENT, 和名 STRING, 英名 STRING, 元素記号 STRING)
table,sqlite_sequence,sqlite_sequence,3,CREATE TABLE sqlite_sequence(name,seq)
view,原子番号4未満の元素,原子番号4未満の元素,0,CREATE VIEW 原子番号4未満の元素 AS SELECT 英名, 元素記号 FROM 周期律表 WHERE 原子番号 < 4
index,英名インデックス,周期律表,4,CREATE INDEX 英名インデックス ON 周期律表(英名)
index,原子番号英名ユニークインデックス,周期律表,5,CREATE UNIQUE INDEX 原子番号英名ユニークインデックス ON 周期律表(原子番号,英名)
----
周期律表,CREATE TABLE 周期律表 (原子番号 INTEGER PRIMARY KEY AUTOINCREMENT, 和名 STRING, 英名 STRING, 元素記号 STRING)
sqlite_sequence,CREATE TABLE sqlite_sequence(name,seq)
0,main,/workspace/periodic.db
('3.31.1',)
----
BEGIN TRANSACTION;
DELETE FROM "sqlite_sequence";
INSERT INTO "sqlite_sequence" VALUES('周期律表',14);
CREATE TABLE 周期律表 (原子番号 INTEGER PRIMARY KEY AUTOINCREMENT, 和名 STRING, 英名 STRING, 元素記号 STRING);
INSERT INTO "周期律表" VALUES(1,'水素','Hydrogen','H');
INSERT INTO "周期律表" VALUES(2,'ヘリウム','Helium','He');
INSERT INTO "周期律表" VALUES(3,'リチウム','Lithium','Li');
INSERT INTO "周期律表" VALUES(4,'ベリリウム','Beryllium','Be');
INSERT INTO "周期律表" VALUES(5,'硼素','Boron','B');
INSERT INTO "周期律表" VALUES(6,'炭素','Carbon','C');
INSERT INTO "周期律表" VALUES(7,'窒素','Nitrogen','N');
INSERT INTO "周期律表" VALUES(8,'酸素','Oxygen','O');
INSERT INTO "周期律表" VALUES(9,'弗素','Fluorine','F');
INSERT INTO "周期律表" VALUES(10,'ネオン','Neon','Ne');
INSERT INTO "周期律表" VALUES(11,'ナトリウム','Sodium','Na');
INSERT INTO "周期律表" VALUES(12,'マグネシウム','Magnesium','Mg');
INSERT INTO "周期律表" VALUES(13,'アルミニウム','Al','Aluminium');
INSERT INTO "周期律表" VALUES(14,'珪素','Si','Silicon');
CREATE VIEW 原子番号4未満の元素 AS SELECT 英名, 元素記号 FROM 周期律表 WHERE 原子番号 < 4;
CREATE INDEX 英名インデックス ON 周期律表(英名);
CREATE UNIQUE INDEX 原子番号英名ユニークインデックス ON 周期律表(原子番号,英名);
COMMIT;
SQLiteはアプリケーションに組込まれ使われますが、ここでは PHP からの利用の例を紹介します。
PHPでは、PDOでデータベースAPIが抽象化/標準化されており、SQLiteもPDO経由で使用できます。
[https://paiza.io/projects/2u1WkYJObi_VqdSH4bAVcQ?language=php 都道府県コード一覧表(PHP/PDO版)]:
exec(
"CREATE TABLE 都道府県コード一覧表 (都道府県コード INTEGER, 都道府県 STRING, prefectures STRING)"
);
$insert = $db->prepare("INSERT INTO 都道府県コード一覧表 VALUES (:n,:ja,:en)");
$db->beginTransaction();
try {
foreach (
array_map(
fn($line): array => explode("\t", $line),
explode(
"\n",
<<bindParam(":n", $pref[0]);
$insert->bindParam(":ja", $pref[1]);
$insert->bindParam(":en", $pref[2]);
$insert->execute();
}
$db->commit();
} catch (PDOException $e) {
echo $e;
$db->rollback();
throw $e;
}
$insert = null;
$query = "PRAGMA table_info('都道府県コード一覧表')";
echo "$query", PHP_EOL;
foreach ($db->query($query)->fetchAll(PDO::FETCH_ASSOC) as $assoc) {
$fields[] = $assoc['name'];
}
$assoc = null;
echo implode(',',$fields),PHP_EOL;
echo PHP_EOL;
$query = "SELECT * FROM 都道府県コード一覧表 WHERE 都道府県コード = 22;";
echo "$query", PHP_EOL;
foreach ($db->query($query)->fetchAll(PDO::FETCH_ASSOC) as $assoc) {
array_walk($assoc, function(&$v, $k) { $v = "$k:$v"; });
echo implode(",", $assoc), PHP_EOL;
}
echo PHP_EOL;
$query = "SELECT * FROM 都道府県コード一覧表 WHERE 都道府県 LIKE '%京都%';";
echo "$query", PHP_EOL;
foreach ($db->query($query)->fetchAll(PDO::FETCH_ASSOC) as $assoc) {
array_walk($assoc, function(&$v, $k) { $v = "$k:$v"; });
echo implode(",", $assoc), PHP_EOL;
}
$assoc = null;
echo PHP_EOL;
$query = "SELECT * FROM 都道府県コード一覧表;";
echo "$query", PHP_EOL;
foreach ($db->query($query)->fetchAll(PDO::FETCH_ASSOC) as $assoc) {
array_walk($assoc, function(&$v, $k) { $v = "$k:$v"; });
echo implode(",", $assoc), PHP_EOL;
}
$assoc = null;
echo PHP_EOL;
実行結果:
PRAGMA table_info('都道府県コード一覧表')
都道府県コード,都道府県,prefectures
SELECT * FROM 都道府県コード一覧表 WHERE 都道府県コード = 22;
都道府県コード:22, 都道府県:静岡県, prefectures:Shizuoka
SELECT * FROM 都道府県コード一覧表 WHERE 都道府県 LIKE '%京都%';
都道府県コード:13, 都道府県:東京都, prefectures:Tokyo
都道府県コード:26, 都道府県:京都府, prefectures:Kyoto
SELECT * FROM 都道府県コード一覧表;
都道府県コード:1, 都道府県:北海道, prefectures:Hokkaido
都道府県コード:2, 都道府県:青森県, prefectures:Aomori
都道府県コード:3, 都道府県:岩手県, prefectures:Iwate
都道府県コード:4, 都道府県:宮城県, prefectures:Miyagi
都道府県コード:5, 都道府県:秋田県, prefectures:Akita
都道府県コード:6, 都道府県:山形県, prefectures:Yamagata
都道府県コード:7, 都道府県:福島県, prefectures:Fukushima
都道府県コード:8, 都道府県:茨城県, prefectures:Ibaraki
都道府県コード:9, 都道府県:栃木県, prefectures:Tochigi
都道府県コード:10, 都道府県:群馬県, prefectures:Gumma
都道府県コード:11, 都道府県:埼玉県, prefectures:Saitama
都道府県コード:12, 都道府県:千葉県, prefectures:Chiba
都道府県コード:13, 都道府県:東京都, prefectures:Tokyo
都道府県コード:14, 都道府県:神奈川県, prefectures:Kanagawa
都道府県コード:15, 都道府県:新潟県, prefectures:Niigata
都道府県コード:16, 都道府県:富山県, prefectures:Toyama
都道府県コード:17, 都道府県:石川県, prefectures:Ishikawa
都道府県コード:18, 都道府県:福井県, prefectures:Fukui
都道府県コード:19, 都道府県:山梨県, prefectures:Yamanashi
都道府県コード:20, 都道府県:長野県, prefectures:Nagano
都道府県コード:21, 都道府県:岐阜県, prefectures:Gifu
都道府県コード:22, 都道府県:静岡県, prefectures:Shizuoka
都道府県コード:23, 都道府県:愛知県, prefectures:Aichi
都道府県コード:24, 都道府県:三重県, prefectures:Mie
都道府県コード:25, 都道府県:滋賀県, prefectures:Shiga
都道府県コード:26, 都道府県:京都府, prefectures:Kyoto
都道府県コード:27, 都道府県:大阪府, prefectures:Osaka
都道府県コード:28, 都道府県:兵庫県, prefectures:Hyogo
都道府県コード:29, 都道府県:奈良県, prefectures:Nara
都道府県コード:30, 都道府県:和歌山県, prefectures:Wakayama
都道府県コード:31, 都道府県:鳥取県, prefectures:Tottori
都道府県コード:32, 都道府県:島根県, prefectures:Shimane
都道府県コード:33, 都道府県:岡山県, prefectures:Okayama
都道府県コード:34, 都道府県:広島県, prefectures:Hiroshima
都道府県コード:35, 都道府県:山口県, prefectures:Yamaguchi
都道府県コード:36, 都道府県:徳島県, prefectures:Tokushima
都道府県コード:37, 都道府県:香川県, prefectures:Kagawa
都道府県コード:38, 都道府県:愛媛県, prefectures:Ehime
都道府県コード:39, 都道府県:高知県, prefectures:Kochi
都道府県コード:40, 都道府県:福岡県, prefectures:Fukuoka
都道府県コード:41, 都道府県:佐賀県, prefectures:Saga
都道府県コード:42, 都道府県:長崎県, prefectures:Nagasaki
都道府県コード:43, 都道府県:熊本県, prefectures:Kumamoto
都道府県コード:44, 都道府県:大分県, prefectures:Oita
都道府県コード:45, 都道府県:宮崎県, prefectures:Miyazaki
都道府県コード:46, 都道府県:鹿児島県, prefectures:Kagoshima
都道府県コード:47, 都道府県:沖縄県, prefectures:Okinawa
メモリー上にデータベースを構築し、問合わせと応答を表示しています。
PDO::prepare() を使うことで、プレースホルダー経由でSQLを実行し、SQLインジェクションの驚異を低減しています。
$変数 = null; を随所で行っているのは、PHPでは変数のスコープをループに閉じ込めることができないためで、特にループから脱走したリファレンスが関係したバグは原因の特定が困難になりがちです。
PDOとは別に、SQLite専用のSQLite3クラスも用意されています。
[https://paiza.io/projects/QhNiBQZ4tToKX73tuYbaMQ?language=php 都道府県コード一覧表(PHP/ベンダー固有コード版)]:
exec(
"CREATE TABLE 都道府県コード一覧表 (都道府県コード INTEGER, 都道府県 STRING, prefectures STRING)"
);
$insert = $db->prepare("INSERT INTO 都道府県コード一覧表 VALUES (:n,:ja,:en)");
try {
foreach (
array_map(
fn($line): array => explode("\t", $line),
explode(
"\n",
<<bindParam(":n", $pref[0], SQLITE3_INTEGER);
$insert->bindParam(":ja", $pref[1], SQLITE3_TEXT);
$insert->bindParam(":en", $pref[2], SQLITE3_TEXT);
$insert->execute();
}
} catch (Exception $e) {
echo "Caught exception: " . $e->getMessage();
}
$insert = null;
$query = "PRAGMA table_info('都道府県コード一覧表')";
echo "$query", PHP_EOL;
for (
$result = $db->query($query);
($assoc = $result->fetchArray(SQLITE3_ASSOC));
$fields[] = $assoc["name"]
) {}
$assoc = null;
echo implode(",", $fields), PHP_EOL;
echo PHP_EOL;
$query = "SELECT * FROM 都道府県コード一覧表 WHERE 都道府県コード = 22;";
echo "$query", PHP_EOL;
for (
$result = $db->query($query);
($assoc = $result->fetchArray(SQLITE3_ASSOC));
) {
array_walk($assoc, function(&$v, $k) { $v = "$k:$v"; });
echo implode(",", $assoc), PHP_EOL;
}
$assoc = null;
echo PHP_EOL;
$query = "SELECT * FROM 都道府県コード一覧表 WHERE 都道府県 LIKE '%京都%';";
echo "$query", PHP_EOL;
for (
$result = $db->query($query);
($assoc = $result->fetchArray(SQLITE3_ASSOC));
) {
array_walk($assoc, function(&$v, $k) { $v = "$k:$v"; });
echo implode(",", $assoc), PHP_EOL;
}
$assoc = null;
echo PHP_EOL;
$query = "SELECT * FROM 都道府県コード一覧表;";
echo "$query", PHP_EOL;
for (
$result = $db->query($query);
($assoc = $result->fetchArray(SQLITE3_ASSOC));
) {
array_walk($assoc, function(&$v, $k) { $v = "$k:$v"; });
echo implode(",", $assoc), PHP_EOL;
}
$assoc = null;
echo PHP_EOL; |
947 | 法学>民事法>商法>コンメンタール会社法>第2編第2章 株式 (コンメンタール会社法)
(異議催告手続との関係)
第229条
株券喪失登録者が第220条第1項の請求をした場合には、株券発行会社は、同項の期間の末日が株券喪失登録日の翌日から起算して1年を経過する日前に到来するときに限り、同項の規定による公告をすることができる。
株券発行会社が第220条第1項の規定による公告をするときは、当該株券発行会社は、当該公告をした日に、当該公告に係る株券についての株券喪失登録を抹消しなければならない。
----
{{前後
|会社法
|第2編 株式会社
第2章 株式
第9節 株券
|会社法第228条(株券の無効)
|会社法第230条(株券喪失登録の効力)
229 |
948 | Under construction
__notoc__
(۱۷) آموزِشِ زَبانِ فارسی
第17課
現在進行形(زمانِ مُضارعِ مَلموس یا حالِ مَلموش)
داشتَن を助動詞として用い現在進行形を表すことがある。
この現在進行形はよく会話で用いられる。現在進行形と過去進行形は不定法がありません。
現在進行形の用法
1.いまちょうど~している
مَن دارَم غَذا می خُورَم.
「私はご飯を食べています。」
2.すぐにも起こることについて用いる。
اَلان کَم کَم داریم بیرون می آییم. 「いまそろそろ外に出かけるところです。」
قیمَتِ زَمین دارَد گِران می شَود. 「土地の値段は上がり始めた。」
3.動作がつづいていたことを強調する。
اَز صُبح دارَم بِه آهَنگهایِ قَدیمی گوش می دَهم. 「朝から昔の音楽を聞いています。」
مَریَم خیلی زَنِ تَمیزی اَست. هَمیشه دارَد خانِه را تَمیز می کُند. 「マリアムはとても綺麗づきです。いつも家を綺麗する。」
過去進行形の用法
1.過去においでしばらく動作がつづいていたことを強調する。
(~ずうとしていた)
دیروز اَز ساعَتِ سِه تا ساعَتَ پَنج تَمرین می کَردَم. 「昨日三時から五時まで練習していた。」
دیروز اَز ساعَتُ سِه تا ساعتِ پنج داشتَم تَمرین می کَردَم. 「昨日三時から五時までずうと練習していた。」(動作がつづいていたことを強調する)
2.動作は行う途中で別のことが行う。
وَقتیکه مَن بِه خانِه شان رِسیدَم، آنها داشتَند غَذا می خُوردَند. 「私は彼らの家に着いたとき、彼らはご飯を食べているところだった。」
3.過去進行形の文章は接続詞の胙轤ナ別の文章に結ぶと、動作は途中で中止になったと表す。
داشتیم اَز خانِه بیرون می رَفتیم کِه مِهمان آمد. 「外に出かけようとしたときに、お客さんが来ました。」
他の言い方:
می خواستیم اَز خانِه بیرون بِرَویم کِه مِهمان آمَد.「外に出かけようとしたら、お客さんが来ました。」
(家から出られなかった、意味がする。)
نِمی تَوان، می تَوان، نِمی شَوَد، می شَوَد، بایَد، نَبایَد人称語尾をとらず、動詞の過去語根をつづけます。
می تَوان と می شَوَد は同意味で、しかし会話では裨ヤ鵰マのほうが用いられます。
می تَوان اَز فَردا کار را شُروع کَرد. 「(だれでも)明日から仕事を始めなければならない。」(書き方)
دیگَر نِمی شَوَد بَرنامِه را عَوَض کَرد. 「(だれでも)もプログラムを変えることができません。」
بایَد اَز وَقت اِستِفادِه کَرد. 「(だれでも)時間を大事にしなくちゃ。」
داری چکار میکنی؟
(いま、君は)何をしているの?
دارم برایِ دوستم نامه مینویسم.
(私は)友達に手紙を書いています。
داشتم کتاب میخواندم.
(私は)本を読んでいました。
وقتی من او را دیدم داشت سیگار میکشید.
私が彼に会ったとき、(彼は)煙草を吸っていました。
داشتم میخوابیدم که از بیمارستان به من تلفن کردند.
寝ようとしたら、病院から電話が来ました。
باید زودتر تصمیم گرفت.
もっと早く決めなくちゃ。
مثال : تو الان داری چکار میکنی؟
(دارم) یک فیلمِ قدیمی را (نگاه میکنم). < نگاه کردن >
۱. شایان الان دارد چکار میکند؟
(———————————) تویِ اتاقش (———————————). < استراحت کردن >
۲. شما دارید چکار میکنید؟
ما (———————————) برنج (———————————). < درست کردن >
۳. بچّهها الان دارند چکار میکنند؟
(———————————) تویِ اتاقشان (———————————). < درس خواندن >
۴. رؤیا دارد چکار میکند؟
(———————————) تلویزیون (———————————). < تماشا کردن >
۵. تو داری چکار میکنی؟
(———————————) اتاقم را (———————————). < تمیز کردن >
۶. الان مادر دارد چکار میکند؟
(———————————) لباس (———————————). < پوشیدن >
۷. تو داری چکار میکنی؟
من هم (———————————) به آهنگ (———————————) هم (———————————) (———————————). < گوش دادن > <درس خواندن >
مثال: وقتی من تلفن کردم، تو داشتی چکار میکردی؟
من (داشتم) لباسها را (میشستم). < شستن >
۱. وقتی تُو تویِ اتاق رفتی، شایان داشت چکار میکرد؟
او (———————————) (———————————). < سیگار کشیدن >
۲. وقتی تو به مهمانی رسیدی، مهمانها داشتند چکار میکردند؟
(———————————) فیلم (———————————). < نگاه کردن >
۳. وقتی تو به جشنِ تولّد رسیدی، بچّهها داشتند چکار میکردند؟
(———————————) با همدیگر (———————————). < بازی کردن >
۴. وقتی تو به شرکت رسیدی، خانمِ سینایی داشت چکار میکرد؟
او (———————————) برنامهٔ این هفته را (———————————). < نوشتن >
۵. وقتی تو پیشِ آنها رفتی، داشتند دربارهٔ چه صحبت میکردند؟
(———————————) دربارهٔ مسافرت به ایران (———————————). < صحبت کردن >
مثال: وقتیکه من دانشجو بودم روزی دو ساعت (کتاب میخواندم). < کتاب خواندن >
۱. وقتی من مجرّد بودم (———————————). < سیگار کشیدن >
۲. وقتیکه ما در ایران بودیم او گاهی برایِ من هدیه (———————————). < فرستادن >
۳. وقتی ما بچّه بودم همیشه باهم (———————————). < بازی کردن >
۴. وقتیکه خانمم مریض بود من همیشه غذا (———————————). < درست کردن >
۵. وقتیکه مادربزرگم در خانه تنها بود همیشه به آهنگهایِ قدیمی (———————————). < گوش دادن >
۶. وقتی ما در ژاپن بودیم همیشه از قطار (———————————). < استفاده کردن
مثال: باید از وقت (استفاده کرد). < استفاده کردن >
۱. میشود تا آنجا پیاده (———————————). < رفتن >
۲. بدونِ برنامه نمیشود به (———————————). < مسافرت رفتن >
۳. شاید بشود با این پول در تهران یک خانه (———————————). < خریدن >
۴. باران تند شد. دیگر نمیشود به بازی (———————————). < ادامه دادن >
۵. نمیشود با او (———————————). < حرف زدن >
۶. باید به خانواده اش (———————————). < گفتن >
۷. برایِ این کار باید اوّل فرم (———————————). < پر کردن >
۸. باید امروز چمدانها را به فرودگاه (———————————). < فرستادن >
۹. باید به بچّه (———————————). < رسید >
۱۰. چطور باید این کار را (———————————)؟ < انجام دادن >
۱۱. نباید با خودکار اینجا را (———————————). < نوشتن >
۱۲. نباید به حرفهایِ او (———————————). < اعتماد کردن >
۱۳. میشود اینجا (سیگار کشید)؟ < سیگار کشیدن >
۱۴. نباید بچّه را (———————————). < زدن >
۱۵. نمیشود برنامه را (———————————). < عوض کردن >
۱۶. خانهٔ ما خیلی شلوغ است اصلاً نمیشود (———————————). < درس خواندن >
۱۷. باید زودتر این کار را (———————————). < انجام داد >
با - به - از - را
مثال: آنها همدیگر (را) دوست دارند.
۱. من و دوستم گاهی (———————————) یکدیگر به زبانِ انگلیسی حرف میزنیم.
۲. ما همیشه روزی چند بار (———————————) همدیگر زنگ میزنیم.
۳. پدر و مادرم در دانشگاه (———————————) یکدیگر آشنا شدند.
۴. آنها (———————————) همدیگر خسته شدند.
۵. آنها همدیگر (———————————) زدند.
۶. شادی و برادرش دارند (———————————) هم راه میروند.
۷. چقدر شما (———————————) همدیگر بحث میکنید؟ !
مثال: ما (میخواستیم) با هم در کوه غذا (بخوردیم) که باران آمد. < خوردن >
۱. بچّه (———————————) (———————————) که من او را گرفتم. < افتادن >
۲. ما (———————————) از خانه بیرون (———————————) که مهمان آمد. < رفتن >
۳. من (———————————) پنهانی با دوستم (———————————) که مادرم تویِ اتاق آمد . < سیگار کشیدن >
۴. آنها (———————————) خانه (———————————) که قیمت خانه گران شد. < خریدن >
۵. بچّه (———————————) داروهایِ مادربزرگم را (———————————) که مادرم متّوجه شد و داروها را از دستش گرفت. < خوردن >
مثال: ما (داشتیم) با هم در کوه غذا (میخوردیم) که باران آمد. < خوردن >
۱. من (———————————) تویِ پارک (———————————) که افتادم و دستم شکست. < دویدن >
۲. ما (———————————) از درِ خانه بیرون (———————————) که پدر بزرگم به خانه مان آمد. < آمدن >
۳. من (———————————) با دوستم (———————————) که مادرم ما را دید. < سیگار کشیدن >
۴. آنها (———————————) پنهانی تویِ کلاس پسته (———————————) که معلّم متوجّه شد. < خوردن >
۵. بچّه ها (———————————) همدیگر را (———————————) که معلّمشان به کلاس رسید. < زدن >
مثال: این هفته خیلی گرفتار بودم حتّی یک بار هم نتوانستم به مادرم (زنگ بزنم). < زنگ زدن >
۱. من دیروز حتّی هزار تومان هم تویِ کیفم (———————————). < داشتن >
۲. مهتاب هم دانشجو است هم بعدازظهرها در یک مغازه کار میکند. او نمیتواند با ما دو هفته به مسافرت (———————————). < آمدن >
۳. دیشب من حتّی یک ساعت هم (———————————). < خوابیدن >
۴. وقتی سال پیش به شمال رفتیم. بعضی از مغازهها حتّی تا نصفِ شب هم باز (———————————). < بودن >
۵. من نمیخواهم کسی بداند. لطفاً این حرف را حتّی به خانواده ات هم (———————————). < گفتن >
مثال: بچّهها (دارند) تلویزیون (نگاه میکنند). < نگاه کردن >
۱. ما (———————————) باهم این کتاب را (———————————). < ترجمه کردن >
۲. الان شایان (———————————) با تلفن (———————————). < حرف زدن >
۳. مغازهها کمکم (———————————) (———————————). < تعطیل شدن >
۴. شاگردانِ کلاس (———————————) با همدیگر (———————————). < آشنا شدن >
۵. ما کمکم (———————————) (———————————). < رسیدن >
۶. چرا آنها دیر کردند؟ من کمکم (———————————) (———————————). < نگران شدن >
مینو : الو بفرمایید.
سارا :الو سلام، مینو جان خوبی؟
مینو : خوبم، مرسی. اتّفاقاً الان داشتم به خانه تان تلفن میکردم که تلفن زنگ زد؟
سارا : ما برایِ شام منتظرِ شما بودیم. چرا شما نیامدید؟
مینو : ببخشید، امروز واقعاً گرفتار بودیم. امروز حتّی یک ساعت هم نتوانستم استراحت بکنم. فردا من امتحان دارم. این هفته همه اش داشتم درس میخواندم.
سارا :چقدر تو درس میخوانی! وقتیکه من دانشجو بودم اصلاً درس نمی خواندم.
مینو : رشتهٌ من خیلی مشکل است. نمیشود درس نخواند.
سارا :شایان دارد چکار میکند؟
مینو : الان دارد تویِ اتاقش سیگار میکشد. شایان نیم ساعتِ پیش به خانه برگشت. تا ساعتِ دهِ شب داشت در شرکت کار میکرد.
سارا : من به فرودگاه تلفن کردم. هواپیما ساعتِ دوازده و ربع رویِ زمین می نشیند. شما کی به دنبالِ مادر میآیید؟
مینو : دیگر حاضریم. کمکم داریم راه میافتیم. لطفاً مادر تا نیم ساعت دیگر جلویِ در منتظر باشد.
سارا : خیلی خُب. به او میگویم.
تمرین ۱ - سؤال ۱. (دارد)(استراحت میکند) ۲. (داریم)(درست میکنیم) ۳. (دارند)(درس میخوانند) ۴. (دارد)(تماشا میکند) ۵. (دارم)(تمیز میکنم) ۶. (دارد)(میپوشد) ۷. (دارم)(گوش میدهم)(دارم)(درس میخوانم)
تمرین ۲ - سؤال ۱. (داشت)(سیگار میکشید) ۲. (داشتند)(نگاه میکردند) ۳. (داشتند)(بازی میکردند) ۴. (داشت)(مینوشت) ۵. (داشتند)(صحبت میکردند)
تمرین ۳ - سؤال ۱. (سیگار میکشیدم) ۲. (میفرستاد) ۳. (درست میکردم) ۴. (گوش میداد). ۵. (استفاده میکردیم)
تمرین ۴ - سؤال ۱. (رفت) ۲. (مسافرت رفت) ۳. (خرید) ۴. (ادامه داد) ۵. (حرف زد) ۶. (فهمید) ۷. (پر کرد) ۸. (فرستاد) ۹. (صحبت کرد) ۱۰. (انجام داد) ۱۱. (نوشت). ۱۲. (اعتماد کرد)
تمرین ۵ - سؤال ۱. (با) ۲. (به) ۳. (با) ۴. (از). ۵. (را) ۶. (با) ۷. (با)
تمرین ۶ - سؤال ۱. (میخواست)(بیفتد) ۲. (میخواستیم)(برویم) ۳. (میخواستم)(سیگار بکشم) ۴. (میخواستند)(بخرند) ۵. (میخواست)(بخورد)
تمرین ۷ - سؤال ۱. (داشتم)(میدویدم) ۲. (داشتیم)(میرفتیم)۳. (داشتم)(سیگار میکشیدم) ۴. (داشتند)(می خودند) ۵.(داشتند)(میزدند)
تمرین ۸ - سؤال ۱. (ندارم) ۲. (بیاید) ۳. (نخوابیدم) ۴. (بودند). ۵. (نگو)
تمرین ۹ - سؤال ۱. (داریم - ترجمه میکنیم) ۲. (دارد - حرف میزند) ۳. (دارند - تعطیل میشوند) ۴. (دارند آشنا میشوند) ۵. (داریم - میرسیم) ۶. (دارم - نگران میشوم)
فِرِستادَن / فِرِستاد / فِرِست
پُوشیدَن / پُوشید / پُوش
اُفتادَن / اُفتاد / اُفت |
949 | 動詞と同様に、一般的な形容詞の活用形を列挙します。また、「いい」は「よい」と同様に活用します。
ナ形容詞―名詞相当語句―は繋辞をつけることで「活用」活用します。例外は、「現在形」(繋辞を省略)と「丁寧過去否定形」(特別な言い方もある)です。
イ形容詞はいくらか単純な活用パターンです。丁寧さは繋辞をつけて表します。the (polite present positive, in all tenses)
また、以下の活用形も、他の活用形の基礎となるので、覚えておくと役立つでしょう。
これらの活用形から、以下の活用形が作られます:
形容詞も特定の場合に音便化します。ナ形容詞の丁寧な否定形については、以下の繋辞の節もご覧ください。
(副詞的用法)のような慣用表現に限られます。命令形は述語にはなれません。
仮定形にはバ形とタラ形などがあります。ニュアンスの違いはthe conditionals lessonをご参照ください。
Japonais/Grammaire/Adjectifs |
950 | 法学>コンメンタール>コンメンタール刑事訴訟法=コンメンタール刑事訴訟法/改訂
(弁護人の書類・証拠物の閲覧謄写権)
第40条
弁護人は、公訴の提起後は、裁判所において、訴訟に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写することができる。但し、証拠物を謄写するについては、裁判長の許可を受けなければならない。
前項の規定にかかわらず、第157条の6第4項に規定する記録媒体は、謄写することができない。
2016年改正にて、参照元の条数が繰り下がったことに伴う改正。
----
{{前後
|刑事訴訟法
|第1編 総則
第4章 弁護及び補佐
|第39条(接見交通権)
|第41条(弁護人の独立行為権)
040
040 |
951 | 法学>民事法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
(保証人が法人である根保証契約の求償権)
第465条の5
保証人が法人である根保証契約において、第465条の2第1項に規定する極度額の定めがないときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は、その効力を生じない 。
保証人が法人である根保証契約であってその主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれるものにおいて、元本確定期日の定めがないとき、又は元本確定期日の定め若しくはその変更が第465条の3第1項若しくは第3項の規定を適用するとすればその効力を生じないものであるときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は、その効力を生じない。主たる債務の範囲にその求償権に係る債務が含まれる根保証契約も、同様とする。
前二項の規定は、求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に求償権に係る債務が含まれる根保証契約の保証人が法人である場合には、適用しない。
2017年改正前の条項は、以下のとおり。
(保証人が法人である貸金等債務の根保証契約の求償権)
第465条の5
保証人が法人である根保証契約であってその主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれるものにおいて、第465条の2第1項に規定する極度額の定めがないとき、元本確定期日の定めがないとき、又は元本確定期日の定め若しくはその変更が第465条の3第1項若しくは第3項の規定を適用するとすればその効力を生じないものであるときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権についての保証契約(保証人が法人であるものを除く。)は、その効力を生じない。
根保証契約の求償権保証の制限について定める。
----
{{前後
|民法
|第3編 債権
第1章 総則
第3節 多数当事者の債権及び債務
第5款保証債務
|民法第465条の4(貸金等根保証契約の元本の確定事由)
|民法第465条の6(公正証書の作成と保証の効力)
465の05
465の05 |
952 | 法学>民事法>商法>会社法>会社法施行規則
(種類株主総会における取締役又は監査役の選任)
第19条
----
{{前後
|会社法施行規則
|第二編株式会社
第1章 株式
第1節 総則
|会社法施行規則第18条(累積投票による設立時取締役の選任)
|会社法施行規則第20条(種類株式の内容)
019 |
953 | 𝕲𝖊𝖘𝖙𝖆 𝕽𝖔𝖒𝖆𝖓𝖔𝖗𝖚𝖒
『ゲスタ・ローマーノールム』が日本に紹介され始めた明治・大正期に本書に注目していた文人には 芥川龍之介 (1892-1927)がいる。彼の未完の長編小説 『路上』 において、本書が紹介されている。以下に該当箇所を引用する([https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/132_15264.html 青空文庫版]より)。
「この間の君の小説は、大へん面白く拝見しましたよ。あれは何から材料を取ったんですか。」「あれですか。あれはゲスタ・ロマノルムです。」「はあ、ゲスタ・ロマノルムですか。」
清水はけげんな顔をしながら、こう好い加減な返事をすると、さっきから鉈豆の煙管できな臭い刻みを吹かせていた大井が、卓子の上へ頬杖をついて、「何だい、そのゲスタ・ロマノルムってやつは?」と、無遠慮な問を抛りつけた。十三「中世の伝説を集めた本でしてね。十四五世紀の間に出来たものなんですが、何分原文がひどい羅甸なんで――」「君にも読めないかい。」「まあ、どうにかですね。参考にする飜訳もいろいろありますから。――何でもチョオサアやシェクスピイアも、あれから材料を採ったんだそうです。ですからゲスタ・ロマノルムだって、中々莫迦には出来ませんよ。」「じゃ君は少くとも材料だけは、チョオサアやシェクスピイアと肩を並べていると云う次第だね。」 |
954 | 前)(次)
(傷病手当金又は出産手当金の継続給付)
第104条
104 |
955 | 第5編 相続
(相続の一般的効力)
第896条
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
相続人は被相続人の財産に属する一切の権利(積極財産)のみならず義務(消極財産)をも承継する(包括承継)。日本法における相続の概念として、明治民法第1001条来の基本思想となっている。比較法的には、相続開始(被相続人の死)の時点で、相続財産のうち、消極財産を積極財産で相殺した後、積極財産の残余があればそれを相続するというものがあるが、日本法においてこれは限定承認と概念され、一定の手続を要するものとされる。
本条但書は、一身専属的な権利義務は相続されないと定めている。民法上規定があるものとしては、たとえば使用貸借の借主の地位(597条)、委任者・受任者たる地位(653条)、組合員たる地位(679条)などはそれぞれ当事者の死亡によって消滅するので、相続されない。これに対し、売買代金債権や賃借権は死亡によっても消滅せず、相続の対象となる。
保証債務(446条以下)が相続の対象となるかについては、保証の内容により異なる。一般的な保証債務は相続の対象となるが、根保証は例外である(465条の4)。また、いわゆる身元保証については根保証同様、個人的な信頼関係に立脚する一身専属性が強い債務として、相続を否定する見解が有力である。
無権代理人が本人を相続し、本人と代理人との資格が同一人に帰するにいたつた場合には、本人がみずから法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じたものと解するのが相当である。
土地を占有していた被相続人が死亡し相続が開始した場合には、特別の事情※のないかぎり、被相続人の右土地に対する占有は相続人によつて相続される。
相続人が、被相続人の死亡により、相続財産の占有を承継したばかりでなく、新たに相続財産を事実上支配することによつて占有を開始し、その占有に所有の意思があるとみられる場合においては、被相続人の占有が所有の意思のないものであつたときでも、相続人は民法第185条にいう「新権原」により所有の意思をもつて占有を始めたものというべきである。
無権代理人を相続した本人は、無権代理人が民法第117条により相手方に債務を負担していたときには、無権代理行為について追認を拒絶できる地位にあつたことを理由として、右債務を免れることができない。
他人の権利の売主をその権利者が相続し売主としての履行義務を承継した場合でも、権利者は、信義則に反すると認められるような特別の事情のないかぎり、右履行義務を拒否することができる。
無権代理人が本人を共同相続した場合には、共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、無権代理人の相続分に相当する部分においても、無権代理行為が当然に有効となるものではない。
無権代理人が本人を共同相続した場合には、共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、無権代理人の相続分に相当する部分においても、無権代理行為が当然に有効となるものではない。
他主占有者の相続人が独自の占有に基づく取得時効の成立を主張する場合には、相続人において、その事実的支配が外形的客観的にみて独自の所有の意思に基づくものと解される事情を証明すべきである。
甲が所有しその名義で登記されている土地建物について、甲の子である乙が甲から管理をゆだねられて占有していたところ、乙の死亡後、その相続人である乙の妻子丙らが、乙が生前に甲から右土地建物の贈与を受けてこれを自己が相続したものと信じて、その登記済証を所持し、固定資産税を納付しつつ、管理使用を専行し、賃借人から賃料を取り立てて生活費に費消しており、甲及びその相続人らは、丙らが右のような態様で右土地建物の事実的支配をしていることを認識しながら、異議を述べていないなど判示の事実関係があるときは、丙らが、右土地建物が甲の遺産として記載されている相続税の申告書類の写しを受け取りながら格別の対応をせず、乙の死亡から約15年経過した後に初めて右土地建物につき所有権移転登記手続を求めたという事実があるとしても、丙らの右土地建物についての事実的支配は、外形的客観的にみて独自の所有の意思に基づくものと解するのが相当であり、丙らについて取得時効が成立する。
本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではない。
障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が不法行為により死亡した場合には、その相続人は、加害者に対し、被害者の得べかりし右各障害年金額を逸失利益として請求することができる。
障害基礎年金及び障害厚生年金についてそれぞれ加給分を受給している者が不法行為により死亡した場合には、その相続人は、加害者に対し、被害者の得べかりし右各加給分額を逸失利益として請求することはできない。
障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が不法行為により死亡した場合に、その相続人が被害者の死亡を原因として遺族基礎年金及び遺族厚生年金の受給権を取得したときは、当該相続人がする損害賠償請求において、支給を受けることが確定した右各遺族年金は、財産的損害のうちの逸失利益から控除すべきである。
内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、民法768条(財産分与)の規定を類推適用することはできない。
相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し,その帰属は,後にされた遺産分割の影響を受けない。
明治民法において、本条には「親権喪失の宣告」に関する以下の規定があった。民法第834条に継承され、その後の改正により「親権喪失の審判」となっている。
----
{{前後
|民法
|第5編 相続
第3章 相続の効力
第1節 総則
|民法第895条(推定相続人の廃除に関する審判確定前の遺産の管理)
|民法第897条(祭祀に関する権利の承継)
896 |
956 | 法学>民事法>コンメンタール>コンメンタール民事保全法
(最高裁判所規則)
第8条
この法律に定めるもののほか、民事保全の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
手続の細目を最高裁判所規則(民事保全規則)に委任する根拠条文である。
----
{{前後
|民事保全法
|第1章 総則
|民事保全法第7条(民事訴訟法の準用)
|民事保全法第9条(釈明処分の特例) |
957 | Information: Description=中学校理科2年生の水の電気分解などに使用される装置の図です。
Source=Darfreによる自作・Darfre original
Date=2019年6月21日・21 June 2019
Author=ダーフレ・Darfre
other_versions= |
958 | 数学>珠算>加減算
1+3や2+6などの計算は元の数を入れ、さらに加える数の玉を入れる。
< > < > < > < > |-< >
| < >
< > < > < > < > 6 < > < >
< > < > | < > < >
< > |-< > < > | < >
< > 3-< > < > < > |-< >
< > |-< > < > < > < >
1 + 3 = 4 2 + 6 = 8
以下、加える数をnとする。
3+4や9+2はそのままでは出来ない。そこでまず5(10)-nを引く。そしてその後5(10)を足すという方法をとる。
確かにn足したことになる。
< > < > 5-< > < > < > < >< > < >< >
< > < > < >-|
< > < > < > < > < > < > | < > < >< >
< > < > < > < > < >< > < >-8 1-< >
< > 1-< > < >< > < >< >-| < >< > < >< >
< > < > < >< > < >< >-| < >< > < >< >
< > < > < > < > < > < > < >< > < >< >
3 (- 1 + 5) = 7 0 9 (- 0 8 + 1 0) = 1 1
| | | |
---- +4 ---- ------- +2 --------
6+8などは今までの方法では出来ない。これらの計算をするにはまずn-5を足す。その後、5を引き10を加える。
で、確かにn足したことになる。
< > < > < > < >< > < >< >
< > < > < >-5
< > < >< > < > < > < >< >
< > < > < >< > 1-< >< > < >
< >< > < >-| < >< > < >< > < >< >
< >< > < >< >-3 < >< > < >< > < >< >
< >< > < >< >-| < > < > < >
0 6 (+ 0 3 - 0 5 + 1 0) = 1 4
| |
----------- +8 ------------
一桁の足し算のすべてのやり方をまとめておく。
A:そのまま足す
B:5-n引いて5足す
C:10-n引いて10足す
D:n-5足して5引いて10足す
+| 1 2 3 4 5 6 7 8 9
---------------------
1| A A A B A A A A C
2| A A B B A A A C C
3| A B B B A A C C C
4| B B B B A C C C C
5| A A A A C D D D D
6| A A A C C D D D C
7| A A C C C D D C C
8| A C C C C D C C C
9| C C C C C C C C C
引き算は足し算の逆をすれば良いだけである。
具体的には、
算盤は筆算と違って上の位から計算する。
繰り上がりや桁間違いにさえ注意すれば、何桁になっても基本は同じである。
次の計算をしてみよう
A1.
< >< > < >< > < >< >< >
< >< >< > < >< >< > < >< >
< >< > < >< > < >< > < >< > < >< >< >< >< >
< >< >< >< > < > < >< >< > < >< > < >< >
< >< >< > < > < >< > < > < > < >
< > < >< >< > < >< >< >< >< > < >< >< >< >< >
< >< >< >< > < >< >< >< > < >< >< >< >
1 3 5 7 9 + 0 8 0 0 0 + 0 0 6 0 0
< >< >< >< > < >< >< >< >< > < >< >< >< >< >
< >
< >< >< >< >< > < >< >< >< >< > < >< >< >< >< >
< >< >< > < > < >< >< >< > < >< >< >< >
< >< > < > < >
< >< >< >< >< > < >< >< >< >< > < >< >< >< >< >
< >< >< >< > < >< >< >< >< > < >< >< >< >< >
+0 0 0 4 0 + 0 0 0 0 2 = 2 2 2 2 1
A2.
< >< >< >< > < >< >< >< > < >< >< >< >
< > < > < >
< >< >< >< > < >< >< >< > < >< >< >
< > < > < > < > < > < >< >< > < >
< >< >< >< >< > < >< >< >< > < >< >< >< >< >
< >< >< >< > < >< >< >< >< > < >< >< >< >< >
< >< > < >< > < >< > < >< > < > < >< >
3 1 4 1 5 - 2 0 0 0 0 - 0 7 0 0 0
< >< >< >< > < >< >< >< > < >< >< >< >< >
< > < >
< >< >< > < >< >< > < >< >< >< >
< >< >< > < > < >< >< >< >< > < >< >< >< >< >
< >< >< >< >< > < >< > < >< > < >< > < >< >
< >< > < >< > < >< >< > < > < >< >< >
< > < >< >< > < > < >< >< > < > < >< >< >
-0 0 1 0 0 - 0 0 0 8 0 - 0 0 0 0 2
< >< >< >< >< >
< >< >< >< >
< >< >< >< >< >
< >< > < >< >
< >< >< >
< > < >< >< >
-0 4 2 3 3
加減算の基本が出来たら、見取算などにも挑戦しよう。
もしくは更に掛け算も学ぼう。 |
959 | 法学>コンメンタール>コンメンタール刑事訴訟法=コンメンタール刑事訴訟法/改訂
(上告審における破棄事由の制限)
第413条の2
第一審裁判所が即決裁判手続によって判決をした事件については、第411条の規定にかかわらず、上告裁判所は、当該判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について同条第3号に規定する事由があることを理由としては、原判決を破棄することができない。
----
{{前後
|刑事訴訟法
|第3編 上訴
第3章 上告
|第413条(破棄差戻し・移送・自判)
|第414条(控訴に関する規定の準用)
413の2 |
960 | (招集権者)
第399条の8
監査等委員は、各監査等委員が招集する。
2014年改正における「監査等委員会」制度創設にあたって新設。
----
{{前後
|会社法
|第2編 株式会社
第4章 機関
第9節の2 監査等委員会
|会社法第399条の7(監査等委員会設置会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表等)
|会社法第399条の9(招集手続等)
399の8
399の8 |
961 | ミリカンの実験とは、霧吹きなどで作成した油滴の微小な飛沫に、X線やラジウムなどで帯電させる。そして、外部から電場を引火する。すると、油滴の重力(下向き)のほかに、電場による静電気力(上向きになるように電極板を設置する)が働くので、釣り合って静止する状態になった時の電場から、電荷の値を確かめる実験である。
この実験で算出・測定される電荷の値が 1.6×10-6 [C]の整数倍になったので、電子1個の電荷が 1.6×10-19 [C]だと分かった。
なお、この 1.6×10-19 [C]のことを電気素量(でんきそりょう)という。
{{コラム|(※ 範囲外:)ミリカン以前からも電子の電荷は測定されている|
化学の電気分解の実験で、金属の電気分解の実験の時に発生する気体が帯電していることは、ラボアジエなどによって古くから知られていた。実験物理学者タウンゼントは、発生した気体のモル数と、静電誘導などによって発生した電荷の合計を測定することにより、電子1個あたりの電荷を概算した。
精度は、現代の電子の電荷とケタが同じくらいの精度で、タウンゼントは電子の電荷の測定値を得た。
{{コラム|(※ 範囲外:) ミリカンに不正の疑いあり|
世界各国の物理学の教育では、20世紀前半のミリカンの実験が、電子の質量を求める実験として、長らく紹介されてきた。
しかし20世紀後半ごろから、ミリカンの実験に対する疑念が科学界から提出されている。その疑惑の内容は、ミリカンは、自身の提唱する仮説に適合しない測定値を、測定誤差だとして断定してしまい、仮説にあわない測定値を排除してしまっているのかもしれない、という疑惑である。
この疑惑に反する反論もまた、科学界から提出されている。
どちらが正しいかについては、高校教科書では語るようなことではないので、それについては説明を省略する。
どちらにせよ、現代では、論文の投稿では、もし仮説にあわない測定値を読者にだまって排除してしまい、なのに、もとの実験データそのままのように論文発表してしまったら、データ改竄(かいざん)による不正行為とみなされるのが原則である。
もし例外的に、どうしても論文などで複数ある測定値のいくつかを抜粋せざるを得ないような事情のある場合には
(たとえば実験データが大量にありすぎて、すべてを紹介しきれない場合。
そのような場合には、まず論文に、抜粋した部分的なデータであることを明記しなければならないだろうし、どういう基準で抜粋を行ったかも明記しなければならないだろう。
現代の科学論文では、実験結果のデータを書く際には、原則的に、実際の実験で得られたデータをそのまま記述するように努めて、論文を書かなかければならない。
※ 現代でも、しばしば学生実験などで、悪気がなくても、仮説にあわない実験データを、「実験ミス」と断定してしまい、測定値を書き換えてしまったり、あるいは、仮説にあわない測定値を隠してしまう不正行為が起きることもある。このような不正行為をしないよう、気をつけなければならない。
このように、ミリカンの実験については、いろいろと問題点があるので、大学入試には、ミリカンの実験について、あまり瑣末(さまつ)なことは出題されないだろう。もし、ミリカンの実験の結果を暗記するような入試問題が出題されたとしたら、出題者の見識が疑われる。
また、そもそもミリカンの実験の方法は、あまり精度が良くない。精度が悪い実験方法だからこそ、上記のような疑惑が残ってしまうのであろう。
thumb|300px|電子の運動エネルギーの最大値と、光の振動数との関係
負の電荷に帯電させてある金属板に、紫外線を当てると、電子が飛び出してくることがある。また、放電実験用の負極に電子を当てると、電子が飛び出してくることがある。この現象を、光電効果(こうでん こうか、photoelectric effect)という。1887年、ヘルツによって、光電効果が発見された。レーナルトによって、光電効果の特徴が明らかになった。
当てる光の振動数が、一定の高さ以上だと、光電効果が起きる。この振動数を限界振動数(げんかい しんどうすう)といい、限界振動数より低い光では、光電効果が起こらない。また、限界振動数のときの波長を、限界波長(げんかい はちょう)という。
物質によって、限界振動数は異なる。亜鉛版では紫外線でないと光電効果が起きないが、セシウムでは可視光でも光電効果が起きる。
光電効果とは、物質中(主に金属)の電子が光のエネルギーを受け取って外部に飛び出す現象のことである。
この飛び出した電子を「光電子」(こうでんし、photoelectron)という。
光電効果には,次のような特徴的な性質がある。
光電効果は、光の振動数がある振動数(限界振動数)以上でないと起こらない。
光電子の運動エネルギーの最大値は、当てた光の振動数のみに依存し、光の強さには依存しない。
単位時間あたりに飛び出す光電子数は、光の強さに比例する。
これらの性質のうち、1番めと2番めの性質は、古典物理学では説明できない。
つまり、光を、電磁波という波動の性質だけを捉えていては、つじつまが合わないのである。
なぜなら、仮に、電磁波の電界(電場)によって金属から電子が放出すると考えた場合、もし光の強さが大きくなれば、振幅が大きくなるので、電界(電場)も大きくなるはずである。
しかし、実験結果では、光電子の運動エネルギーは、光の強さには依存しない。
よって、古典力学では説明できない。
上述の矛盾(古典的な電磁波理論では、光電効果を説明できないこと)を解決するために、次のような光量子仮説がアインシュタインによって提唱された。
光は、光子(こうし、photon)の流れである。光子を、光量子(こうりょうし)ともいう。
光子1個のエネルギーEは、光の振動数 \nu [Hz]に比例する。
この2つめの条件を定式化すると、
となる。
この式における比例定数hはプランク定数とよばれる定数で、
[J・s] という値をとる。
仕事関数(しごと かんすう、work function)とは、光電効果を起こすのに必要な最小のエネルギーのことである。金属の種類ごとに、決まった値である。
仕事関数の値を W[J] とすると、光子の得る運動エネルギーの最大値 K0 [J] について、次式が得られる。
この式より、光電効果が起こる条件は hν≧W となる。これは K0≧0 に相当する。
これより、光電効果が起こる限界振動数 ν0 について、hν0=W が成り立つ。
この光量子仮説により、光電効果の1番めと2番めの性質は、容易に、矛盾なく説明できるようになった。波動は粒子のように振舞うのである。
なお、光電効果の3番めの性質から、ある場所の光の強さは、
その場所の単位面積に単位時間、飛来する光子の数に比例することが分かる。
{{コラム|(※ 範囲外)じつは、説明の順序が逆|
高校で先に光電効果を習い、大学であとから、プランクの理論を習う。
しかし、実は、物理学者プランクが先に(アインシュタインよりも早く)、エネルギーのやりとりの単位が hν であることを発見した山本義隆『原子・原子核・原子力』、岩波書店、2015年3月24日 第1刷、94ページ。そもそも、だからこそ定数 h をプランク定数というのである。つまり、ある種の物理現象においてエネルギーのやりとりの単位がhνであることは、けっしてアインシュタインが提唱したのではない(プランクの提唱である)。
プランクは、高温物体における光の放射(「熱放射」や「熱輻射」などという)の研究から、そのような発見をした。
では、アインシュタインが何を発見したのかというと、
である。
なお、光電効果の比例係数を測定する実験は、アインシュタインの提唱後に物理学者ミリカンが調べており、たしかにプランク定数とほぼ同じ数値である事を確認している山本義隆『原子・原子核・原子力』、岩波書店、2015年3月24日 第1刷、95ページ。
さて、プランクの実験を振り返ると、プランクはアインシュタインの研究とは別に、いろいろなことを調べていた。
じつは、20世紀前半の物理学者のウィーン(人名)やプランク(人名)などが高温の物体から出てくる光の波長と周波数を分析したところ、
次のような周波数fと周波数νの関係式が分かっている。
右辺の指数関数の分母にあるkがボルツマン定数である。
そして、右辺の指数関数の分母にあるh がプランク定数と言われる定数である。これは、高校『物理II』の原子物理の単元でのちに習う「光電効果」(こうでんこうか)に出てくるプランク定数 h と同じ定数である。
この式(および、この式のアイデアの元になったウィーンの公式)は、実験的に測定して確認できる式である。(ボロメーターと言われる測定器や、熱電対(ねつでんつい)とよばれる合金材料や、ホイットストーンブリッジと言われる電気回路を使う。)
そして、右辺の分母にある
に注目する。
さらに高校数学で習う等比数列の和の公式
を思い出して、これを参考に無限級数
の和を求めてみると(指数部にマイナスがついているので、必ず収束する)、
となるので、(右辺どうし、左辺どうしを)辺々、引き算して
左辺の係数を移項して
という、似た式が出てくる。
ここで終わらせてしまうと、プランクの式の分母の指数の式とは、似て非なる式で終わってしまう。(ネットををググっても、ここで終わらせてしまっている、不勉強な人が多い。物理学ファンを名乗るなら、もっと勉強してほしい。) (なお、この数列Sは、量子統計力学における「分配関数」という。)
のことを、ボルツマン因子という。いきなり天下り的に名前を出したが、ボルツマン因子はたとえるなら確率みたいなものである。
また、上記の数列 S の物理的な意味は、確率計算をするための、全確率を1とするための規格化のための係数である。
また、計算しやすいようにボルツマン因子を次のように \beta = \frac{1}{kT} を使って変形しよう。
すると、ボルツマン因子は、
e^{-\beta E}
となる。
また、分配係数 S の和を求める前の形の式を、βを使ったボルツマン因子の式で置き換えよう。
S= 1+e^{- \beta h \nu} + e^{- 2 \beta h \nu} + e^{- 3 \beta h \nu} \cdots + e^{- n \beta h \nu} +
となる。
さて、次の数列 P を求めよう。
この数列Pの物理的な意味は、飛び飛びなエネルギー n hν (ただし n=1,2,3,4・・・・)があるとした場合の確率的な平均エネルギー値 に比例する数である。
なお、エネルギーの平均値の式は、PをSで割った値である。
計算しやすいように β で書き換えよう。
さて、数列PをよくよくSと比べてみよう。比べ安いように再掲しておく。読者は何か気づくことはないかな? (ヒント: 微分)
比べてみると、なんと数列Pの各項は数列Sの各項をβで微分したものにマイナスを掛けた値になっている!!
つまり
※ \partial とは、多変数関数の微分(偏微分)の記号。大学で習う。「ラウンド ディー」などと読む。
ところで、数列Sは高校レベルの等比級数の和の公式により
とも書けるのであった。
計算しやすいようにβで置換して、
となる。
さらに微分しやすいように
と書き換えよう。
この数列Sの和の公式と、先ほどのマイナス微分の式 -\frac{\partial}{\partial \beta} S = P とを連立させてみよう。
すると、
e^{- \beta h \nu }
とPが求められる。
しかし、私たちが最終的に求めたいのは、Pでなくて、エネルギーの平均値<E>であった。
<E>の式を再掲すると、
であった。
そして、PもSも級数和の式が求められているので、それを代入すると、
\frac{1}{ \frac{1}
{ \frac{1}
{
1 - e^{- \beta h \nu }
}
}
}
e^{- \beta h \nu }
\frac{h \nu}{ (1 - e^{- \beta h \nu } ) }
e^{- \beta h \nu }
\frac{h \nu}{1- e^{- \beta h \nu } }
e^{- \beta h \nu }
となる。分子の指数関数を消すために、分母と分子にともに e^{- \beta h \nu } を掛け算して約分しよう。
すると、
\frac{h \nu}{1- e^{- \beta h \nu } }
e^{- \beta h \nu }
\frac{h \nu}{e^{ \beta h \nu }- 1 }
となるので、だいぶプランクの式に似てくる。
プランクの式を再掲すると、
であった。
ところで、高校物理で習う光の波長λと速度Cと周波数νの関係式 C=νλ を使えば、プランクの式は、
である。
プランクは、この式を、式変形で、
というふうに、級数の和の形に書き換えられることに気づいた。
このことは、つまり、高温物体からの放射エネルギーを出す光のエネルギーが、放射現象のどこかで h \nu の整数倍だけに限られる機構のあることを意味する。
このような感じのプランクのひらめきにより、現代に「量子力学」と言われる分野が19世紀に花開いた。
アインシュタインの光電効果の光粒子説は、単に、プランクのこのような研究をもとに、光電効果にも当てはめて連想しただけである。
その後、アメリカ人の物理学者の測定などにより、光電効果の係数が、プランクが放射の研究で用いた定数 h と同じことが確認された。
プランク自身は、あくまで量子化されているのは、実験的に確認されているのは高温物体の放射における現象だと慎重だったようであり、
光が波か粒子かの発言にはプランクはあまり関わらなかった。
だが、その後、アインシュタインの光粒子説がノーベル賞をとってしまったことなどもあり、それが世界的に光の粒子性の学説が広まっていった。
なお、アインシュタインの光電効果のノーベル賞は、本当は相対性理論にノーベル賞をあげようとノーベル賞の審査員は考えたが、しかし当時の学会には相対性理論への反対意見も多かったので、当たり障りのなさそうな光電効果の研究でノーベル賞をアインシュタインに授与しただけである。
さて、光電効果の式 E=hν-W と、プランクの放射式を比べれば分かるが、どちらが簡単な式かというと、明らかに光電効果の式のほうが係数の種類も少なく単純な形である。
なので、「きっと、光電効果のほうが、より基本的な物理法則に近い現象なのだろう」と考えるのも妥当であろう。教育で先に光電効果を教えてから、あとからプランクの研究成果を教えるのも、合理的かもしれない。
ただし、その基本的な物理現象とやらが、はたして光の粒子説かどうかは、実験は何も保証してくれてない。単に、人間たちが、ノーベル賞などの人間社会の権威の都合にもとづいて勝手に「光の粒子説こそが、光電効果の式の形が簡単になっている理由だ」と思い込んでいるだけである。
そもそも、光の波長は、どうやって測定されたのだろうか。
現在では、たとえば原子の発光スペクトルの波長測定なら、回折格子をプリズムとして使うことによって、波長ごとに分け、波長が測定されている。(※ 参考文献: 培風館(ばいふうかん)『step-up 基礎化学』、梶本興亜 編集、石川春樹 ほか著、2015年初版、25ページ)
おおまかな原理を述べると、可視光ていどの光の波長の測定は、回折格子によって測定するわけだが、ではその回折格子の細かい数百ナノメートル〜数千ナノメートルていどの間隔の格子ミゾをどうやって作るのか、という問題に行き着いてしまう。
歴史的には、下記のように、可視光の波長が測定されていった。
まず、1805年ごろの「ヤングの実験」で有名なヤングらの研究により、可視光の波長は、おおむね 100nm(10-7m) 〜 1000nm の程度であることは、この頃から、すでに予想されていた。
その後、ドイツのレンズの研磨工だったフラウンホーファーが、すぐれた回折格子を開発し、可視光の波長を精密に測定する事に成功した。フラウンホーファーは回折格子を作るために細い針金を用いた加工装置を製作し、その加工機で製作された回折格子を用いて、光の波長の測定をし始めたのが、研究の始まりである。1821年にフラウンホーファーは、1cmあたり格子を130本も並べた回折格子を製作した。『現代総合科学教育大系SOPHIA21第7巻運動とエネルギー』、講談社、発行:昭和59年4月21日第一刷発行発行
また、1870年にはアメリカのラザフォードがスペキュラムという合金を用いた反射型の回折格子を製作し(このスペキュラム合金は光の反射性が高い)、これによって1mmあたり700本もの格子のある回折格子を製作した。(要出典)
さらにこのころの時代、送りねじの潤滑のために水銀を使う水銀浮遊法が、研究開発で行われた。
より高精度な波長測定が、のちの時代の物理学者マイケルソンによって、干渉計(かんしょうけい)というものを用いて(相対性理論の入門書によく出てくる装置である。高校生は、まだ相対性理論を習ってないので、気にしなくてよい。)、干渉計の反射鏡を精密ネジで細かく動かすことにより、高精度な波長測定器をつくり、この測定器によってカドミウムの赤色スペクトル線を測定し、結果の波長は643.84696nmだった。マイケルソンの測定方法は、赤色スペクトル光の波長を、当時のメートル原器と比較することで測定した。川上親考ほか『新図詳エリア教科辞典物理』、学研、発行:1994年3月10日新改訂版第一刷、P.244 および P.233
マイケルソンの制作した干渉計にも、水銀浮遊法の技術が取り入れられている、というクリス・エヴァンス 著、橋本洋・上野滋 共訳『精密の歴史』、大河出版、2001年11月28日 再版、185ページ。
さらに、ネジの技術革新で、マートン・ナット(「メルトン・ナット」とも訳す)という、弾力性のある材質でネジをつくることによって誤差がならされて平均化されるので、超絶的に高精度の送りねじを作る技術が、イギリスの物理学者トーマス・ラルフ・マートン(英:Thomas Ralph Merton )などによって開発された。
なお、現代でも、研究用として干渉計を用いた波長測定器が用いられている。(要出典) メートル原器は、マイケルソンの実験の当時は長さのおおもとの標準だったが、1983年以降はメートル原器は長さの標準には用いられていない。現在のメートル定義は以下の通り。
メートルの定義
と定めることによって定義される。
ここで、秒はセシウム周波数 ''∆ν''Cs によって定義される。
thumb|300px|光電効果の実験
thumb|300px|電位と光電流の関係
太陽電池も、光電効果のような現象である、と考えられている。(※ 実教出版の教科書などで、扱っている話題。)
なお、太陽電池は一般的に半導体であり、ダイオード化したPN接合の部分に光を当てる必要がある。
(PN接合部分以外の場所に、光があたっても、生じた電力を、電流として取り出せない。電流として取り出せるようにするには、PN接合の部分に、光を当てる必要がある。このため、PN接合の片方の材質を、透明か、それに近い光透過率の材料にする必要があり、「透明電極」という。)
(※ 範囲外?: ) なお、発光ダイオード半導体は、この逆パターンとして考えられており、光電効果でいう「仕事関数」にあたるエネルギーをもった電流を流すことにより、その半導体物質の「仕事関数」にあたるエネルギーの光が、PN接合の接合面から放出される、という仕組みである。
なお、CCDカメラなどに使われるCCDは、太陽電池のような機能をもつ半導体を、電力源としてではなく、光のセンサーとして活用するという仕組みの半導体である。(※ 実教出版の教科書などで、扱っている話題。)
(※ 普通科高校の『物理』系科目では習わないが、)
物理現象の量子化として、光電効果や物質波のほかにも原子スケールの物理現象の量子化はあり、ある種類の超伝導物質では、それに通した磁束が量子化する現象が知られている。(※ 工業高校の科目『工業材料』下巻(または科目の後半)で習う。)
※ 『工業材料』の教科書には書かれてない話題だが、磁束の量子化はジョセフソン素子などとして、電圧計測などの国家標準器として、日本をふくむ世界の工業国の各国で採用されている。
※ 工業高校では、教育の順序として、もしかしたら「光電効果」よりも「超伝導での磁束の量子化」を先に教えている可能性がある。(普通科の専門『物理』が3年生で教える一方、『工業材料』は1~2年生で教える場合もあるので)ひょっとしたら将来的に普通科高校でも「磁束の量子化」を先に教える可能性がありうる。
thumb|250px|X線管陰極から出た陰極線を陽極にぶつけると、ぶつかった時にX線が出る。
thumb|X線管の原理
科学者レントゲンは、1895年、放電管をもちいて陰極線の実験をしていたとき、放電管のちかくに置いてあった写真乾板が感光している事に気付いた。
彼(レントゲン)は、陰極線がガラスに当たったとき、なにか未知のものが放射されてると考え、X線と名づけた。
やがて、さまざまな実験によって、X線は次の性質をもつことが明らかになった。
性質: 磁場や電場で曲がらない。
この事から、X線は、荷電粒子ではない事が分かる。(結論をいうと、X線の正体は、波長の短い電磁波である。)
また、
性質: X線を照射された物質はイオンに電離される。
性質: 可視光線を通さない物質でも、X線なら透過できる場合がある。
などの性質がある。
なお現代では、医療用のX線を「レントゲン」ともいう。
thumb|240px|特性X線(K線)
1912年、物理学者ラウエは、X線を単結晶に当てると、写真フィルムに図のような斑点の模様にあることを発見した。これをラウエ斑点(はんてん)といい、結晶中の原子が回折格子の役割をしたことで発生した干渉現象である。
thumb|400px|ブラッグの条件
1912年、物理学者ブラッグは、反射が強めあう条件式を発見した。
をブラッグの条件という。
上式のdは格子面の間隔の幅である。
X線を炭素塊などの(金属とは限らない)物質に当て、その散乱されたあとのX線を調べると、もとのX線の波長よりも長いものが、散乱したX線に含まれる。
このように散乱X線の波長が伸びる現象は物理学者コンプトンによって解明されたので、コンプトン効果(またはコンプトン散乱)という。
|400px|thumb|right|コンプトンによる実験略図。なお、図中の「単結晶」は波長の測定用であり 原島鮮『初等量子力学』(裳華房、2014年第40版、初版は1972年) 、「単結晶」の材質は方解石の結晶であり、散乱波長はブラッグ反射などを活用して測定する。(コンプトン本人の論文“The Spectrum of Scattered X-Rays”(May 9, 1923).に、方解石(calcite)を使っていることと、ブラッグ反射(Bragg ?)させている事が書かれている。)
この現象は、X線を波と考えたのでは説明がつかない。(もし仮に波と考えた場合、散乱光の波長は、入射X線と同じ波長になるはず。なぜなら、水面の波に例えるなら、もし水面を棒で4秒間に1回のペースで揺らしたら、水面の波も、4秒間に1回のペースで周期を迎えるのと、同じ理屈。)
さて、波動の理論でコンプトン効果を説明できないなら、粒子の理論で説明をすれば良いだろう。
この当時、アインシュタインは光量子仮説にもとづき、光子はエネルギーhνをもつだけでなく、さらに次の式で表される運動量pをもつことを発見している。
p=\frac{h\nu}{c}(=\frac{h\nu}{\nu \lambda}=\frac{h}{\lambda})
物理学者コンプトンは、この発見を利用し、波長λのX線を、運動量\frac{h}{\lambda}
とエネルギー\frac{hc}{\lambda}を持つ粒子(光子)の流れと考え、
X線の散乱を、この光子が物質中のある電子と完全弾性衝突をした結果と考えた。
コンプトンはこの考えに基づき、光子と電子の衝突前の運動量和とエネルギー和が衝突後も保存されると仮定して計算して、実験結果と良く合うあう結果が得られることを発見した。
thumb|400px|コンプトン効果この図を見ると、あたかも真空中をただよう電子に電磁波を照射したように見えるが、そうではない。コンプトン効果の発見された1920年代の当時には、まだ、空中に電子をただよわせて精度よく電磁波を照射する技術など、無い。実際にコンプトンが行った実験は、石墨の炭素などの物質にX線を照射する実験である。図中の電子は、炭素などの分子が提供する電子である。コンプトン本人の論文に、このような感じの図が書かれており、それでこのような図が普及したものと思われる。
解法は、下記のとおり。
エネルギー保存の式を立てる。
そして、運動量の保存の式を立てる。具体的には、x軸方向の運動量の保存の式と、y軸方向の運動量の保存の式を立てる。
----
エネルギー保存の式
運動量保存の式
----
上記の3つの式を連立し、この連立方程式を解くためにvとφを連立計算で消去させていき、\lambda \fallingdotseq \lambda 'のときに
\lambda ' \fallingdotseq \lambda + \frac{h}{mc} (1 -\cos \theta )
が得られる。
この式が実験式とよく一致するので、コンプトンの説の正しさは実証された。
----
(編集者へ: 記述してください。)(Gimyamma より。解法を書いてみました。)
----
式(1.2a),(1.2b),(1.2c)から、vと\phiを消去して、
\lambda,\lambda ',\thetaの関係式を求めればよい。
ⅰ)まず、式(1.2b),(1.2c)から\phiを消去する。
+\frac{h^2}{\lambda '^2}\quad (1.2d)
を得る。
式(1.2a)の右辺の第2項を変形して式(1.2d)を代入する。
これを式(1.2a)の右辺に代入すると
両辺をhcで割ると
を得る。
この式の右辺の第2項の括弧内を次のように変形する。
この式を式(1.2e)の右辺第2項に代入すると
\frac{h}{2mc}\Bigl(
\bigl(\frac{1}{\lambda}-\frac{1}{\lambda'}\bigr)^2+\frac{2}{\lambda \lambda'}(1-\cos \theta)
\Bigr)
この式の右辺の第1項を移行し、式を変形すると
\frac{h}{2mc}\Bigl(
\bigl(\frac{\lambda'-\lambda}{\lambda \lambda'}\bigr)^2+\frac{2}{\lambda \lambda'}(1-\cos \theta)
\Bigr)
両辺に\lambda \lambda'を掛けると
\frac{h}{2mc}\Bigl(
\frac{(\lambda'-\lambda)^2}{\lambda \lambda'}+2(1-\cos \theta)
\Bigr) (1.2f)
X線の散乱では、\lambda'\fallingdotseq \lambdaなので
\frac{(\lambda'-\lambda)^2}{\lambda \lambda'}は、波長に比べて非常に小さい値になり無視できる。
故に式(1.2f)から
\frac{h}{mc}
(1-\cos \theta)
\qquad (1.2g)
これで、所望の式が導出された。
----
thumb|400px|光子の流体力学的解釈
光の運動量 P[kg・m/s]=hν/c について、
まず cP=hν[J] と変形してみると、「速度に運動量をかけたものがエネルギーである」という内容の公式になっている。
これを理解するため、ひとまず、光を粒子であると同時に流体であると考えて、その電磁波が単位体積あたりの運動量pを持っているとして、その流体の運動量の密度(運動量密度)を p [(kg・m/s)/m3]としよう。この場合の電磁波は流体なので、運動量は、その密度で考える必要がある。
電磁波を物体に照射して、光が物体に吸収されたとしよう。反射はないとして、光のエネルギーはすべて物体に吸収されたとする。簡単のため、物体壁に垂直に光を照射したとする。物体への光の照射面積をA[m2]とする。
電磁波は光速 c[m/s] で進むのだから、壁からcの距離の間にあるすべての光子は、すべて単位時間後に吸収される事になる。単位時間に壁に吸収される光子の量は、その単位時間のあいだに壁に流れ込んだ光子の量であるので、
図のように、仮に底面をA[m2]として、高さhを c ( hの大きさはcに等しい。単位時間t=1をかけたとすれば h=c・1 である)[m]とする柱の体積A×c[m3]中に含まれる光子の量の総和に等しい。
いっぽう、運動量密度は p[(kg・m/s)/m3]だったので、この柱 A×h に含まれる運動量の総和は、
A×h×p[kg・m/s]である。
光を吸収した物体の運動量は、単位時間にAhpの運動量が増加することになるが、h=cであったので、つまり、運動量が単位時間あたりに Acp[kg・m/s] だけ壁に流れこむことになる。
いっぽう、高校物理の力学の理論により、「運動量の時間あたりの変化は、力である」であったので、つまり物体は、Acp[N]の力を受ける。
力を受けるのは照射された面だから、力[N]を面積で割れば圧力の次元[N/m2]=[Pa]になる。
実際に面積で割る計算をすれば、圧力として cp[N/m2]=[Pa]=[J/m3] を受ける事が計算的に分かる。さらに、圧力の次元は[N/m2]=[Pa]=[J/m3]と変形できるので、「圧力は、単位体積あたりのエネルギーの密度(「エネルギー密度」という)である」と考えよう。
とすれば cp の次元は、[圧力]=[エネルギー密度] となる。
このエネルギー密度に、hνが対応していると考えれば、合理的である。
要するに、光のような、事実上は無限に圧縮できる波・流体では、
公式として、速度をv、運動量密度をp、エネルギー密度をεとして考えれば、
という関係がなりたつ。
(なお、水や空気のような普通の流体では、無限には圧縮できないので、上記の公式は成り立たない。)
われわれがコンプトン効果の学習で分かった運動量の公式 p=\frac{h\nu}{c} は、運動量密度とエネルギー密度の関係式に、光速cと光電効果のエネルギーhνを代入したものになっている。
上記の考察は、光を流体として考えた電磁波の運動量だが、粒子として解釈された光子の運動量にも、
cP=hν という関係が成り立つと考えよう。
もし読者が、圧力をエネルギー密度と考えるのが分かりづらければ、たとえば熱力学の仕事の公式 W=P⊿V の類推をしてはどうか? なお、上記の運動量とエネルギーの関係式の導出は大まかな説明であり、正確な導出法は、(大学で習う)マクスウェルの方程式によらなければならない。
おそらく、 「光は、電子に作用するときに、光が粒子として振舞う(ふるまう)」 というのが正しいだろう。
いっぽう、やみくもに「光は粒子!光は波動ではない!!」(×)とかいうのは、単なる馬鹿のひとつ覚えである。
マクスウェルの方程式では、光(電磁波)は波動として、あつかうのである。
しかし、光電効果で起きる現象では、放出電子のもつ運動エネルギーは、光の強度とは無関係である。単純な流体として考えるなら、(たとえば集光させたり光を重ねたりして、)光の強度が上がれば、運動量密度も上がるハズだし、その帰結の放出電子のエネルギー密度も上がるハズだろいうという予測が成り立ちそうだが、しかし実験結果はその予測とは異なり、光電効果は光の強度とは無関係に光の周波数によって放出電子のエネルギーが決まる、・・・というのが、実験事実である。
このような実験結果から、20世紀初頭の当時、勃興していた量子力学などと関連づけて、「光も波であると同時に粒子である」と断定したのがノーベル財団などであり、光電効果を光の粒子説の根拠のひとつとしたのがアインシュタインの仮説であり、アインシュタインのその仮説を定説として認定したのがノーベル財団であり、現在の物理学では、光電効果が光子説の根拠として通説になっている。
光電効果の実験結果そのものは、単に、光電効果における「光」を、単純な流体・波動としては考えられないだろう・・・というだけの事である。
結局、物理学は実験科学であり、実験結果にもとづき実験法則を覚えるしかない。「光子」というアイデアは、「光電効果の放出電子1個あたりのエネルギーは、入射光の強度に寄らず、光の波長(周波数)による」という事を覚えやすくするための手段にすぎず、アインシュタインとその支持者にとっては、「光の粒子説」というのが、覚えやすくするためのモデルだっただけである(粒子なのに波長(周波数)とは、意味不明だが)。そして運動量密度とエネルギー密度の関係 vp=ε という知識もまた、光電効果の公式 cP=hν を覚えやすくするための手段にすぎない。
じっさいの光は、単純な波でもなく、単純な粒子でもなく、ただ単に、光は光であり、光でしかない。
「光の粒子説」というのは、真空中で媒質(ばいしつ)がなくても光が伝わる、という程度の意味合いでしかないだろう。アインシュタインが特殊相対性理論を発表する前までは、(20中盤以降から現代では否定されているが、)かつて「エーテル」という光を伝える媒質の存在が信じられていた。しかしアインシュタインは相対性理論により、エーテルの存在を否定した。
「光の粒子説」を発表していた者も同じくアインシュタインだったので、ノーベル財団は、本来なら特相対性理論でノーベル賞を授けるかわりに、光子説でノーベル賞をアインシュタインに授けただけだろう
物理学者ド・ブロイは、波と考えられてた光が粒子の性質をもつならば、きっと電子も粒子としての性質だけでなく、電子も波動のように振舞うだろうと考えた。
そして、電子だけでなく、一般の粒子に対しても、その考えを適用し、次の公式を提唱した。
質量m、速さvの粒子は波動性をもち、その波長は次式で与えられる。
これはド・ブロイによる仮説であったが、現在では正しいと認められている。
この波は、物質波(material wave)と呼ばれる。ド・ブロイ波(de Broglie wave length)ともいう。
すなわち、光子や電子に限らず、あらゆる物質は粒子性と波動性をあわせ持つといえる。
この物質波という説によると、もしも電子線を物質に当てれば、回折などの現象が起きるはずである。
1927年〜1928年にかけて、デビッソンとガーマーは、ニッケルなどの物質に電子線を当てる実験を行い、X線回折と同様に電子線でも回折が起きることを実証した。日本でも1928年に菊池正士(きくち せいし)が雲母片に電子線を当てる実験により回折が起きることを確認した。
電子線の波長は、高電圧をかけて電子を加速して速度を高めれば、物質波の波長はかなり小さくできるので、可視光の波長よりも小さくなる。
そのため、可視光では観測できなかたった結晶構造が、電子波やX線などで観測できるようになった。生物学でウイルスが電子顕微鏡で観測できるようになったのも、電子の物質波が可視光よりも大幅に小さいからである。
{{コラム|参考: 電子ビームによる波動性の干渉実験|
thumb|right|350px|電子の二重スリットの干渉実験
thumb|left|250px|二重スリット実験の結果
電子銃(でんしじゅう)という実験装置がある。銃といっても、べつにSFのような兵器ではなく、電子銃とは単に電子を放出するだけの装置である。
さて、この電子銃をもちいて、1個づつ電子を当てる実験を、二重スリットを使って実験すると、図のように、波動のように、電子の多く当たった場所と電子の少なく当たる場所との縞模様ができる。
このように、電子にも粒子性と波動性があり、電子は粒子でありつつ、二重スリットに向かって電子を撃ち込むと干渉を起こすという波動性も持っている。
上述のような、さまざまな実験の結果から、すべての物質には、原子ていどの大きさの世界(以降、単に「原子スケール」などと略記する)では、波動性と粒子性の両方の性質をもつと考えられている。
このことを粒子と波動の二重性という。
thumb|物理学者ハイゼンベルグ 不確定性原理の主要な提唱者である。
そして、原子スケールでは、ある一つの物質(主に電子のような粒子)について、その位置と運動量の両方を同時に決定する事はできない。このことを不確定性原理(ふかくていせい げんり)という。
right|400px|thumb|
物理学者ガイガーと物理学者マースデンは、(ラジウムから出した)α粒子をうすい金ぱくに当てる実験を行い、α粒子の散乱の様子を調べた。(なお、α粒子の正体はヘリウムの原子核。)その結果、ほとんどのα粒子は金ぱくを素通りするが、金ぱく中の一部の場所の近くを通ったα粒子だけが大幅に散乱する現象を発見した。
この実験結果からラザフォードは、原子核の存在をつきとめた。
原子は、中心に原子核があり、そのまわりを電子が運動するというラザフォードモデルとよばれるモデルによって説明される。
原子(atom)は、全体としては電気的に中性であり、負の電荷を有する電子を電子殻に持つ。
ここで、ミリカンの実験 による結果などから、電子の質量は水素イオンの質量の約1/1840程度しかないことが分かっている。
すなわち、原子は電子と陽イオンとが含まれるが、質量の大部分は陽イオンがもつことが分かる。
原子核の大きさは原子全体の1/10000程度であるため、原子の大部分は真空である。
原子核は、正の電荷をもつZ個の陽子(proton)と、電気的に中性な(A−Z)個の中性子(neutron)からなる。
陽子と中性子の個数の合計を質量数(mass number)という。
陽子と中性子の質量はほぼ等しいため、原子核の質量は、質量数Aにほぼ比例する。
高温の物体から発光される光には、どの(可視光の)色の波長(周波数)もあり、このような連続的な波長の光を連続スペクトルという。
いっぽう、ナトリウムや水素などの、特定の物質に電圧がかけられ放電したときに発光する波長は、特定の数本の波長しか含まれておらず、このようなスペクトルを輝線(きせん)という。
パルマーは、水素原子の数本ある輝線の波長が、次の公式で表現できることに気づいた。
上式中の「m」はメートル単位という意味。(上式のmは代数ではないので、間違えないように。)
その後、水素以外の原子や、可視光以外の領域についても、物理学者たちによって調べられ、次の公式へと、物理学者リュードベリによって、まとめられた。
上式のRはリュードベリ定数といい、R=1.097 \times 10^7/mである。
thumb|300px|原子内の定常波
ラザフォードの原子模型に従えば、電子は、まるで惑星の公転のように原子核を中心とする円軌道の上を一定の速度で運動する。
円運動する質点は加速度をもつので、このモデルの電子は加速度運動を続けることになる。
ところが古典電磁気学の分野で、加速度運動をおこなう電荷は電磁波を放出して、エネルギーを失うという法則が既に発見されていた。
この法則によれば、原子核の周りをまわる電子は電磁波を放出し続け、エネルギーを絶えず減らしていく。それにつれて電子は原子核に向けて落下していくため、原子核との距離を小さくしながら原子核の周りを回転し、やがて原子核に衝突してしまう。円軌道の上を安定的に運動することは不可能なのである。
プランクの提唱したエネルギー量子化の考えとアインシュタインの光量子論を取り入れた大胆な仮説を立てた(1913年)。
原子核を中心とする半径r[m]の円軌道を速さv[m/s]で回転する電子の軌道角運動量rp=mrvは\frac{h}{2\pi}の正整数倍しかとりえない,すなわち
を満たさねばならない(角運動量の量子化)。この状態を定常状態,この条件を量子条件という。
ここで、m[kg]は電子の質量を、hは プランク定数である。
このボーアの式の正整数nを量子数(りょうしすう)という。
後年(1924年)、ド・ブロイは「物質粒子は波動性を持ち、その波(物質波)は、波長
をもつ」と提唱した。また,(2.3)を変形すると
これらは電子の軌道一周の長さが電子の物質波の波長の正整数倍のとき,電子波は定常波になることを示している。
これは、円軌道上に定常波ができるための条件と同じである。
※ 検定教科書でも、ボーアの式の表記は、速度vをつかって表される表記である。
電子はあるきまったとびとびのエネルギーしか持たない。このとびとびのエネルギー値をエネルギー順位という。
逆にエネルギー順位Eの電子が外部からエネルギーh\nu = E'-Eを得ると、エネルギー順位E'に遷移する。
thumb|400px|水素原子内での電子の円運動
水素原子において、電子軌道上にある電子のエネルギーを求める計算をするが、まず、そのためには、原子の半径を求める必要がある。
水素の電子が原子核H^+を中心とする半径rの円軌道上を一定の速度vで運動しているとすれば、運動方程式は
で表される。
一方、電子が定常波の条件を満たす必要があるので、前項の式(1)から、
である。
このvをさきほどの円運動の式に代入して整頓すれば、
(ただし、n=1, 2 , 3 ,・・・)
になる。こうして、水素原子の電子の軌道半径が求まる。
さきほどの軌道半径の式でn=1のとき半径r1を「ボーア半径」という。
原子の世界でも、運動エネルギーKと位置エネルギーUの和が、エネルギーである。
位置エネルギーUは、この水素の電子の場合なら、静電気エネルギーを求めれば充分であり、電位の式によって求められて、
となる。
運動エネルギーKは、 K = \frac{1}{2}mv^2なので
上式の右辺第一項に、
m v^2 = k_0 \frac {e^2}{r} を代入すれば、
となる。
さらに、これに電子の軌道半径r=r_nの式(3)を代入すれば、
となる。これが水素原子のエネルギー準位である。
エネルギー準位の公式をよく見ると、まず、エネルギーが、とびとびの値になることが分かる。また、エネルギーが負になる事がわかる。
n=1のときが、もっともエネルギーの低い状態であり、そのため、n=1のときが安定な状態である。よって、電子は通常、n=1の状態になる。
なお、
E(=E_n) = - \frac{13.6}{n^2} \ \ \mathrm{eV}と書ける。
E_1は、約 13.6 eV になるが、これは水素のイオン化エネルギーの値である。これは、実験値にも、よく一致する。
水素原子の発する光のスペクトルの実測値を表すリュードベリの経験式については、既に「水素原子のスペクトル」の項でで説明した。
ボーアの水素原子モデルに基づいて得られたエネルギー順位と振動数条件の仮説を用いれば、この式が以下のように理論的に導出できる。
任意の正整数m、n(>m)を考える。
電子がエネルギー順位E_nから、低いエネルギー順位E_mに遷移するときに、振動数
\nu=\frac{E_n-E_m}{h}
の光子を一個放出する。
\frac{1}{\lambda} = \frac{E_n-E_m}{ch}
で与えられるので、右辺のエネルギー順位に式(4)を代入すると
が得られる。
{\bf R}\triangleq \frac{2\pi ^2 k_0{}^2 me^4} {ch^3}
で、リュードベリ定数Rを定義すると、式(5)は
Rの定義式中の諸定数に値をいれて計算すると
驚くべきことに、リュードベリの経験式が、見事に導出できたのである。
これは、ボーアの仮説の妥当性を示すものと言えよう。
{{コラム|通俗的な「光は粒子であり波である」という説明 (※ 範囲外)|
粒子と波動の二重性についての「光は粒子であり波である」という説明は、分かりやすいが意味を勘違いしやすい。
より正しくは、
「原子スケールていどの物理現象を扱うときは、古典物理のような(人間の肉眼でも観察できる程度の大きさの)巨視的な分野の「粒子」と「波」では、区別できない現象にも遭遇する。」とでも言うほうが、より正確である。
実験事実としての「光」は、巨視的な分野では基本的には「光」は波の性質をもつが、しかし巨視的でない原子などの微細な粒子への「光」の作用などを考える場合には、光電効果のように一定のエネルギーのかたまり毎に不連続に作用する現象もあるわけであるから、連続量である(古典的な)波とは性質が違う。
かといって、原子に当たる波は微視的だからといって、原子に当たった「波」がけっして質量をもつようになるわけでない。質量にはついては古典的な波と同様に、原子スケールの微視的な波でも、質量は持たない。
このように原子スケールの微視的な「波」でも、質量については、古典的な波と共通し、「波」そのものは質量をもたない。
このように、原子スケールの波においても、質量など いくつかの性質では、巨視スケールとひきつづき同様の性質をもっている要素もある。
同様に、電磁放射の問題のように「電子が波の性質をもつ」現象もあるが、しかし電子は質量をもつ。また、化学結合のさいには(化学1の授業でも習うように)「価電子」という電子の粒子1個ずつの単位を考えるのであるから、このように原子スケールであっても、電子は古典的な粒子と共通する性質も いくつか持っている。
そもそも原子からの電磁放射のないことから論理的に言えることは、単に、巨視的な分野と、原子のような微視的な分野では、「法則が違う」という事だけであり、その事だけでは、必ずしも「電子は波である」とは断定できないハズであるのだが、しかし人類は、物質波などその他の実験結果をもとに、人類は「電子は波である」と仮定して、20世紀初頭ごろに物理学の新理論(当時)を理論構築し、それが現代でも続いている。
(※ 範囲外: 大学の範囲) 実際の特性スペクトルの波長は、原子内部の電子の影響により、若干、ズレる。そういった内部電子の補正を考慮した、より精度の高い式として「モーズリーの公式」というのが知られている。なお歴史的な順序は、上述の説明の順序とは逆である。じつは先にモーズリーの式が発見され、あとから、モーズリーとは別に独立に研究されていた上述のようなボーアやラザフォードの理論を用いると、モーズリーの公式もうまく説明できるという事が物理学者コッセルによって発見された山本義隆『原子・原子核・原子力』、岩波書店、2015年3月24日 第1刷、140ページ。なおモーズリーの公式について調べたいなら、大学科学の量子化学などの科目名の教科書に記載があるだろう。
(※ 未記述)
原子核は、陽子と中性子からできている。
陽子は正電荷をもち、中性子は電荷をもたない。
では、なぜプラスの電荷をもつ陽子どうしが、なぜクーロン力で反発してしまわないのだろうか?
この理由として、つまり陽子どうしがクーロン力で反発しないための理由として、次のような理由が考えられている。
まず、陽子に中性子が近づいて混合すると、「核力」という非常に強い結合力が発生し、
この核力が陽子同士のクーロン力による強い斥力に打ち勝つので、陽子と中性子は結合していると考えられている。(必ずしも、陽子と中性子の個数は同一でなくてもいい。実際に、周期表にあるいくつもの元素でも、陽子と中性子の個数は異なる。)
比喩的に言い換えば、中性子は、陽子と陽子を結びつける、ノリのような役割をしていると、考えられている。
(※ 範囲外:) 原子番号の低い元素において、陽子と中性子の個数は、ほぼ同数である場合が多い。たとえば、酸素や窒素では、陽子と中性子は同数である。一方、元素番号の高い元素ほど(つまり周期表で下のほうの元素)、陽子よりも中性子が多く、たとえばウラン235は中性子数が陽子数の1.5倍である。このような、周期表における陽子数と中性子数の観測事実がある(周期表を調べれば、すぐに分かる)。これには核力の性質が関係していると考えられている山本義隆『原子・原子核・原子力』、岩波書店、2015年3月24日 第1刷、190ページ。
(発展: )なお、20世紀後半以降の素粒子論では、陽子と中性子はさらに小さな物質から成り立っているとされる。だが、高校生はこの単元の学習では、原子核の構成要素としては、とりあえず陽子と中性子までを考えれば十分である。
なお、名称として、陽子と中性子をまとめて「核子」と呼ばれる。
ある元素の原子核の陽子の数は、周期表の原子番号と一致する。
また、陽子と中性子の数の和は質量数とよばれる。
質量数Aの原子核は非常に強い核力のために、小さな球体状の空間の中に固まっており、その半径rは、
であることが知られている。
任意の原子核は、それを構成する核子である陽子と中性子が自由であるときの質量(単体質量という)の和より、小さい質量をもつ。この減った質量を、質量欠損と呼ぶ。
質量数A、原子番号Zの原子核の質量欠損\Delta mを、式で書けば,
原子核の質量をm、陽子と中性子の単体質量をそれぞれm_p,\ m_nとしたとき、
\Delta m = m_{p}Z+m_{n}(A-Z)- mである。
(※ 範囲外: )原子にもよるが、一般に質量欠損の大きさは、もし欠損のない状態として仮定した場合の理論値の1%ていど[https://kotobank.jp/word/%E8%B3%AA%E9%87%8F%E6%AC%A0%E6%90%8D-74242 コトバンク『日本大百科全書(ニッポニカ)の解説』(坂東弘治、元場俊雄)など ]である。精密測定で1%というのは、けっこう大きい割合である。
(※ 範囲外: )質量欠損の後でも、質量数(核子における陽子と中性子の個数の合計)は通常は保存されている山本義隆『原子・原子核・原子力』、岩波書店、2015年3月24日 第1刷、222ページ。つまり、質量数が保存されているのにもかかわらず、質量(キログラム)を測定すれば、その核子の質量(キログラム)がわずかに欠損しているのである。
{{コラム|原子レベルの質量の測定法|
thumb|right|質量分析器の模式図。試料導入部およびイオン源(左下)、分析部(左上、磁場偏向型)、イオン検出部(右上)、データ処理部(右中)からなる。
そもそも、どうやって原子や分子の質量を精度よく測定するか?
これは、「質量測定法」と言われる技術分野になり、高校レベルでは説明できない。(アインシュタインが果たして、そういった測定技術を知っていたかどうかも疑わしそうである。)
参考文献が未入手なので、断言はできないが、一般に原子レベルの質量測定法として精密科学でよく知られるものとして、右図のような、磁場によって荷電粒子を曲げる方式のものがある(※ 高校物理のローレンツ力の計算でも、似たような実験装置での円軌道の計算を習う)。
このような磁場とローレンツ力を用いた方式による質量測定は一般に、「磁場偏向型」といわれる。
このような装置により、磁場や電化の大きさは実験的に決定できるので、曲率が質量の関数になるので、つまり半径から質量が逆算できる。
測定対象の元素材料が中性の原子であっても、その原子が固体なら、それに電子ビームを当てて、電子によって弾き飛ばされた材料が帯電してイオン化しているので、それから、上記のような磁場による質量測定が可能になる。
文献、
によると、1919年に科学者アストン(人名)によって質量分析器が発明されたので、質量欠損もそれを用いて測定された、とその文献では主張されている。
重要なこととして、こらら原子の質量は測定的に決定できる数値である。けっして、何らかの仮定にもとづく理論計算ではない。また、古典物理以上の知識(相対性理論や量子力学など)を必要としない、古典的な電磁気学などの古典物理学にもとづく実験装置で測定できる実験事実である。
なお、化学の同位体の存在やその質量も、このころ、このような装置で発見された。
なお(高校では習わないが)、原子質量がいくつもの元素で測定できるので、派生的に、まず
化学の理論で分かる原子番号Zと原子量Aと、測定された原子の質量の測定値Mをもとに、
Z,AからMを求める公式が作成された(ワイツゼッカーの公式。1935年)。
また、原子半径の予想値なども算出されていった(レインウォーター(人名)。1953年)。
測定実験の事実として、陽子単独や中性子単独の質量の倍数や和よりも、それらの結合した原子核のほうが質量が低いので、陽子や中性子が結合すると質量の一部が欠損するというのが、測定結果の事実である。
なので、質量欠損のとりあえずの原因として考えられているのは、陽子や中性子どうしの結合である[https://kotobank.jp/word/%E8%B3%AA%E9%87%8F%E6%AC%A0%E6%90%8D-74242 コトバンク『世界大百科事典 第2版の解説』など ]と考えられている。
だが、では、なぜ陽子や中性子が原子核として結合すると質量が欠損するかの理由としては、けっして「結合だから」という理由では説明がつかない。
なので、物理学者たちは、質量欠損の起きる根本的な原因となる物理法則して、アインシュタインの相対性理論を適用している。(検定教科書でも、相対性理論の結果であるとして説明する立場)
(アインシュタインの特殊)相対性理論から導かれる結果として(※ 備考: 相対論には一般相対論と特殊相対論の2種類がある)、質量mとエネルギーEには、
という関係式があるとされる。
なお、C とは光速の値である。
あるいは別の書式として、変化を表すデルタ記号Δを使て、
などと書く場合もある。
つまり、もし何らかの理由で、真空から質量が発生または消失すれば、そのぶんの莫大なエネルギーが発生するというのが、相対性理論でのアインシュタインなどの主張である。
さて、自由な陽子と中性子は、核力により結合するとき、その結合エネルギーに相当するガンマ線を放射することが知られている。
そして、ガンマ線にもエネルギーがある。
なので、陽子と中性子の結合したときのガンマ線のエネルギーは、質量欠損によって生じたと考えると、測定結果とツジツマが合う。(測定結果は、あくまで質量が欠損することまで。)
核子の結合において、質量欠損\Delta m が、ガンマ線などのエネルギーに転化した、と物理学者たちは考えている。
元素の中には、放射線(radiation)を出す性質をもつものがあり、この性質を放射能(radioactivity)という。
また、放射能をもつ物質は放射性物質といわれる。
放射線には3種類存在し、それぞれα線、β線、γ線という。
α崩壊は、親原子核からヘリウム原子核が放射される現象である。
このヘリウム原子核はα粒子とよばれる。
α崩壊後、親原子核の質量数は4小さくなり、原子番号は2小さくなる。
β崩壊は、親原子核の中性子が陽子と電子に変化することで、電子が放射される現象である。
(備考: このとき、反ニュートリノとよばれる微小な粒子も同時に放出されると、近年の学説では考えられている。)
なお、この電子(ベータ崩壊として放出された電子のこと)は「β粒子」ともよばれる。
β崩壊後、親原子核の質量数は変化しないが、原子番号は1増加する。
γ線は、α崩壊またはβ崩壊直後の高エネルギーの原子核が、低エネルギーの安定な状態に遷移するときに放射される。
γ線の正体は光子で、X線より波長の短い電磁波である。
α崩壊やβ崩壊によってもとの原子核の数は徐々に減っていくが、これらの崩壊は原子核の種類ごとに決まった一定の確率で起きるので、崩壊によってもとの原子核の数が減る速度は原子核の個数に比例して変化する。しかし、崩壊によってもとの原子核の数が半減するのにかかる時間は、原子核の種類だけによってきまる。そこで、この時間のことをその原子核の 半減期(はんげんき、half life ) と呼ぶ。崩壊によって原子核の個数がどれだけになるかは、この半減期を用いて記述することができる。原子核の半減期をT、時刻tでの原子核の個数をN(t)とすると、
が成り立つ。
原子核の崩壊速度は、原子核の個数に比例すると述べた。実は、上に述べた公式はこの情報だけから純粋に数学的に導き出すことができるものである。高等学校では扱わない数学を用いるが、興味のある読者のためにその概要を記しておく。
原子核の個数と崩壊速度の間の比例定数は原子核の種類によって決まる。この定数をその原子核の崩壊定数という。崩壊定数がλの原子核の時刻tでの個数をN(t)とすると、その変化速度、すなわちN(t)の微分は、
で表される。このような、ある関数とその微分との関係を表した式を微分方程式といい、微分方程式を満たすような関数を求めることを、微分方程式を解くという。(詳しい解法は解析学基礎/常微分方程式で説明するが、)この微分方程式を解くと
が得られる。(この式が確かに先ほどの微分方程式を満たしていることを確かめてみよ)
半減期Tとは、N(t)=\frac{1}{2}N(0)となるtのことなので、先ほどの式から
が得られる。よって、
が得られる。
{{コラム||
(※ 範囲外: 科学思想における影響.)上述の「半減期は原子核の種類によって決まる」という事は、言い換えれば「半減期は原子核の種類によってしか決まらない」という事でもある。これの意味する事は、やや天下り(あまくだり)的な説明だが、上述のような放射性壊変などの現象は「放射壊変は、確率論的に発生している物理現象である、という可能性が高い」という意味である。
たとえば、ウラン鉱石から(発見当時の技術では無理だが)原子1個ぶんを取り出したあと、半減期の時間が経ったからって、そのウラン原子が、けっして「確実に放射壊変して別原子に変化している」とは言えない、のである。確率論的・統計数学的に「半減期の時間が経過したら、だいたいこのくらいの量や確率で放射壊変している」としか言えない、という意味である。
「確率論」という用語に対して一方、「決定論」(けっていろん)という別の哲学的な用語がある。古典力学、いわゆるニュートン力学などのような初期値や初速度さえ決まれば原理的には、未来の現象を精度よく計算できるような現象あるいは世界観のことを、「決定論」という。
かつて、ガリレオやニュートンなどの古い時代の物理学は、決定論的な世界観を前提としていた(ガリレオなどが『決定論』という用語を知っているかは、ともかく)。
しかし、放射壊変などの現象が「確率論的である」という事の意味はつまり、とする「決定論」に対して、放射壊変などが反例のような現象になっているという意味である。これはつまり、それ以前の決定論的な世界観に対する、大変革を意味する。
なお、熱力学では統計的な考え方を用いるが、これは決定論的な世界観の時代の古い物理学者にとっては、「もし気体原子が1個だけなら、その運動は決定論的に記述できるが、しかし原子の個数が膨大すぎるので、人間が計算できないから、しかたなく統計的な考え方を使っているだけである」という風に、便宜的に統計を用いているだけであるという世界観であり、古典熱力学は決定論の破綻とは思われていなかった。
実際、高校物理2の熱力学で習うような気体分子運動論も、理論の創始者であるマクスウェルやボルツマンなどは、決定論的な前提で、気体分子の運動を解析していた[http://www.ivis.co.jp/text/201205230606.pdf 科学哲学入門2 「理系人に役立つ科学哲学」を読む]、25ページ。
しかし、原子物理における放射壊変はそうではなく、そもそも扱う物質(たとえばウラン鉱石など)が気体である必要は無いし、(ウラン鉱石などは固体なので静止しており)そもそも運動してないし、また、多数の原子の集団である必要すらもなく、つまり原理的には1個の原子または数個程度からなる結晶であっても良い。つまり気体熱力学のような多数の粒子からなる内部構造をもたないにも関わらず、放射改変はその法則を表す基本公式のそのもの自体4に、統計的な式が含まれている。
しかも放射壊変は、物質を構成する原子そのものの現象である。
だから、熱力学の場合とは違い、放射壊変は、(のちの物理学からの後知恵であるが)決定論的な世界観だけでは説明できない事であり、のちの量子力学(りょうしりきがく)などにつながる、いわゆる『現代物理学』といわれる、(放射壊変の分野が、後知恵だが)物理学の新しい世界観につながる分野の先駆けとなったという意義がある。
(たしか高校物理では、上述のような感じのことを物理科の教師が授業中に口頭で説明したりする場合がある。しかし科学思想などは高校物理の範囲外なので、検定教科書には記載されない。また、必然的に大学入試にも出題されないので、上述の科学史の歴史観については丸暗記は不要。
高校物理では、放射能の分野とは別に、原子の「物質波」とか、電子の「波動性」とかの現代物理的な波動の概念を、物理2(専門物理)科目で習い、そういった波動性に関する事も、ニュートン力学的な決定論の破綻になる。だが、その「波動性」うんぬんの理論を前提としなくても、放射壊変という実験事実だけでも、(質点や剛体の運動のような)ニュートン力学的な決定論的な世界観が、くつがえされるされるのである。
実際、コラム外の上記の本文の話題では、一切、電子や原子などに波動性があるかどうかの話題はしていない。
なお、高校物理の教育では、よく、放射破変の単元で、上述のようにニュートン力学の決定論が破綻している事を教えることにより、高校の頭を現代物理的な世界観にならしすことで、のちの単元の物質波や電子の波動性などの単元に導入しやすいようにするく・・・というような教育手法が行われたりする。
[[File:Cloud chamber ani bionerd.gif|thumb|right|300px|霧箱(きりばこ)の実験。陽子は電荷(正電荷)をもっているため、霧箱でも観測することができる。 (※ この画像は、陽子の観測実験ではない。霧箱の原理説明のための画像である。)霧箱(きりばこ)という、蒸気のつまった装置をつかうと、なんらの粒子が通過すると、その粒子の軌跡で、気体から液体から凝着が起きるので、軌跡が、目に見えるのである。(イメージ的には、飛行機雲のようなのを、イメージしてください。)
で、磁場を加えた場合の、軌跡の曲りぐあい等などから、比電荷までも予想できる。]]
ラザフォードは、窒素ガスを密閉した箱にα線源があると、正電荷をもった粒子が発生することを発見した。
この正電荷の粒子が、陽子である。つまり、ラザフォードは陽子を発見した。
同時に、酸素も発生することを発見し、その理由は窒素が酸素に変換されたからであり、つまり、原子核が変わる反応も発見した。
これらのことを式にまとめると、
である。
このように、ある元素の原子が、別の元素の原子に変わる反応のことを 原子核反応 という。または、「核反応」という。
(※ 範囲外: )霧箱は、種類にもよるが、普通、エタノールまたはアルゴンの気体が封入される山本義隆『原子・原子核・原子力』、岩波書店、2015年3月24日 第1刷発行、P80。
霧箱のような実験装置の用途として、陽子の実験の用途のほか、原子核反応の回数を観測する目的でも使うことが出来る。放射線の測定器のいわゆる「ガイガーカウンター」の原理も、霧箱と類似している。原理的な放射線測定器であるガイガー・ミュラー管には気体(アルゴンやエチレンガスなどの不活性な気体)が封入されている。霧箱のように気気体を封入した測定管に、高電圧をかけた電気極板を追加することで、放射線をとらえるようにしたものがガイガー管である[http://www.agc.a.u-tokyo.ac.jp/radioecology/pdf/190930_radioecology_supplement2.pdf ]。物理学者ガイガーは、このような測定器を開発し、さらに原子核反応によって生成されるヘリウム分子を集めて気体として封入し、(※ wiki補足: そのヘリウムに気体の状態方程式などを適用する事により、)当時としては最高水準の精度でアボガドロ定数を測定する事に成功した山本義隆『原子・原子核・原子力』、岩波書店、2015年3月24日 第1刷発行、P81。当時知られていた、プランクの熱輻射の理論から算出されるアボガドロ定数の値や(ボルツマン定数 Na k と気体定数 k の比からアボガドロ定数 Na が求められる)物理学者ベランがブラウン運動から求めたアボガドロ定数に、ガイガーのアボガドロ定数の精度は匹敵する精度であった山本義隆『原子・原子核・原子力』、岩波書店、2015年3月24日 第1刷発行、P82。
thumb|right|300px|霧箱実験。サッと現れる白い軌跡が、荷電粒子や放射線が通過した跡。
thumb|right|300px|霧箱を覗き込む物理学者(1957年)。中心にポロニウムが置かれており、そこから放射される放射線(アルファ粒子)が、花びらのような形で可視化されている。
まず、宇宙線の観測により、μ粒子というのが、発見されている。
そもそも、どうやって素粒子を観測するかというと、いくつかの方法があるが、
などが使われた。
(※ 高校で習う範囲内。X線や原子核の単元で、霧箱(きりばこ)を習う。)
霧箱(きりばこ)という、蒸気のつまった装置をつかうと、なんらの粒子が通過すると、その粒子の軌跡で、気体から液体から凝着が起きるので、軌跡が、目に見えるのである。(※ 検定教科書では、原子核の分野で、霧箱について習う。)(イメージ的には、飛行機雲のようなのを、イメージしてください。)
で、磁場を加えた場合の、軌跡の曲りぐあい等などから、比電荷までも予想できる。
このように、霧箱をつかった実験により、20世紀前半〜中盤ごろには、いろいろな粒子が発見された。
μ粒子以外にも、陽電子(ようでんし)が、霧箱によって発見されている。
(※ 範囲外:)世界初で陽電子を実験的に観測したアンダーソンは、霧箱に鉛板を入れることで陽電子を発見した。
というか、(μ粒子の発見よりも)陽電子のほうが発見は早い。
(※ 範囲外:)また、陽電子は、量子力学のシュレーディンガー方程式に、特殊相対性理論とを組み合わせた、「ディラックの方程式」から、理論的に予想されていた。
まず、「陽電子」という物質が1932年に鉛板を入れた霧箱(きりばこ)の実験でアンダーソン(人名)によって発見されており、陽電子は質量が電子と同じだが、電荷が電子の反対である(つまり陽電子の電荷はプラスeクーロンである)。(※ 鉛板については高校の範囲外。)
そして、電子と陽電子が衝突すると、2mc2のエネルギーを放出して、消滅する。(この現象(電子と陽電子が衝突すると2mc2のエネルギーを放出して消滅する現象)のことを、「対消滅」(ついしょうめつ)という。)
陽子に対しても、「反陽子」がある。反陽子は、電荷が陽子と反対だが、質量が陽子と同じであり、陽子と衝突すると対消滅をする。
中性子に対しても、「反中性子」がある。反中性子は、電荷はゼロだが(ゼロの電荷の±を反対にしてもゼロのまま)、質量が同じで、中性子と対消滅をする。
陽電子や反陽子や反中性子のような物質をまとめて、反物質という。
(※ 範囲外: )放射性同位体のなかには、崩壊のときに陽電子を放出するものがある。最先端の病院で使われるPET(陽電子断層撮像法)技術は、これを応用したものである。フッ素をふくむフルオロデオキシグルコースという物質はガン細胞によく取り込まれる。PET診断では、これに(フルオロデオキシグルコースに)放射性のフッ素 18F をとりこんだ放射性フルオロデオキシグルコースを用いている。(※ 啓林館の『化学基礎』の教科書に、発展事項としてフルオロデオキシグルコースがPET診断で使われてることが紹介されている。)
thumb|400px|宇宙線は、図のように、地球の大気圏などに含まれる原子核に衝突することにより、いくつもの二次的な宇宙線を発生する。地球の高山で観測できる宇宙線は、二次的な宇宙線のほうである。いっぽう、宇宙空間を飛んでいる宇宙線は、一次宇宙線という。(※ 高校の範囲内) 宇宙線として観測されるμ粒子や陽電子やπ中間子は、このような現象によって発生したと考えられている。
反物質とは別に、μ粒子が、宇宙線の観測から、1937年に見つかった。
このμ粒子は、電荷は、電子と同じだが、質量が電子とは違い、μ粒子の質量は、なんと電子の約200倍の質量である。
μ粒子は、べつに陽子や電子の反物質ではないので、べつに陽子とも対消滅を起こさないし、電子とも対消滅を起こさない。
なお、μ粒子にも、反μ粒子という、反物質が存在することが分かっている。
このような物質が、われわれの住んでいる地上で見つからないのは、単に地上の大気などと衝突して消滅してしまうからである。
なので、高山の頂上付近などで観測実験をすると、μ粒子の発見の可能性が高まる。
なお21世紀の現在、μ粒子を活用した技術として、現在、火山などの内部を観察するのに、活用されている。μ粒子は、透過力が高いが、地上の物質と反応して、わずかに消滅してしまうので、そのような性質を利用して、火山内部のように人間が入り込めない場所を観察するという技術が、すでにある。
乾板中の成分にμ粒子が当たることで、電気化学的な反応が起こり、乾板が反応する。
早い話、X線とX線乾板の原理と同じような原理で、μ粒子を使った(火山などの)内部研究が行われてた。近年は、原子核乾板の代わりに、半導体センサーを使って、検出している(要するに、デジカメの光センサーなどと同じ原理)。
このような観測に使われるμ粒子をどうやって発生させるのか?
宇宙線から飛んでくるμ粒子をそのまま使うという方法もありそれを実行している研究者もいるが、それとは別の手法として、加速器などで人工的にμ粒子などを発生させるという方法もある。
加速器を使った方法は、下記の通り。
まず、シクロトロンやサイクロトロンを使って、電子などを超高速に加速させ、それを一般の物質(グラファイトなど)に当てる。
すると、当然、いろんな粒子が発生する。
そのうち、π中間子が、磁気に反応する(と考えられている)ので、大きな電磁石コイルで、π中間子を捕獲する。
このπ中間子が崩壊して、μ粒子が発生する。
そもそも宇宙線が何によって発生しているかの発生原因は、現時点の人類には不明である。(※ 参考文献: 数研出版の資料集の『図説物理』)
超新星(ちょうしんせい)爆発によって宇宙線が発生するのでは、という説もあるが、とにかく宇宙線の発生原因については未解明である。
電子や陽子や中性子などは、「スピン」という磁石のような性質をもっている。磁石にN極とS極があるように、スピンにも、2種類の向きがある。スピンのこの2種類の向きは、「上向き」と「下向き」に、よく例えられる。磁石の磁力の発生原因は、磁石中の分子の最外殻電子のスピンの向きが同一方向にそろっているから、であると考えられている。
全分子は、電子や陽子や中性子を含むのに、なのに多くの物質が、あまり磁性を発生しないのは、反対符号のスピンをもつ電子が結合しあうことで、打ち消しあうからである。
(てっきり、電子と陽子のような電荷をもつ粒子にしかスピンがないと誤解している人もいるが、中性子にもスピンはある。)
中学高校で観測するような普通の方法では、スピンが観測できないが、分子などの物質に磁気を加えつつ高周波を加えるなどすると、スピンの影響によって、その分子の振動しやすい周波数が違うなどの現象をもちいて、間接的に(電子などの)スピンを観測できる。(なお、核磁気共鳴法(NMR、nuclear magnetic resonance)の原理である。 ※ 理論的な解析は、大学レベルの力学の知識が必要になるので省略する。) 分子中の水素原子や、ある種の放射性同位体(中性子がたった1個ふえただけの同位体)など、高周波の影響を受けやすく、その理由のひとつが、スピンによるものだと考えられてる。(※ なお、医療で用いられるMRI(magnetic resonance imaging)は、この核磁気共鳴法(NMR)を利用して人体内部などを観測しようとする機器である。)
さて、実は素粒子も、スピンをもつのが普通である。
μ粒子はスピンをもつ。
μ粒子の「スピン」という性質による磁気と、μ粒子の透過性の高さを利用して、物質内部の磁場の観測方法として既に研究されており、このような観測技術を「μオンスピン回転」という。超伝導体の内部の観測などにも、すでに「μオンスピン回転」による観測が研究されている。
ウィキペディア記事『ミュオンスピン回転』によると、μオンの崩壊時に陽電子を放出するので、陽電子の観測技術も必要である。(高校の範囲外であるが、)これからの学生は、いろいろと勉強する事が多い。
陽子と中性子は、質量はほとんど同じである。電荷が違うだけである。
そして、電子と比べると、陽子も中性子も、質量がかなり大きい。
この事から、「陽子や中性子にも、さらに中身があり、別の粒子が詰まっているのでは?」という疑問が生まれてきて、陽子や中性子の内部の探索が始まった。
しかし、現在でも、陽子や中性子の内部の構造は、実験的には取り出せてはいない。(※ 陽子や中性子の内部構造として説明されている「クォーク」は、単独では発見されていない。クォークは単に、内部の説明のための、概念である。)
歴史的には、まず、陽子と中性子の内部構造として、架空の素粒子を考えられ、陽子と中性子は、それらの素粒子の状態が違うだけ、と考えられた。
いっぽう、電子には、内部構造がない、と考えらている。
され、20世紀なかば、量子力学では、そのころ、すでに、電子の状態として「スピン」という概念が、みつかっていた。量子力学では、化学結合で価電子が2個まで結合して電子対になる理由は、このスピンが2種類しかなくて、反対向きのスピンの電子2個だけが結合するからである、とされている。
スピンの2種類の状態は、「上向き」「下向き」というふうに、よく例えられる。(実際の方向ではないので、あまり深入りしないように。)
このような量子力学を参考にして、陽子と中性子でも「アイソスピン」という概念が考えられた。(※ 「アイソスピン」は高校範囲外。)
陽子と中性子は、アイソスピンの状態が違うだけ、と考えられた。
その後、20世紀半ば頃から、「アイソスピン」を発展させた「クォーク」という理論が提唱された。
架空の「クォーク」という3個の素粒子を仮定すると、実在の陽子や中性子の成り立つモデルが、実験結果をうまく説明できる事が分かった。
電荷(+\frac{2}{3}e)をもつ素粒子「アップクォーク」と、±(-\frac{1}{3}e)をもつ素粒子「ダウンクォーク」があって、
と考えると、いろいろな素粒子実験の結果をうまく説明できる事が分かった。
なお、電子には、このような内部構造はない、と考えられいる。
アップクォークは「u」と略記され、ダウンクォークは「d」と略記される。
陽子のクォーク構造はuudと略記される(アップ、アップ、ダウン)。
中性子のクォーク構造はuddと略記される(アップ、ダウン、ダウン)。
なお、上記の説明では省略したが、おおよそ1950〜60年代ごろまでに、高山での宇宙線の観測や、あるいは放射線の観測や、またあるいはサイクロトロンなどによる粒子の加速器衝突実験により、陽子や中性子のほかにも、同程度の質量のさまざまな粒子が発見されており、それら新種の粒子は「中間子」に分類された。
そもそも、「クォーク」の理論は、このような20世紀半ばごろまでの実験や観測から何百個もの新種の粒子が発見されてしまい、そのような経緯があったので、クォークの理論が提唱されたのである。
さて、「中間子」(ちゅうかんし、mason メソン)とは、もともと理論物理学者の湯川秀樹が1930年代に提唱した、陽子と中性子とを引き付けているとされる架空の粒子であったが、20世紀なかばに新種の粒子が発見された際、「中間子」の名前が使われることになった。
さて、実験的に比較的早い時期から発見された「中間子」では、「π中間子」がある。ある種類のπ中間子は、アップクォークと反ダウンクォークからなり、π+と略記される。(ダウンクォークの反物質が、反ダウンクォーク。) π+=u\overline{d}
別のある種類のπ中間子は、ダウンクォークと反アップクォークからなり、πーと略記される。π-=\overline{u}d
このように、ある粒子内のクォークは合計2個のであっても良い場合もある。(かならずしも、陽子のようにクォーク3個でなくてもかまわない場合もある。)
(※ このような実験例から、粒子内に合計5個のクォークや7個のクォークを考える理論もあるが、しかし高校物理の範囲を大幅に超えるので、説明を省略。)
また、中間子は、自然界では短時間のあいだだけ、存在できる粒子だという事も、観測実験によって、分かってきた。(中間子の存在できる時間(「寿命」)は短い。すぐに、他の安定な粒子に変換してしまう。)
しかし、アップとダウンだけでは、説明しきれない粒子が、どんどんと発見されていく。クォークの提唱時の当初は、おそらく、 「クォークのアップとダウンで、きっと、ほとんどの中間子の構造を説明できるだろう」 と期待されていたのだろうが、しかし、宇宙線から1940年代に発見された「K中間子」の構造ですら、アップとダウンでは説明できなかった。
このほか、加速器の発達などにより、アップとダウンの組み合わせだけで説明できる数を超えて、どんどんと新種の「中間子」が発見されてしまい、もはやアップとダウンだけでは、中間子の構造を説明しづらくなってきた上、μ粒子が、説明できない。
また、加速器実験により、1970年代に「D中間子」など、さまざまな中間子が、実験的に実在が確認された。
このように、アップとダウンだけでは説明のできない、いろいろな粒子が存在することが分かり、そのため、素粒子理論では、「アップ」(u)と「ダウン」(d)という2種類の状態の他にも、さらに状態を考える必要に、せまられた。そして、新しい状態として、まず「チャーム」(記号c)と「ストレンジ」(記号s)が考えられた。加速器実験の技術が発展し、加速器実験の衝突のエネルギーが上がってくると、さらに「トップ」(記号t)と「ボトム」(記号b)というのが考えられた。
なお、μ粒子には内部構造はないが、陽子や中性子に電子を対応させるのと同様に(第1世代)、チャームやストレンジからなる陽子的・中性子的な粒子とμ粒子を対応させた(第2世代)。同様に、トップやボトムからなる粒子にμ粒子を対応させた(第3世代)。
電子やμ粒子は内部構造をもたないと考えられており、「レプトン」という、内部構造をもたないとされるグループに分類される。
「K中間子」は、第1世代のクォークと第2世代のクォークから成り立っている事が、分かっている。(※ 検定教科書の範囲内。)
そして、2017年の現在までずっと、クォークの理論が、素粒子の正しい理論とされている。
素粒子の観点から分類した場合の、陽子と中性子のように、クォーク3個からなる粒子のことを、まとめて「バリオン」(重粒子)という。π中間子(π+=u\overline{d})など、クォークが2個の粒子は、バリオンに含まない。
しかし、中間子のなかにも、ラムダ粒子(uds、アップダウンストレンジの組み合わせ)のように、クォーク3個からなる粒子もある。ラムダ粒子なども、バリオンに含める。
陽子と中性子やラムダ粒子などといったバリオンに、さらに中間子(中間子は何種類もある)を加えたグループをまとめて、「ハドロン」という。
なお、普通の物質の原子核では、陽子と中性子が原子核に集まっているが、このように陽子と中性子を原子核に引き合わせる力のことを核力という。核力の正体は、まだ、あまり解明されていない(少なくとも高校で教えるほどには、まだ充分には解明されていない)。
ともかく、バリオンには、核力が働く。通説では、中間子にも、核力は働くとされている。つまり、ハドロンに、核力が働く。
ハドロンは、そもそもクォークから構成されている事から、「そもそもクォークに核力が働くのだろう」的な事が、考えられている。
理論では、クォークとクォークどうしを引き付けあう架空の粒子として「グルーオン」が考えられており、物理学者から理論が提唱されているが、その正体は、まだ、あまり解明されてないが、しかし物理学者たちは「グルーオンを発見した」と主張している。
現在の物理学では、クォークが単独では取り出せていないのと同様に、グルーオンも単独では取り出せてはいない。
さて、物理学では、20世紀から「量子力学」という理論があって、この理論により、物理法則の根源では、波と粒子を区別するのが無意味だと言われている。そのため、かつては波だと考えられていた電磁波も、場合によっては「光子」という粒子として扱われるようになった。
このように、ある波や力場(りきば)などを、理論面では粒子に置き換えて解釈して扱う作業のことを、物理学では一般に「量子化」という。
グルーオンも、クォークとクォークを引き付ける力を、量子化したものであろう。電荷との類推で、クォークにも色荷(カラー荷)というのが考えているが、その性質は、あまり解明されてない(少なくとも高校で教えるほどには、まだ充分には解明されていない)。
グルーオンのように、力を媒介する粒子のことをゲージ粒子という。
重力を媒介する架空の粒子のことを重力子(グラビトン)というが、まだ発見されていない。物理学者たちも「グラビトンは、まだ未発見である」と主張している。
電磁気力を媒介する粒子は光子(フォトン)というが、これは単に、電磁場を仮想的な粒子として置き換えて扱っただけである。フォトンは、高校物理の電磁気分野で習うような古典的な電磁気計算では、まったく役立たない。
なお、光子もゲージ粒子に含める。
つまり、光子やグルーオンは、ゲージ粒子である。
ベータ崩壊をつかさどる力のことを「弱い力」といい、この力を媒介する粒子を「ウィークボソン」というが、性質は、よく分かっていない。しかし物理学者たちは「ウィークボソンを発見した」と主張している。
そもそも「ボソン」とは何か?
量子力学のほうでは、電子のような、一箇所にたかだか数個までしか存在できない粒子をまとめてフェルミオンという。フェルミオン的でない別種の粒子としてボソンがある。光子も、ボソンとして扱われる。
「ウィークボソン」とは、おそらく、弱い力を媒介するボソンだからウィークボソンと呼んでいるのだろう。
さて、電荷との類推で、「弱い力」に関する「弱荷」(じゃくか)というのも提唱されているが、しかし、その性質は、あまり解明されてない(少なくとも高校で教えるほどには、まだ充分には解明されていない)。
さて、「弱い力」のある一方、グルーオンの媒介する力のことを「強い力」ともいう。
1956年に、電子のスピンの方向と、ベータ崩壊粒子の出て来る方向との関係を見るための実験として、コバルトの放射性同位体であるコバルト60をもちいて次のような実験が、アメリカで行われた。
コバルト元素(元素記号: Co )の放射性同位体であるコバルト60を極低温に冷却し、磁場をかけて多数のコバルト原子の電子殻の孤立電子スピンの方向をそろえた状態で、コバルト60がベータ崩壊して発生するベータ粒子の出る方向を調べる実験が、1956年にアメリカで行われた。
鉄とニッケルとコバルトは、それぞれ金属単体で磁性体になる元素である。元素単体で磁性体になる元素は、この3つ(鉄、ニッケル、コバルト)しかない。(なお、放射性同位体でない通常のコバルトの原子量は59である。)
この3つ(鉄、ニッケル、コバルト)のなかで、コバルトが一番、磁気に寄与する電子の数が多いことが量子力学の理論により既に知られたいたので(コバルトがもっとも、d軌道の電子の数が多い )、ベータ崩壊とスピンとの関係をみるための実験に、コバルトの放射性同位体であるコバルト60が使われたのである。
実験の結果、コバルト60がベータ崩壊してベータ粒子の出てくる方向は、コバルト60のスピンの磁気の方向と(同じ方向よりも)逆の方向に多く放出されているのが観測された。これは、2種類(スピンと同方向にベータ粒子の出る場合と、スピンと反対方向にベータ粒子の出る場合)の崩壊の確率が異なっており、ベータ崩壊の確率の(スピン方向を基準とした場合の)方向対称性が敗れていることになる。
このような実験事実により、「弱い力」は非対称である、というのが定説。 |
962 | さて、スネアドラムがどのような楽器かわかったところで、スティックの持ち方を解説しましょう。スティックの持ち方には大きく分けて二種類あります。それは、マッチド・グリップとトラディショナル・グリップです。
もっとも初心者に親しみやすい持ち方は、マッチド・グリップです。後述するトラディショナル・グリップとは違い左右対称で持つので親しみやすいのです。
1、両手の親指と人差し指で、スティックの根本からみて三分の1程度の場所をつまむ。
ここで重要なのは、あくまでつまむだけという事です。強く握りすぎてもいけないし、逆に弱すぎるとスティックは手に馴染んでくれません。
2、残り3本の指で、スティックを覆う
握ってはいけません。ここに力が入ってしまうと、これから行う二つ打ちがしにくくなってしまいます。
マッチド・グリップの持ち方はこれで以上です。そんなに難しくないでしょう? |
963 | このページではWikibooksのマークアップについて説明しています。基本方針に反しない内容で試し書きしたいときは、練習・実験用のサンドボックスを使ってください。
このページ以外では、以下のページが参考になるでしょう。
WikipediaのHelp:ページの編集も参照。
Wikibooksはウィキというシステムを使っているので、とても簡単に各ページを編集することができます。
ただ単にページ内にある「編集」というリンクをクリックすれば、 ページの内容に変更を加えることができます。このリンクはページの一番上の方か、一番下の部分にあります。あるいは、「ノート」というリンクをクリックして、それから(新しく出てきたページにある)「このページを編集」というリンクをクリックして、ページの内容について議論したり、意見を書いたりして下さい。「このページを編集」というリンクをクリックすると、そのページの文章が編集できる特別な「テキスト・ボックス」が表示されますから、そこを書き換えます。
編集が終わったら、テキスト・ボックスの下にある「プレビューを実行」というボタンを押します。今あなたが編集した結果が表示されるので、 Wikibooks 特有のマークアップ(リンク・見出し・箇条書きなど)がうまくいったか、誤字脱字はないかが確認できます。問題がなければ、編集内容の要約や情報の出典を記入してから、「以下の記述を完全に理解し同意した上で投稿する」というボタンを押して下さい。それで完了です。
自分の好きなテキストエディタを使って編集作業をしたい人がいるかもしれません。その場合には、最初に Wikibooks の文章をエディタにコピー・アンド・ペーストして、編集やスペルチェックをし、それを元のウィキのページにペーストし直して、プレビューすればOKです。この方法だと、自分で書いたページのバックアップを自分のコンピューターに保存しておくことができ、インターネットに接続していなくても編集作業ができます。また、何らかの事故で編集結果が失われる危険性も減少します。
新しいページを作った後、次の項目について作業すると良いでしょう。
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ログインしているユーザーは編集時に「細部の編集」にチェックを入れることが出来ます。これは、スペルミスやフォーマットなどの内容の変更を伴わないものに使用します。最近更新したページでは、細部の編集を隠すことができます。ですから、細部の編集をつけたまま文章を削除することはよくありません。もしも、だれかが文の削除を含むのに間違えて「細部の編集」にチェックをしたまま保存した場合には、その後の編集では「細部の編集」をはずして、要約欄に「 -- 直前の編集は細部ではない」などと付け加えてください。
下に示す表では、左側が Wikibooks で使える特殊効果のリストです。対応する右側にはどのようにしたらその特殊効果が使えるかが説明されています。つまり、編集の際に右側にあるように入力すると、左側のような特殊効果がかかって表示されます。プレビューで確認しながら作業すると良いでしょう。
このページを、独立したウィンドウとして表示させておいて作業中に参照するのも便利かも知れません。
もしも何かを試したいけれども失敗やダメージが心配な場合には、サンドボックスのページを利用することもできます。
現在の Wikibooks では、記事内の先頭部分にページ内の目次が表示されるようになっています。表示される位置ははじめに見出しがある直前になります。この、はじめの見出しよりも前の位置に __NOTOC__ と書くと、この目次の表示を止めることができます。詳しくはHelp:セクションを参照してください。
HTMLでの表は非常に便利です。表を書く細かい方法についてはWikipediaのHelp:表の作り方を参照してください。
WikipediaのHelp:マジックワードも参考にしてください。
NUMBEROFARTICLES では、メインの名前空間内でリンクがある記事の数を足したものです。リダイレクトのページやノートは含まれません。
を用いて以下のように記述します。
と書くと以下に変換されます。
単体で使う機会はないかもしれませんが、外部リンクの記法でリンク先URLの記述省略に利用でき非常に便利です。
メインページのソースを表示]と書くと以下に変換されます。
メインページのソースを表示]
とテンプレート ===
はテンプレート内で使用した場合、テンプレートの名称でなくそのテンプレートを使用したページ名に置き換わります。
その他の変数はHelp:Variable (meta)を参照。 |
964 | 法学>民事法>コンメンタール>コンメンタール民事執行法
(扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例)
第151条の2
債権者が次に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権を有する場合において、その一部に不履行があるときは、第30条第1項の規定にかかわらず、当該定期金債権のうち確定期限が到来していないものについても、債権執行を開始することができる。
前項の規定により開始する債権執行においては、各定期金債権について、その確定期限の到来後に弁済期が到来する給料その他継続的給付に係る債権のみを差し押さえることができる。
----
{{前後
|民事執行法
|第2章 強制執行
第2節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行
第4款 債権及びその他の財産権に対する強制執行
第1目 債権執行等
|民事執行法第151条(継続的給付の差押え)
|民事執行法第152条(差押禁止債権)
151の2 |
965 | 前)(次)
(計画の届出等)
第88条
88 |
966 | 第2編 株式会社>第1章 設立
(定款の変更の手続の特則)
第101条
前項の規定は、単元株式数についての定款の変更であって、当該定款の変更について第322条第2項の規定による定款の定めがある場合における当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主を構成員とする種類創立総会については、適用しない。
----
{{前後
|会社法
|第2編 株式会社
第1章 設立
第9節 募集による設立
|会社法第100条(定款の変更の手続の特則)
|会社法第102条(設立手続等の特則)
101 |
967 | Wikibooks:Humanities bookshelf
Silff lyfrau:Dyniaethau |
968 | 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法(最終改正:平成一八年六月一四日法律第六六号)の逐条解説書。 |
969 | 前)(次)
第8条
08 |
970 | 法学>コンメンタール>行政法>行政書士法
(行政書士の使用人等の秘密を守る義務)
第19条の3
行政書士又は行政書士法人の使用人その他の従業者は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つた事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。行政書士又は行政書士法人の使用人その他の従業者でなくなつた後も、また同様とする。
----
{{前後
|行政書士法
|第8章 雑則
|行政書士法第19条の2(名称の使用制限)
|行政書士法第19条の4(資質向上のための援助)
19の3 |
971 | このページでは「地球人」は地球の人類のことを、「宇宙人」は地球人を除いた宇宙人を指します。ご注意ください。
である。
だが、単にかぐや姫が宇宙人というだけでは、ここまで後世に残る名作にはならない。かぐや姫と人間との関わりが面白さの醍醐味。
。しかも、かぐや姫の行動は、法に逆らっているわけでもないので、読者は大して罪悪感を感じないで済む。
かぐや姫が通常の人間ではないということが読者に分かるように、冒頭で竹の中から小さな姫が発見される。しかし、この冒頭の段階では、かぐや姫の正体が月の住人だということは、まだ読者には分からない。かぐや姫の正体が分かるのは、結末ちかくになってからである。冒頭を読んだ読者に「かぐや姫はひょっとしたら普通の人間ではないのかもしれない」という事が分かれば十分である。
そのような、姫の生い立ちの前置きが無いと、単に強情な娘が求婚を断り続けるだけのわがままな箱入り娘、という印象になってしまう。作中でも求婚を断り続けるかぐや姫のあまりの強情っぷりに、後に出てくる帝 (天皇) があきれるようなシーンもある。
姫は全ての求婚を断るが、あまりの美貌に「我こそ」という美青年も数人 (より多い可能性もある) 現れる。この中でも特に美しい5人の貴族たちがおり、彼らの求婚は可能性を残した形で断られる。彼らは入手困難なものをそれぞれ要求され、持参した者と結婚するとした。5人の貴族はそれぞれの財力などを用いて自身に命じられたものを用意しようと一念発起した。しかし、偽物を献上し見破られたり、大金をはたいて天竺 (現在のインド) の商人か偽物しか得られなかったり、船が難破したりと散々だった。求婚をした貴族のうちの一人は、その自身の不幸な結末から、かぐや姫を疫病神あつかいをしはじめて、すっかり、かぐや姫への恋愛をなくしてしまうぐらいである(そのようなストーリ-中盤での疫病神あつかいが、ストーリー後半で明らかになる、かぐや姫の正体の伏線にもなってるのかもしれない)。
五人の貴族の求婚がすべて失敗に終わったあと、(日本の)帝 (=天皇) がかぐや姫に興味を抱き、宮中に召抱えようとする。最終的に、かぐや姫を抱えようとする天皇も、姫に断られる。この帝ですら、かぐや姫の宿命を引き立てるための、引き立て役である。
終盤にでてくる、天界の人たちの言説では、地上の権威や、地上人たちの人情などは、取るに足らない下らないものとして扱われている。
中国や朝鮮などの外国では、日本の権威があまり通用しないが、どうも、そういう影響が作品にあるのかもしれない。仏教などの外来宗教の影響もあるのだろう。
そのような、日本の権威や常識が通用しない世界が、地球上には存在することが、この地上の権威や人情を見下す天人たちの行動に、説得力などを与えているのであろうか。
単に感情だけが、地上の感情だけが、天人にとって取るに足らないのでなく、かぐや姫を守ろうとする地上の兵士たちの警備の行動といった武力的な能力すらも、天人たちの超能力的な力の前には、地上は無力である。
こうして、地上の感情も、地上の力も、天人たちの前では、無力・無駄な物として表現される。
そして、ついに、かぐや姫は、天界に、つれて帰られてしまう。そして、天界の超能力的な力により、かぐや姫は地上のことも忘れてしまう。「天の羽衣」という物を、かぐや姫が着せられることにより、かぐや姫は地上のことを忘れてしまう。
こうして、天人とともに、かぐや姫が月に帰って以降、もう、かつての人情のあった「かぐや姫」は出てこない。地上のことを忘れ去っているので、出てくる余地も無い。実際に、もうストーリー中には、天人もかぐや姫も登場しない。
しかし、結末は、べつに月に帰るシーンでない。かぐや姫が帰る直前に、地上の者が、かぐや姫から貰った 不死の薬 があるのだが、この薬を地上の人たちが、不要な物として燃やすのが、結末である。
かぐや姫が月に帰ったシーンを結末にするのではなく、結末は、そのあとの地上の人たちの、あきらめたあとの行動を結末にしているのである。
悲劇的な結末である。
ストーリー冒頭での、竹の中が光っているという幻想的なシーンとは対照的に、結末は、つらい。
竹取物語が書かれた時代は、かな文字が成立した時代であると考えられている。
そもそも、かな文字が成立したので、日本語で物語が書きやすくなったと考えられている(※ 教育出版の見解)。
(抜粋)
thumb|400px|幼き、かぐや姫
「いふもの」(イウモノ)、「ゐたり」(イタリ)などのように、明治時代よりも以前(つまり古代~江戸時代の終わり)までの古典の仮名遣い(かなづかい)は、現代の仮名遣いとは違っている。
この(「いふもの」「ゐたり」などの)ように、明治以前の古典に見られるような仮名遣いのことを「歴史的仮名遣い」という。
※ 日本の小中学校と高校の教育では、発音は、現代仮名遣いに直して発音する。つまり、「いふもの」は日本の小中高では「イウモノ」と発音する。さらに音便(おんびん)で「ユウモノ」と「いふもの」を読む場合もある。
その他、仮名遣いの現代と古典との違いの例をあげる。
いふもの→意味は「言う者」のこと。現代仮名づかいでは「いうもの」と書く。読みは「ゆーもの」と読む。
よろづ→「よろず」と読む。現代仮名づかいでは「よろず」と書く。
使ひけり→「つかいけり」と読む。
なむ→「なん」と読む。
いひける→「いいける」と読む。
うつくしう→「うつくしゅう」と読む。
ゐたり→「いたり」と読む。
「いふもの」や「いひける」のように、語頭以外での「は」「ひ」「ふ」「へ」「ほ」は、多くの場合、「は」→「わ」、「ひ」→「い」、「ふ」→「う」、「へ」→「え」、「ほ」→「お」と読むことが多い。
「なむ」を「なん」と読むように、「む」を「ん」と読む場合がある。
古文:「うつくしう」→読み:「うつくしゅう」の様に、古文:「しう」→読み:「しゅう」。
この冒頭文の以外からも例を出せば、古文の「けふ」は「きょう」(今日)。古文の「てふ」は「ちょう」と読む。古文の「てふてふ」は読みは「ちょうちょう」で蝶々(ちょうちょう)のこと。「てふてふ」はアゲハチョウとかモンシロチョウなど、昆虫のチョウのこと。
のように
枕草子の「をかし」→読み:「おかし」の例のように、
というふうになる。
意味は「不思議に思って」。現代の「怪しいと思う」とは意味がちがい、「変だと思う」というような意味は無い。
「うつくし」で「かわいらしい」という意味。現代の「うつくしい」とは、少し意味がちがうので、注意。
※ 高校の範囲だが、『枕草子』にも「小さきものは、みな、うつくし」(145段)という表現があるので、古語の「うつくし」は現代語の「かわいい」に対応する語だと推測することができるだろう。
「ゐる」(「いる」)の変化。「ゐる」の意味は「座る」(すわる)という意味。現代での「居る」(いる)の意味の「存在している」とは、すこし意味がちがうので注意。
この「あやし」や「うつくし」のように、たとえ同じ語が現代にあっても、古文では意味が違う場合があるので、注意。
「いと美しうて」の「いと」とは、現代では「非常に」「とても」に置きかえられています。現代日本語では、「非常に」という意味での「いと」は使われていません。
このように、古典には、現代に使われなくなった言葉も多くあります。
物語のはじめの決まり文句。この場合は現代で言うところの「むかしむかし」にあたる部分で、読者をこの世界に引き込ませる言葉の一つ。
翁(おきな)・・・「おじいさん」の意味。
万(よろず)・・・「いろいろな物・事」「さまざまな物・事」の意味。
「いふもの」・・・ 発音は「いうもの」と発音する。旧仮名遣いなので、文字と発音とちがっている事に注意。
「つかひけり」・・・ 発音は「つかいけり」、「けり」とは過去をあらわす助動詞であり、「つかいけり」の意味は「つかっていた」となる。
過去の助動詞。助動詞「き」との違いの一つは、「き」が直接経験し記憶にある過去の意味をあらわすのに対し、「けり」は人から伝え聞いたことの回想をあらわすことである。そのため現代語訳は「・・・した」の他にも「・・・したそうだ」などと訳す場合もある。
反復・継続の意味の接続助詞。ここでは、「竹をとる」という動作と「よろづのことにつかふ」という動作が同時に行われていることをあらわす。
格助詞「を」に係助詞「は」が付き、「は」が連濁を起こしたもの。「を」を強調する。係助詞「は」の結びで文末の「けり」が連体形の「ける」になっている。
竹取の翁の名前である。「さぬき」氏は朝廷に竹細工を献上していたとされる。
係助詞。係り結びで文末「ける」は連体形で結ばれている。
「とても」「非常に」の意味。
「かわいらしい」の意味。形容詞の連用形「―しく」「―く」が助詞「く」「しく」や他の用言に続くときはウ音便になる。
理由や原因をあらわす接続助詞。
断定の助動詞「なり」の連体形「なる」に推量の助動詞「めり」が付いた「なるめり」の撥音便形「なんめり」の「ん」が表記されないもの。古くは「ん」の文字は用いられなかった。
順接の接続助詞。ここでは、前の語「幼けれ」は已然形であるので確定条件である。
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竹の節と節の間の空洞のこと。
このようにして、の意。
理由や原因をあらわす。
かぐや姫は、三か月で十二、三歳のように育ち、成人した。
平安時代、女性は成人(十二、三歳ごろ)すると、髪を結い上げた。これを「髪上げ」という。
「裳」は女性が腰から下にまとう衣。女性が成人すると、髪上げと同時に、裳着の式が行われた。
世の中に比類がない、の意。
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竹から見つかった、この美しい娘は「なよたけのかぐや姫」と名づけられた。
「ありけり」や「使ひけり」の文末の「けり」は、過去についての伝聞をあらわす。
「けり」は、『竹取物語』のように昔話などで用いられることが多いので、覚えておこう。
「名をば、さかきのみやつことなむいいける」や「もと光る竹なむ一筋ありける。」の文末の「ける」は、「けり」の連体形。「ける」になっている理由は、文中に係り助詞「なむ」があるため。
文中に、係り助詞「ぞ」・「なむ」・「や」・「か」がある場合、文末は連体形(れんたいけい)になる。
なお、文中に係り助詞「こそ」がある場合、文末は已然形(いぜんけい)になる。
「ける」の意味は、連体形になっていても、「けり」と同じであり、過去についての伝聞をあらわす。
thumb|400px|くらもちの皇子
美しいかぐや姫には多くの男たちが求婚した。しかし、かぐや姫は求婚を断り続けた。なので、求婚をしつづける者は減っていった。そのうち、求婚をしつづける者が5人の男の貴族へとしぼられていった。
かぐや姫はいっさい結婚をする気は無かったが、娘の将来を心配する翁が結婚をせかすのでかぐや姫は結婚の条件として5人の貴族たちに無理難題(むりなんだい)を出した。入手が至難の品物を持ってくることを結婚の条件にした。品物は5人の貴族ごとにそれぞれ別である。「蓬莱の玉の枝」はその品物の一つである。
貴族の一人の「くらもちの皇子」(くらもちのみこ)が、「蓬莱の玉の枝」(ほうらいのたま の えだ)を持ってくる条件を出された。
ちなみに「蓬莱」(ほうらい)とは、中国(チャイナのほうの中国)の神話にある伝説上の島で、中国の東の海にある伝説の島である。中国の西・北・南には海はなく陸地であり、異民族の国であり、伝説の島などはありようがない。中国の東の島といってもべつに台湾(たいわん)でなければ、日本列島でもない。
この「蓬莱」のように中国の神話の影響が『竹取物語』にはあるようだ。
さて、条件を出されたくらもちの皇子は、最初から「蓬莱の玉の枝」を探すのをあきらめ、かわりに偽(にせ)の「蓬莱の玉の枝」をつくってかぐや姫をだまそうとした。
そのため手下の匠(たくみ)たちに「蓬莱の玉の枝」そっくりの枝を作らせた。
そして、3年の月日がかかり、ようやく偽(にせ)の「蓬莱の玉の枝」が出来上がった。そして、翁の家をおとずれかぐや姫たちをだますために架空の冒険談をでっちあげて話しはじめた。
当初、かぐや姫たちは「蓬莱の玉の枝」が偽造だとは知らなかった。しかし、話のあと匠たちが給料をかぐや姫に請求しに翁の家につめかけに来たことから皇子の嘘(うそ)がばれる。
thumb|400px|石づくりの皇子
thumb|400px|大伴大納言
ちなみに5人の貴公子の名前はそれぞれ
結婚の条件として持ってくるべき品物はそれぞれ
石作(いしづくり)の皇子(みこ)・・・「仏の御石」(ほとけのみいし)。釈迦(しゃか)が使ったと言う。
くらもちの皇子・・・「蓬莱の玉の枝」。蓬莱にあるという。根が銀、茎が金、実が真珠の木の枝。
右大臣阿倍御主人(あべの みうし)・・・「火鼠の皮衣」(ひねずみのかわぎぬ)。焼いても燃えない布。
大納言大伴御行(おおともの みゆき)・・・「龍の首の玉」(たつのくびのたま)。龍の首にあるという玉。
中納言石上麿足(いそのかみの まろたり)・・・「燕(つばくらめ)の子安貝(こやすがい)」。ツバメが産むという貝。
入手のための方法はそれぞれ
石作(いしづくり)の皇子(みこ)-仏の御石・・・偽物でかぐや姫をだまそうとするが失敗。
くらもちの皇子-蓬莱の玉の枝・・・手下に偽物を作らせてかぐや姫をだまそうとするが失敗。
右大臣阿倍御主人(あべの みうし)-火鼠の皮衣・・・商業的に購入。偽物を買わされた。竹取の翁の家で皮衣を燃やす実験をしたところ、あっけなく燃える。
大納言大伴御行(おおともの みゆき)-龍の首の玉・・・冒険に出かけ、船旅で事故。あきらめる。
中納言石上麿足(いそのかみの まろたり)-燕の子安貝・・・ツバメが卵を産むのを待つ。はしごから転落し、事故死。
以下の話はくらもちの皇子がでっち上げた、架空の冒険談である。
(中略)
(後略)
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玉の枝が偽物とはいえ匠たちが3年もの歳月をかけて作りあげたのだからとても高価な品物ではあろう。しかし、そんなことにはかぐや姫は興味が無い。かぐや姫はさっさと球の枝を皇子に返した。
他の4人もすべて失敗した。ある貴公子は大金を使ったが失敗する。ある貴公子は船旅の途中に暴風雨にあって失敗し、かぐや姫を疫病神あつかいしはじめかぐや姫への興味がなくなる。ある貴公子は事故にあい大けがをして失敗する。ある貴公子はかぐや姫をだまそうとして失敗する。
そして結局、5人の貴公子の求婚はすべて失敗した。
このあと天皇がかぐや姫の話題を聞きつけ、興味をいだき、かぐや姫を見てほれてしまい、天皇もかぐや姫に求婚しはじめる。
天皇はこの物語世界では地上での最高の権力者である。その天皇からかぐや姫は求婚された。
しかし、かぐや姫はかたくなに結婚をしようとしない。
天皇はかぐや姫を無理やり宮中に連れようとかぐや姫をにぎるとかぐや姫は変身して影(かげ)になって一時的に消えてしまう。
なので無理やりつれていくことも出来ない。
かぐや姫が変身することで、かぐや姫が通常の人間でないことが説得力を持って読者や登場人物に伝わる。
このあと、いろんなやり取りがあって、そうこうしているうちに月日が流れ、かぐや姫は月に帰らなければならない日が近づく。
thumb|600px|警備の兵
かぐや姫を月に連れもどそうとする天人からかぐや姫を守ろうと、帝は翁の家に警備の兵を派遣して守らせる。
その山、見るに・・・
その山、見るに - 「その山は、(私が)見るに」「(私が)その山を見るに」などの意味。助詞(は、を)や主語(私は)などが省略されてる。
玉の橋渡せり。 - 「玉の橋を渡せり」のように「を」が省略されている。
のたまひしに - 「(姫が)のたまいし」「(姫の)のたまいし」のように、主語が省略されている。
このように、古文では助詞や主語が省略されることが多い。また、省略される主語の人称はかならずしも話し手(1人称)自身とはかぎらないので注意のこと。前後の文の文脈から主語をおぎなうことになる。
thumb|400px|月へ帰るかぐや姫
そして、ついに天人たちがかぐや姫を月に連れかえりに地上の翁の家にやってくる。
警備の兵は捕まえようとするが、天人たちの不思議な超能力によりまったく力が入らない。
かろうじて弓矢を持ったものが矢を射っても、矢がまったく違う方向へ飛んでしまい当たらない。
そして、かぐや姫は天人の超能力により自動的に屋外へと引きずりだされ、天人の居る場所へと動いてしまう。
ついに天人がかぐや姫を月に連れ戻そうとする。ここでかぐや姫は手紙を書き残すための時間が欲しいと頼み、天人に手紙を書くための時間を与えられる。
月にかえる直前のかぐや姫はまだ地上の情の記憶が残ってるうちに手紙を書き残し、その手紙は天皇へ当てられた。
※ 「たてまつれ」: 古語での「たてまつる」(奉る)の意味は、たとえば「めしあがる」のような「○○しなさる」というような意味の尊敬的な用法。けっして現代語の「たてまつる」(祀る)とは違い、祭壇などで拝むような意味はない。だから古語の「たてまつれ」(奉れ)では、この文脈では「召し上がってください」のような意味。なお、具体的に何をしてもらいたいかは文脈によるので、暗記の必要はない。
※ 「いとほし」: 古語では「いとおし」「いとほし」には「気の毒だ」「かわいそうだ」の意味がある。だが、古典作品によっては現代語の「いとおしい」と同様に「かわいらしいと思う」の意味でも使われることもあり、たとえば『源氏物語』では「宮はいといとほしと思す(おぼす)なかにも」(宮は「たいへん、かわいいなあ」とお思いになっても)のような意味もある。
かぐや姫は連れてかれてしまった。そして、かぐや姫は「天の羽衣」を着たことにより、地上の人情は忘れてしまい、かぐや姫は翁たちにも興味はなくなった。
たちに富士山で燃やさせる。「不死の薬を燃やしたから不死=富士」と思わせておいて、実は「士に富む」(原文では「士どもあまた」)から「富士」というオチである。
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972 | 第2編 商行為
第553条
問屋は、委託者のためにした販売又は買入れにつき、相手方がその債務を履行しない場合において、自らその履行をする責任を負う。ただし、別段の意思表示又は慣習があるときはこの限りでない。
問屋の履行担保責任を定めた。委託者Aのために問屋Bが相手方Cと契約したがCが履行しない場合、BがCに代わってAに履行することをいう。
代理商と異なり、問屋の契約の相手方について委託者は関知していない。委託者を保護する趣旨と問屋制度の信頼を守る趣旨による。したがってこの責任は無過失責任である(通説)。
例では委託者Aが問屋Bを、Bの過失を証明しなくとも売買契約の履行を求めることができるが、Bは、Aへの履行担保責任を排除するAとの特約や慣習を立証すれば、Aに履行しなくともよい。 |
973 | 行政手続法のページです。リンク先や政府が出した条文はかなり内容が難しくて長ったらしいため、何を言うているのか判断出来にくいと思います。そこで、条文の難しい内容を短く、シンプルに直して本ページに解説しました。
行政手続法は、行政の公正性・透明性を確保し、国民の権利・利益を保護する目的で制定されました。ここでいう透明性とは、どのような決定がされ、どのように行われたかを、国民が見られるようにしましょうという意味です。このように行政手続法は、行政指導や届出に関する手続、命令の決定方法など、共通の規則を定めています。
その他の法律に特別な規定がある場合、行政手続法のうち、処分、行政指導や届出、命令方法などを扱う部分にも適用されます。
⇒本当の条文 |
974 | 報告書、レポートとは、何かを調査して、調べて分かった結果を、書類にまとめたものである。
書類にまとめる理由は、あとから見返せるようにするためです。
また、報告書を読む人は、アナタ以外の他人です。(あなた自身が読むために書き残す場合は、「メモ」「ノート」などと言います。)
学生レベルの報告書なら、もし、あなたと同じ学年の平均レベルの学力の他人が読んでも、理解できるように、書かなければなりません。
さらにまた注意事項として、書類を渡した相手(担任など)以外の第三者(学校なら先輩や後輩の生徒や担任以外の教師など、はたまた場合によっては学外の関係者など)が読む場合もありうるので、なるべく一般人が読んで分かるように書きましょう。特定の相手でないと通じないような書き方は、あまり好ましくないです。
そのため、報告書は書き方は、誰が書いても似たような書き方になってきます。作家性や独自性などは不要です。
あるビジネス報告書の書き方についての書籍でも、「ビジネス文書では複雑な文章、かっこいい文章、難しい語彙を使った文章を書こうとしない」のがコツだとあります奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P.19。
日本語としての「レポート」の慣用的な意味
「レポート」の意味について、英語としては不正確な用法だが、「レポート」と「報告書」とでは、慣習的に意味が違っている。「レポート」とは、報告に加えて、さらに分析などの入った書類のことであるという用法が、日本では慣例である永山嘉昭『報告書・レポートが面白いほど書ける本』、2013年1月29日 第1刷発行、12ページ、、株式会社ザ・アール『これだけは知っておきたい「レポート・報告書」の基本と常識』、2018年9月2日初版発行、22ページ。
単に起きただけのことを報告するだけの文章は、たしかに報告ではありますが、レベルが低いです[https://www.soumu.go.jp/main_content/000607858.pdf 総務省政策統括官(統計基準担当) 著 『高校からの統計・データサイエンス活用~上級編~』、P.12 ]。
「試合に負けた。」とか「テストで80点をとった。」とか、そういうのは報告です。
もちろん場合によっては、そういった「なるべく早い」報告が必要な場合もありますし、仕事でも起きたことを口頭またはメールなどの文面ですぐに行うこともあります。しかしそれは「報告書」とは言わず、単なる「報告」です。(「なるべく早く」を略して、俗(ぞく)に「なるはや」などと言います。たとえば会社で上司からの命令で、「なるはやで〇〇の件、報告、よろしく」みたいに命令される場合もあります。)
一言も「レベルが低い報告書」が悪いとは言っていません。ただ、レベルが低いものであることは知っておいてください。
「報告書」と言った場合、最低限、起きたことや気づいたことなどの全体像を短時間で読みやすく把握しやすくするために、たとえば、可能なら表やグラフなどを追加したり、あるいは箇条書きなどで冒頭に要点をまとめたりして、文章も使って、まとめたりしたものです。
統計レポートの場合なら、ひとまず情報の欠落なくまとめた上でなら、追加でさらに分析しやするために情報の欠落があっても追加の別グラフや別表などでまとめ方をするぶんには、構わないと思います。
一般に、表がなければグラフも無い文章だけのレポートより、表やグラフを追加したレポートのほうが、レベルの高いレポートです。ただし、作成に時間が掛かります。
さらに、分析を行って記述したり、分析のための追加調査とより深い分析を行ったりすると、もっとレベルの高いレポートになりますが、しかし分析のための調査や作成に時間が掛かってしまうというコストがあります。
あるいは、仕事の種類によっては提案などを行ったりすると、レベルの高いレポートになるかもしれません。
ただし、状況によっては、スピード重視のため、あえてレベルの低めのレポートにして提出したほうが良い場合もあるでしょう。グラフや表を追加したレベルのレポートで留める場合もあります。
社外の業界イベントの訪問の出張報告書とかなら、グラフや表は適さないので、そういう場合はグラフや表は不要です。
このように、報告書は、ジャンルによって、必要な書き方が変わります。
ほか、職場によっては、レポートの種類によっては、あらかじめ書式が決められている場合もあります。
たとえば、社外の業界イベントの訪問の報告書などなら、5W1H(いつ When ・どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How))などは、あらかじめ書式で、
イベント場所:東京○○メッセ
訪問者:山田社員
年月日: 20xx年12月04日
訪問目的:(※これは箇条書きで1~3個の目的を簡潔に書く)
みたいに箇条書きなどで書式(よく「テンプレート」と言います)が決められているかもしれません。また、もし書式で上記のような事が決められていなくても、一般にこのように冒頭などに箇条書きすることが望ましいです。
細かいテンプレートは、それぞれの会社ごとに違うので、このページでは説明しません。
ただし、出張報告書の場合でも、出張で得られた知見などを分析的に報告することが求められています。
もし、提出までの時間に余裕があるなら、必ずしも出張中に気づいたことだけを書く必要は無く、出張で得られた知見をもとに関連性と有用性の高そうな話題を追加調査して得られた情報とその知見を書いても構わないと思います。そのほうがレベルが高いレポートと見なされるでしょう。
ただし、追加調査すると時間が掛かるので、もし「なるべく早く」が要求されている場合なら、出張中に気づいた情報だけで提出するほうが良いかもしれません。
上記のように、テンプレートを定めておくことで、あらかじめレポートに必要なレベルを事前に設定している会社もあります。
さて、たとえば、いったんレベル低めのレポートを提出した上で、上司が把握したら、その上でレベルの上がった分析レポートを提出する、みたいな二段階のレポート提出の可能性もあるかもしれません。
ただし、会社ではなく学校(小中高および大学)では、こういった2段階のレポート提出の話は、あまり聞きません。先生が忙しく、そこまでの時間がありません。
学校だと、学生の分析力をトレーニングするための目的で、分析のあるレポートまで要求することも、高校や大学のレポートではあるかと思います。(特に大学の2~3年生では論文に向けてのトレーニングとして、簡易な分析が要求されることもある)。
企業のレポートにはある程度のスピードが要求されるので、決して最初からミスなしの完璧は目指さずに、とりあえず一通りの完成をしたら提出して、上司の修正の指示を受けて、レポートを修正していきます。
まず、報告書の題名には、たとえば『○○について 報告』または『○○の調査結果』などのように、その書類の種類が報告書であることが分かるように題名をつける必要があります。
単に『○○について』という題名だと、後日、その書類が感想文なのか報告書なのか何だったかのか、第三者がひとめ見たときに、分からなくなってしまいます。報告書を管理する人のことを思いやりましょう。
また、企業などでは、報告書を要求する上司は、報告書以外にも他の多くの書類を管理していることが多く、それら他書類との混同をふせぐため、題名で報告書であることを明記する必要があります。
また、報告対象について(『○○について 報告』の「○○」の部分)の明記も、忘れないようにしましょう。
会社では通常、多くの事例についての報告書が管理されています。なので、報告対象について題名で説明がないと、分からなくなってしまいます。
なお、書き手に余裕があれば、報告書の題名は、下記のように、より具体的にしましょう。たとえば、もし報告書の目的が、もし提案ならタイトルは「○○について提案書」のようにするのが合理的です。
あるいは提案ではなく、調査報告が目的の報告書なら「○○について調査結果報告」などのように、具体的に目的が分かるようにするのが良いでしょう。高橋慈子『ロジカル・ライティングがよ~くわかる本』、秀和システム、2009年7月25日第1版 第1刷、130ページ。
資料集めなど調べることに夢中になって、教師が注意しないと、なかなか書き始めない生徒がときどきいるとのことです。特にネットがある現代、気を付けないと無制限に時間を調査でつぶしてしまうことになりがちです。
なので、さっさと書き始めるのがコツです。調査レポートだけでなく、大学や一部高校の卒業論文とかでも同様です[https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科 著『高校生のための卒業論文ガイド』,P4 ]。
とりあえず書き始めて、トライ&エラー(試行錯誤)を何回も繰り返して[https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P4 ]、たとえば出典を追加したりとか、論理構成を組み替えなおしたりとか、当初の「問い」を何度も直したりして、だんだんと文章の質を上げていくのが、調査レポートや論文の書き方です[https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P4 ]。
具体的に書き始めるためには、本を読んでいるときなどに、さっさと
のが有効です蓑手章吾 著『個別最適な学びを実現するICTの使い方』、学陽書房、2022年4月14日 初版発行、P77。
生徒はまず、情報収集は、メモ程度で終わらせます。パソコンがあるなら、単語や箇条書きなどの雑なメモでもいいので、さっさと実際にテキストファイルにメモします蓑手章吾 著『個別最適な学びを実現するICTの使い方』、学陽書房、2022年4月14日 初版発行、P77。文献でもネットでも、何かレポートに使えそうな情報を見つけたら、忘れないうちに、さっさと早めに単語・箇条書きなどでテキストファイルなどにその情報をメモします蓑手章吾 著『個別最適な学びを実現するICTの使い方』、学陽書房、2022年4月14日 初版発行、P77。
早めにメモしないと忘れてしまい、読み直し・検索しなおしなど時間が余計に掛かるので、なるべく早めにメモしておくと安全です。
メモの段階では文章を整えず、文章を整えるのは、実際にレポートを書く段階で十分です。
そして、レポートに必要な量の最低限の情報収集をしたら、とりあえず、なるべく早めに、情報・資料がやや不揃い(ふぞろい)でも、さっさと書き始めると良いでしょう。
なぜなら、書かずに「たぶんこの情報が必要になるだろう」と思って情報収集するよりも、実際に書き始めてみてから実際に必要になった情報を集めるほうが的確に情報を集められるからです。
ビジネスの世界での格言で、quick and dirty 「クイック・アンド・ダーティ」という言葉があり、意味はおおむね「完璧でなくてもいいので、さっさと始めろ」みたいな意味合いです。重要なのは、完璧よりも(とりあえずの)完成です。「完璧より完成」「完璧よりも完了」です。
「完璧を目指すよりも、まずは終わらせろ」は、大手SNSのフェイスブックのCEOであるマーク・ザッカーバーグの格言です。
{{コラム|卒業論文の場合のスケジュール管理|
※ 大学の卒業論文でも通じるように書いてある。
※ スケジュール管理以外の内容は、省略する。詳しくは専門書を見よ。書店や図書室・図書館などで「卒業論文の書き方」みたいな本を読めば済む(数日で読める)。
※ 指導教員のスタイルによっては、下記とは異なる場合もある。分野によってスタイルが異なる場合もある。スタイルが違う場合、指導教員のほうに従うこと。
※ 中学生に言うのは気が早いが、当wikiには他に適切なページが無いので、この中学のページで高校(いちぶの高校に卒論がある)・大学の卒業論文の書き方を兼用する。
卒業論文を1年間の年度で書く場合、最初の1か月目あたりで最初の実験やデータ取りをしたら、とりあえず文体は後回しで良いので、なんか論文っぽい作文をパソコンで書く。
ソフトウェアは、普通のワープロソフトで良い。たとえば、Microsoft Word など。どの学校にもあるだろう。
いきなり文献を読むと、メモの単語の量が多くなりすぎる恐れがある。なので、実験をしたら先に、論文っぽい文章を書き、あとから文献を読んで単語を拾うメモをするのが良いかもしれない。
読者が知りたいのは、文献の内容よりも、実験の成果のほうである。なので、実験をしたら、先に、論文の下書きを書こう。
もちろん最終的な完成版とは大違いのデキになるが、しかしともかく論文の下書きを書き始める。
そして、文献を1~2冊読んで、下書きをアップデートする。これは最初の1か月くらいで可能であろう。(スケジュールにも寄る。)
決して、いつまでも下調べをし過ぎないように気を付けて、最低限の実験などを1回して参考文献を1~2冊読んだら(計算などで読みこなすのに年単位で時間が掛かる書籍の場合なら、結果の文章だけ読むのでも良い。つまり、参考文献を読むのに時間をかけ過ぎないように。参考文献はとりあえず数日で読むように)、卒業論文を書き始めるのがコツである。
最終版に向けて文体やレイアウトなどを整えるのは、できれば提出の締め切り(年明けの1~2月中旬とか)の1~2月か月前(つまり最終学年の12月~年明け1月)くらいに、いったん終わっていれば好都合である。
授業や部活(9月までとか)や就職活動や受験勉強(大学生でも大学院に進学する人もいる)や教育実習(大学で教員免許を取る場合)などがあるので、そんなに卒業論文ばかりに時間は掛けられない。そのため、参考文献を読むのにも時間を掛けられない。なので、あまり参考文献を読み込み過ぎないように注意する。
極論、ネットのある現代、あとから良い参考文献を入手した場合、自分のブログなどで追加版などを発表すれば済む。
文献はあまり増やし過ぎず、せいぜい部活終わりの9月くらいまでに読める量で良い。それ以降は、実験や論文執筆などを優先すること。
締め切りは、だいたい、卒業年度の年明けの1月。2月に卒論の学内での正式な口頭発表。3月は卒業式。
・・・となるだろう。
逆算して、12月までに、ほぼ完成形の草稿(そうこう)が書き終わってないとマズイ。
論文のデキが悪くてもいいので、締め切りを守ることを優先する。
なぜなら、「当初のアイデアと当学校の設備で出来る実験では、あまり大した成果を出せなかった」というのも、立派な成果の一つである。この成果により、後輩や次世代の若者などが「別のアイデアを試してみよう」などと先に進んでいけるからである。外付けハードディスクでもUSBメモリでも構わないが、とにかく実験データや卒論ファイルなどのバックアップ用に保存メディアを2個以上は買え。
※ なお、じつは細かな誤字・脱字の修正なら、提出後も可能だったりする。なので、締め切りを守ることを、とにかく優先すること。
バックアップ用メディアを2個は用意せよ
「卒論のデータの入ったUSBを無くした」「データを間違えて消した」「USBメモリが壊れた」などのミスをする学生が時々いるので、実験データなどは最低でも3か所以上に保管せよ。1か所にしか保存しないのは、リスク分散できてない、単なる馬鹿である。
さて、プレゼンテーション用のスライド作成(パワーポイントなど)は、年明けの1月あたりの後回しで良い。
12月版の草稿にそなえて、10月までに、いったん完成形に近い書式で、とりあえず草稿(10月版)を書きあげる。この10月版草稿を、12月までに何回かアップデートしていく。
最終学年の夏休みあたりに、中間発表をするのも良いだろう。研究室内でそういう中間発表をする大学・学部も多い。
なお、学校側からも、7月あたりまでに、学生は卒業論文の仮題目(要するに論文の題名・テーマ)を申請・提出させられる。
参考文献の使い方
自分の論文の新規性は、既存の研究とはどう違うのかを説明するために、参考文献を使うのが本来の使い方。
ただし、論文の分野に不慣れな読者のために、新規性の説明以外にもジャンルの概要的な内容説明をするのも多少はあっても良いだろう(限度はあるが)。
どの程度の分かりやすさを目指せばいいか
なお、同じ学年の生徒に理解できるように書こうと思っても、無理である。なぜなら、自分が1年間かけて書く論文を、同学年の生徒は別のテーマで忙しいので理解できない。
自分と同じテーマに興味ある後輩が、実験などを追試できるように(そして検証できるように)論文を書けばいい。ここでいう「追試」とは、実験などを第三者が検証のために行うこと。(決して赤点の人の、再テストではない)
いたずらに高度な数式や抽象概念などを使わなくてもいいので、まずは追試をできるように論文を書くのを目指そう。
あるいは、もし理論研究などで実験の存在しない場合なら、式変形などのプロセスなど、ともかく思考のプロセスを論文で文章化して明示することで、後輩がアイデアの追体験をできるようにしよう。
報告書じたいの著者名として、自分の名前を、題名のあとの冒頭、または書類の末尾など、見つけやすい場所に入れる必要があります。
なぜなら、企業など実社会での報告書は、けっして1回書いて提出すれば終わりではなく、通常、書き直しを何度かする必要があるからです。
通常、報告書を渡された相手である上司が報告書の内容をチェックして、内容に不足や誤字や明確な間違いなどがないことを確かめ、もし不足などがあれば著者が追記や書き直しなどを求められることがあります。
上司は、あなた以外の人の書く書類も管理するので、なので書類には著者名が必要です。
なお、企業の報告書や大学でのレポート・論文では、表紙だけで1ページを使用します為田英一郎・吉田健正『文章作法入門』、ナカニシヤ出版、2004年3月10日 初版第2刷、76ページ。企業などでの本格的なレポート・論文・報告書などの表紙には、そのレポート的な書類の管理のために必要な題名・著者名のほかに印刷による記載のほかに、印字などで管理部署などのハンコが押されたりして保管されたりするので、なので、表紙だけで1枚、必要です。
なので、本格レポートでは、本文の書き出しは(表紙から、ではなく)2枚目以降になります。(実際には、さらに目次などが加わるので、本文書き出しは3枚目以降になる可能性もある)
しかし中学・高校では、ここまでしなくても(表紙だけで1枚にしなくても)良いでしょう。
報告書には、正確さが必要です」永山嘉昭『報告書・レポートが面白いほど書ける本』、2013年1月29日 第1刷発行、中経出版、15ページ。
このため、下記のように、報告書を書く際に、けっして、やってはいけない事があります。
レポートを書く際に、「やってはいけない」「やる必要はない」書き方の一覧は以下の通り。
あなたしか知らない情報を前提にしてはならない。
をついてはいけない。
は不要。
は使わない。
上記の行為は、報告書ではしてはいけません。
その他、「してはいけない」というほどの禁止事項ではないが、不要なこととしては、
や予定はいらない。
があります。
なお、報告書・レポートの文体には、次の点に気をつけてください。
常体(~だ・~であるの文)を使いましょう。敬体(~です・~ますの文)は使いません。
書き言葉を使い、話し言葉は使わないようにします。
であることがもとめられます。そのため、字数が無駄に増えやすい敬体は使わず、常体で文章を書いていくのが基本です。
また、報告書などに限りませんが、書き言葉を使うのが鉄則です。文章は普段使うような言葉で書きがちですが、書くものは書き言葉でなければなりません。以下に、まちがえがちな話し言葉と書き言葉の一例をあげていきます。
もちろん、会話を引用した場合には話し言葉でもかまいません。ただし、「」をつけて会話であることを示してください。
また、敬体を使わないこととも関連しますが、尊敬語や謙譲語も、基本的には、組織内部(社内や学内)での報告書では不要です。
たとえば誰かが何かを言ったことを報告する場合、単に「〇〇が言うには、」のように書けば、一般の企業の報告書では充分でしょう。
もし、いちいち「おっしゃった」とか「申した」とか報告書で書くと、読み手にとっても面倒です。
たとえ敬体を社内のメール連絡などで使う場合でも、せいぜい「〇〇さんが言うには、〜〜 と言ってます。」のように丁寧語で書けば普通の企業では充分でしょう。
ただし、外部とのやりとりをする文書などでは、必要に応じて、敬語などを用いたアイサツ文などの書類を添える必要があるでしょう。
あなたしか知らない情報を前提にしてはならない。
報告書を読む人物は、あなた以外の他人です。だから報告書では、勤務先・在籍先などの会社・組織で一番その分野に詳しくない人でも知っている情報を前提にして、報告書を書いてください奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P.20。なので、場合によっては、世間の大人が知らないだろう専門知識や専門用語の使用が報告書で必要な場合には、報告書の内部で、その専門知識などの内容を1行〜2行程度で簡潔に紹介するなどの必要のある場合もあります。
をついてはいけない。
当然です。物語文を書くのならともかく、報告書では嘘をついてはいけません。
は不要。
の絶句の書き方から生まれた文章の流れです河野哲也『レポート・論文の書き方入門 第4版』慶応大学出版会、2018年 7月20日 第4版第1刷、41ページ。起承転結は、報告書の書き方ではありません。
報告書を書く時は、とくに こだわり のないかぎり、結論から書くべきです。
参考までに、報告書の例ではないですが、商業高校の教科書『ビジネス基礎』には、章『話し方と聞き方』とで「結論から先に話す。」「わかりやすい言葉を使う。」「聞き取りやすい声の大きさと速さで、相手の反応を確かめながら話す。」とあります『ビジネス基礎』、実教出版、令和2年12月25日検定、令和4年1月25日発行、P37。このように、ビジネスでは結論から話されるのを好みますので、とくに書式が指定されていないかぎりは、なるべく早めに結論や全体像などを相手に伝えるように心がけたほうが良い場合が多いと思われます。
商業高校の教科書『ビジネス・コミュニケーション』によると、ビジネス文書の場合では、「起承転結」の構成ではなく「結起承」(けっきしょう)の構成で書くことが望まれている場合も多い『ビジネス・コミュニケーション』、実教出版、令和2年12月25日 検定済、令和4年1月25日発行、P107と言われている。
さて、報告書の話題に戻ります。
一般に、ビジネス系の文書では、書式が特に規定されてないかぎりは、最初に結論・要約を書くのが、ビジネス系の報告書では普通永山嘉昭『報告書・レポートが面白いほど書ける本』、2013年1月29日 第1刷発行、中経出版、48ページ。
つまり、書式の指示が無い限り
のような順序で、書くのが良いでしょう。
起承転結で書いてしまうとよくない最大の理由は、「転」の部分です倉島保美(ネット記事)、[https://blogos.com/article/60529/ 『 『論理が伝わる 世界標準の「書く技術」』文学的な文章と論理的な文章―倉島保美 (1/2)』]、講談社ブルーバックス、2013年04月18日泉忠司『論文&レポートの書き方』、青春出版社、2009年7月5日 第1刷、108ページ。冒頭の「起」で読者が予想したことが、「転」でどんでん返しで外れてしまうと、読者が読み返す必要が生じてしまいますし、読解にも時間が掛かります。
原稿用紙が何枚もある報告書を読みなおしたり読解したりする作業は、読者にとって、かなり労力が必要です。
なお、歌舞伎の用語で「序・破・急」(じょはきゅう)という用語がありますが、この「序・破・急」も起承転結と同様、報告書・レポート・論文などの書き方としては不適切です河野哲也『レポート・論文の書き方入門 第4版』慶応大学出版会、2018年 7月20日 第4版第1刷、41ページ。
そもそも書類の目的として、報告書の目的は、何かを調査するためだし、レポートや論文の目的は、なにかの課題・疑問の問いを見つけることです。
いっぽう、起承転結や序破急は、起承転結の目的は漢詩の比喩の効果を高めるためのものだし、序破急の目的は日本舞踊を美しくみせるためのものなので、レポートなどとは目的がズレています河野哲也『レポート・論文の書き方入門 第4版』慶応大学出版会、2018年 7月20日 第4版第1刷、41ページ。
どうしても論文・レポート・報告書などを文学などのジャンルに例えたいなら、小説や漢詩ではなく、さしずめ推理小説のようなものだろう河野哲也『レポート・論文の書き方入門 第4版』慶応大学出版会、2018年 7月20日 第4版第1刷、51ページと言われており、まるで探偵が証拠にもとづき犯人を絞り込んでいくように、レポートなどでも調査結果の事実にもとづいて分析などを確固たるものにしていく必要があります。
さて、結論が書類の冒頭と最後の両方に書かれるようなスタイル(結論→理由→結論)の文章構成を「双括式」(そうかつしき)と言います。
「序論→本論→結論 」または「経緯→結論」のように、最後にだけ結論が来るスタイルは「尾括式」(びかつしき)と言います。
「結論→理由」の順序のように、最初に結論が来るスタイルは「頭括式」(とうかつしき)と言います。
文章による報告書の場合、双括式で書けば、読み手にとって読みやすくなる場合が多いので、読者は、とくにこだわりのないかぎり双括式で書きましょう。
なぜ双括式だと読み手がラクになりやすいかというと、もし読み手が2回目の結論のある場所を読んだ時、その2回目の結論の直前の文が、理由の説明の終わりだと分かるので、読み手にとって理由の文の位置を特定するのがラクになり、そのため読み手が理由を分析するのもラクになります 吉田たかよし『「分かりやすい話し方」の技術―言いたいことを相手に確実に伝える15の方法』(講談社ブルーバックス) が同様の見解。。
いっぽう頭括式だと、細かい分析が必要な報告書の場合には、理由を読み終えたあとに、いくつか前の文にもどって結論を確認する手間が生じるので、不便です。
あるいは尾括式だと、理由を読むときが暗中模索の状態になりやすく、報告書では、かなり面倒になりやすいのです。
なので、報告書では、双括式がいちばん便利なのです。
学生にとっては双括式という用語の暗記よりも、このスタイルを使いこなせるようになることのほうが重要です。
特に、1本の報告書のなかに、いくつかの小報告がある場合に、双括式が便利でしょう。なぜなら、1本の報告書の中のそれぞれの小報告をそれぞれ双括式で書くことにより、それぞれの小報告の範囲や境界が、読み手にとって明確になりますので、おすすめです。
ただし、調査対象が複雑だったり、相手の予備知識が不足している場合などは、結論より先に、必要に応じて予備知識などを手短かに冒頭の段落などで説明することもあります。永山嘉昭『報告書・レポートが面白いほど書ける本』、2013年1月29日 第1刷発行、中経出版、50ページ
ただし、予備知識を書く場合は、なるべく短くするべきです。なぜなら、予備知識は、知りたいことの本質ではないからです。報告書を読む上司などが知りたいのは、問題点や、その問題の事実です。予備知識は、問題の起きてない部分なので、本質ではありません奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P47。
ですが、たとえ背景を先に書く場合でも、けっして、わざわざ起承転結のストーリーを長々と書いて誤解を招く必要は無いでしょう。
また、明確な結論が無い場合でも、概要を先に書くのが望ましい永山嘉昭『報告書・レポートが面白いほど書ける本』、2013年1月29日 第1刷発行、中経出版、52ページ。
文学ではありませんので、なるべく管理しやすいように、あるいは今後の編集をしやすいように、形式的に書くべきです奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P14。
そのため、章番号や項目番号などのナンバリングも必要なら報告書に付けます奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P15。
は使わない。
報告書やレポートでは原則的に、レトリックなどの文学的表現は不要です大竹秀一『だれも教えなかったレポート・論文の書き分け術』、株式会社SCC、2017年10月1日 初版第1刷発行、122ページ。
修辞法(レトリックともいいます)については文法で解説しているので、そちらを見てください。ここでは、どうして修辞法を使わないのかを説明します。
な事実を簡潔かつ正確に伝えることが報告文の目的なのですから、読者に「この表現のセンスはいいね」「言葉の使い方が上手い」から言われることを目的としてはいけません。また、文法のページにもあるように、修辞法を使う文はイヤミでキザなイメージを与える可能性もあります。
から外れます。事実を正確に伝えるという役割を果たさなくなるからです。
ただし、様子を伝えるのに「~のようだ(ような)」は使ってもいいでしょう。たとえば、「ネコのような大きさの動物」といった表現は、その動物の様子を正確に伝えるという役割を果たしています。この場合でも、あまり知られていないようなたとえを使ったり、独特のたとえは要りません。あくまで、誰でもイメージできる・分かるものでなければなりません。つまり、比喩を使う場合は、直喩(ちょくゆ)でたとえる必要があります。
隠喩(いんゆ)は、読み手に読解の負担を与えるので、避けてください。隠喩とは、たとえば、ネコのような大きさのネコ以外の動物(たとえばウサギなど)に対して、「ウサギはネコだ。」とかいうように、「ような」「ようだ」を省略する表現です。
や予定はいらない。
「これから私は○○しようと思いました」などと今後の抱負やら予定が、文末などに書かれる場合がありますが、出題者から抱負の記述を要求されてないかぎり抱負は不要です。
中学校・高校によっては、教育的な理由から(「生徒に自分の意見を書く練習をさせたい」など)、報告書で今後の抱負を書かせる場合もありますが、本来は報告書では、抱負の記述は不要です。なぜなら抱負は、事実でもなければ、分析でもないからです。
それでも、どうしても抱負のような今後の目標を報告書に書く場合、段落を分けたほうが良いでしょう。つまり、抱負のための段落を、新たに用意します。報告書を受け取った人物が、第三者に報告書の内容を紹介する際、抱負が不要な場合には、抱負の段落を省いて紹介する事ができます。逆に第三者に抱負の内容を紹介したい場合でも、抱負の内容だけを抜粋する事もできます。
大学生の実験レポートなどでも、「今後の目標」は、行った実験データ部分の段落とは、段落が別々に分けられるのが通常でしょう。
まだ調べてないことについて、1日で調べられるような事なのに「もっと調べたいと思いました」程度の抱負・予定なら、書く必要はありません。むしろ、その程度の予定なら、書かないほうがマシかもしれません。
それとも、もし未調査のことがあって、それを調べるには数カ月や数年も掛かりそうなら、「○○を調べたいと思いました」と言うよりも、はっきりと「○○は未調査であり、今後の研究には、さらなる年月が調査に必要だろう」などと書くべきです。
たいていの場合、文献などでの調査中に、あなたの知らなかった新事実が判明するので、調査項目について全てを調べきるのは不可能ですし、調べきる必要もありません。
したがって、報告書では、例外として学校側から「○○について、文献△△で、すべてを調べろ」などと指定してないかぎり、項目すべてを調べきる必要がありません。提出期限までに調べられることを調べて、調べ終わらないことについては、未調査として扱えばいいだけです。
あまりにも未調査の項目が多すぎると、書き直しを命じられますが、中学生として、きちんと文献を調べているなら問題はありません。
だいたい、「○○を調べたい」と言われても、読者からすれば、「そんなに○○を調べたいなら、どうぞご自由に、実行すればいいんじゃないですかね?」って思うだけです。
中学生・高校生が1日か2日で調べられることに、世間一般の大人は、興味がありません。
大学の卒業研究みたいに数カ月も掛かったり、あるいは調査費用が高かったりするならばともかく、1日程度の調査で終わるだろう予定を紹介されても、大人の読者は「あ、そう。じゃあ、調べれば?」と思うだけです。
報告書で聞かれているのは、調査対象についての調査したデータとか、そのデータの分析です。あなたの今後の予定は聞いてないのです。
世間一般の大人は、あなたに興味は無いのです。
よほど面白いアイデアが思いついて、そのアイデアをアピールしたいならともかく、そうでないなら、今後の抱負は不要です。
報告書では、出題者から感想を指定されてない限り、感想を書く必要はありません。
それでも、もし、報告書で感想を書く必要のある場合は、手短かに要点を書きましょう。
感想も原則的に不要です。
なぜなら報告書の本質は、報告されたデータとか、そのデータに対する分析や調査結果です。あなたの感想には興味ないのです。
報告書の本質でない「感想」を、長々と説明されても、読者は困ります。
もし報告書で感想を書くにしても、なるべく、分析にも役立ちそうな感想を優先的に書くべきです。たとえば分析中に気になった事や、調査中に気になった事などがあれば、その気になった点とやらを書くのが良いでしょう。
気になった点を書くことは「感想」というよりも、今後の調査についての「意見」などに近いかもしれませんが、あまり細かいことは気にする必要はありません。
大人が書くレポートでも、最後に「感想」を書く場合は、実質的には、今後の調査についての「意見」を書いている場合が多いでしょう。
企業で必要な「感想」(自称)の具体例を挙げます
感想
実験中、エネルギー率35%時点にて、温度を40→60度と温度を変えつつ対象物体の体積の測定をしているとき、私の耳で聞いた主観判断だが、ときどき10~20秒程度の感覚でボコボコっと音が何回も周期的に鳴ったように聞こえた。
さらに、どうも温度が50度を超えると周期が短くなっていき、10秒ていどの周期で音が鳴るように思われる。
しかし、それにもかかわらず、温度そのものは他の実験と同様に安定して上昇しているように見える。
こういうのが、企業の報告書とかでの「感想」です。
つまり、予想外の現象に遭遇したり、設備不足・人員不足などの理由で、きちんと検証しきれていない現象があるので、あくまで推測にすぎず「思われる」とか「見える」とかで語尾を濁さざるを得ないが、しかし、報告の必要がありそうな重要そうな現象を発見したかもしれないときに、「感想」とかの項目を追加して、マトメて報告するテクニックを使う場合もあります。
はたして、企業のこういう想定外マトメの報告を「感想」と言うのが国語的に正当なのかという疑問はありますが、しかし、企業では、これが報告書の「感想」の実情です。文句を言うなら、経団連とかに文句を言ってください。
残念ながら、大学とかでレポートの書き方を教えている大学教授とかは、こういう実情を知らないので、あいかわらず読書感想文の感想みたいな感想をレポートなどで要求しますが、しかし企業の「感想」は意味が違います。
なお、たとえ想定外の特記事項の無い場合であっても、もし「感想」欄があるなら、下記のように、特記事項の無いことと、その根拠となる観察結果の印象などを書くと、読み手が検証しやすいので、便利です。
感想
特に無し。実験はいつもどおり、安定して温度が40→60度と定格時間の5分で上昇していった。
こう書くと、特記事項の無いと判断した根拠も読み手が分かるので、読み手はいちいち書き手の意図を確認する手間が減ります。
「感想」というより、「特記事項」や「追記事項」とでも言うべき項目のような気もしますが、しかし日本企業には、こういう言葉の使い方をしている企業もあるので、まあ必要に応じて、使い分けてください。
なお、「所感」または「所見」という場合もあります」永山嘉昭『報告書・レポートが面白いほど書ける本』、2013年1月29日 第1刷発行、13ページ。「考察」と言う場合もあります永山嘉昭『報告書・レポートが面白いほど書ける本』、2013年1月29日 第1刷発行、中経出版、68ページ。
また、企業によって、特記事項的なことを「感想」という場合もあり、いっぽうで、読書感想文みたいな感想のほうは「所感」という企業もあれば、その逆の企業もあります、
つまり、特記事項的なことを「所感」といい、読書感想文的な感想のほうを「感想」という企業もあります。
企業によって用語の使い方がバラバラなので、読者は将来、就職先の用語に合わせてください。
それでも、どうしても報告書に、読書感想文みたいな感想を書くのだとしたら、
抱負と感想に要求される内容が似ているため、もし感想を書くなら、抱負とまとめても良いかもしれません。
しかし、単に「報告書を書いて、勉強になった」「ためになった」「もっと勉強しようと思いました」などの感想なら、わざわざ書くほどの必要がありません。
小学校・中学校での、人生で初めてかもしれない報告書の体験なら、感想を書くことにも教育的な意義があるかもしれません。しかし、大人の社会の報告書では、単純な「勉強になった」などの感想は不要です。
「意見」とは
なお、さきほど(今後の調査についての)「意見」と言いましたが、日常語でいう「意見」とは意味が違い、報告書や論説文でいう「意見」とは根拠のある提案などのことです。もしくは、根拠をもとに、なにかを証明することです。どちらにせよ、根拠をともないます。
※ 高校の選択科目『国語表現』でも、そう説明している。
※ 以下の文では説明の単純化のため、提案の意見について、本章では説明する。
けっして、なんの根拠もない「〇〇すべきである。」(あるいは「〇〇するのが合理的だろう。」など)というだけの単独の文は、報告書でいう「意見」ではないのです。
「意見」とは、それにさらに論拠を加えたものです。
つまり
〇〇すべきである。
なぜならば、□□であるからだ。よって、〇〇するのが合理的である。
のような文章構成のことが、報告書でいう「意見」のことです。
このように、意見を提案する場合には、先に意見を書き、直後に理由を書くのがマナーです。高橋慈子『ロジカル・ライティングがよ~くわかる本』、秀和システム、2009年7月25日第1版 第1刷、184ページ。なぜならビジネス文書では、先に結論を書くのがマナーだからです。
あるいは他の文例構成としては、報告書によっては提案の直前の文で論拠を説明している場合もよくあるので、
提案になるが、上述のように□□であるので、よって提案として、我々は〇〇すべきであろう(あるいは「するのが合理的である」など)。
のように書かれる場合もあるかもしれません。
ともかく、「提案」と「根拠」がセットでないと、報告書では「意見」として役立ちません。
意見を書く際には、提案のすぐ近くに、根拠を書く必要があります。
ただし、意見や提案は、報告書のメインではないです。
報告書は、あくまで、実際に起きたことを報告するのが本来の役割です。
どうしても意見や提案の書類が必要な場合は、なるべく別の段落または別の書類にまとめましょう。ただし企業の場合、意見や提案などは、書類ではなく口頭で済ます場合も多く、意見や提案の書類が造られない場合もあります。(提案や意見は却下される場合も多く、却下される事項の書類をいちいち作成するのは、企業では手間なので。)
それでも、もし意見や提案などの書類を作る場合なら、報告書のほうに「別紙にて意見/提案あります」のようなコメントで紹介するぶんには、構わないでしょう。
冒頭などで紹介するための結論(または要点)をまとめる場合は、まず下書きが必要です。
あらかじめ別の用紙に下書きして、思うことがあれば、どんどん書き出していくのが良いです。その際、パソコンのワープロソフトなどを用いて、下書きしてもよいでしょう。パソコンを用いると、今後の構成の編集でも楽をできます。
いったん紙やパソコンで書いてみると、意外と、書きたいことがどんどん思いつくものです。
文章を十行くらい書き出したら、そこでいったん、書いた内容の順序を入れ替えて、結論から文章が始まるという構成にします。パソコンがあると、この文章の順序を入れ替える作業が、コピーペーストのボタンだけで終わるので、とても便利です。
この結論から書き直した文章を核にして、文章を書いていくと、良いでしょう。
報告書では理想的には、調査や分析などが充分であるのが理想的ですが、しかし、時間や費用などの問題で、不十分な調査で終わってしまう場合もあります。
その場合、要点を冒頭に書こうにも、何が要点なのかすら不明なので、「結末・要点から書く」という手法では書きようが無いという状況になります。
このように、調査が不十分で要点を書けない場合の対応策として、仮説を報告書内の適切な場所に書くのが良いでしょう。
調べている最中で集めたデータなどをもとに、自分はどんなことを予想したか、そういったことを書くと良いでしょう。
もちろん、あくまで仮説なので、「仮説であるが、〇〇かもしれない、と思っている。」などと、仮説であることが読み手に伝わるように記述しておく必要があります。このように、仮説と事実とは、報告書では区別を明確にできるようにすべきです。
また、もちろんその仮説の前提となるデータも、可能なかぎり、報告書に記述しましょう。
報告書で、過去に実際に起きた出来事(できごと)を報告するとき、報告の順序では、かならずしも過去から順に報告する必要は無いです。
なぜなら、もし過去の出来事が多い場合、読者がいちばん知る必要のある現在のできごとに到達するまでに、時間がかなり掛かってしまいます。
なので、報告する出来事が多くなりそうな場合、まず最初に、現在起きていることを報告してしまいましょう。
そのあと、過去から順に現在まで報告するのです。
つまり、たとえば例文は
現状は〇〇である。
こうなった経緯は、そもそも△△であった。
△△のあと、(中略。ここの説明が長かったとする)、そして、ついに□□が起きた。
その後、□□により、〇〇が起きた。
のような説明順になります。
つまり
現在
最も古い過去 (仮に過去1とする)
その次に古い過去 (過去2とする)
過去3 (過去1、2の次に古い過去)
・・・
現在の直前の過去
現在
のような文章構成になります。
また、このような説明の副次的なメリット(利点 のこと)として、いちばん重要である現在の情報の読み落しする可能性がなくなるのと、論理のつながりが明確になるので安全です。
上述のように最後にまた現在の話を書くこと、数学の定理の証明の文章のように、最後に提起された話題が再び来るので、論理構造が明確になります。
報告書というよりかは説明文の書き方の話なのですが、何かを説明するときは(※ 例外として、厳密な証明でない限りは)少しくらいの重複があっても論理のつながりを明確にすることを優先するのが、国際標準での論文や企業などでの報告書のスタイルです畑村洋太郎 編著『実際の設計 新訂新版』、日刊工業新聞社、2023年4月14日 改訂新版 第12刷 発行、P395木下是雄 著『理科系の作文技術』、中公新書、1981/9/22。言葉足らずになって論理が伝わらないよりも、少しくらいの説明の重複があってもいいので相手が確実に理解できるように説明することが、国際的にも求められていますし、文科系だけでなく科学技術の学会などの世界でも求められています。畑村洋太郎 編著『実際の設計 新訂新版』、日刊工業新聞社、2023年4月14日 改訂新版 第12刷 発行、P395。1981年発売『理科系の作文技術』(木下是雄 著、中公新書)から、2011年の福島原発の事故調査委員会で委員長を勤めた工学者の畑村洋一郎が編集している機械設計論の本にも、そう書いてあり、時代を超えて通用する考え方です。
また、重複してでもいいので、なるべく、読み返しなどをしないで済むようにして、書類中での論理の流れを止めないようにする必要があります畑村洋太郎 編著『実際の設計 新訂新版』、日刊工業新聞社、2023年4月14日 改訂新版 第12刷 発行、P395木下是雄 著『理科系の作文技術』、中公新書、1981/9/22。
「パラグラフライティング」と言った場合、決して単に段落の冒頭に結論を書くだけでなく(それは出来て当然ですが)、さらに上述のように、言葉足らずにならないように、重複が少しあっても良いので説明内容の論理展開のつながりを明確にする文章構造も求められている事に注意してください。ビジネスマン向けのパラグラフライティングの入門書で、講談社ブルーバックス『論理が伝わる 世界標準の「書く技術」』でも、そうすべきだと主張されています。※ 倉島保美 著『論理が伝わる 世界標準の「書く技術」』 、講談社(ブルーバックス文庫)、2012/11/21、でも、似たような主張が提案されている。。
一般に説明やレポートと言うのは、読み手の時間節約のため説明の一部を抜粋しても内容が把握できるように書くことがビジネス現場で求められるので、ところどころ説明に重複があるのです。
また、派生的な効果ですが、抜粋しても分かるように説明することで、仮にどこか不明な説明不足な個所があっても、その説明不足ミスが全体に波及することを食い止めることができます吉田たかよし 著『「分かりやすい話し方」の技術―言いたいことを相手に確実に伝える15の方法』、2005/5/20 、。
たとえば大型客船や軍艦の設計など、大型の船舶の設計では、仮に座礁(ざしょう)やら敵軍からの砲弾の被弾などのせいで自分らの船に穴が一か所あいても、沈没しないように、船舶の内部をいくつかの開閉式の隔壁(かくへき)で区切ったブロックに分けて、浸水がブロック内にとどまるように設計します。
文章の設計でも同様に、もし何か説明不足があっても、ミスがブロック内にとどまるようにするための隔壁として、それぞれの章や段落ごとのブロック内にミスの影響を留められるよう、他の章や段落で説明したことでも多少の重複をして説明しましょう。
また、上述の参考文献の種類から、科学技術の世界の作業現場や開発現場でも、学会などの学術の世界でも、行政の世界でも(事故調査委員会は行政です)、ビジネスの世界でも、基本的には言葉足らずよりも重複してでも確実に伝えるほうがマシです。
戦前の電報の時代ではないので(「サクラサク」とかああいうのが電報)、特別な理由がないのに字数を減らしても無意味です。
レポートや論文だけでなく、政治家の演説でも同様に教育指導されます。講談社ブルーバックスの『「分かりやすい話し方」の技術―言いたいことを相手に確実に伝える15の方法』に、そう書いてあります(著者が元・議員秘書で、自由民主党議員の秘書です)。吉田たかよし 著『「分かりやすい話し方」の技術―言いたいことを相手に確実に伝える15の方法』、2005/5/20 、
ただし例外もあります。ソフトウェアのプログラムや、機械製造などの図面などといった詳細な設計をする分野では、重複のせいで指示ミスなどのさいの修正の手間が増やすので(たとえば、ある指示にミスが含まれていて、そのミスを含んだ指示を5回重複してしまうと、修正量が5倍になってしまう)、このような設計設計の分野では例外的に重複を避ける必要もあります。
文科系の評論家や文科系の大学教授などの学者のなかには、詩歌などを例にして重複を極端におそれる人もいますが、しかし報告書はけっして娯楽ポエムでもなければ、娯楽ソングの歌詞でもないので、少しくらいの言説の重複を避ける必要はありません。
もし大学教授あたりが何か知ったかぶりで何かの文献を権威にして文句を言ってきたら、上述の自民党議員秘書の講談社ブルーバックス文庫の書籍と、福島原発事故調査委員会委員長を勤めた畑村の書籍を論拠にして、反証しましょう。
「歌を歌う」とか「違和感を感じる」というような表現を『重言』(じゅうげん、じゅうごん)と言います。(※ワープロソフトで漢字変換する際は「じゅうげん」で出す。「じゅうごん」だと変換できないソフトもある。)
国語教育では、いくつかの重言は不正解として扱われます。たとえば国語教師むけの教育書『変わる!高校国語の新しい理論と実践』(大修館書店)を読むと、「違和感を感じる」という表現を問題視しています大滝一登・幸田国広 編著『変わる!高校国語の新しい理論と実践「資質・能力」の確実な育成を目指して』、大修館書店、2016年11月20日、P202。
しかし、講談社ブルーバックスの倉島保美 著『論理が伝わる 世界標準の「書く技術」』などで重言を不正解とする国語教育者が反論されているように、日本国民の総意としては合意が取れていませんし、世間にも重言が普及しているのが実態です(普及しているのが実態だからこそ教育書でも取り上げざるを得ない)。受け身の「ら」抜き言葉などと同様、普及しているのが実態です。
報告書の書き方とは直接の関係はありませんが、当wikiでは他にツッコめそうな単元のページが無いので、この単元を間借り(まがり)して、少しツッコんでおきます。
なお、中学高校の検定教科書では、重言については特に触れられておらず、したがって文法違反とも正当とも、どちらとも言われていません。『変わる!高校国語の新しい理論と実践』(大修館書店)の執筆者の一人に文科省の官僚の一人もいるので、もしかしたら検定官は重言を文法違反だと思っているのかもしれませんが、しかし文科省からは省庁の声明などは出せていません。
ハッキリ言うと、パラグラフライティングの教育を国語ではなく(高校の)英語教科書で行われているのですが、この英語教育で文章の書き方を教える例のように、日本の大学などの国語学者はもう、日本の理科系の知識人からは国語教育者として相手されてません。しかし、人気商売のビジネスマンとかは国語学者を参考にしているかもしれません。
なお、講談社ブルーバックスの著者の倉島保美は、民間や私企業だけでそういってるのではなく、大学などの公演などにも招かれてパラグラフライティングなどを教育指導している人です(たとえば東京都立大学の公演 [https://research-miyacology.tmu.ac.jp/events/8812/ 2023.10.13「著者 倉島先生から教わる論理的な文章を書くための『パラグラフライティング講座』」開催について] に招かれている人であり、リンク先に「対象者 本学教職員、博士後期課程学生、博士後期課程への進学を検討する博士前期課程学生」とあります)。手元に本が無いので大学名を忘れましたが、そのほかの大学の理系学部でも授業の講師をしていたはずです。
このように、ある大学の教育者が言っていることだからと言って、別に普遍の真実でも何でもなく、決して大学業界の多数での合意があるわけでもなく、業界や共同体の種類によって正解は変わるという事です。
文章というのは、客層によって文体などを変える必要があります。もっと言うと、報告書のような、ある程度の知的な文章を書く際は、あまりにも広すぎる客層は、避けたほうが安全です。
報告書と言うのは、仕事などに関して実際に起きている事を会社に報告するのが目的の書類ですので、決して暇つぶしなどに小説を読んでいる人は客層ではありません。だからこそ、パラグラフライティングを紹介している倉島などは、国文学者の文学でしか通用しない国語教育を批判しているわけです。
サラリーマンがフルタイムで1日8時間ほど働いた場合、最低でも月給で15万円以上は、もらえます。報告書とは、月15万円以上を毎月欠かさずに払ってくれる会社のために書く書類であり、仕事に関する出来事とその分析などを報告するために書くものです。決して、せいぜい月に3000円ていどしか払ってくれなくて払わない月もあるような暇つぶしの小説読者なんかのために書くものではありません。
本来なら、きちんと
みたいに指導してほしいものですが、困ったことに大学教師などでも、自分の業界の書き方だけを唯一正解のどこでも通用する書き方として指導する、ちょっと頭の悪い大学教師もいて、まったく淘汰されません。困ったものです。
だいたい、「違和感を感じる」という表現がダメだとして、ではどの表現が正解なのか、大修館書店の教育書は言いません。じゃあ「違和感がある」とか「違和を感じる」とかが正解なのか。
ハッキリ言って、「違和を感じる」なんて言い回し、世間では使われていません。
サイト [https://news.mynavi.jp/article/20230417-2643473/ 矢野 幸那 著『「違和感を感じる」という使い方は正しい? 間違い? 言い換え表現を紹介 』掲載日 2023/04/17 20:01 ]によると、「違和感を覚える」「違和感を抱く」などの言いかえを提唱しています。
しかし、そのほかの感情、たとえば「喜び」、「怒り」、「哀しみ・哀しみ」、「楽しみ」など喜怒哀楽(きどあいらく)について、
「喜びを感じる」は特に重複していませんし、「怒りを感じる」も特に重複していませんし、この流儀だと「違和感」だけ使い方が違ってしまい、不便です。
「快感を感じる」とかもダメなのか?じゃあ「快楽を感じる」はどうなのか?「快感と快楽とで併用する動詞を変えるのは不便すぎないか?」とか、もしこう突っ込まれたら、どう反論するのか。
「快感を抱く」なんて言うか?「快感を覚える」と言い換えると、少し意味合いが変わってしまう(「初めての快感」みたいな意味に受け取られる)。
あるいは「優越感」や「劣等感」は?さーて、どうする!?
ほーら、難しくなってきたー!
・・・・と、まあ、このように、日本語の文法と言うのは、とても難しく、実際には慣用などによって成り立っています。
あまりに慣用、慣例などが多すぎるので、日本在住の外国人にとっての日本語学習の負担にもなっているので、外国人との付き合い方にも影響を与えており、国際化の現代としては、言語文化の維持と国際化との両立とで、いろいろと悩みを抱えている日本人すらもいるくらいです。日本経済は貿易に成り立っている、という事も忘れるわけにはいきません。
さて、 [https://news.mynavi.jp/article/20230417-2643473/ 矢野 幸那 著『「違和感を感じる」という使い方は正しい? 間違い? 言い換え表現を紹介 』掲載日 2023/04/17 20:01 ]では。
重言(二重表現)でも普通に使われる言葉も
同じ重言の中でも、一般的に許容されている表現もあります。例えば「犯罪を犯す」「被害を被る」などは、テレビや雑誌でも普通に使われている重言です。一方、「頭痛が痛い」「本を読書する」などは控えた方がいい重言とされています。判断が難しいですが、言い換え表現が存在するのであれば、そちらを使うのが無難です。
とあります。ご参考に。
「判断が難しいですが」とか「無難」と言われているように、現代語の文法的には正解とか間違いとかは、決められていません。もし決めている自称・国語学者がいたら、少なくとも現代語の学者としては確実にインチキ学者ですので、淘汰すべきです。
じっさい、明治時代から既に重言は存在しており、webサイトでは [https://10mtv.jp/pc/column/article.php?column_article_id=2509 「違和感を感じる」は誤用?正しい日本語の使い方]が紹介しています。
さらに綿谷は明治25年に出刊された『道楽全書之内』の巻頭に掲載された番付【重言競】を以下のように翻刻し、「すべて当時の実用語中から、“重言”といい得る用法の言葉を取り上げたもので、案外その語数の多いのに驚かされる」とも述べています。
番付【重言競】
行司:月夜の晩、見てごらん、明朝早朝
勤進元:学問を学ぶ、五戒の戒め
《東》
大関:後で後悔
関脇:何月の月
小結:旧暦の暦
前頭:1.一時間の間、2.珍物もの、3.夫婦二人、4.一所の所、5.五色の色、6.人は上人、7.面長な面(かお)、8.五桐ぎり、9.急ぐ急用、10.半紙の紙、11.白髪の髪、12.御神酒の酒、13.迷子の子、14.入札を入る、15.古いむかし、16.鉄道の道、17.遠い遠国、18.干物もの、19.上へ上る、20.山家の家
《西》
大関:理解の解
関脇:何日(いつか)の日
小結:何歳の年
前頭:1.一言の言葉、2.上品な品、3.幾人の人、4.別れて別々、5.金絲の絲、6.偏人な人、7.いゝ別嬪、8.紅葉の紅葉(こうよう)、9.廻文を廻す、10.木の葉ッぱ、11.船の船頭、12.燈明の明り、13.実子の子、14.落札が落る、15.今の当世風、16.馬車の車、17.近い近所、18.唐物もの、19.下へ下る、20.寺の寺内
(※「前頭」の1.~20.は、東西の対をわかりやすくするための便宜上ナンバリング)
「後で後悔」とか「月夜の晩」とか「学問を学ぶ」とか、21世紀でもよく聞きます。「見てごらん」は子どもに話かけるような表現であまり使われなくなっているかもしれませんが、特に文法的には問題視されていないのが現状です。(「ごらん」は「御覧」なので閲覧(えつらん)・観覧(かんらん)のような意味があり、「見る」とほぼ同じ意味)
サイト冒頭で、「重言」(じゅうげん、じゅうごん)のことばの意味を紹介しており、
「違和感を感じる」「馬から落馬する」「後で後悔する」「被害を被る」「犯罪を犯す」「頭痛が痛い」「必ず必要」「返事を返す」…。これらの表現にあなたは「違和感を感じる」でしょうか?
上記のような「同じ意味の語を重ねた言い方」は、「重言(じゅうごん/じゅうげん)」と呼ばれています。
と、あります。
このサイト著者は
一方、「我々」「泣き泣き」「またまた」「はやばや」「知らず知らず」などの、同じ単語または語根を重ねて一語とした複合語である「畳語(じょうご)」や、「歌を歌う」「舞を舞う」などの「同族目的語」は避ける必要はありません。
と言うが、このサイト著者は「違和感を感じる」を問題視していますが、だったら「違和感を感じる」は同族目的語だと言えば反論できてしまいます。つまり、「『違和感を感じる』が同族目的語ではない」という事をサイトは証明できていません。
「違和感」と「感じる」で「感」という漢字を2回使っているから同族目的語ではないというなら、「歌を歌う」も「後で後悔」もダメです。ろくに論理的に反論できていません。
要するに、単に文句を言う人が多ければ濫用を控えるべきだとして、文句を言う人が少なかったり偉い文学者とかが使っていれば問題視しない、という、非常にろくでもない理由で決まっているだけです。
小説家や詩人といった作家のような人気商売なら、それでもいいでしょう。なので文学部とかで文革作家志望のコースとかでそうするのも(重言を控えるのも)アリかもしれません。ですが、義務教育でそれを無批判に「正解」とされては困ります。「重言を問題視する人もいるので、文学部進学者もいる中学高校教育の場では重言を仕方なく控えてもらう。」というのなら分かりますが、それは公教育の都合でしかありません。
なぜなら、別に義務教育の国語教育は、作家志望者のコースではありません。義務教育の国語は、決して部活の文芸部の練習場ではありません。
そもそも、そういう文学寄りの国語教育が現実の大人社会で使う日本語とズレているのが2010年代に問題視されたからこそ、2022年の教育指導要領の改訂で、国語教育が大幅に改定されて、契約書の読み方だとか法律文の読み方を高校教育でもっと時間を掛けて教える事になったのです。(要するに、日本の大学の文学部の国文学科(こくぶんがっか)の国語学者が、少し文科省からは信用されていません。大学入試の国語の入試問題を作っている国語学者そのものが、文科省からは少し信用されていない、という意味です。)
なので、講談社ブルーバックスの著者の人たちのような理系の人たちも、そういう非論理的な日本の文系の業界の人たちを信用していません。パラグラフライティングの教育も、日本では国語学者たちはロクに紹介してこなかったので、理系の人たちが主導して(文学部ではなく理学部・工学部などの)理系の大学学部で教育してきたという歴史的経緯すらあるくらいです。
国語学者の浅知恵の教育ではなく、正しい国語教育をするなら
・日本語の文法は、近代以降の英語のような規則が先に決まった言語とは違う。このため、現代の日本語の統一規則と言うのは、小学校以上の国語では基本的に存在しない。
という事を基本的に教える必要があります。それゆえ、
という方針になるでしょう。
たとえば「ら」抜き言葉を不正解として問題視する勢力がある一方、「受け身」と「可能」の区別といった文意が明確になるとして活用する人もいます。たとえば「ら」抜き言葉の活用派の意見で、
「やれる」なら可能、「やられる」なら受け身、
といった使い分けができるとして「ら」抜き言葉を積極活用する人もいます。いっぽう、明治時代あたりに制定された文部省あたりの文法だと「やられる」でも可能の意味としても使えることになります。
もっと言うと、明治時代や昭和の敗戦などのあとの国語改革で文部省などの制定した文法と、実際に世間や小説やビジネスなどの場で使われている日本語とは、もう明治時代あたりから既に異なっています。
だから業界や地方などによって、通用している日本語が違います。
たとえば「私」の読みの「わたし」と「わたくし」の意味の違いすら、地域や年代によって違います。
逆に、
このように業界が異なれば、好ましいとされる表現も食い違っているくらい、実際の日本語の運用は業界などによってバラバラなのです。
だから、21世紀の現代の文部科学省では、現代語の国語教育としては小学校で習うような最低限の規則だけを定めて、あとはそれぞれの業界の慣例に任せており、決して文科省は深入りしていません。
日本では業界などによって、好ましいとされる表現の細部が変わるのが実態ですので、そういう業界差を教えないで「正解」と「不正解」の表現を決める人からは離れたほうが良いでしょう。例外的に、明らかな文法ミス、たとえば「私は have a ペンで~す」とか「ペンは、わたーしを、もってるでーす」みたいなカタコト外人みたいな表現を除けば、まず明確な正解・不正解が日本語にはないのが実態です。
日本語では、統一的な正解表現というのは、ありません。
明治や昭和の文部省(現在は文部科学省)などの定めた国文法や国語教育は、とりあえずの共通語のための文法に過ぎません。実際は、文部省の定めた文法ですら、方言の一種です。
まとめを箇条書きするなら、
という事を教えることと
・「歌を歌う」や「違和感を感じる」のような表現は『重言』(じゅうげん)という。
・重言の中には、慣用的に正しいとされているものと、正しいと保証されていないものとがある。「歌を歌う」は多くの業界で好まれているが(おそらく英語の sing a song の影響か?)、「違和感を感じる」は問題視する人も多い。
・容認される重言と容認されない重言との差について、特に文法上の論理的な根拠は無い。
とでも、なるでしょうか。
ときどき、企業の管理職や、または大学教員などでも多少の重複した説明を不正解とする人もいますが、講談社ブルーバックスの著者の政治家秘書や設計技術者などの書籍の知見や「同族目的語」の概念から、重複を不正解とする人は大した仕事をしてない人だという事が、分かります。そういう出来の悪い管理職のいる会社からは、ひそかに転職活動を開始するなどして、そっと離れましょう。
設計などのアイデア出しの際、いちいち言い換え表現とか考えるのが時間の無駄なので、同族目的語のように許容するのが実態です。だから元・設計技術者の倉島(NECで集積回路LSIの設計をしてた人です)は、重言を問題視してないわけです。
重言をやみくもに不正解とする人は、設計といった上流工程の仕事をしてない人(ここでは「上流」と言っても決して「身分が高い」という意味ではなく「最初のほうの工程」と言う意味です)、たとえば人格的に問題があって、そういう上流の仕事を任せてもらえない人なので、転職などをして離れる必要があります。
社会では、文句ばかりを言う層は、そもそも客層から排除されます。たとえばイスラム教徒は戒律(かいりつ)がきびしく文句を色々とつけてくるので、日本の創作物などでは、そもそもイスラム教徒を出さなくなり、最初から作品内にイアスラム教徒などは基本的に「居ない」ものとして扱われている傾向すらあります。もっとも、イスラム教徒も別に日本などとの商売のために宗教をしているわけではないので、それでも気にしていませんが。
東アジア系などの在日外国人なども同様で、最初から居ないものとして扱っている作品も多くあります。
企業の中には、金払いが悪いくせに口うるさい消費者を嫌って、そもそも一般消費者に向けては商品を販売していない企業すらも存在するくらいであり、そのような企業群をまとめて「B to B 」企業(ビー・トゥー・ビーきぎょう)と言います。Business to Business の略です。いっぽう、一般消費者向けの企業のことは「B to C 企業」と言い、to Consumer (消費者向け)の意味です。
消費しかしたことのない子どもには分からないのかもしれませんが、大衆むけ・消費者むけの商売というのは、今や、嫌々(いやいや)にやらされる仕事なのです。
株主などの外部向けの報告書や、一般消費者むけの報告書は、いやいや書かされるものです。株主に関しては、実際に数百万円以上を出資してくれたり、株式総会の会場に足を運んでくれるので、最低限の礼儀として、一応は義務教育教育レベルの敬語で書類を書いて、真摯に対応します。
音楽ミュージシャンなんか芸能人の一部も既にそうなっており、たとえば音楽CDなどを出してもケチくらい消費者に文句しか言われないし違法コピーも広まりやすいから、いまやライブイベント中心のミュージシャンすらもいるくらいです。実際にライブ会場という現地に実際に足を運んでくれる人だけを相手する、という商売です。万が一、ライブイベントが違法に録画されても、誰が録画したかを追跡しやすい(なので訴訟(そしょう)しやすい)、という利点もあります。おそらく、落語家や噺家(はなしか)なども同様の傾向でしょう。
いまや、宣伝のために仕方なく、最低限のCDやDVDや書籍を販売する、といった構造になっている業界すらも、あるくらいなのです。
さて、(外部向けではなく)社内向けの報告書で、いちいち「拝啓」だの「敬具」だの書いてたら、上司に馬鹿にされます。「そんなことに気を使ってるくらいなら、さっさと、起きたことだけを書いて、報告書を提出しろ」みたいに上司に指導されるのがオチです。
社外向けの書類だけ、仕方なく、無礼のないように最低限の礼儀として「拝啓」だの「~でございます」だのみたいな丁寧な表現を使うだけです。
企業社会での敬語と言うのは、中学校や高校の教科書や参考書にあるような敬語で十分です。
なお、敬語の使い方について、少しくらい丁寧すぎるぶんには、企業では問題ありません。
たとえば「~させていただきます事になります。」みたいな表現を敬語の使いすぎの表現みたいに批判する評論家もいますが、しかし小売業界では特に問題視はされていません。
あるいは、文章だと字数を短くするために「~します。」となって、口頭だと「~させていただきます」になったりと、文章と口頭とで言い回しが違うことすら、あります。
スーパーやデパートなど小売業界のレジ打ちの人の言葉遣いを「丁寧すぎる」と問題視する評論家もいますが、小売業界からは全く相手されていません。
学校の作文では、あまり、それぞれの段落にタイトルをつける事はないですが、しかし、企業などでのレポートは違います。
あなたが今このページで読んでいる文章にも各章にタイトルがあるように、レポートにも章ごとにタイトルがあると、管理しやすくなります。
※ 旺文社の小学生むけの社会科の参考書『わかる社会』でも、レポートの書き方の例として、それぞれの章にタイトルをつけている方式を、良いレポートの書き方として紹介している。
また、そのタイトルのつけかたは、その章の調査対象などを簡潔に示すタイトルにしてください。
たとえば、日本の歴史についてのレポートで、ある章では日本の江戸時代の食文化について調査した結果を主に紹介しているなら、その章のタイトルは単に「江戸時代の食文化について」のような簡潔なタイトルで充分です。
けっして、世間の各種の広告のキャッチコピーなどのように、一見すると矛盾するようなタイトルをつけないでください。
たとえば、江戸時代の食文化のレポートなのに、人目を引こうと思って「江戸の寿司は未来だ!」(× ダメな例)とかの矛盾したタイトルをつけると、レポートの管理者(上司など)に読解作業の負担が掛かります。
なお、感想などの段落も、タイトルをつけるべきです。感想の欄のタイトルは「感想」で充分でしょう。
※ ただし、上記のノウハウはあくまでレポートの場合の書き方です。映写機などを使ったプレゼンテーションなどの場合は、ノウハウが異なります。
たとえば社会科の地理などのレポートで、特定の国の文化についてレポートを書く場合には、文献調査が必要でしょう。
参考書を準備しておく。
たとえ、理科実験など実技関係のレポートでも、参考書も用意しておいて、必要に応じて、関連箇所を目次で探して読むと、良いでしょう。
(ただし、その科目の参考書が市販されてれば、の場合ですが)
参考書を読む必要が無いなら、参考書を読む必要はありません。調査時間も限られているだろうし、参考書のすべてを読む必要はありません。参考書については、目次で関連の深そうなテーマを1つか2つか探して、数ページでも読めば充分です。
それでも分からないことがあれば、そこで初めて、図書館を利用したり、インターネットを利用したりすればよいのです。
参考書を読めば分かるようなことを調べるのに、わざわざ図書館に行くのは、時間が大変に掛かります。それに夜中などは図書館が閉まっています。
中学の参考書だけでなく、高校の参考書・資料集も、文献調査の際に買っておくと、図書館で文献を探す時間を節約できて便利です。
はいらない。
内容の羅列をするなら、その文献を紹介すれば良いのです。そもそも内容の羅列は、学校側の出す課題のテーマにならないでしょう。そして、その文献の内容のうち、報告書で必要な箇所を紹介すれば、済むだけです。
教科書・参考書以外の本の内容を紹介する場合でも同様です。
説明のため、どうしても教科書または参考書の一文や語句などを紹介する必要がある場合などでも、紹介した文や語句についての自分(=あなた自身)の考えを、自分の理解できる言葉で説明してください。読者が知りたいのは、あなたの分析であり、べつにどこの教科書や参考書に、何が書いてあるかを知りたいのではありません。あなたの考えを説明するべきなのです。
なお、引用などが必要な場合なら、カギ括弧(「」とか『』)で くくって、また、引用であることを明記してください。この引用のルールは、引用のもとになった作品の作者の著作権などの権利を尊重するためです。
文献調査の課題では出典を紹介する。
実技分野以外の、国語や社会科などのレポートなどで、文献を読んでレポートを書く課題の場合です。
文献調査によって書く報告書の場合、あなたの主張の根拠にした出典を紹介してください。あなたが調査のために読んだ本のタイトルなどです。読んだ本が複数冊ある場合は、最低でも1冊はタイトルを書いてください。
報告書にかぎらず、引用の場合には最低でも、その出典について、著者名・タイトル・出版社名 の3点は必ず記載するのがマナーです新田誠吾『はじめてでも、ふたたびでも、これならできる!レポート・論文のまとめ方』、すばる舎、2019年10月25日 第1刷発行、65ページ。
一般的には、大人の文献調査では、基本的には、出版社名・タイトル・著者名・出版年および版・参考にしたページなどを書きます。
」と言います。
とは、他の本に書いてあることを、そのまま書き写すことです。
たとえば『平家物語』から冒頭部を引用すると「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり」となります。読みがな(「ぎおんしょうじゃ」とか「しょぎょうむじょう」とか)は、引用する必要は、ありません。
上記の平家物語からの引用の例のように、引用が必要な場合は、その引用した部分を、カギ括弧(「」など)で、くくってください。
上記の例では「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり」の部分が、引用された箇所になります。
また、どこの本からの引用なのか、はっきりと分かるように紹介するべきです。上記の例の場合、『平家物語』という本からの引用だと分かります。
引用の文量は、最低限にしてください。また、引用の際には、原則的に文字を変えたりせず、そのまま書き写します。ただし、漢字が常用漢字以外などの場合、常用漢字に変えてもかまいません(この場合、常用漢字に変更したことは、いちいち説明しなくていい)。
しかし、そのような特別な理由が無いかぎり、そのまま記載するのが、引用のルールです。
といって、他の人の文章をぬすんだのと同じ扱いになってしまいます。剽窃とみなされると、よくてレポートの書き直し、悪ければ0点扱いされてしまいます。
まちがった引用
よくある、間違った引用の例として、作者名とその人の発言だけを紹介する例があります。
たとえば
※ ダメ名引用の記載の例
「夏は少年にとって大きな脱皮の季節」(椎名誠)
※作者名しか紹介していないのが、引用としてはダメ。
※誤解の無いように言うが、けっして椎名誠がダメといってるのではなく、上記のように引用のつもりで紹介した wiki の書式がダメだと言っている。
※ 椎名誠じたいは、ウィキペディア日本語版にも記事 椎名誠 の作られるような立派な作家です。
みたいな引用の仕方です。なお、この文章(夏は~季節)は検定図書からの引用で、学校図書(教科書出版社のひとつ)の中1国語の中にある文章。
この文章だけ紹介されても、紹介文を読まされた読者にとっては、裏づけ調査が不可能または困難です。どの文献を調べれば乗っているかすら明記していないので、この作家のすべての著作を把握しないと、裏づけ調査できなくなってしまいます。そして、そもそも、この作家のすべての著悪を把握しているような人にとっては、そもそも、「椎名誠」と出典の作者名を紹介する必要は無いので、よって読者にとっては作者名だけを紹介するのは無駄です。
正しい引用の仕方は、書籍名、作者名、ページ、出版年月日や第何版や第何刷などを正確に記述する必要があります。でないと、他の人が裏づけ調査をできないからです。
なので、正しい引用の仕方だと、たとえば
「夏は少年にとって大きな脱皮の季節」(原著: 椎名誠『風呂場の散発 ‐ 続岳物語』。学校図書(検定教科書からの引用)、平成23年2月28日検定済み、平成26年2月1日印刷、平成26年2月10日発行、教科書2ページ目からの引用)
みたいに、どこから引用したのかを、きちんと第三者が「本当にもとの文献には、そう書いてあるか?」裏づけ調査をできるように引用を紹介する必要があります。
どうやら
パスカル「人間は考える葦(あし)である。」
みたいな、偉人の名文などの文章の紹介とかと混同しているような、まちがった引用の方法が、インターネットでは、ときどき見受けられます。(なお、パスカルとは西洋の哲学者・科学者のひとり。)
なお、このパスカルのような外国の偉人の文献での発言ですら、本来の引用なら、たとえば
「人間は考える葦で(あし)ある。」(原著者ブレーズ=パスカル、原書 "Pensées"(『パンセ』)、和訳 ○○文庫版、和訳出版社 ××書店、△△(訳者名)和訳、和訳版 □□ページ、)
みたいに、なにを調べれば裏づけ調査できるかのように描かないと、第三者が裏づけ調査しづらいために引用としては役立たず、あまり引用として正しいとは認められないでしょう。
まだしも、小学校や中学校など義務教育や公教育で習うような常識的な有名作から、
「何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。」(夏目漱石『吾輩は猫である』、冒頭の章より)
のように有名作を紹介するならともかく、
読者に知らない人も多いかもしれない作品ですら、書籍名すら挙げないのは、明確に引用としては間違っています。
なるべく主語、あるいは目的語は省略せず、主語・目的語を書いたほうが分かりやすいです。
一文は短めに書く奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P.18。
なるべく肯定形で書く。あまり、否定形は用いない。報告書などでは、二重否定よりも、肯定形に置き換える。
疑問点を述べる場合、その文では早めに疑問点を文中で説明する。
接続詞を用いて、文の概要を示す。
複数の項目を並べるさいは、なるべく箇条書きを利用する奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P103高橋慈子『ロジカル・ライティングがよ~くわかる本』、秀和システム、2009年7月25日第1版 第1刷、119ページ永山嘉昭『報告書・レポートが面白いほど書ける本』、2013年1月29日 第1刷発行、中経出版、78ページ。
なるべく結論から書く。あるいは冒頭に要約や概要などを書く。
なるべく主語、あるいは目的語は省略せず。主語・目的語を書いたほうが分かりやすい。
物語文などでは文章の主語は省略される場合もあります。しかし、説明文や報告書などでは、なるべく主語を書いたほうが分かりやすいです。この箇条書き項目の「なるべく主語、あるいは目的語は省略せず、主語・目的語を書いたほうが分かりやすいです」という文章も、主語や目的語を省略せず、書いています。
また、できれば主語と述語とが、近くにあるほうが、読みやすくなります(日本語は述語で意味が確定するため)。
このため、もし一文の修飾語が長い場合には、文節を分ける工夫が必要です永山嘉昭『報告書・レポートが面白いほど書ける本』、2013年1月29日 第1刷発行、中経出版、90ページ。
たとえば、
その会場には、若くて坊主頭の中学生くらいの男子学生が多く集まっていた。
ではなくて、
その会場に集まっていた学生の多くは、若くて坊主頭の中学生くらいの男子学生だった。
のほうが、読みやすいでしょう。
このように正確さを損なわない範囲で、なるべく主語と述語を近づけましょう。
また、一般に物事を分かりやすく説明したい場合には、全体像や概要を先に述べてから、各論を述べたほうが伝わりやすいです。
なお、このように、レポートや報告書などの冒頭で述べる、全体像を手短かにまとめた段落のことを「アウトライン」(英:outline 鷲田小弥太『1億人の「知的生産」講座 どんな論文でも書けてしまう技術』、言視舎、2014年11月30日 初版第1刷、61ページ)といいます新田誠吾『はじめてでも、ふたたびでも、これならできる!レポート・論文のまとめ方』、すばる舎、2019年10月25日 第1刷発行 、81ページ。(※ なお論文の場合は冒頭の要点の段落のことを「アブストラクト」というが、「アウトライン」と「アブストラクト」ではニュアンスが微妙に違う。論文の書き方については中学生には高度なため、説明を省略。
また、この冒頭の概要(読者向けのアウトライン)を書く順序としては、よくあるパターンとして、じつは、その書類執筆時の最後のほうの時点で書くことになる場合がよくあります鷲田小弥太『1億人の「知的生産」講座 どんな論文でも書けてしまう技術』、言視舎、2014年11月30日 初版第1刷、74ページ泉忠司『論文&レポートの書き方』、青春出版社、2009年7月5日 第1刷、110ページ。なぜなら、最後のほうの時点で冒頭を書いたほうが、書き手が書類で概要のあとに説明する内容をすでに分かっているので、より的確な概要を書くことができるからです。
パソコン時代の著作・編集は、じつはこういう順序になるのが普通です。手書きの時代とは、順序が違います。
ただし、もうひとつの別パターンとして、多くの要因からなる複雑なテーマを扱うレポートの場合には、下書きで冒頭に概要・序論などを先に書いて話題を限定して、自分のためのガイドラインとして概要・序論を活用しつつ、そのあとから、序論の方針にしたがって本論を書き加え、そして最後にまた冒頭の概要・序論を書きなおす泉忠司『論文&レポートの書き方』、青春出版社、2009年7月5日 第1刷、114ページ、などというパターンもあります。
どちらのパターンにせよ結局、冒頭部は、本論を書いた後に、冒頭部の概要・序論を書き直す必要があります。
もし書類に目次をつける場合にも、おそらく目次を書く時点がいつかというと、スケジュールでは最後のほうの時点に目次を書くことになるでしょう。
さて、文章を書く際、主語と述語を近づけた文章構成にすれば、自然と、最初の主語・出後の文節で概要が述べられ、次の主語・述語の文節で各論が述べられるので、つたわりやすくなるので、一石二鳥です。
ただし、このように、主語と述語を近づけると、やや堅苦しい言い方だと受け取られる場合や、内容によっては不正確になってしまう場合もあるので、読者の中学生は、うまく使い分けてください。
一文は短めに書く。
日本語は、文章の最後まで読まないと意味が確定しません。そのため、一文が長いと、読む際の負担が増えます。この「一文は、短めに書く」という文章自体、なるべく短く書こうとしています。
一般に、ビジネス文書でも、一文はなるべく短く書くのがマナーとされています奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P.18永山嘉昭『報告書・レポートが面白いほど書ける本』、2013年1月29日 第1刷発行、中経出版、78ページ。
また、このため「~であるが、」など助詞「が」をあまり使わないのもテクニックです。逆接の助詞「が」を使うと文章が長くなりがちです。「~である。しかし」のように接続詞「しかし」に言い換えるのもテクニックです奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P.125。「しかし」ではなく「ただし」のほうが適切な場合もありますので、文章に応じて使い分けてください奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P.127。
なお、「であるが」「だが」は逆接でない場合も多くあります。どちらにせよ、「であるが」「だが」は、使う場合は文章が長くなりがちなので少し気を付ける必要があります。
理由を表す「であるから」「であるので」という長い言い回しもなるべく避けるべきで、改善策として「である。だから」「である。なので」のように2つの文に分けるほうが無難です奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P.128。
なるべく肯定形で書く。あまり否定形は用いない。報告書などでは、二重否定よりも肯定形に置き換える。
日本語は、文章の最後まで読まないと意味が確定しません。日本語では、否定形(〜ない、〜しない、〜ず)などの動詞などは文の最後に来ます。否定形の前後では、文全体の意味が正反対に変わります。
たとえば、「食べない」は、「食べ」の段階では読み手・聞き手にとっては「食べたい」「食べるとき」「食べよう」「食べない」など、色々な可能性があります。
そのため、否定形があると、読み直しの手間が生じます。否定形が多いと、読み直しの手間が増えて、読みにくい文章になります。この箇条書き項目「なるべく肯定形で書く。あまり、否定形は用いない」という文章自体、「○○で書く」という肯定形の表現を優先し、「△△は用いない」というような否定形の表現を後回しにしています。
どうしても否定形だけでかく場合、まず、否定される語句を短くします。
たとえば、
という文章の場合、否定される語句は「右」という、たった1文字です。このように、たった数文字だけに短くします。
悪い例として、否定される語句が長い例文をみてみましょう。
なんて否定される語句の長い文を読まされたら、きっと読んでる人はムカつくつでしょう。なぜなら、読んでる人は、せっかく「ジュゲムジュゲムゴゴーノスリキレ」という長い語句を読んだのに、その後に「ではなくて」と否定されるので、いままで読んだ努力が無駄になってしまうからです。
あるいは、否定を使う場合のもうひとつの手法として、直前に疑問文をつけて「では、○○なのか?」と問うた直後に答えで「違う。○○ではない。」とかのように、「違う。」とかを前につけると、誤読のおそれが少ないでしょう。
「では、山田さんなのか?ちがう。『山田さん』ではなく『田山さん』である。」のように。
口頭で「ちがう」だと強すぎる表現で失礼だと感じる場合、「ちがうと思います」とか「ちがうのではないでしょうか?」みたいに、婉曲的な語尾をつける方向性で丁寧にしていくのが安全でしょう。
別の理由ですが、ある書籍では、一文に複数のテーマを設けると読みづらくなるので、「肯定」と「否定」は別々の文章に分けるべきだと主張しています奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P55。同様の理由で、「原因」と「結果」も1文には書かないようにすべきと主張しています。「原則」と「例外」も1文には書かないようにすべきと主張しています奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P55。
{{コラム|※ 範囲外: 口頭での報告の注意点|
ついでですが、口頭での報告の場合、「○○ではないです」のような否定表現は、避けたほうが安全です。なぜなら聞き間違えのおそれが高く、「○○で」と聞いた時点では「○○です。」と予想される可能性があるからです。特に仕事での口頭報告では、周囲の騒音などで、「○○で」「ガシャーン(騒音)」「です」のように、さえぎられる可能性があるので、気をつけてください。
結局、口頭での報告方法と、文章での報告方法とは、一致しません。
口頭での報告では、「○○ではないです」のような、否定形の補足説明は、むしろ逆効果です。
口頭での報告は、なるべく肯定形だけで「△△です」のように肯定形だけで報告するほうが安全です。
どのみち、説明される側の人も、口頭報告だけで細かい事を説明されても、覚えきれません。細かい説明は、後日、部下が書類(報告書)にまとめることになります。
この単元では、おもに文章での報告方法を中心に説明します。
さて、肯定形を先に無く場合、注意すべきは、肯定形の文と否定形の文を、必要に応じて2つの文に分けることです。たとえば仮に
という文章があったとしましょう。
「フドシラ」「ペネモモ」「ロブキフ」とは、いまここで考えた固有名詞です。当然、辞書には載ってません。
さて、この文章(「フドシラはペネモモでありロブキフではない。」)では、肯定形(「〜であり」の部分)と否定形(「〜ではない」の部分)を、くっつけて、ひとつの文にしています。さて、結局、「フドシラ」とは「ペネモモ」なのでしょうか、それともペネモモではないのでしょうか?
解釈が、次のように何通りにも分かれます。
解釈1: 「フドシラ」は「ペネモモでありロブキフ」ではない。つまり、フドシラはペネモモでないし、また、フドシラはロブキフでもない。
解釈2: 「フドシラはペネモモ」である。(フドシラは)「ロブキフ」ではない。
な事態が生じます。
なお、もし元の文(「フドシラはペネモモでありロブキフではない」)のかわりに「フドシラはロブキフではなく、ペネモモである」と書けば、解釈2の場合だと分かります。
そのため、どうしても肯定形と否定形を1つの文につなげる必要のある場合、否定形を先に持ってきましょう。
さて、もし「フドシラ」「ペネモモ」などの意味不明な単語ではなく、
という文章だったら、一般の読み手は「神奈川県」と「岡山県」は別の県だと知ってますから、山田くんの出身地を「神奈川県であり岡山県」という土地だと誤解する事はありません。
しかし、報告書で使うことになる単語は、必ずしも一般の読み手が知ってる単語だとは限りません。例えば、
で、3丁目ではない。」
とかになったら、もう読み手は、お手上げです。結局、ゴンザレスの出身地は「新井」なのでしょうか。それとも出身地は「新井」の「3丁目」ではなく、まったく別の場所なのでしょうか。
肯定形を先にかく手法には、こういうリスクがありますので、書類では、肯定形を先に書くのをやめて否定形を先に書く方が良い状況もあります。
「ゴンザレスくんの出身は、3丁目ではなく、新井である(でもない)。」などのように書く方法もあります。
しかし、口頭での報告では、
「ゴンザレスくんの出身は、3丁目」と聞いた時点では、聞き手は脳内で「ゴンザレスは三丁目の出身なんだな。」と誤解してしまうので、口頭の報告では、肯定形を先に話すほうが安全です。
疑問点を述べる場合、早めに疑問点を文中で説明する。
けるので、疑問点は文中で早めに説明したほうが良いです。また、疑問「点」と表記しているように、できれば疑問の箇所は文中で明確にしておき、説明のための文とは、別の文とすべきでしょう。さきほどの「あまり、否定形は用いない」にする理由と似ていて、読み返しの手間が少ない文章構成にするほうが、読者にとって便利です。
・ ノウハウ(参考): 疑問文が長くなりそうなら、文頭で「疑問だが」などと述べてしまうのも、一つの手法。
日本語では、「ある文が疑問文であるかどうか」は、文末を読まないと分からないため(文末に「〜なのだろうか?」「〜ではないか?」などのように文末の表現を読まなければ分からない)、もし疑問文が長い場合、読者に長い文を読み返す必要が生じてしまいます。読者は、文末を読む手前の瞬間までは、てっきりその文を平叙文だと思って読んでいるのが普通です。読者は文末を読んでから、やっと、その文が疑問文だということに気付くのです。
読者が、文末を読んで疑問文だと気付いてから、文頭の内容を思い返したり、あるいは読みかえしたりして、疑問文の内容を把握しようとするのです。
もし、疑問文の文章が短くて、しかも単純な内容なら、通常の疑問文で構わないでしょう。短い文章を読み返すのに、たいした手間は掛からないからです。
でも、もし疑問文が長くて、しかも内容が難解なら?
そして、たいていの場合、学生の書く疑問文は長くなりがちです。何故かというと、報告書の書き手が分からない内容を、書き手自身が手短かに説明するのは困難だからです。そもそも短く説明するためには、要点を理解してなければなりません。しかし、そもそも分からない内容の要点を理解するというひとは、通常ありえません。しかも報告書に書くような難しいテーマなので、なかなか短く説明するのが難しいのです。
そのため、たいていの場合、疑問文は長くなりがちです。
そこで、もし報告書で疑問点を述べる場合、疑問文の冒頭で「疑問点であるが、〜」「疑問だが、〜」のように、文頭で最初っから、その文が疑問文である事を述べてしまえば、読者は読み返しの必要が減るので、読者にとって助かります。
英文法を考えてみれば、英語では、疑問文は冒頭に「Do you 」とか「Are you 」と表現していて、疑問文である事が明確です。日本語の報告書でも同様に、疑問がある場合は、文頭の表現を工夫して、疑問文であることを明確にしましょう。
{{コラム|推測などを述べる場合|
事実と推測と提案の区別
東京書籍の中1国語の教科書『新しい国語1』で、文章を書くときに、事実と推測と提案の区別をして書くように との指摘がある。
学校教科書にかぎらず、ビジネス文書の書き方入門書などでも同様に、事実と意見は区別せよ、と指導するのが普通である株式会社ザ・アール『これだけは知っておきたい「レポート・報告書」の基本と常識』、2018年9月2日初版発行、100ページ
。
事実(ファクト新田誠吾『はじめてでも、ふたたびでも、これならできる!レポート・論文のまとめ方』、すばる舎、2019年10月25日 第1刷発行 、94ページ fact)と意見(オピニオン新田誠吾『はじめてでも、ふたたびでも、これならできる!レポート・論文のまとめ方』、すばる舎、2019年10月25日 第1刷発行、94ページ opinion)は分離すべきです。(なお「オピニオン雑誌」というのは、政治などの議論にて、評論家の意見などの書かれた雑誌のこと。)
さらに、報告書などでは、推測や提案があるときは「推測だが、」とか「提案だが、」とか書いてくれると、読み手が読みやすくなるので、ぜひ諸君はそう書いてほしい口頭での報告の例だが、 山口真一『デキる人になる報・連・相 入門』、かんき出版、2010年4月20日 第3刷発行、86ページ で、事実と憶測とを区別するための手段として、類似の文章構成を奨励している。
事実の場合は、いちいち、事実を紹介している全ての文で「事実だが」と述べると、大量の「事実だが」という文が続出してしまいかねないので、省略するか、あるいは一つの段落に事実の説明をまとめるなど、工夫してほしい。
もし大量に推測や提案がある場合にも、段落をまとめる必要があるかもしれない。
{{コラム|(※ 参考 ) 電子メールの件名で文意をあらわすタグ表記|
電子メールなどで、メールの件名に「【質問】 ○○は△△ですか?」とか「【○○の連絡】 △△が□□に変更しました」とかのように、そのメールの文章の種類をあらかじめ明示する場合もあります三上ナナエ『仕事の種類って報・連・相で決まるんです』、大和出版、2020年2月29日 初版発行、145ページ
。
ただし、報告書では、このようなタグ表記の記号は、使いづらいかもしれません。
なお、メール件名のタグ表記の記号(【】など)はとくに決まりはなく、[ ] や < > などでも良い。
ただし日本では視認性の良さなどの理由で、すみつきカッコ【】がよく、電子メール件名のタグに使われている三上ナナエ『仕事の種類って報・連・相で決まるんです』、大和出版、2020年2月29日 初版発行、145ページ
。
なお、インターネット技術では、 < > の記号が別の意味ですでに使われてしまってるので(HTMLタグという技術ですでに使われている)、電子メールによる報告などでは<>記号は避けたほうが良いでしょう。
また、学校教材では 〔 〕の記号がよく、空欄補充の問題をあらわすのに使われるので、避けたほうが安全かもしれません。
なお、電子メールで長い報告書を書くのは、一般にマナー違反です。電子メールソフトは、あまり長い書類を読むようには、つくられていません。
もし電子メールで報告をする必要のある場合、なるべく短く、まとめましょう。
接続詞を用いて、文の概要を示す。
たとえ読み手が文章を最後まで読まなくても、読み手が文意を予測できるようにして、冒頭に接続詞などを用いて、文意を示します奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P.130。さっき読んだ冒頭文の「たとえ読み手が文章を最後まで読まなくても、」という文節自体が、「たとえ」という接続詞によって、文意を予測させています。
重要なのは、読み手にそのあとの文章を予想させることですので、必ずしも文法的には接続詞でなくても構いません。
たとえば文頭で「具体的には」と書けば、読み手にとっては、「あ、このあとに具体例が来るんだな」って予測できます奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P.129。
「同様に」などの言い回しを文頭に持ってきた場合も同じく、読み手はその後の内容を予想できます。こういう文章テクニックを活用しましょう。
箇条書きを利用する。
きによって、説明対象の全体像がハッキリするからです。
たとえば
* なるべく主語は省略せず、あるいは目的語は省略せず、主語・目的語を書いたほうが分かりやすいです。
* 一文は、短めに書く。
* なるべく肯定形で書く。あまり、否定形は用いない。報告書などでは、二重否定よりも、肯定形に置き換える。
* 接続詞を用いて、文の概要を示す。
* 箇条書きを利用する。
* なるべく結論から書く。あるいは冒頭に要約や概要などを書く。
と冒頭で箇条書きする事によって、これから説明する項目(「* なるべく主語〜」「* 一文は〜」「* なるべく肯定系〜」・・・「* なるべく結論から」)の全体の構造が、ハッキリします。ここでいう「構造」とは、「* なるべく主語〜」について説明と、「* 一文は〜」の説明が分離している事が分かるなどのように、何と何が分離しているかが分かります。
もし、「一文は短めに書き、さらになるべく肯定系で書き、そして接続詞を用いて文の概要を示し、」・・・などのように書いてしまうと、文章が長くなり、読者は読解をするのが大変になってしまいますし、構造がどうなってるかも分かりづらいです。
しかも構造が、次の例のように読者には何パターンも考えられてしまいます。たとえば、
のように、読者は色々なパターンを想定して、どの構造なのかを読解せねばならず、読者に余計な手間が増えます。
また、書く人の側も、接続詞の「さらに」「そして」など、文脈に応じて追加せねばならず、手間が増えて、大変になります。
箇条書きにしない場合、読者も、書き手も、ともに手間が増えてしまい、なにも良いことはありません。企業などでの報告書の実務では、積極的に箇条書きを用いたほうが良いでしょう。
この記事自体も、箇条書きを積極的に利用しています。学校の作文などでは、原稿用紙の都合などで箇条書きが難しい場合もありますが、念頭に入れてください。
なお、箇条書きをする際は、箇条書きされた各文の冒頭に「・」などの記号をつけて、箇条書きである事を分かりやすく表示しましょう。
なるべく結論から書く。あるいは冒頭に要約や概要などを書く。段落の始め近くや章の始め近くにも、なるべく結論や要約などを書く。
なぜなら、読者にとっては、読み直しの手間が減ります。この記事自体、なるべく結論から書こうとしています。
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などをされて、第三者の読者に途中だけ読まれる場合もあります。
もし書く際に代名詞(それ、あれ、あの人、彼、彼女、・・・などなど)を多用すると、読み手が代名詞の答えを探すために前の文を読み返す負担が増えるので、報告書や論文・レポートなどでは、なるべく代名詞を抑え、具体的な名称などで書いたほうが良いのです佐渡島沙織・坂本麻裕子・大野真澄『レポート・論文をさらによくする「書き直しガイド」』、大修館書店、2015年12月21日 初版第1刷、36ページ。
具体的な名称とは、たとえば「その本は」ではなくて、「その『我輩は猫である』という本は」のように具体名で言い換えるという事です。
他にも、段落の始めや、章の始めなどでは、読み手がわざわざ前の段落や前の章を読み返さなくてもすむように、代名詞や指示語の使用はひかえめにしたほうがいいでしょう。つまり、段落の始めなどでは、具体的に名称を書くほうが、きっと読みやすいのです。
中学生・高校生では、別に報告書の書き方をここまで練習する必要は無いでしょう。そもそも、学習時間も足りません。(学生は、他の教科・他の単元の学習もしなければならない。)頭の片隅にでも、読者である中高生は、報告書の書き方を入れておいてください。
ただし、詩歌や俳句や物語文などの場合は、文を書く際のノウハウが、報告書とは変わります。俳句の場合は字数の制限がありますし、詩歌や物語文などの場合には音のリズムの関係もあるでしょうから、あまりに具体的に名称を書いてばかりいると、かえって読みづらくなってしまうかもしれません。このような詩歌などの場合には、指示語や代名詞も用いたほうが良いかもしれません。
書き手は用途に応じて、書き方を分けてください。
実務の報告書では、かならずしも、すべてを文章で表記する必要はなく、数値的なデータなら、グラフ(棒グラフや円グラフなど)で表示するほうが、ひと目で読み手が把握しやすく、読みやすい場合もあります。
パソコンの表計算ソフト(エクセルなど)には、グラフを作る機能もあります。
そしてワープロソフト(ワードなど)に、表計算ソフトで作ったグラフ画像を貼りつける機能があります。
※ 当教科は「国語」の教科なので、ワードやエクセルなどの練習については、説明を省略します。
文章を書いたばかりのときは、書き手の頭の中では、予備知識がフル稼働しているので、なかなか他人視点になれません。
なので、後日に読み返して見直したり奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P27 ※ 「少し時間をおき」とある、あるいは他人に読んでもらって改善点をもらうのも良いでしょう。
(※ 口頭発表は、中学3年の国語の範囲。)
口頭発表では、聞き手が、聞き返すことが、むずかしいのです。
もし、報告書の文章を読み返す場合なら、読み手が「読みかえそう」と思えば、時間さえあれば、いくらでも読み返せます。
しかし、口頭発表では、聞き手が、「聞きかえしたい」と思っても、話し手に頼める立場になければ、聞き返すことができません。
なので、もし、口頭発表をする場合は、このことの注意して、文章を、あらかじめ考えておく必要があります。
まず、報告書の書き方でも教えたように、要点を先に伝えるという方法を、口頭発表でも行います。
また、日本語の演説ならば、否定型ではなく肯定形で言い替えるという手法も、演説などの口頭発表では必要です。
さて、キング牧師の黒人差別反対の演説を、おそらく中学3年くらいに学校で習うと思います。
「私には、夢がある。」という、あの演説です。
キング牧師が、こういうふうに言ってるのは、かならずしも文芸的な表現とはかぎらず、演説のさいに、要点をさいしょに伝えるという手法を使った結果でもあるでしょう。
仮に、あなたが、キング牧師のあの時代のあの場所にいた観客の1人だとしましょう。演説者のキング牧師から「私には、夢がある。」という言葉を聞けば、聞き手は、「この発言のすぐあとに、これから、その夢の内容を語るんだな・・・」と予想できます。
で、その夢の内容が、黒人差別をやめさせたい、という、あの有名な演説なわけです。
いっぽう、もし、いきなり、キング牧師が夢の内容を語ったとしましょう。「私には、夢がある。」という前置きをいわずに、いきなり「黒人への差別を、やめさせたい。」とか言ったとしましょう。(なお、キング牧師のじっさいに言った演説は、もっと長く、何分間も話し続ける演説である。しかし、本wikibooksでは、説明を簡単にするため、仮に(かりに)、キング牧師の演説の内容が数秒だったと、置き換えることにする。)
観客の立場になってみましょう。すると、下記に述べますが、いくつかの欠点があるのです。
実際には英語で牧師は言ったのでしょうが、ここwikibooks日本語版では、日本の読者にわかりやすく問題点を伝えるため、かりに牧師が日本語で発音したとして、なにが欠点なのかを説明します。
仮に日本語で、キング牧師が「黒人への差別を、やめさせたい。」と演説したとしましょう。
キング牧師いわく:「こくじん」。
観客には、まず「こくじん」という言葉が先に聞こえるのです。演説を、時間を追って最初から聞いてみると、聞き手には、このように聞こえることになります。
観客がキング牧師の口から「こくじん」まで聞いた時点では、観客は、まだ、キング牧師の言おうとしていることが、はたして差別解法運動のことかどうかは、わかりません。なにせ、まだ「こくじん」としか言ってないのですから。この時点では、観客はもしかしたら「キング牧師は『黒人の多くは、先祖がアフリカ大陸の出身だ。』という地理的な説明をしようとしてるのかな?」とか予想するかもしれません。
数秒たって、
キング牧師いわく:「こくじんへの、さべつを」。
ここまで聞いた時点で、観客は、差別解法運動のことだと、わかります。しかし、「黒人への差別」について何を言いたいのかが、なんなのかは、まだ分かりません。もしかしたら観客は、「牧師は『黒人への差別をすることは、いけないことなのです』という道徳を語ろうとしているのかな?」とか予想するかもしれません。
また、てっきり「キング牧師は『黒人の多くは、先祖がアフリカ大陸の出身だ。』という地理的な説明をしようとしてるのかな?」と予想してしまった観客は、ここで、牧師の話(はなし)を思い返す必要が生じるのに、しかし牧師の話は、そのあいだも続いてしまいます。
そのせいで、まちがった予想をしてしまった人は、牧師の話を、聞きそびれてしまいます。
なので、演説では、冒頭で、結論をさいしょに述べておくことにより、観客が、まちがった予想をしないように対策する必要があるのです。
なお、観客が、演説者の話を聞いている時に、なにも予想しなければ、観客はその話を理解できません。なぜなら、演説内容の予想をするという事は、つまり聞き手は、演説者のいう情報をもとにして、聞き手が自分で仮説を立てて、その後の演説内容と照らし合わせるという、論理的な思考だからです。もし、聞き手が、先入観のない赤ん坊なら、赤ん坊はまったく予想せずに、まちがった予想もしないでしょうが、しかし、そもそも赤ん坊は演説を理解できないでしょう。なので演説では、観客に、予想をさせないわけにもいきません。
さて、さらに数秒たって、
キング牧師いわく:「こくじんへの、さべつを、やめさせるのが」。
ここまで聞いた時点で、観客は、黒人への差別解法運動のことだと、わかります。さらに、黒人への差別をやめさせる事について、牧師が言及しようとしてることも、わかります。しかし、「黒人への差別をやめさせる事」について、牧師は何を思ってるのか、観客は、まだ分からないのです。
このように、もし、あらかじめ「私には、夢がある。」とキング牧師が言ってないとしたら、
観客が、いきなり「こくじんへのさべつをやめさせるのが」と聞いても、例えば、もしかしたら、次のように予想するかもしれないのです。
このように、前置きの「私には、夢がある。」がないと、聞き手にとっては、まったく予想がつかないのです。
そして、もしも、話の内容について、まちがった予想をしてしまった聞き手は、そのあとの話を、聞きそびれてしまいます。かといって、観客が、話を聞いた時に、なにも予想しなければ、観客はその話(はなし)を理解できません。
だからこそ、演説では、結論を前置きとして、手短かにいうことが大切なのです。
その証拠に、ためしに、日本語に置き換えたバージョンのキング牧師のこの演説に、前置きがあったとしましょう。「私には、夢がある。」の前置きがあったとしましょう。
キング牧師いわく「私には、夢がある! こくじんへの、さべつを、」。
観客は、もう、ここまで聞いた時点で、予想できます、「キング牧師は、黒人差別をやめさせる事が、目標なんだ!!」って予想がつきます。
「私には、夢がある!」という前置きさえあれば、もはや、牧師の口から「やめさせのが、夢なんだ!」との発言を聞かなくても、観客はもう、予想できてしまうのです。黒人であるキング牧師の口から、「夢がある」と聞いた直後に、「黒人差別をやめさせることが」との発言を聞いた時点で、観客は、もう予想できるのです、「『私には夢がある。黒人差別をやめさせる事が、私の夢なんだ!』とか牧師が言おうとしてるんだな」という予想を。
報告書では、意見や提案は、上司や相手から特に要求されてないかぎり、事実を優先して報告するようにしましょう。
それでも、もしメールなどで、短い報告文や提案文を同じメールでひとまとめにする場合(相手が一度のメールを読むだけで済むので、企業社会では、よくある)、せめて段落・章などを分けましょう。
たとえば、もしアナタがIT業界に勤務するプログラマーだとして、ある会社での開発中のソフトウェアの不具合(ふぐあい)の連絡のための報告メールを書くなら、たとえば
【不具合の報告】
データ設定画面で上から2番目の項目にデータを設定したあと、「セット」ボタンを押さずに「戻る」ボタンを押すと、本来ならメイン画面に戻らなければいけないハズなのに、そのままセット画面の次の「処理中」画面に移動してしまいます。
【案】
このデータ設定画面を使っていて思った案ですが、現在の数値だけを表示するのではなく、過去の数値の記録も表示するようにしては、どうでしょうか?
こう思った理由は、このデータ設定を試したさい、私は過去1時間の数値が◯◯な理由で必要になりました。なので、きっとユーザーにとっても、過去の数値の表示もあると便利かもしれないと感じました。
いかがでしょうか?
みたいに、報告と案とは、別個の章にすべきでしょう。
こうすることで、たとえ提案が却下されたとしても、相手に不具合の報告がきちんと伝わります。
なお、提案をする場合も、最初に結論を書き、つまり、「最終的に、こうなったほうが良いと思う状態」な結論を先に書き、あとから、その提案を思いついた根拠を書きます。
こうすることで、相手が、読み返しする手間が減ります。
文章構成の順序として、提案では、結論が先、理由はその(結論の)直後に、といった構成です。
さて、提案は不採用になる場合もあるので、あまり長々と提案を書きすぎず、手短かに提案を書きましょう。
報告メールの提案の場合なら、提案として思いついた事と、その根拠を、せいぜい5行ていどで紹介するようにしましょう。
さて、もし何かの評論などで「意見」を書く場合では、「提案」に「根拠」がセットでないと、評論などは「意見」として役立ちません。
こう報告書で書くべき理由は、なぜなら報告書の読み手である上司や客などは、根拠の部分を読んで、提案を採用するかどうかを決めるからです。
提案の採用の権限をもっている人物は、大抵、あなたではなく、上司や、金を払う客です。
なので、もしも根拠の情報がなくて提案だけを書いても、まったく役立ちません。
もし根拠が無い場合、読み手は書き手の能力を疑い、「こいつ(書き手のこと)は自分の立場を理解できてないのではないか?」と疑うでしょう。
もし提案だけで根拠が書かれてない場合、読み手はおそらく書き手の能力を疑い、その時点で読み手は、書かれた提案を自動的に不採用にするでしょう。
なので、「提案」には「根拠」がセットでないと、役立ちません。
意見 = 提案 + 根拠
の公式だと思っておきましょう。
日常語でいう「意見」とは、何かの論文や評論などでいう「意見」とは、やや意味がちがうので、混同しないようにしましょう。
提案には具体例をつける
もし、評論や論説文などで提案をする場合、けっして、抽象的に「もっと改善を増やすべきだ」みたいな漠然(ばくぜん)とした事を言うべきではない、という事を意識すべきです。
つまり、意識すべきことして「具体的に何をどう変えれば改善になり、そのために我々はいま、こうすべきである」という事を念頭に、具体的に案を提案する必要があります。
たとえば、環境保護のための活動の提案ならば、
けっして漠然と「環境保護をすべきだ」ではなく、
たとえば、企業での提案にたとえれば、例文として
「環境保護をするために、私たちの会社の昼食の仕出し弁当では、割りバシをつかうのをヤメるように仕出し業者に要請すべきでしょう。」
みたいに具体的に行動案を提案するべきです。
つまり、社会で必要な意見とは、
意見 = (提案の方向性 + 具体案)+根拠
です。
提案は、
提案 = 提案の方向性 + 具体案
に分解されます。
社長の提案なら具体案が無くても部下が気をつかって代わりに具体案を考えてくれますが、しかし、もし新人や若手社員が具体例の無い提案をしても、企業の会社内部では、案の検討が後回しにされたり軽視されたりといった扱いになります。
なぜなら、たかが新人の気持ちの読解や心情の読解なんぞに、会社の上層部にとっては、時間を割きたくないからです。
なお、意見を書く場合だけでなく、(例外として数学の証明を除き、)一般の社会では、何かの理論を提唱(ていしょう)する場合も同様に、具体例と根拠をつける必要があります。
つまり
理論 = その理論の提唱内容 + 具体例 + 根拠
です。
「意見」について、長々と説明しましたが、しかし基本的に報告書では、意見は無くてもいいか、あっても手短かにすべきです。
また、メールなどで、なにかの提案メールを書く場合などでも、気をつけるべき事として、意見にともなう提案の論拠を、あまり長々と書きすぎないように、気をつけてください。
なぜなら、もし提案などを書いても、その提案が不採用になる場合もあります。不採用になるかもしれないのに、提案の論拠を長々と書かれては、上司にとって困ります。
しかし、たとえそれでも論拠を意見には書くべきです。論拠を書く理由は、上述のような上司を説得する理由のほかにも、理由がいくつかあります。
まず、調査した本人にとっては当然のよくある思考法であっても、それ以外の役職の人にとっては、以外とわかりづらい思考法の場合があります。なので、短くてもいいので、自分以外の役職の人にも思考が分かるように、どういう思考回路でどう提案しているのかを示す必要があります。
また、もう一つの理由とは、たとえ提案が不採用になっても、その論拠を導くための思考方法などは、別の報告や仕事などで活用できる場合があるからです。
論拠を読んだ上司が、回答として「君のこの提案は却下するが、しかし、きみの説明する根拠にも一定の事実がありそうなので、よって、別件であるが、わが社は□□をしようと思う」などのように、別の分野に流用される場合があります。
ともかく、もし意見をなにかの書類や仕事メールなどに書く場合には、主張する提案などに、論拠を手短かに加えましょう。
日本語では通常、通常の文章の文末には「。」をつけます大竹秀一『だれも教えなかったレポート・論文の書き分け術』、株式会社SCC、2017年10月1日 初版第1刷発行、162ページ。
市販の報告書の書き方入門本を見ても、文末は原則的に「。」をつけています。(たとえば倉島保美『改訂新版書く技術・伝える技術』あさ出版)
例外的に文末に「。」をつけない場合とは、
小中高では会話文の最後に「。」をつける文体で紹介されます。たとえば
山田は「ぼくは田中じゃないよ。」と言った。
のように。
しかし市販の書籍の多くでは、会話文の最後には「。」をつけていないです。たとえば
山田は「ぼくは田中じゃないよ」と言った。
のように、会話の最後の「。」は省略されることも、よくあります。
体言止めをレポートの文末で使うというミスが市販の入門書から報告されていますが大竹秀一『だれも教えなかったレポート・論文の書き分け術』、株式会社SCC、2017年10月1日 初版第1刷発行、165ページ、やはり体言止めの効果である余韻を残すことは、レポート・報告書の目的である正確な報告とはズレていますので、体言止めの濫用はひかえるべきでしょう。
もし、文献調査などをした報告書の場合、参考文献があるので、参考文献を末尾につけると、読者が検証しやすくなり、便利です。
引用箇所だけでなく、さらに巻末にも、こういった参考文献リストが必要です。
本wikiにも、(執筆時点の版では)参考文献リストが記載されていると思いますので、参考にしてください。
印刷する場合、ビジネスの報告書は基本、フォントサイズは12pくらいが目安です奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P55。
どうしても小さくする場合でも、最低でも 10.5pt はないと、老眼などの人が読めません奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P55。
提案書とか会議などで、よくあるダメな言い回しとして、「効率化するべき」とか「高度化するべき」とかいう文言があります奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P186。
「効率化するべき」とかの言い回しは、具体的な行動の提案になっておらず、目標に過ぎません。
新人とかに「効率化するべき」などと言われるまでなく、上司はとっくに仕事の効率化を目指しています。読み手である上司が提案書などで知りたいのは、効率化をするために「具体的に何をするか?」というアイデアです。
しかし「効率化するべき」とかの言い回しは、なんのアイデアにもなっていません。
こういう具体的な行動を伴わない用語は、気をつけましょう。なるべく、具体的な行動を伴わない用語は、提案や企画などでは避けるべきです奈良正哉『ダメ出しされない文書が書ける77のルール ビジネス文章力の基本』、日本実業出版社、2020年12月10日 初版発行、P187およびP188。 |
975 | 所有形容詞は名前の通り、形容詞の一種ですが、見た目は冠詞によく似ています。冠詞の項で、名詞はいつも「何か」と一緒に用いられると書きましたが、この所有形容詞も「何か」の一種なのです。
所有する人を表す形容詞、それが所有形容詞です。つまり、「私の」「あなたの」という意味ですね。英語でいう 「my bag (私のバッグ)」 の my がそれです。
所有形容詞は形容詞ですから、名詞に付きます。さて、名詞のどこに付くのでしょうか?上で、所有形容詞は「何か」の一種であると書きました。冠詞に代わって名詞の前に置かれるのです。
初めて表を見た人は、所有形容詞の量に戸惑いを覚えるかもしれません。しかし、よくよく眺めてみれば、規則性があって意外と単純です。列に沿って、 「モン・マ・メ、トン・タ・テ、ソン・サ・セ…」 と覚えてしまえば、簡単です。
「彼女のバッグ」と言うには、まず横の列から「彼女の」の段を探しましょう。上から三列目ですね。次に、「バッグ」の性と数に合わせて、縦の三列の中からひとつ選びます。 「le sac (バッグ)」 は男性名詞ですから、ひとつのバッグなら 「son sac」、複数あるなら 「ses sacs」 となりますね。お気づきでしょうか、所有形容詞の性と数は、所有者ではなく、被所有物に合わせて変わるのです。 「私のリンゴ」と言いたいなら、「私」が男性か女性かに関わらず、 「ma pomme」 としなければなりません。そして当然ながら、 「ma pomme」 から所有者の性を判断することは無理でしょう。
女性名詞が母音で始まっている場合は、男性形の所有形容詞を使います。これは、女性形を使うと母音が続いて、発音しにくくなるためです。 「ma orangeマ・オらンジュ」 と言うよりも、 「mon orangeモン・ノらンジュ」 とリエゾンさせた方が、読みやすいですね。 |
976 | 熱力学 > 温度
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健康な人間の身体が、冬至のダンツィヒに吹く風よりも温かいことや、温かさの違う2つ以上の物体を接触させた際に、より温かい物体は冷え、より冷たい物体は温まり、ある程度の時間が経つとそれらすべてが同程度の温かさとなって以降の変化が生じなくなることは、経験的によく知られている。
しかし温かさ、あるいは冷たさといった性質についての観測は、各々の観測者が持つ感性に委ねられるため、定量的な議論に用いることが出来ない。
したがって、冷暖についての定量的な記述を可能とするにあたり、物理量としての定義が必要となる。
冷暖が異なる物体を接触させると、それらは寸法や冷暖、内部の応力などを互いに変化させながら、やがて巨視的には一切の変化が生じない状態へと向かう。
また、一つの容器に冷水と温水を注ぐと、はじめは容器内の部分によって冷暖の差が存在しても、やがて容器内の全体が巨視的に均一な温かさとなって、それ以降の変化を生じなくなる。
このように、孤立した系の内部や、2つ以上の系の間に巨視的な変化が認められないとき、それらは熱平衡状態にあるという。
我々の経験は、熱力学第0法則として知られる次の原則に矛盾しない。
物体AとB、BとCがそれぞれ熱平衡ならば、AとCも熱平衡にある。
ここで熱平衡状態にある系ごとに固有の量を導入し、これを温度と呼ぶことにする。
温度は、相異なる系A,Bについて次のように定められる。
・AとBが熱平衡状態にあるとき、Aの温度とBの温度は等しい。
・AとBが熱平衡状態にないとき、Aの温度とBの温度は異なる。
前節の熱力学第0法則と温度の定義より、相異なる系A,Cのどちらかに系Bを接触させてから、もう一方の系に接触させる際、Bに巨視的な変化が認められなければ、AとB、BとCの温度は等しく、したがってAとCの温度も等しく、AとCを接触させずともそれらが熱平衡状態にあることを確認できる。
このような観測で用いられる系Bに相当する器具は、一般に温度計と呼ばれている。
数値的な量としての温度の観測は、いくつか(少なくとも2つ)の温度を異とする系を基準に、それらの温度の間を等分することで実現される。
例えばセ氏温度は、1気圧のもとでの純水の凝固点を0℃、沸点を100℃に定めるものである。 |
977 | ウィキプロジェクト 小学校外国語
このウィキプロジェクトの目的は、小学校レベルの外国語の教科書を作成することです。このプロジェクトは,以下の内容があります。
どなたでも参加することができます。参加のご意思がある方は,ぜひ,下のリストに署名(~~~、チルダ3つ)をお願いします。
ここには外国語特有の方針のみ記載します。ウィキプロジェクト 小学校全般もご覧ください。
※小学校学習指導要領などにもとづいています。
(3,4年)
「楽しんで」学ぶことを重点に置く。
ゆっくり、はっきりと話されれば簡単な語句や表現を聞き取り、簡単な事柄について情報を聞き取れるようにする。
(5,6年)
文法事項は教えない。
3,4年の外国語活動の際に取り扱った語を含む 600 〜 700 語程度の語を教え、''get up'',''look at'' などの活用頻度の高い基本的な連語を教える。
慣用表現のうち,''excuse me,I see,I'm sorry,thank you,you're welcome''(どういたしまして。) などの活用頻度の高い基本的なものを教える。
文について、単文、肯定・否定文の平叙文/疑問文・疑問文のうち be 動詞で始まるものや助動詞 ''can,do'' などで始まるもの,疑問詞(''who,what,when,where,why,how'')で始まるもの・代名詞のうち,''I,you,he,she'' などの基本的なものを含むもの・動名詞や過去形のうち,活用頻度の高い基本的なものを含むものなどを教える。 |
978 | このページではコントラクトブリッジのコントラクトと結果に対して点数の表を並べる。表中の「/」の左側がノンバル、右側がバルの点数である。 |
979 | C#には、値型と参照型の2つの主要な型があります。値型は変数がその値自体を保持し、参照型は変数がオブジェクトへの参照を保持します。ここでは、値型に焦点を当てて詳細に説明します。
int, double, bool, char などのプリミティブな型がこれに該当します。
これらの型はメモリ上のスタックに直接的に保存されます。
struct キーワードを使用して定義されます。
class とは異なり、値型として扱われます。
struct はユーザー定義のデータ型を作成する際に使用され、値型としての特性を持ちます。
enum キーワードを使用して定義されます。
値型の変数は通常、メモリ上のスタックに直接的に保存されます。
メモリ管理は効率的であり、スタックに直接値を保存するため、参照型よりも高速です。
値型の変数は、基本的にデフォルト値で初期化されます。例えば、intの場合は0、boolの場合はfalseです。
値型は、プリミティブな演算子(加算、減算、比較など)を使用して直接操作できます。
値型の変数を別の変数に代入すると、新しいコピーが作成されます。
これにより、変数間での値の変更は互いに影響を受けません。
// 組み込みの値型
int number = 10;
char character = 'A';
bool flag = true;
double value = 3.14;
// 構造体
public struct Point {
public int X;
public int Y;
}
Point point = new Point();
point.X = 5;
point.Y = 10;
これらの値型は、データを効率的に処理し、メモリを効果的に使用するための便利な手段を提供します。
ただし、大きなデータや複雑なデータ構造が必要な場合は、参照型(クラスなど)を検討することも重要です。
C#における struct(構造体)は、値型の一つで、データの単純な構造を表現するために使用されます。structは、クラスと似た構文を持ちますが、いくつかの重要な違いがあります。
構造体(struct)の特徴:
構造体は値型であり、参照型(クラス)とは異なり、値そのものを保持します。そのため、メモリのスタック領域に直接保存されます。
構造体はボックス化(Boxing)されないため、ヒープ上にオブジェクトとして保存されることはありません。そのため、参照型(クラス)と比較してメモリ効率が高いです。
構造体のメンバーはデフォルトでパブリックになります。しかし、構造体自体は継承できず、他の構造体またはクラスから派生することはできません。
パラメーターなしのデフォルトコンストラクタを自動的に持ちます。ただし、自分自身のコンストラクタを定義することも可能です。
一般的に、構造体はイミュータブルな設計(変更不能な状態)を推奨します。
構造体の例:
public struct Point {
public int X;
public int Y;
// パラメーター付きコンストラクタ
public Point(int x, int y) {
X = x;
Y = y;
}
// メソッドの定義
public void Display() {
Console.WriteLine($"X: {X}, Y: {Y}");
}
}
構造体は、データの軽量な保持や処理のために使用されます。特に、小さなデータ構造やイミュータブルなオブジェクトの表現に適しています。しかし、大量のデータや複雑な振る舞いが必要な場合は、クラスの使用を検討することが推奨されます。
列挙型(Enum)はC#における値型の一つです。列挙型は、整数値をシンボリックな名前に対応付けたり、関連する定数値をまとめたりするために使用されます。
初期のC#では、列挙型は基本的な整数型(int)のみを持つことができました。
using System;
// 単純な列挙型の定義
public enum Days {
Sunday,
Monday,
Tuesday,
Wednesday,
Thursday,
Friday,
Saturday
}
class Program {
static void Main() {
Days today = Days.Wednesday; // 列挙型の要素を変数に代入
Console.WriteLine($"Today is {today}"); // 列挙型の要素を表示
// 列挙型の要素を比較
if (today == Days.Wednesday) {
Console.WriteLine("It's Wednesday!");
}
}
}
このコードは、C# 3.0での単純な列挙型の使い方を示しています。列挙型は、コードをわかりやすくするために定数値をシンボルに置き換えるのに役立ちます。この例では、列挙型 Days を使用して特定の曜日を表しています。
その後のバージョンで、列挙型は機能の面で進化しました。C# 7.0から、列挙型にフラグ属性を追加することができるようになりました。これにより、列挙型の各定数がビットごとのフラグとして扱われ、複数の定数を組み合わせて1つの値として表現することができます。
[Flags]
public enum DaysOfWeek {
None = 0,
Sunday = 1,
Monday = 2,
Tuesday = 4,
Wednesday = 8,
Thursday = 16,
Friday = 32,
Saturday = 64
}
// フラグを組み合わせて利用する例
DaysOfWeek weekend = DaysOfWeek.Saturday | DaysOfWeek.Sunday;
また、C# 8.0でenumに対するパターンマッチングのサポートが追加されました。これにより、switch 文や is 構文を使用して列挙型の値を簡潔にチェックすることができるようになりました。
DaysOfWeek day = DaysOfWeek.Monday;
switch (day) {
case DaysOfWeek.Saturday or DaysOfWeek.Sunday:
Console.WriteLine("It's weekend!");
break;
case DaysOfWeek.Monday:
Console.WriteLine("It's Monday...");
break;
default:
Console.WriteLine("It's a weekday.");
break;
}
列挙型自体に直接メソッドを定義することはできませんが、C#では列挙型に対して拡張メソッドを定義することができます。
拡張メソッドは、既存のクラスや型に新しいメソッドを追加するための機能です。これにより、列挙型にもメソッドを追加して、より豊かな機能を提供することができます。
例えば、以下は DaysOfWeek 列挙型に対して拡張メソッド IsWeekend() を追加する例です。
using System;
public enum DaysOfWeek {
Sunday,
Monday,
Tuesday,
Wednesday,
Thursday,
Friday,
Saturday
}
public static class DaysOfWeekExtensions {
public static bool IsWeekend(this DaysOfWeek day) {
return day == DaysOfWeek.Saturday || day == DaysOfWeek.Sunday;
}
}
class Program {
static void Main() {
DaysOfWeek today = DaysOfWeek.Saturday;
Console.WriteLine(today.IsWeekend()); // 拡張メソッドを呼び出して週末かどうかをチェック
}
}
このように、拡張メソッドを使用すると、列挙型にメソッドを追加して列挙型の振る舞いを拡張することができます。ただし、拡張メソッドは静的クラスの中に定義される必要があり、列挙型自体に直接メソッドを追加することはできません。 |
980 | 前)(次)
(和解)
第27条の14
労働委員会は、審査の途中において、いつでも、当事者に和解を勧めることができる。
救済命令等が確定するまでの間に当事者間で和解が成立し、当事者双方の申立てがあった場合において、労働委員会が当該和解の内容が当事者間の労働関係の正常な秩序を維持させ、又は確立させるため適当と認めるときは、審査の手続は終了する。
前項に規定する場合において、和解(前項の規定により労働委員会が適当と認めたものに限る。次項において同じ。)に係る事件について既に発せられている救済命令等は、その効力を失う。
労働委員会は、和解に金銭の一定額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を内容とする合意が含まれる場合は、当事者双方の申立てにより、当該合意について和解調書を作成することができる。
前項の和解調書は、強制執行に関しては、民事執行法(昭和54年法律第4号)第22条第5号に掲げる債務名義とみなす。
前項の規定による債務名義についての執行文の付与は、労働委員会の会長が行う。民事執行法第29条後段の執行文及び文書の謄本の送達も、同様とする。
前項の規定による執行文付与に関する異議についての裁判は、労働委員会の所在地を管轄する地方裁判所においてする。
第4項の和解調書並びに第6項後段の執行文及び文書の謄本の送達に関して必要な事項は、政令で定める。
27の14 |
981 | 法学>民事法>商法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第1章 設立 (コンメンタール会社法)
(定款の記載又は記録事項)
第29条
第27条各号及び前条各号に掲げる事項のほか、株式会社の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。
第27条に定める絶対的記載事項及び前条に定める変態設立事項以外の記載又は記録について定める。
定款に定めがなければその効力を生じない事項、以下例示。
定款の記載事項のうち、絶対的記載事項及び相対的記載事項以外の事項で会社法の規定に違反しないもの。なお、会社法制定にあって定款によって基準等が変えられるものについては明記されることとなったため(例.第297条第1項)、「定款で定めた場合」の記載がない条項について、定款で変更しても「この法律の規定に違反しないもの」ではないとして、無効となる。記載できる事項を以下例示。
----
{{前後
|会社法
|第2編 株式会社
第1章 設立
第2節 定款の作成
|会社法第28条(定款の記載又は記録事項)
|会社法第30条(定款の認証)
029 |
982 | コンメンタール>コンメンタール民事>コンメンタール社会福祉法施行令
社会福祉法施行令(最終改正:平成二〇年三月二八日政令第八四号)の逐条解説書。 |
983 | 接続詞 autem
autem
(1巻1節5項)
(編集中) |
984 | 法学>民事法>商法>コンメンタール会社法>第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)
(社外取締役の設置義務)
第327条の2
監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、社外取締役を置かなければならない。
会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)で改正された。
----
{{前後
|会社法
|第2編 株式会社
第4章 機関
第2節 株主総会以外の機関の設置
|会社法第327条(取締役会等の設置義務等)
|会社法第328条(大会社における監査役会等の設置義務)
327の2 |
985 | Transwiki:More C++ Idioms/Virtual Constructor を More C++ Idioms/仮想コンストラクタ(Virtual Constructor) へ移動: en からのインポート、翻訳完了に伴う通常名前空間への移動。 |
986 | אֱלהִׁים 'elōhīm
חֲמִשָּׁה ḥamiššā
עֲשָׂרָה ˁaśārā
מַעֲשֶׂה maˁaśe
מַחֳנֶה maḥane
עֲרָבָה ˁarāḇā
אַחֲרִית 'aḥarīt
נַעֲרָה naˁarā
אַהֲבָה 'ahaḇā
אֲשֵׁרָה 'ašērā
מַאֲכָל ma'aḵāl
מָחֳרָת moḥorāt
מַעֲלָה maˁalā
עֳנִי ˁonī
תַּאֲוׇה ta'awā
טָהֳרׇה tohorā |
987 | 法学>民事法>不動産登記法>コンメンタール不動産登記法>コンメンタール不動産登記令>コンメンタール不動産登記規則>コンメンタール不動産登記事務取扱手続準則
(登記識別情報の通知を要しないこととなった場合)
第38条
登記官は,規則第64条第1項第3号の規定により登記識別情報の通知を要しないこととなった場合には,登記識別情報通知書交付簿にその旨を記載し,当該登記識別情報通知書を廃棄するものとする。
----
038 |
988 | thumb|alt=Two examples of how the means of two distributions may be different, leading to two different statistical hypotheses|分布の種類は同一だけど、平均値が異なっている。
世の中には、無数の異なったデータの種類に対して、無数の異なった検定方法があります。検定をするにあたっては、自分がどんな種類のデータを持っているかを理解することです。変数は量的でしょうか、それとも質的でしょうか?どんな検定がどんなタイプのデータに向いているかは、データのサイズであったり、分布や尺度の種類に左右されます。加えて、データの標本がどのように異なりうるかを理解することは重要です。量的データのを特徴づける3つの主な要素は、中心、広がり、形状です。
ほとんどの人が「検定」を行うとき、「中心を表す代表値」をテストしがちです。なぜでしょう?今、あなたは2つのデータセットを持っていて、それらが異なるものか否かを知りたいと思っているとしましょう。これをテストする1つの方法は、それらの中心(例えば、それらの平均値)が異なるか否かを調べることでしょう。
2つの左右対称なベル型のカーブと、それらの中央にまっすぐに引かれた直線(このページに表示してあります)をイメージしてください。もし一方の標本が他方と大幅に異なっていれば(値が非常に大きく出ている、等)、平均値は典型的な異なりを見せるでしょう。だから、2つの標本が異なっているかを見るための検定では、普通は2つの平均値を比較します。
2つの中央値(メディアン、これも中心を表す代表値)を比較することもできます。また時には、2つの標本が同じ広がり(分散)を持っているかを知るために検定を行いたいということもあるかもしれません。中心を表す代表値、広がりを表す代表値、etc. の統計値は別々の分布に従うため、異なる検定手法がなされ、活用されなければなりません。
最後に。大半の人は仮説検定の結果をある特定の数値―p値によって要約します。もしp値が有意水準(普通は\alpha=5\%ですが、科学の他の分野、例えば医学ではもっと低い水準であることもあります)を下回っていたら、帰無仮説は棄却されます。しかし、これは対立仮説を受容するということを意味してはいません。p値は本質的には、極めて観測されにくいような検定統計量の値が得られる確率です。もしp値が有意水準よりも大きかったら、帰無仮説の棄却に失敗したということですが、これは帰無仮説が正しいことを意味しているのではありません。 |
989 | コンピュータの処理の手順をプログラムという。
プログラムを記述するための言語をプログラミング言語という。
順次、分岐、反復
thumb|250px|フローチャート、順次の例
thumb|250px|フローチャート、分岐の例
thumb|250px|フローチャート、条件繰り返し(反復)の例
コンピュータは、特に指示がない限りは、前から順番通りに実行する。これを順次という。
コンピュータは、条件によって(あるいは条件によらず)実行する順序を変えることができる。これを分岐という。
コンピュータは、同じ処理を繰り返すこともできる。これを反復という。
thumb|left|簡易なフローチャート これはsに1から10までの数字を足しこむ処理を表した図である。
thumb|right|left|Nの階乗 N! を計算するフローチャート
分岐と反復を組み合わせて、条件が満たされている間だけ処理を反復するような手順も、プログラムで指示できる。
プログラミング言語には様々な種類があるが、多くのプログラミング言語は、分岐や反復や順次処理などを利用している。
フローチャート
プログラムでの、順次や分岐や反復の組み合わせ方を、人間が理解しやすいように図示したものとしてフローチャートが有る。
横長のひし形(図では◇の横長のもの)で、条件分岐を表し、ひし形の中に、条件の内容を記述している。
順次処理は、横長の長方形で書かれる。処理内容は、四角の中に書かれる。
順番は、原則として、プログラムの最初が、フローチャートの一番上にあり、一番下が、最後の処理である。
プログラミング言語
プログラミング言語には多くの種類があるが、1960年代ごろからある古典的な言語では、BASIC(ベーシック)とC言語(シーげんご)とFORTRAN(フォートラン)やCOBOL(コボル)がある。
BASICは初心者向けとして有名であった。
C言語は、コンピュータで処理しやすいように文法が厳密である。歴史的にはオペレーティングシステムのプログラムの記述のために開発されたため、OSの開発など、システムの深い部分の処理にも利用しやすい。
C言語はコンピュータ技術者にとっては有用だが、それ以外の職業の用途では無用な特徴も多く、そのため、ほかの業界に合わせて開発されたプログラミング言語がある。
{{コラム|1=(※ 範囲外)フローチャートの作図とオフィスソフト|
2=
Microsoft Word や PowerPoint 、あるいは Google スライドなどに、あらかじめ、フローチャートでよく使う図形が、基本的な図形として登録されています。(ただしGoogle ドキュメントには初期設定では用意されていません。)
いちいち線を1本1本、マウスなどで引いていく必要はありません。作図の際は、なるべく、オフィスソフト(WordやExcelやPowerPointのような機能のソフトの事)側で用意されている図形を活用しましょう。
文科省の動画教材でも、動画教材で図形を書くとき、PowerPointが準備済みの基本図形を活用して作図しています。[https://www.youtube.com/watch?v=J12CkVYtPEY 文部科学省『【情報Ⅰ】コミュニケーションと情報デザイン(1)「情報デザインの要!情報の構造化」』]
外界からの情報を信号として出力する装置をセンサという。
以下、コンピュータに取り付けられるセンサについて記述する。
センサとは別に、コンピュータなどからの信号に基づき外界の物体を動かす装置をアクチュエータという。
センサとアクチュエータをコンピュータに取り付ければ、センサで外界の状況を確認できるので、外界の状況が変わっても、センサで外界を確認しなおして、プログラムの判断基準(プログラムの条件分岐の機能を、アクチュエータの判断基準に応用できる。)に従い、アクチュエータで外界の物体をプログラム通りに動かせる。
このように、コンピュータ制御のアクチュエータを、センサと連動させることで、外界の環境変化に対応するアクチュエータを作ることができる。
一般に、パソコンの単体には、センサやアクチュエータは付属していないので、もしセンサやアクチュエータが必要な場合は、パソコン用のセンサやアクチュエータを購入などで入手してから、それらをパソコンに取り付けることになる。
※ 2019年現在の中学技術の検定教科書では、下記のような条件判定については習わない。
ただし、資料集などで紹介される可能性があるので、wikibooksに残しておく。
コンピュータの分岐機能での条件判定では、次のような判定が出来ます。
センサーなどを用いてアクチュエータ制御の条件判定を行う場合は、センサーの信号を数値に置き換えて行います。
また、複数の条件判定を組み合わせた条件判定もあります。次に示す、論理積や論理和などです。
thumb|300px|AND回路の説明図。この図は X and Y の図である。電球がつくのは、スイッチXとスイッチYの両方が閉まっている時だけである。(スイッチが閉まっている状態を1とする。スイッチが開いている状態を0とする。)
たとえば、条件Xと条件Yの両方が満たされている時にのみ、ある行動を実行する条件判定をAND(アンド)という。このANDとは英語の接続詞の 「and」 のことである。式では、
などと書く。
仮に条件が満たされていない場合を数字の0として、条件が満たされている場合を1とすると、andの性質が、掛け算に似ているので、そのことからAND演算を論理積(ろんりせき)ともいう。
ある条件Xが満たされていることを真(しん)と言う。ある条件が満たされていない場合を偽(ぎ)と言う。
条件が真の時、これを数値の1で表すことができる。条件が偽のとき、数値の0で表すことができる。なお、このように、条件の数値を数値の1と0に置き換えて計算する代数学をブール代数(ブールだいすう)という。
条件Xと条件Yの少なくとも、どちらか片方が満たされている時に、ある行動を実行する条件判定をOR(オア)という。このORとは英語の接続詞の 「or」 のことである。式では、
などと書く。OR演算のことを論理和(ろんりわ)ともいう。
他にも、条件Xが満たされていない場合に、(その他の条件Yなどについては不問)、ある行動を実行する条件判定をNOT(ノット)と言う。式では、
などと書く。NOT演算のことを否定(ひてい)と言う。
他にも、条件Xと条件Yの少なくとも、どちらか片方のみが満たされている時に、ある行動を実行する条件判定をXOR(エクスクルーシブ/オア)という。式では、
などと書く。XOR演算のことを、排他的論理和(はいたてき ろんりわ)とも言う。
条件判定のANDやORなどを回路図の一部として図示したものとして、論理回路がある。条件が満たされた時を、回路に電流が流せる時と同一している。
たとえば、AND回路では、A and B なら、Aに対応するスイッチとBに対応するスイッチが閉じることで、回路に電流が流せるようになる。
NOT回路では、not Aなら、普段はスイッチが閉じていて、条件Aが満たされた時に対応するスイッチAが開き、電流が流せなくなる。
コンピュータのハードウェア内部では、半導体素子の一種であるトランジスタのスイッチング機能を用いて、論理回路を実現している。このようなハードウェアの仕組みを利用して、コンピュータは論理演算を行っている。なおトランジスタが実用化される前には、パラメトロンや三極真空管を、更に真空管が実用化される前には、継電器(リレー)を用いて、スイッチング機能を実現していた。
(トランジスタのスイッチング機能については工業高校や工学系大学の教育内容になる。)
中学の段階では、トランジスタの仕組みについて、まだ知らなくても良い。
プログラミング言語の具体的な文法については、ウィキブックス内には、記事プログラミングなどに解説があります。
実習などで用いる言語は、時代によって変わるかもしれません。また、実習の内容によっても変わります。
たとえばウェブページを作る場合のプログラムはHTML(エイチ・ティー。エム・エル)という言語で記述を行う場合が多いです。
また、学校で用意された実習キットなどを用いてプログラミングを行う場合は、そのキット用に開発された独自の教育用のプログラミング言語を用いる場合もあります。
中学の段階なら、BASICか、その派生言語を使うことが、あるかもしれません。
プログラミングでは、とりあえず一応のプログラムを書けたら、今度はそのプログラムを実験的に動作させてみて、本当に安全かつ正常に動くかどうかを確認する必要があります。
人間の入力ミスや、勘違いなどによって、プログラムが異常な動作をしてしまう場合もあります。
なんらかの原因で、プログラムが異常な動作をすることを「バグ」と言います。
プログラムにもしもバグがあったら、つまり、なにか異常な動作、正常でない動作をするなら、これは修正しないといけません。このように、バグを取り除いて、プログラムを正常に直すことをデバッグ(debug)といいます。
前提として、プログラムを作った後は、まず開発企業などが自分たちで、本当にそのプログラムが正常かどうかを実際にプログラムを動作させる実験によって試す必要があります(この工程を「テスト」と言います。)。もちろん、時間の制限などもあって、完全には確認しきれませんが、なるべく時間の許すかぎり、プログラムを確認する必要があります。
また、プログラムのエラーだけを除くのではなく、たとえば画面のあるシステムを作っている場合なら、画面が第三者の利用者にも見やすいかのチェックや、操作が分かりやすいかなどもチェックもデバッグにおいて確認する場合もあります(※ 開隆堂の検定教科書)。
(※ たぶん範囲外: )説明の都合上、プログラムを例にして説明していますが、コンピュータ業界以外の製品開発なども同様に、安全性などを実際に動作させることでテストする必要があります。
自動車会社なら実際に走行試験や衝突実験(エアバッグの動作などの確認)をしています。製薬会社では、実際にネズミやイヌなどの動物を使って実験をしたり(動物実験)、最終段階には人間を希望者をあつめて新薬の実験の被験者になってもらいます(人間を被験者にした新薬の実験のことを「治験」(ちけん)と言います)。
なお、テストのために動作確認をする前提として、まず、その製品の正常な動作を、決める必要があります。(これをIT業界で「仕様」(しよう)などと言います。)
「〇〇の条件のときに、このプログラムは△△の動作をする」という仕様でしたら、果たして本当にプログラムがそのとおりに動作をできているか、実験をして確認をします。
{{コラム|「検証」の要求水準|
※ たとえば、東京書籍の教科書の例ですが(※ 教科書では断言はしてないが)、「温度が25℃以上に高くなったら、扇風機を回す」というプログラムならば、実際に室温などの温度を25℃以上に上昇させる実験をする必要もあります。そして、その温度(25℃以上)になったら、本当に扇風機が回ってるかどうかを確認します。
けっして、「実際の物理実験ではなく、情報技術を駆使して、25℃以上のデータ入力信号をプログラムに送ってみる」みたいな信号処理だけで済ますのではなく、最終的には実際に室温を25℃以上にします。そこまで実験するのが、製造業では当然です。(※ 教科書では断言してないが、しかし製造業では、最低限でも このくらい以上の確認をするのが常識。)
製造業でも、コンピュータなどで強度計算シミュレーションなどをする事もありますが、最終段階では、自動車会社なら衝突実験などの物理的な実験で、どの程度で壊れるか/壊れないかなどを物理的な実験で検証します。また、自動車会社での流体解析でも、試作の初期の段階ではコンピュータを援用することもありますが、さらに風洞実験(ふうどうじっけん)などで確認し、さらに最終的には走行試験などでも検証します。
コンピュータや理論家が、どんなに立派な数式を用いてシミュレーションしていても、それはその予想が正しいことの証明になりません。
(歴史でも、数学の方程式をもちいた理論にもとづく予想が外れたこともある(高校レベルなら「タコマ橋の崩壊」など。大学レベルなら、流体力学のナヴィエ・ストークス方程式で有名な土木工学者ナヴィエの設計した橋もあっけなく崩壊した。)。
中学校・高校では、当たった予想だけを習うので、ついつい勘違い(「数式にもとづく予想は絶対に正しい」(×)という勘違い)しがちになるが、しかし現実はそうではない。)
工業などにおける、シミュレーションや理論・数式の正しさの検証は、最終的には、じっさいに物理的な実験によって確認が行われなければなりません。(※ 日本のJAXA(航空宇宙関係の国立研究所)や産総研(産業技術総合研究所)なども、そういう見解です。JAXAのそういう見解については、たしか書籍の 講談社ブルーバックス『小惑星探査機「はやぶさ」の超技術』で確認できたと思います。産総研のほうは、出典はあるのですが、教科書では事情で出せません。)
たとえば2011年(東北大地震)の原発事故のあとの国の研究所の対応でも、そうです。災害復旧ロボットなどの試験では、国の試験場(実験試験のための広いこ国有地がある)などにガレキの山を用意して、そういう不整地な足場のわるい場所であっても実際にうまくロボットが動作して目的の活動をできるかもテストしたという実例もあります。
論文が多いかどうかとか、そういうのは無関係です。
外国の例でも、アメリカ合衆国のNASAや米軍研究所(DARPAなど)でも同様、最終的には、物理的な実験で確認します。(日経サイエンスの増刊号『ロボット・イノベーション』に、ここら辺の話題が書いてある。なお日経サイエンスはじつはアメリカの科学雑誌『サイエンティフック・アメリカン』の日本語版。米国のロボット試験場には、ガレキなどの山があったり暴風雨(大量のシャワー放水 と 多数の大型扇風機(工業用) などで暴風雨を再現したりする)のようなテスト環境も用意されており、こういった過酷環境を再現したロボット試験場のことを英語で「ディスアスター・フィールド」(disaster field ? (※ 翻訳がネットで見つからず))と言います。米国の軍用ロボットなどは、この過酷なディズアスター・フィールドで実験的に試験されています。)
※ 福島ロボット・テストフィールドというのが今度の令和3年度教科書で紹介されるらしいですが、ロボットのテストのフィールドというのは、分野によってはこういうレベルである。
中学校なら、設備などの制約もあるので、そこまで本格的には実験する必要は無いです。しかし、せめて最低限でも、25℃の扇風機プログラムの検証なら、ためしにエアコンでも使って実際に室温を25℃以上にしてみるぐらいの確認実験はするのが望ましいでしょう。
きびしめの事を書きましたが、大学生でも、ここまで考えられてるかどうかアヤシイので、あまり深刻にならず、頭の片隅にでも入れておきましょう。
なお、芸術系の大学などであっても、美大生などが家具とかをデザインする際、教授がその家具を普通の使い方をしてみて(強度不足などの理由で)壊れたら、その科目の学生の成績評価は『不合格』とするという言い伝えもあるくらいです。
※ なお、温度を電流に変換するための電子素子としては、PTCサーミスタという素子があります(※ ネットの教科書画像でPTCサーミスタの紹介を確認。教育図書の教科書とのこと)。
バグを見つけて除くデバッグも重要ですが、万が一、バグを見過ごしてしまった場合でも、人が死ぬことや怪我などの取り返しのつかない大被害が出ないように設計することも必要です。
そのように、もしバグや故障などの誤動作などがあっても、システムが安全に稼働するように設計することをフェールセーフ(fail-safe)またはフェールプルーフ(fail-proof)と言います(※ 2022年代の中学技術の検定教科書にフェールセーフが書いてあるらしい)。
「フェイル」fail とは、「失敗する」・「失敗」などの意味の英語です。
たとえば、機械工場で生産システムを管理しているコンピュータの場合、もしシステムが異常を感知したら、そもそも通常起動をしないようにするべきです。
なぜなら、異常のある状態で高圧プレスなどを制御されたら、もしかしたら事故で作業員が死ぬ可能性があります。
かといって、すでに稼働している最中でシステムが級に故障した場合に、果たして急停止するべきかといわれたら、それは場合によっては疑問です。
もしシステムが急停止したことで、逆に人がケガをする事故が起きては困ります。
なので、システム稼働中の事故に対しては、たとえば徐々に減速していく、とかの設計になるでしょうか(職場や製品やシステムによって、適切な設計は変わります)。
ともかく、システムの異常時には、事故防止のため、安全にするための処理が自動的に起動して動作するような感じの設計、または、安全だと認められる処理以外の手作業での入力をシステムが受け付けないように設計するなど、安全措置(あんぜん そち)以外をできないようにする必要があります。
このように、安全側にシステムのモードを移行するための仕組みを組み込むような設計のことが、フェイル・セーフまたはフェイル・プルーフと言われるものです。
なお、仮にプログラムにバグが無くても、部品の故障によってエラーが起きる場合もあります。なので、工場などで使うプログラムでは、フェイル・セーフも必要です。
さて、ある検定教科書では、サーバ・クライアント通信のプログラムを、アクティビティ図を用いて設計する手法を紹介しています。
果たして中学でそこまで必要になるかは不明ですし、そもそも中学レベルの技術力でそういう通信プログラムが書けるのか不明ですが、しかしとりあえず、(※教科書では説明していませんが、)一般的なプログラミングにおける設計技法として、自分の作ろうとしているモノが何なのかを、箇条書き(かじょうがき)などで紙にまとめる必要はあります。
なぜなら、検定教科書では説明されていませんが、
また、会社や組織などの集団でプログラム製作をする場合は、個々人でイメージしている目標や指示などに食い違いが出ないように、目標などを文書で具体化する必要もあります。
仕事などだと、上司や部下・同僚など他人が読んでもわかるように設計書を書く必要があります。(おそらく、検定教科書が意識してるのはコッチ。)
設計書では、大まかな要件を先に決定していき(ただし、比較的に短期間かつ自力たちで実現できる具体的な目標)、それを元に段階的に、追加の文書により細部を決めていきます。
どちらにせよ、まず、設計目標が何なのかを明確に文書に起こす必要があります。別に文体が美文である必要はありません。
そして、その目標に必要な最低限の技術的に実装すべき対象が何なのかを明確にしていきます。
※ 検定教科書にはない用語ですが、こういった作業を「要件定義」(ようけん ていぎ)などと言います。アクティビティ図などを紹介するその検定教科書が説明しようとしているのは、おそらく要件定義の方法でしょう。
※ ただし、中学生では、そもそもプログラミングでどんなことが出来て、何が出来ないかも知らないので、要件定義をするのは難しいかもしれません。だから、とりあえず知識として、仕事などでは要件定義のような手法が必要になる場合も多い、ということを知っていただければ十分かもしれません。
プログラマーとしては事前にメモ書きのようなものでいいので、紙またはテキストファイルなどに、作りたいプログラムの満たすべき要件をまとめておくなどしておくと、いちいち目標を定期的に思い出す手間が省け、思考力を節約できるので、プログラミングに集中しやすくなります。(検定教科書では紹介されない用語ですが、こういうのを「To doリスト」とか「作業リスト」とか「タスクリスト」とか「やることリスト」などといいます。)
※ ただし、検定教科書の論点は、どちらかというと自分の思考の整理よりも、他人に設計を伝えるための手法としてアクティビティ図などを紹介していますが。だから「先生や友達」が読んでもわかるように書こう、などと検定教科書で説明しています。
ともかく、プログラミングの入力の前に、まず「自分たちは何を設計したいのか」を具体的に紙または画像データに書き起こすことです。検定教科書ではフローチャートの書き方などを教えていますが、それはあくまで、入力したいものを明確にする手段のひとつです。
そうやって具体的に見て分かるように文章化または印刷化・画像化をしておけば、打ち合わせをするにしても、あるいは忘れないようにするためにメモ代わりにするにしても、どちらにも役立ちます。
要は、「何を入力したいのか?」を読みやすい形式でメモ的に書いておけばいいのです。
並び順を変えることを「ソート」と言います。
ソートには、選択ソートや交換ソートがあります(※開隆堂のサイトで確認)。開隆堂サイトでは、トランプ(カードゲームのほう。カード4枚)の並び替えをしていました。
※ 出版社は未確認だが、ゲーム版のラブライブのゲーム(スマホゲー)を例に検定教科書で仕様書の書き方を説明している教科書があるとのこと。
ゲーム業界の例なのですが、ゲーム業界では「仕様書」(しようしょ)として、ある画面の動作の条件をすべて具体的に書きます。
また、基本的に具体的な画面を使って動作説明すことで、客観的に誰でも分かるように説明しています。
たとえば、ある画面では、
のように具体的に書きます。(※なお、製図などとは違い、仕様書では日本共通の書き方というのは存在しません。仕様書の規格も存在しません(2023年の時点ではそう)。)
(※ wiki注)上記の仕様の「呼び出し元の画面へ遷移する」などの文章は教科書画像からの引用。なので、決して上記文章の言い回しを変えないでください。
前の画面に戻るためのボタンのように、文脈から分かることでも、上記のように具体的に書きます。
イラストのように、クリックしても何も起こらない場合ですら、何も起こらないことを仕様書では明記します。そうすることで、その仕様書のそのページさえ読めば、これからプログラミングで作るべき動作のゴール地点が分かるようにします。
もちろん、変更ボタンのように、クリックすると変更が起きる場合は、
のように何をどう表示するかも具体的に書きます。
このように、ソフトウェアの設計(デザイン)というのは、先にゴール地点を具体的かつ客観的に決めて、あとから細部をデザインしていきます。一般にゲームも同様、ゴール設定を先に行い、あとから細部を決めていきます塩川洋介『ゲームデザインプロフェッショナル誰もが成果を生み出せる「FGO」クリエイターの仕事術』、技術評論社、2020年10月3日 初版 第1刷発行、P91、※ ただしラブライブの会社とは、FGOの会社の人らは別会社なので、本当に作り方が同じかは不明。アイデアは、「なんのために」というゴールを達成するための手段です。
ゲームデザインではない単元ですが、教育図書(教科書会社)の検定教科書でも木工などの単元で、目的や条件から逆に(設計の)構想を考えるように指導しています。なお、実用品などの場合は、問題を先に見つけ、その問題を解決するために上記の目的や条件を考えます(※ 教育図書の見解)[https://www.kyoiku-tosho.co.jp/textbook_list/1394/ 技術分野教科書 - 教育図書教育図書 ]。
また、設計のための書類で使われれる文章のレベルも、中学卒業したレベルの知識さえあれば、とりあえず内容は分かるような文章で書く必要があります。
※ なお、同じコラムで、フローチャートの代わりにUMlを教えてる。ラブライブのゲームの仕様設計では、UMLを使っているらしい。
{{コラム|(※暗記は不要)ロボチャートなど|
※ 実習などで習う範囲です。
フローチャート形式で表示されるファイルを編集することでロボットのプログラミングを行える、「ロボチャート」(スズキ教育ソフトの製品)というロボット・プログラミング言語があります[https://www.suzukisoft.co.jp/products/robochart/ プログラミング入門ソフト〈ロボチャート〉 - スズキ教育ソフト]
現代日本の中学技術の教育でも、こういった会社のソフトウェアがすでに実習などで使われています。
なぜ紹介したかというと、じつは教育だけでなく、製造業などの工場でも似たような発想の、C言語などが分からなくてもフローチャートなどさえ分かればプログラミングできるようなソフトウェアが存在しており、よく製造業などで使われます。
C言語など一般のプログラミング言語だと、機能が高度すぎるので学習に年月が掛かり過ぎてしまうので、土木技術者や機械技術者など非・情報系の技術者にはプログラミング言語として不適切なのです。
そこで、ロボチャート的な、C言語を使わなくてもフローチャートなどの画像のある編集ソフトでプログラミングできるソフトウェアが、じつは大手の電子機械(メカトロニクス)系などの会社などでは使われています。
(※範囲外:)ロボチャートのほかの会社にも、そういった発想の制御系のプログラミング用ソフトは多々あります。
外資製品で有名なのだと、米国ナショナルインスツルメンツ社の「ラボビュー」というソフトが測定機器の業界でよく使われており、これもフローチャート的な画面を編集することでデジタル・センサーの入力データの処理をプログラミングするソフトウェアです。
このラボビューは、ロボット制御の業界でも使われています。なぜなら、ロボットにはセンサーが大量に必要なので、なのでラボビューによる測定機器の制御によってロボット制御も実行できるのです。
(※範囲外:)Windowsを作っているマイクロソフト社が、こういった測定機器の制御ツールのための簡易的なプログラミング言語を2010年代に作っていました。上記のようなロボット制御と簡易的なプログラミングの関係の話を聞けば、マイクロソフトの意図は想像がつくでしょう。
なお、マイクロソフト社は、日本の自動車会社など大手製造業とも業務提携しています。
経済は分業で成り立つので、専門分野をもつのは好ましいですが、しかし決して専門だけにとらわれて異分野をまったく勉強しないなんてことは、しないようにしましょう。(つまり、少しは異分野も勉強しましょう。)
上記のように、製造業とソフトウェア産業は、意外なところで提携していたりします。消費者からは目に見えづらいところで、業務提携している大企業はあります。
ほか、日本の学校などでよく使われるロボットプログラミング教材のひとつとして、
レゴマインドストームがあります松村太郎 ほか著『プログラミング教育が変える子どもの未来』、翔泳社、2018年2月15日 初版 第1刷 発行、P81。おもちゃのレゴブロックを作ってる欧米の会社のです。当然、このマインドストームにも、センサーやモータなどが組み込まれたブロックがあります松村太郎 ほか著『プログラミング教育が変える子どもの未来』、翔泳社、2018年2月15日 初版 第1刷 発行、P89。
なお、こういったロボット教材に使うCPUは、パソコン用のものとは違います。 本wiki調査にて、小中高ロボット教材で使われていることが確認されている CPU としては arduino 松村太郎 ほか著『プログラミング教育が変える子どもの未来』、翔泳社、2018年2月15日 初版 第1刷 発行、P90(アルディーノ) や ARM(アーム) などがあります。ARMは、携帯電話などにも使われるCPUです。
ほか、CPU形式ではなく、教育用のマイコン基盤としてボードに組み込まれた形式で販売されている場合もあり、 micro:bit松村太郎 ほか著『プログラミング教育が変える子どもの未来』、翔泳社、2018年2月15日 初版 第1刷 発行、P81 や、Rasberry Pi (ラズベリーパイ)松村太郎 ほか著『プログラミング教育が変える子どもの未来』、翔泳社、2018年2月15日 初版 第1刷 発行、P96があります。日本企業のロボット教育用のマイコン基盤としては IchigoJam(イチゴ ジャム)もあります松村太郎 ほか著『プログラミング教育が変える子どもの未来』、翔泳社、2018年2月15日 初版 第1刷 発行、P97。
なお、micro:bit および Raspberry PiのCPUはARMです。
ほか、Arduino Uno というマイコンボードもあり松村太郎 ほか著『プログラミング教育が変える子どもの未来』、翔泳社、2018年2月15日 初版 第1刷 発行、P121、CPUはその名の通り Arduino であり、これも日本の学校での使用実績があります松村太郎 ほか著『プログラミング教育が変える子どもの未来』、翔泳社、2018年2月15日 初版 第1刷 発行、P121。
さて、読者はもしかしたら小学校や幼稚園などで Scratch とかVISCUIT とかのプログラミングを習ったかもしれませんが、2020年の時点では、これらは一般のIT企業などの実務では使われません。
Scratch とか VISCUIT とか、ああいうプログラミングは、「ビジュアルプログラミング」と言われています松村太郎 ほか著『プログラミング教育が変える子どもの未来』、翔泳社、2018年2月15日 初版 第1刷 発行、P84が、「ブロックプログラミング」松村太郎 ほか著『プログラミング教育が変える子どもの未来』、翔泳社、2018年2月15日 初版 第1刷 発行、P90と言う場合もあります。
※ マイクロソフトの Visual Basic や Visual C++ などとは違います。Visual Basic などは、幼児教育用には設計されていません。
さてに、Scratch などのブロックプログラミングを、ロボットプログラミングにも使えるのでは?と考えている人が既にいて、そういうブロックプログラミングできるロボット教材を販売している日本企業もすでにあります松村太郎 ほか著『プログラミング教育が変える子どもの未来』、翔泳社、2018年2月15日 初版 第1刷 発行、P90(アーテックロボ中島幸子『知識ゼロからのSTEAM教育』、幻冬舎、2022年11月25日 第1刷 発行、P34)。
書籍での文献は見つからなかったのですが、ソニー系のKOOVというロボット教材でも、webサイトで調べたかぎりでは、ブロックプログラミングがあります[https://www.koov.io/virtual 『VIRTUAL KOOVの特徴』]2023年9月25日に確認,。
マイコン基盤のラブベリーパイにも、Scratchでプログラミングできるソフトウェアがあります松村太郎 ほか著『プログラミング教育が変える子どもの未来』、翔泳社、2018年2月15日 初版 第1刷 発行、P96。
なお、いずれのロボットも、ロボットのプログラミングにはパソコンが必要です。ロボット本体のコンピュータとは別に、パソコンが必要になります。(もしかしたらスマホでも出来るのかもしれないが、些末なツッコミになるので省略する。)
おおむねの手順として、
ような手順になっているだろうと思います。
詳しくは、それぞれのロボット教材をお調べください。
{{コラム|つくりながら学ぶ|
技術を学ぶさい、安全などに配慮した上で、実際に作ってみるのが、いちばんラクに学べる方法であり、これはロボットなどを作る場合でも同じです中島幸子『知識ゼロからのSTEAM教育』、幻冬舎、2022年11月25日 第1刷 発行、P36。
とりあえずの機能だけでいいので、つくるための最低限の勉強だけをして、あとは実際に手を動かしてみて作るのがコツです。
大きなものを作る場合は、まずミニチュアを作ってみるのが良いでしょう。
ロボット教育の教材では、レゴブロックのような再利用の可能なブロックを構造材にしているものもあります。こういうブロックを活用すれば、資源の無駄も無くなります。
作っている途中、どうしても分からないところが出てきたら、そこでネットを確認したり、関連書籍を確認したりすると、効率的に知識を獲得できます中島幸子『知識ゼロからのSTEAM教育』、幻冬舎、2022年11月25日 第1刷 発行、P36。
※ きみたち、スマホでも何でもいいけど、家電を使うときに、いちいち説明書を全部読まないでしょ?(例外的に読む人もいるが)それと同じです。先に操作してみて、あとで気になった知識を学ぶのです。
※例外的に、危険物をあつかう業界などでは、安全対策などのための知識が先に必要です。ですが、中学レベルのロボット学習では、そこまで危険なものを扱わないと思います。裏を返すと、安全対策などの知識は、先に学んでおいてください。
thumb|ここでいう「らせん」とは、こういう3次元のらせんのこと
技術的な知識は、それを単に字面を覚えるだけでは駄目であり、自分の理論的な知識が本当かどうかを、実際にものを作ってみて確認してみるという、理論と実験が必要です中島幸子『知識ゼロからのSTEAM教育』、幻冬舎、2022年11月25日 第1刷 発行、P53。。
そして、実際に手を動かして確認してみることで、今までの自分の知識の理解が深まります。そうなることで、さらに深い学習をできるようになり、前よりも上の知識を効率的に獲得できるようになります。
人生で、まるで、らせん階段を上っていくかのように、理論と実験を繰り返していくことになります。中島幸子『知識ゼロからのSTEAM教育』、幻冬舎、2022年11月25日 第1刷 発行、P53。
Image:Uni-Mannheim_Neubau_Rettungsleiter.jpg|親柱付非常階段(マンハイム大学)
Image:Killesbergturm.JPG|キレスベルク塔の二重螺旋階段 『世界の美しい階段』エクスナレッジ、2015年、200頁。ISBN 978-4-7678-2042-2。
Image:Vor_Frelsers_Kirke_Copenhagen_spire.jpg|コペンハーゲンの螺旋階段
そして、いちど実験をしてみて新たな知識が獲得できたので、それをもとに新しいアイデアが浮かび、さらに新しいものを作ることにつながります。こうして、一段階上の知識すら、また実験によって検証されます。
そして、実験によって自分の知識が検証されたことで、ますます理解が深まり、実用的な知識が増えていきます。そして、そのますます上達した知識をもとに、もっと新しいものを作れる・・・の繰り返しです。 |
990 | 前)(次)
(標準賃金日額)
第124条
標準賃金日額は、日雇特例被保険者の賃金日額に基づき、次の等級区分(次項の規定により等級区分の改定が行われたときは、改定後の等級区分)による。
124 |
991 | 法学>コンメンタール>コンメンタール刑事訴訟法=コンメンタール刑事訴訟法/改訂
(第三者負担の裁判)
第186条
裁判によって訴訟手続が終了する場合において、被告人以外の者に訴訟費用を負担させるときは、職権で別にその決定をしなければならない。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。
----
{{前後
|刑事訴訟法
|第1編 総則
第15章 訴訟費用
|第185条(被告人負担の裁判)
|第187条(裁判によらないで訴訟手続きが終了する場合)
186 |
992 | な生活 ==
がよいじょうたいのことです。
正しい生活をつづけて自分の生活のリズムを作り、それに合わせて 食事・運動・すいみん をしっかりとることが大切です。
やくつ下・くつなどは 時間がたったらとりかえるようにしましょう。 |
993 | 400px|漢詩『静夜思』李白
静夜思静かな夜に思う
牀前看月光牀前(しょうぜん)月光を看る
疑是地上霜疑うらくは是れ地上の霜かと
挙頭望山月頭を挙(あ)げて山月を望み
低頭思故郷頭を低(た)れて故郷を思う
(起句)寝床の前に窓から射し込む月光を見る。
(承句)まるで地面におりた霜のようではないか。
(結句)頭をたれて故郷のことを想う。
盛唐期の詩人李白の五言絶句。
詩の前半では作者の寝室の床を明るく照らす月光を詠う。
後半では月光に誘われるようにして窓から外を眺めた作者が、ふと故郷のことを思い出し、その郷愁にかられ頭を下げてうなだれる様子を詠じている。 |
994 | ここでは資料として、「倫理」で扱った先人たちの言葉を紹介する。
ここでは原則として現代日本語訳を載せる。
引用中の「……」は中略を示す。
以下は『初期ギリシア哲学者断片集』(山本光雄訳, 岩波書店)による
「私はその神託(『ソクラテスよりも賢い者はいない』というもの――引用者)を聞いて、こう思案しました。『神は、一体何をおっしゃっているのだろう。何の謎かけをしておられるのだろう。私は、知恵ある者であるとは、自分で すこしも意識していないのだから。神は、私がもっとも知恵ある者だと主張されることで、一体何を言われているのか。まさか、噓をつかれるはずはない。 それは、神の掟 に適わないことなのだから」と。
そして長い間、神が一体何を言っておられるのか、困惑していました。そしてその後で、まったく気が重いながらも、神の意図をめぐって次のような探求へと向かったの です。
そこで私は、その人が自分では知恵があると思っているが実際はそうでない、ということを当人に示そうと努めました。このことから、私はその人に憎まれ、また、そこ に居合わせた多くの人たちにも憎まれたのです。
私は帰りながら、自分を相手にこう推論しまし た。
以下の引用は全て『世界の大思想6ベーコン』(河出書房新社,1969年)より。
以下の引用は全て『リヴァイアサン(1)』『リヴァイアサン(2)』(岩波文庫,1992年改訳版)より
ることのできるものはすべて、非常に楽しいだけでなく、他の物ごとの探求に当たって私たちの思惟を導くうえに大きな利益をもたらすだろう」(『人間知性論』第一巻・第一章・1)
の根拠と程度を研究することである。したがって、心の物性的考察に立ち入らないだろう。……現在の私が目指すところにとっては、人間の認識機能が取り扱わなければならない対象にたずさわるようすを考察すれば十分だろう。」(同第一巻・第一章・2)
の意味するいっさいを、いいかえると、思考に際して心がたずさわることのできるいっさいを、表現するのにこの語を使ってしまい、頻繁に使わないわけにはいかなかったのである。……私たちの最初の研究は、どのようにして観念が心に入ってくるかということだろう。」(同第一巻・第一章・8) |
995 | /* 国際分業の理論 */ {{コラム|サービス貿易| 21世紀の現代、モノの輸出入以外にも、外資系企業のサービスを受けることも「貿易」に含め、これをサービス貿易と言います。たとえば、マクドナルドで食事をすることも、サービス貿易です。外資系ホテルのハイアットやヒルトンなどに宿泊することもサービス貿易です。 |
996 | (虚偽鑑定等)
第171条
法律により宣誓した鑑定人、通訳人又は翻訳人が虚偽の鑑定、通訳又は翻訳をしたときは、前二条【第169条、第170条】の例による。
----
{{前後
|刑法
|第2編 罪
第20章 偽証の罪
|刑法第170条(自白による刑の減免)
|刑法第172条(虚偽告訴等) |
997 | (不同意堕胎致死傷)
第216条
前条の罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
不同意堕胎による致死傷は、不同意堕胎より重く処罰されるのはもちろん、単純傷害罪の下限よりは重く処罰される。
前条第1項-女子の嘱託を受けないで、又はその承諾を得ないで堕胎させた者は、6月以上7年以下の拘禁刑に処する。
刑法第204条-人の身体を傷害した者は、15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。
前条第1項-女子の嘱託を受けないで、又はその承諾を得ないで堕胎させた者は、6月以上7年以下の拘禁刑に処する。
刑法第205条-身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期拘禁刑に処する。
----
{{前後
|刑法
|第2編 罪
第29章 堕胎の罪
|刑法第215条(不同意堕胎)
|刑法第217条(遺棄)
216 |
998 | (著作物の例示)
第10条
三 解法プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。
「著作物」そのものの定義については著作権法第2条に規定がある。
著作権法では、定義規定の他、本条第1項で例示規定を設けて、著作物概念の明確化をはかっている。
第2項では、事実の伝達にすぎない雑報や時事報道について著作物性を否定することを規定している。注意規定と理解されている。
----
{{前後
|著作権法
|第2章 著作者の権利
第1節 著作物
|著作権法第9条の2(保護を受ける有線放送)
|著作権法第11条(二次的著作物)
010 |
999 | 「GTK」なんとか(なんとかの部分にはバージョン番号などが入る) という、Gnomeコミュニティによる公式のGUIアプリ開発ソフトがあるので、そのGTKなんとかを使えば、GNOME用のGUIアプリを作れる。2021年現在ではgtk4まで出ているが、現状の本ページでは主にgtk3について説明する。
なので、まずGTKをインストールすればいい。GnomeはLinuxコミュニティで普及しているので、gtkのインストールにはLinux上でgtkをインストールして開発するのがラクである。
※ Linuxにも種類がいろいろあって(ubuntu とか Fedora とか)、それごとにインストール方法が異なるので、インストール方法の説明は後述する。
GTKは、C言語など既存のプログラミング言語で開発したコードに組み込んで使える。(C言語のコード中に、GTKを呼び出すためのコードを、あなたがテキストファイルなどを用いて追記することになる。)
また、GTKで開発したGUIアプリを試しに使用する場合、通常のC言語の実行ファイル(オブジェクトファイル)と同様に、gccなどのC言語コンパイラでコンパイルして作成出力したオブジェクトファイルを(単にアイコンをダブルクリックするなどして)起動すればいいだけである。
本書では特にことわりのないかぎり、使用OSとして Linux上でGTKアプリを開発することを前提とする。また、GTKやgccを管理しているコミュニティはGnomeというデスクトップ環境を作っている組織(組織名もGnome)なので、本書で前提とするデスクトップ環境は原則的にGnomeとする。
もし読者が、これら技術的な背景の説明がまったく分からないなら、OSS開発ツール/GUIツールキットを読んでから再び本書に戻ることになるだろう。あるいは、当分のあいだはLinux用GUIアプリの開発は諦め(あきらめ) WindowsでWindows APIなどでWindows用GUIアプリを開発するのが良いだろう。
なので、前提として、まずgccなどのC言語コンパイラをインストールしてあり、あなたもgccやC言語などに、ある程度は習熟している必要がある。
C言語には標準C言語のほかにもC++言語やC#などいくつか派生の言語がありますが、GTKが準拠しているのは標準C言語です。
なので、もし読者が C++ や C# を知らなくてもC言語プログラミングとLinuxさえ知っていれば、とりあえずはGTKプログラミングはできます。
まず、GTKの開発環境をインストールする必要があります。もし開発環境をインストールしておかないと、もしもGTK開発環境で定義されている関数を含む自作プログラムがあっても、その自作プログラムのソースコードのコンパイル自体が不可能です(コンパイルしようとしてもエラーになります)。
なお、GTKで開発されたアプリの実行環境と、GTKの開発環境は、別物です。たとえばリナックスのディストリビューションのひとつ Fedora には、GTKの実行環境が標準でインストールされており、そのため、多くのGTK(で開発された)アプリを動かせます。しかし、GTKの開発環境そのものは、Fedoraには標準ではインストールされていません。
Fedora の場合、gtk3-devel など「gtkなんとかdevel」の書式の名前のアプリーケーションが、gtk3対応の開発環境そのもののアプリです。
もし (gtk3-devel でなくて)「gtk3」 だけをインストールしても(初期状態で既に入っているが)、まだgtk3-develはインストールされていない状態です。なので gtk3アプリを開発するためには別途、 gtk3-devel をインストールする必要があります。
そのため、たとえばOSがFedoraなら、GTKの開発環境をインストールするため、コマンド端末で、
sudo dnf install gtk3-devel
などのコマンドを実行して、GTKの開発環境(Fedoraの場合、「gtk3-devel」などの名前)をインストールします。(なお、「gtk3」の「3」は単なるバージョン番号。将来的にもっと高いバージョン番号になる可能性があるので、読者は適宜、判断してください。)
なお2021年現在のFedoraの最新版が搭載しているのはgtk4なので、そのgtk4の開発環境を入れたいなら
sudo dnf install gtk4-devel
でそのまま入る。ただし、gtk3とgtk4は文法が多少違っているので、そのままではコードは使い回しできません。
※ 本ページの現在の版では、主にgtk3を想定して説明しています。gtk4については[https://docs.gtk.org/gtk4/getting_started.html gtk4公式マニュアル ]などを参照してください。
なおCent OS 7 の場合、
sudo yum install gtk3-devel
になります(CentOS-7-x86_64-LiveGNOME-1908.iso で確認。)
なお、名前の似ている gtk-devel またはgtk+-devel などと gtk3-devel とは異なる開発環境です。これら名前の似ている異なる開発環境を入れても、コンパイルできない場合がよくあります。
なので、かならず、 gtk3-devel を入れるようにしてください。
(※ 注意: ) 2019年の近年、gtkの名前が変更され、「gtk+」から「gtk」に名称が変更された。これにともない、いくつかのOSではインストール時のコマンド名の「gtk+-3.0」も「gtk-3.0」などに変更されている可能性があるので、詳しくは実機で確認のこと。
gtkにはバージョン3以外にもバージョン2などがあるので、develのバージョンとコンパイル時のコマンド(「gtk+-3.0」の部分)のバージョンとを合わせる必要があること。
その後、テキストエディタで、次のようにコードを書いてください。下記コードは、ウィンドウだけのプログラムです。
gtk3は下記のようなコードになります。(gtk4ではエラーになります。)
コード例 (Fedora 31 で確認ずみ)
int main (int argc, char *argv[])
{
GtkWidget *window; // ウィジェットを格納するためのポインタ変数を宣言。ポインタ変数で宣言するのは単なるGTKでの決まり事なので、気にしなくてイイ
gtk_init (&argc, &argv); // GTKの初期化
/* ウィンドウを作成 */
window = gtk_window_new (GTK_WINDOW_TOPLEVEL); // ここでウィンドウを作成
gtk_window_set_title (GTK_WINDOW (window), "ウィンドウ"); // ウィンドウのタイトル名として「ウィンドウ」と命名しているだけ
/* 表示することを設定 */
gtk_widget_show_all (window);
/* メインループ */
gtk_main ();
return 0;
}
GTKは、C言語のライブラリで、ここではC言語から利用するので、拡張子を「.c」にしてC言語のソースファイルとして保存してください。他のプログラミング言語からは、バインドを介して利用できますが、ここでは説明しません。例えば、上記のコードを、テスト用のファイルという意味で「test.c」で保存したとしましょう。
上記のコードを実行できるようにするには、コンパイルする必要があります。
まず、そのために、さきほどの章でも述べたように、OSに開発環境(例えばFedoraなら gtk3-devel など)をインストールする必要がある。
sudo dnf install gtk3-devel
のようなコマンドでインストールできるはずである。もし gtk3-devel などをインストールしてないと、#include でコンパイルエラーになる。
さて、上記のソースコードをコンパイルするために、オブジェクトファイル名がたとえば「object」なら、
gcc test.c -o object `pkg-config --cflags --libs gtk+-3.0`
のようにコマンド端末に入力します。この入力のさい「`pkg-config --cflags --libs gtk+-3.0`」などの設定をつける必要があります。この設定をつけないと、コンパイルエラーになってしまい、コマンド端末から「No such file or directory」(そのようなファイルまたはディレクトリはありません)などとエラー報告されてしまいます。
コンパイルできたら、あとは実行するだけです。 gcc test.c -o object を使った場合、ユーザープロファイルなど出力先として設定されているフォルダーに実行ファイル「object」が作成されていますので、それをダブルクリックするだけで実行できます。
実行すると、作成したウィンドウが表示されます。
なお、上記コード中に
GtkWidget *window;
とありますが、前半の「GtkWidget」 とはGTKの提供している型(かた)であり、ウィジェットを扱うための型です。
後半の windowは単なる変数名です。別に「 GtkWidget *variable; 」などと書いても構いませんが、その場合は上記コード中のwindowをすべてvariable に置き換えてください。
コード中の「gtk_window_new」が、GTKでウィンドウを作成する関数です。
例のように「◯◯_new」という関数で、何らかの特徴を持ったウィジェットの ひな形 を作れますので、そうして作ったウィジェットの ひな形 に必要な情報を代入していきます。
作成しただけでは、まだ表示の設定はされていません。
なので、「 gtk_widget_show_all (window);」のように表示の設定を追加する必要があります。
1980年代BASICなどとは違い、GTKでは、けっしてウィンドウを作成しただけではウィンドウを自動表示はしないのです。
GTKでは、ウィンドウの作成と、ウィンドウの表示は、それぞれ別の関数です。なので、ウィンドウを表示したいなら、そのために追加的に関数を記述する必要があります。
さきほど紹介したプログラムと似たようなプログラムですが、単に窓を開くだけのgtkプログラムは、次のようにも書けます。
このように、基本的なプログラムでも、何通りかの書き方があります。
さきほどの説明と似たような内容ですが、基本的な重要テクニックなので、復習するのも良いでしょう。
int main (int argc, char *argv[]) { // 標準Cのエントリーポイント
gtk_init(&argc, &argv); // ツールキットの動作に必要なすべてのものを初期化
GtkWidget *win = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL); // GtkWidget 型のポインタ変数「win」を宣言し、ウィンドウオブジェクトで初期化。
gtk_widget_show(win); // リアライズしてマップする。
gtk_main(); // イベントループ
return 0; // 正常に終了した場合0を返す。
}
このソースコードのファイル名が「test.c」なら、コンパイル時には、
gcc test.c -o test `pkg-config --cflags --libs gtk+-3.0`
のように、フラグをつけて(「`pkg-config --cflags --libs gtk+-3.0`」の部分)コンパイルすること。単に「gcc test.c」としても、コンパイルエラーになって中断してしまう。
pkg-config --cflags --libs gtk+-3.0
を単体で実行してみるとヘッダーファイルへのパスやライブラリやライブラリのパスなどをせっていることがわかります。
エラーなくコンパイルできたら、オブジェクトファイルをダブルクリックするなどして実行すると、ウィンドウが表示される。表示されたウィンドウのタイトルは、オブジェクト名と同じである。つまり、ウィンドウ名は「test」になっている。
ためしにコンパイル時にオブジェクトファイルの名前を「wiki」に変えてみて
gcc test.c -o wiki `pkg-config --cflags --libs gtk+-3.0`
を実行し、作成されたオブジェクトファイルwikiを実行すると、表示されるウィンドウのタイトルも「wiki」になっている。
ここでは、このプログラム(単に窓を開くだけのgtkプログラム)の説明を行ないます。
2行目で、gtk_init()は、g_type_init()を含んだ全体的な初期化を行ないます。gtkを利用する場合には必ず最初にこの関数を呼ぶ必要があります。また、argcとargvを引数として使っていますが、この引数は省略できないので、必ずargc,argvを定義するようにして下さい。
3行目にある「GtkWidget」は型名であり、名前が事前に決まってるので、勝手に名前を変えてはいけません。
3行目ではGtkWidget型の要素*win の定義を、行っています。
3行目ではgtk_window_newというライブラリ関数を使用しています。このgtk_window_newは、CPlusPlusを使った経験があるなら、たとえるなら gtkのwindowのnew関数のようなものです。ほぼ予想される通りの動作をします。(C++では、あるクラスのnew関数はそのクラスの変数を動的に確保し、確保した変数のポインタを返します。)
簡単な例として、ウィンドウ内のタイトルバー下の任意の位置に、文字を表示してみましょう。
下記の例のように「◯◯_new」という関数で、何らかの特徴を持ったウィジェットの ひな形 を作れますので、そうして作ったウィジェットの ひな形 に必要な情報を代入していきます。
int main (int argc, char *argv[])
{
gtk_init(&argc, &argv); // GTKの初期化
/* ウィンドウ、GtkFixedなど各種ウィジェットを作成 */
GtkWidget *window = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL);
GtkWidget *fixed = gtk_fixed_new();
GtkWidget *label = gtk_label_new("Hello, world!");
/* GtkFixedをウィンドウにパック */
gtk_container_add(GTK_CONTAINER(window), fixed);
/* GtkFixed内の(10,20)にラベルを配置 */
gtk_fixed_put(GTK_FIXED(fixed), label, 10,20);
/* 表示することを設定 _all であることに注意 */
gtk_widget_show_all(window);
/* メインループ */
gtk_main();
return 0;
}
さて、座標を指定して文字表示できるようにするには、
さらにそれをgtk_container_add() 関数でウィンドウに追加する必要があります。
作成した文字列の代入は、 gtk_label_new で作ったウィジェットで可能です。
そして最後に gtk_widget_show_all 関数で、表示したいウィンドウを指定することにより、そのウィンドウごと文字列などを表示するだけです。
ラベル・ウィジェットは文字列しか表示できないので、数値計算の計算結果を表示するには、文字列への変換が必要です。
C言語の標準ライブラリ関数 sprintf は数値型などを文字列に置き換えることのできる関数ですので、この関数のgtk版であるg_sprintf関数と、ラベル書き換え関数であるgtk_label_set_text関数を組み合わせることによって、なんらかの計算結果の数値もGTKアプリのウィンドウに文字列として表示可能です。
sprintf を使ったウィンドウでの変数表示のテクニックはGTKだけでなくWindowsでもWin32APIプログラミングで使うテクニックなので覚えておきましょう。( 正確には、Windowsでのウィンドウでの文字表示では _stprintf_s を使う。)
また、前提としてGTKでは数値の変数型としては gint型 や gchar型 を使います。これらは、それぞれ、C言語のint型およびchar型のgtk版の型です。
コード例 (CentOS 7 で確認ずみ)
int main(int argc, char **argv) {
/* 数値計算の内容の記述 */
gint xxx = 3;
gint fff = 5;
gint zzz = xxx + fff; // 計算内容
gchar buf[100]; // 単なるバッファ(仲介)の文字列 変数。
g_sprintf(
buf, "計算結果は%d です。",
zzz); // 置き換え内容の書式の定義。bufに格納された段階であり、まだ置き換えは実行していない。
gtk_init(&argc, &argv);
GtkWidget *window, *fixed, *label;
/* ウィンドウ、GtkFixedなど各種ウィジェットを作成 */
window = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL);
fixed = gtk_fixed_new();
label = gtk_label_new("Hello, world! kubetu");
gtk_label_set_text(GTK_LABEL(label), buf); // ラベルを上書きしている。
/* GtkFixedをウィンドウにパック */
gtk_container_add(GTK_CONTAINER(window), fixed);
/* GtkFixed内の(10,20)にラベルを配置 */
gtk_fixed_put(GTK_FIXED(fixed), label, 10, 20);
/* 表示することを設定 */
gtk_widget_show_all(window);
/* メインループ */
gtk_main();
return 0;
}
なお、コード中の計算内容にある型の宣言では、じつは、べつに gint や gchar や g_sprintf を使わなくとも、単なるC言語の int 型 、char型、sprintf を使ってもコンパイルできてウィンドウを作成できます。
ですが、 単なる sprintf 関数は gint などgtk版の型を認識しないので、もしも gint型 や gchar型 を使ったら必ず(sprintfでなく) g_sprintf で変換してください。
ウィンドウのサイズは、
gtk_widget_set_size_request(window, 640, 480);
で指定できます。
ネット上では、
gtk_widget_set_size_request(window, 640, 480);
{
}
と続けて、 { } 括弧で括られたブロックが書かれる場合がありますが、この括弧は限定のスコープを作るためのもので、必要ないなら無くても構いません。
実際、下記コードのように gtk_widget_set_size_request の後に { } の無いコードを書いても、コンパイル可能であり、正常にウィンドウサイズが更新されます。(Fedora 28 で動作を確認ずみ。)
int main (int argc, char **argv){
gtk_init(&argc, &argv);
GtkWidget *window, *fixed, *label;
/* ウィンドウ、GtkFixedなど各種ウィジェットを作成 */
window = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL);
gtk_widget_set_size_request(window, 640, 480); // ウィンドウのサイズを設定
fixed = gtk_fixed_new();
label = gtk_label_new("Hello, world!");
/* GtkFixedをウィンドウにパック */
gtk_container_add(GTK_CONTAINER(window), fixed);
/* GtkFixed内の(10,20)にラベルを配置 */
gtk_fixed_put(GTK_FIXED(fixed), label, 10,20);
/* 表示することを設定 */
gtk_widget_show_all(window);
/* メインループ */
gtk_main();
return 0;
}
int main (int argc, char **argv){
gtk_init(&argc, &argv); // GTKの初期化
GtkWidget *window, *fixed, *button, *label; // ウィジェットを格納するための変数を宣言
/* ウィンドウ、GtkFixedなど各種ウィジェットを作成 */
window = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL);
fixed = gtk_fixed_new();
button = gtk_button_new_with_label("aaa");
label = gtk_label_new("bbb");
/* GtkFixedをウィンドウにパック */
gtk_container_add(GTK_CONTAINER(window), fixed);
/* GtkFixed内の(100,100)にボタンを置き、(200,200)にラベルを配置 */
gtk_fixed_put(GTK_FIXED(fixed), button, 100,100);
gtk_fixed_put(GTK_FIXED(fixed), label, 200,200);
/* 表示することを設定 */
gtk_widget_show_all(window);
/* メインループ */
gtk_main();
return 0;
}
上記のコードのように、メインループgtk_main()までの設定をもとに、メインループgtk_main()でウィンドウなど作成したGUIアプリを表示しつづけます。
メインループがないと、そのまま関数の最後に到達して終了してしまうので、何もウィンドウは表示されません。
ループといっても、ウィンドウ表示中に他の作業もできますので、安心してください。
手前にある gtk_widget_show_all 関数は、ウィンドウ表示の関数ではなく、メインループ実行時にウィンドウ表示することを設定する関数です。
さて、上のコードの例ではGtkFixedウィジェットを作成しボタン、ラベルのウィジェットをGtkFixedウィジェット内に配置しています。このようにウィジェット内のどこにでも他のウィジェットを収納できるウィジェットがGtkFixedウィジェットです。
実際にはgnome-panelの中でもGtkFixedウィジェットが使用されており、"オブジェクト"の配置を自由な位置に行うために役立っています。ただし、GUIを提供する以外に他の項目を設定するために、GtkFixedクラスを継承する形でウィジェットが提供されています。
実際に提供されているウィジェットはPanelWidgetウィジェットと呼ばれ、ソースコード中では./gnome-panel/panel-widget.hで定義されています。このクラスに対応する構造体は最初にGtkFixedを持っていますが、これとCの機能を使うとen:glibでいう"継承"を行うことができます。詳しくはOSS開発ツール GUIツールキットを参照してください。
ここまでで、gnome-panel内で"オブジェクト"の配置はGtkFixedクラスの機能によってなされていることが分かりました。他に興味ある点としては、個々の"オブジェクト"がどのように定義されているかや、オブジェクトを導入するための操作などがあります。例えば、"オブジェクト"が配置できる部分を右クリックすると、メニューが開き、追加するオブジェクトを選ぶことができます。この操作はGtkMenuなどで提供される機能ですが、実際にソースコード中でどのようにGtkMenuが用いられているかも調べることができます。
図形として線分を表示したり、円などを表示する機能は、図形描画ライブラリが担当している。
最近のGTKでは、図形描画ライブラリにcairoというフリーの画像描画ライブラリを採用している。特に追加インストールすることなく、cairoの図形描画関数が使用できる。
cairo自体は、GTKとは別のアプリなので、詳細はcairoの入門書を参照のこと。
コード例を示すと下記のようになります。
コード例 (CentOS-7-x86_64-LiveGNOME-1908.iso で確認ずみ)
//#include
GtkWidget *window;
static gboolean kansuu(GtkWidget *widget1, cairo_t *handle, gpointer abcde)
{
//ハンドルの作成
handle = gdk_cairo_create(gtk_widget_get_window(widget1));
//線の性質の定義
cairo_set_line_width (handle, 10); // 線の太さ
cairo_set_source_rgb (handle, 1.0 , 0.0 , 0.0); // 線の色
cairo_move_to (handle, 00, 50); // 線の起点
cairo_line_to (handle, 300, 300); // 線の終点
// 実際に線を引く関数
cairo_stroke (handle);
//長方形の描画
{
//長方形(x,y,width,height)の大きさを指定
cairo_rectangle(handle, 50.0, 20.0, 30.0, 90.0);
//線の色の指定(Red,Green,Blue)
cairo_set_source_rgb(handle, 0.0, 0.0, 1.0);
//実際に長方形を塗りつぶす関数
cairo_fill(handle);
}
cairo_destroy(handle);
return FALSE;
}
int main(int argc, char **argv)
{
gtk_init(&argc, &argv);
window = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL);
gtk_window_set_title(GTK_WINDOW(window), "テスト");
gtk_widget_set_size_request(window, 420,200);
//ウインドウに図形を描けるように設定
gtk_widget_set_app_paintable(window, TRUE);
//ウインドウが表示されたときにkansuu()を呼び出す
g_signal_connect(G_OBJECT(window), "draw", G_CALLBACK(kansuu), NULL);
gtk_widget_show_all(window);
gtk_main();
return 0;
}
2019年の現在、GTK3で cairo を使うと、いくつかのライブラリ関数を別の関数(たとえば gdk_window_begin_draw_frame() など)に置き換えるようにコンパイラを介して警告されます
[ユーザー名@localhost ~]$ gcc gtktest.c -o object `pkg-config --cflags --libs gtk+-3.0`
gtktest.c: 関数 ‘kansuu’ 内:
gtktest.c:9:3: 警告: ‘gdk_cairo_create’ is deprecated: Use 'gdk_window_begin_draw_frame() and gdk_drawing_context_get_cairo_context()' instead [-Wdeprecated-declarations]
9 | handle = gdk_cairo_create(gtk_widget_get_window(widget1));
| ^~~~~~~
In file included from /usr/include/gtk-3.0/gdk/gdk.h:33,
from /usr/include/gtk-3.0/gtk/gtk.h:30,
from gtktest.c:1:
/usr/include/gtk-3.0/gdk/gdkcairo.h:35:12: 備考: ここで宣言されています
35 | cairo_t * gdk_cairo_create (GdkWindow *window);
| ^~~~~~~~~~~~~~~~
が、しかし、
これらの関数( gdk_window_begin_draw_frame() など)は Gnome開発者が使うものであるので(IRCでGnome開発者がそう解答した(2020年4月26日、日本時間で9時ごろ) )。なので 一般の GTKアプリケーション製作者は、この関数( gdk_window_begin_draw_frame() など)は用いないとの事である。
今後は、別の方法に置き換わっているとの、Gnomeの解答のこと。
gdk_cairo_create からの新方式への移行ガイドラインについては
を参照せよ、との解答。
いまのところGTK開発元のGnomeコミュニティが、ロクに それらのライブラリ関数のマニュアルを整備してない状況です(形式的にリファレンス[https://developer.gnome.org/gdk3/stable/gdk3-Cairo-Interaction.html]。
なお、上記コードは Fedora31 および31以降ではバグります。
もし将来的にcairoが使えなくなったら、フォークするか、でなければGTKでなくQtなどの別のデスクトップ環境に移行しましょう。どうせ組込系ではGTKよりもQtのほうが主流です。
この文章は要らないですね。マニュアルにちゃんと書かれてますよ。あと、基本ボランティア活動なんですから、文句があるなら、あなたも協力したらいかがですか?折角の素晴らしいチュートリアルなのに、この辺のせいですっかり台無しです。
ちなみに、上記のコード例の場合、このように警告されます。
‘gdk_cairo_create’ is deprecated (declared at /usr/include/gtk-3.0/gdk/gdkcairo.h:35): Use 'gdk_window_begin_draw_frame() and gdk_drawing_context_get_cairo_context()' instead [-Wdeprecated-declarations]
handle = gdk_cairo_create(gtk_widget_get_window(window));
コードの解説
GTK3 では、まず main 関数側で、図形の描画をできるように設定を宣言する必要があります。
なお、ネットに転がってるコード例をみると、cairo の呼び出し方では、一般に任意の自作の関数(上記のコード例では kansuu)を介して cairo を呼び出します。
cairo による図形描画プログラムを作成するとき、windows APIプログラミングでいうところのハンドルのような物を宣言する必要があります。
上記コードでは
handle = gdk_cairo_create(gtk_widget_get_window(widget1));
で、ハンドル作成しています。
なお、関数宣言のさいの static gboolean kansuu(GtkWidget *widget1, cairo_t *handle, gpointer abcde) の際に、すでに引数として cairo_t *handle のように宣言されており、この時点ですでにハンドル作成などのための必要なメモリの確保を行っているものと考えられます。
cairo_t型とは、ハンドルのようなものを定義するための型です。そもそも一般的にC言語では、型の宣言とは、メモリの確保でもあります。
ともかく、cairo_t型の宣言のさいに既にメモリは確保されているので、あとは実際にハンドルの作成をすれば済むだけなので、 よって
handle = gdk_cairo_create(gtk_widget_get_window(widget1));
で、実際にハンドル作成を実行するわけです。
この画像描画の説明でいう「ハンドル」とは、たとえるなら絵を書くときのキャンバスのようなものです。
線を引いたりなど図形を描画するときは、初心者には わずらわしいですが、どのハンドル(キャンバス)に図形を描画するのかを、各関数で宣言する必要があります。
GTKでは図形の性質の定義と、実際に図形の描画を実行する関数とは、異なる関数になります。(Winodws APIと同様。)
cairo_stroke の関数で、実際に線分の描画を実行します。
そして、使用し終わったら、destroy でハンドルを破棄するのが一般的です。(メモリの圧迫を防ぐため。)(Winodws APIでも同様に、使い終わったハンドルは破棄を宣言する。)
この章を書くに当たり参考にした文献:
GdkWindowに対して、gdk_cairo_create関数を使うことで、Cairoライブラリの描画コンテキストを得ることができます。ここで、Cairoは2D描画用のライブラリで、GTK+2が依存しているライブラリの1つです。gdk_cairo_create関数を使うと、GtkDrawingAreaウィジェットの中で、Cairoの描画関数を用いた図形の描画ができます。
Cairoライブラリには、GDKに存在しない描画機能があります。例えば、GDKの描画関数にはベジエ曲線を描くための関数は存在しません。Cairoライブラリにはこれを描くための関数が用意されています。GtkDrawingArea内で、これらの機能を利用したいときにはCairoライブラリを使うとよいでしょう。
Cairoライブラリを使う場合には、expose_cbは次のようになります。まず最初にGdkWindowからCairoコンテキストを作ります。
void expose_cb(GtkWidget *da){
cairo_t *cr = gdk_cairo_create(da->window);
cairo_t*はCairoコンテキストで、Cairoの関数によって画面の描画を行える長方形です。gdk_cairo_create関数はGdkWindow*を引数に取り、GdkWindow*の全体からCairoコンテキストを作ります。Cairoコンテキストは描画が終わった時に、cairo_destroy関数で解放する必要があります。
Cairoの関数はCairoコンテキスト内に"パス"を作成します。例えば、ある点(x,y)から(a,b)に向けた直線を引く場合を考えます。この場合、Cairoコンテキストに対して、1つの直線のパスを作ります。
Cairoコンテキストには"現在の位置"という量があります。まず最初に、"現在の位置"をパスの先端に動かし、その後位置をパスの後端に動かします。パスの先端に動かすには、cairo_move_to関数を使います。
cairo_move_to(cr, x, y);
次に、cairo_line_to関数でCairoコンテキスト中にパスを作成します。
cairo_line_to(cr, a, b);
これによって(x,y)から(a,b)へのパスをひくことができます。実際にこの直線を描画するには、cairo_stroke関数を使います。
cairo_stroke(cr);
描画する際に色を変えることもできます。このためには、cairo_set_source_rgb(a)関数を使います。最後のaはアルファチャンネルを表すパラメータです。これらの関数は
cairo_set_source_rgb(cr, R, G, B);
または、
cairo_set_source_rgba(cr, R, G, B, A);
で表されます。ただし、R, G, Bは、0-255ですが、Aは0-1で表されます。
また、描画の色はパスに対して設定することはできないため、パスを定義した後
色を変えたとしても、cairo_strokeを実行する前なら、パスの色は変更した後の色で描画されます。
cairo_move_to, cairo_line_to以外に、cairo_rel_move_to, cairo_rel_line_toという関数もあります。これらの関数は対応する関数と同じ働きをしますが、移動の位置を"現在の位置"からの相対位置で決めます。
Cairoの関数は対応するPostScriptの関数と等しくなっています。例えば、三角形を描くPostScriptファイルは次のようになります。
20 20 moveto
50 230 lineto
230 50 lineto
20 20 lineto
stroke
showpage
moveto, lineto, strokeはそれぞれ対応するCairoの関数と似た働きをします。
他に、パスを作る関数として、cairo_rectangle, cairo_arc関数などがあります。これらの関数についてはCairoのリファレンス[http://www.cairographics.org/manual/]を参照してください。
ベジエ曲線は一般的な3次曲線で、ベクタ図形を記録するためによく用いられます。例えば、PostScript、SVGは曲線としてベジエ曲線を使っています。
ベジエ曲線を使う関数はcairo_curve_to, cairo_rel_curve_toの2つです。具体的には、cairo_curve_toは次のように使います。
cairo_curve_to(cairo_t*, x1, y1, x2, y2, x3, y3)
は"現在の位置"から(x3, y3)まで曲線をひきます。曲線の曲がり具合は、(x1, y1),(x2,y2)によって定めます。これらの点については、Cairoのリファレンスとベジエ曲線を参照してください。
ここからは、個々のオブジェクトについて詳しく調べていきます。gnome-panelの多くの設定で使用されているオブジェクトに、"メニューバー"があります。
このオブジェクトはアプリケーションメニューと場所メニュー、アクションメニューの3つのメニューから構成されています。それぞれのメニューをクリックすると種々のメニューが提供されます。アプリケーションメニューではシステムに存在するアプリケーションの起動が扱われ、アクションメニューでは"画面のロック"や"ログアウト"などのGNOMEデスクトップ全体に関わる事柄が扱われます。
メニューバーは大抵の設定でただ1つだけパネル内におかれているので、この部分は動かせないと思われがちです。しかし、実際にはこの部分は取り去ることが可能であり、またパネル内に複数置くことも可能です。
メニューバーのクラスはソースコード内では./gnome-panel/panel-menu-bar.hで定義されています。この中のPanelMenuBar構造体を確認すると分かる通り、このクラスはGtkMenuBarを継承しています。そのため、このクラスは基本的にGtkMenuBarと同じ動作をします。GtkMenuBarを使ったサンプルとして次のようなメニューの例があげられます。
int main (int argc, char **argv){
gtk_init(&argc, &argv);
GtkWidget *window, *menubar, *menuitem, *menu;
/* ウィンドウを作成 */
window = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL);
/* メニューバーを登録 */
menubar = gtk_menu_bar_new();
gtk_container_add(GTK_CONTAINER(window), menubar);
/* メニューバーの項目を登録 */
menuitem = gtk_menu_item_new_with_label("mmm");
gtk_menu_shell_prepend(GTK_MENU_SHELL(menubar), menuitem);
/* 項目から派生するメニューを登録 */
menu = gtk_menu_new();
gtk_menu_item_set_submenu(GTK_MENU_ITEM(menuitem), menu);
/* 派生した先に登録する項目を作成 */
menuitem = gtk_menu_item_new_with_label("lll");
gtk_menu_shell_prepend(GTK_MENU_SHELL(menu), menuitem);
/* メニューの項目に対応するコールバック menu_cb を登録 */
g_signal_connect(G_OBJECT(menuitem), "activate", G_CALLBACK(menu_cb), NULL );
gtk_widget_show_all(window);
gtk_main();
return 0;
}
GtkMenuを使った例。この画像はできたGUIアプリケーションを見ながら、手で描いたものである。
GtkMenuBarはGtkMenuItemを書き込むことでメニューを作成することができるウィジェットです。
上の例はmmmという名のメニューを作成し、それをクリックしたときlllと書かれたメニューを表示し、更にその中のlllと書かれた部分をクリックすることで関数menu_cbを実行するというプログラムです。メニューの項目は増やせるので、コールバック関数をいろいろなアプリケーションの起動を行う関数とすることで、ランチャーの役目を果たすアプリケーションとすることができます。
gnome-panelではパネルの各所を右クリックすることでポップアップメニューを得ることができます。この操作はGUIを使った操作としてはよく見られるもので、どのように実現されるかが気になる所です。実は、この操作はGTK+のクラスであるGtkMenuの操作として典型的なものです。ここではGtkMenuのポップアップの例を見るとともに、実際にこの操作がどのようにgnome-panel中で用いられているかを見て行きます。
GtkMenuのポップアップの例として、次のサンプルをあげます。
int main (int argc, char **argv){
gtk_init(&argc, &argv);
GtkWidget *menuitem, *menu;
/* メニューの例を参照 */
menu = gtk_menu_new();
menuitem = gtk_menu_item_new_with_label("lll");
gtk_menu_shell_prepend(GTK_MENU_SHELL(menu), menuitem);
g_signal_connect(G_OBJECT(menuitem), "activate", G_CALLBACK(menu_cb), NULL );
gtk_widget_show_all(menu);
/* ウィンドウから離れてメニューを表示*/
gtk_menu_popup(GTK_MENU(menu), NULL, NULL, NULL, NULL, 0,
gtk_get_current_event_time() );
/*メインループ*/
gtk_main();
return 0;
}
上の例では"lll"と書き込まれたメニューを作成した後、そのメニューをgtk_menu_popupによって表示します。メニューが表示される場所はgtk_menu_popupの引数によって変更できるのですが、上の例ではgtk_menu_popupが実行された時点でのマウスカーソルの場所になります。実行例を見るとわかるのですがこの例は何も無い部分に突然メニューが表示されるため、やや非直観的です。普通の例ではGtkWindow等のマウスイベントを設定し,マウスのボタンが押されたときにメニューが表示されるようにします。ただし、GtkWindowは通常ではマウスのボタンに対応するイベントを持たないため,その点を補う必要があります。 このためには、gtk_widget_add_eventsかGtkEventBoxを使う方法がありますが、ここではgtk_widget_add_eventsを用いる方法を述べます。GtkEventBoxについてはGTK+のリファレンス等を参照してください。以降の説明ではある程度Xプログラミングの経験があると理解が容易になります。
gtk_widget_add_eventsはウィジェットがGTK+の背後で動いているウィンドウシステムから、新しいイベントを得るように設定する関数です。背後のウィンドウシステムの代表例はX Window SystemですがUnix系のシステムでないなら他のものになることもあります。GTKではウィンドウシステムの値を直接使わなくてもすむよう、GDKというライブラリを用いています。GDKはGTK+とともに配布されるライブラリです。
gtk_widget_add_eventsでは引数として(GtkWidget *, GdkEventMask)を取ります。ここで、EventMask(イベントマスク)は対応するイベントをXなどから受け取るかを定めるビット列です。例えば,Xを用いてイベントを処理する場合にはXSelectInputなどを用いますが,この関数の引数としてイベントマスクが用いられます。詳しくはXプログラミングを参照してください。ここで扱うGdkEventMaskも同種の値です。
実際にマウスボタンのイベントを見るには,GdkEventMaskとしてGDK_BUTTON_PRESS_MASKを用います。結局GtkWindowを作った後,
gtk_widget_add_events(window, GDK_BUTTON_PRESS_MASK);
を実行すると,ウィンドウ内でマウスボタンの操作を見ることができるようになります。この関数の後には,GTKのイベントである"button_press_event"を用いてマウスのボタンを扱うことができます。
ここまでのことを用いて,メニューを作成してからメインループに至るまでの部分は次のようになります。
GtkWindow *window;
window = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL);
gtk_widget_add_events(window, GDK_BUTTON_PRESS_MASK);
g_signal_connect(window, "button_press_event", G_CALLBACK(window_button_cb), menu);
gtk_widget_show(window);
ただし、menuは上で作成したGtkMenuと同一です。ここで、window_button_cbは次のように与えます。
void window_button_cb(GtkWidget *window, GdkEventButton *button, GtkWidget *menu){
gtk_menu_popup(GTK_MENU(menu), NULL, NULL, NULL, NULL, 0,
gtk_get_current_event_time() );
}
アプリケーションの起動を行うためには、 コールバック関数として定義された関数(上の例ではmenu_cbと与えられている)の中で、新たな"プロセス"を作る必要があります。"プロセス"はOSが複数のアプリケーションを同時に動かすときの単位で、それを作る方法はOSによって異なっています。Unix系のOSではプロセスを作る関数は大抵forkと呼ばれます。forkはプロセスを作成し、新たに作成されたプロセスのIDを返します。また、作成されたプロセスで実際にあるアプリケーションを起動する関数として、Unix系のOSではexec系の関数が与えられます。execは与えられる引数によっていくつかの似た関数が提供されます。
実際にそれぞれのメニューバーの項目に対応するコールバックを設定する操作は、./gnome-panel/panel-menu-item.c内の関数panel_menu_items_append_from_desktop内で行われています。この関数は第1引数にメニューの項目、第2引数に起動するアプリケーションの名称を取り、これを新たに作成したメニューの項目に与えています。
既にメニューの項目をクリックしたときの動作を与える方法として、
g_signal_connect(menuitem, "activate", menu_cb, NULL);
を使う方法を紹介しました。ここで、menuitemはここで内容を与えるメニュー項目であり、menu_cbは実際にこのメニューの項目がクリックされたときに実行させたい関数です。指定したアプリケーションを起動して、新たなプロセスを実行するためには、この関数はforkやexecを用いる関数である必要があります。
g_signal_connectはen:glibで定義された関数で、"シグナル"が定義されたGObjectクラス及びそれを継承したクラスに対して、コールバック関数を与える関数です。ここで、"シグナル"はおおよそコールバック関数と同じ意味で、Unixでいう"シグナル"(他のプロセスに影響を与える機構)とは無関係です。
panel_menu_item_append_from_desktop内でもこの関数が用いられており、コールバック関数として同じファイル内で定義された、関数panel_menu_item_activate_desktop_fileを取ります。この関数はクリックされたメニュー項目の情報に加えて、そのメニュー項目がクリックされたときに実行されるべきアプリケーションの名称を引数として受け取ります。ここで、この関数はアプリケーションの名称を引数として与えながら、関数panel_ditem_launchを呼びます。launchの名から分かる通り、この関数は実際にアプリケーションの起動を行います。launchは"起動する"、"発射する"などの意味を持つ英単語です。
ここまでも既に長い道のりでした。しかし、ここから実際にforkが呼ばれるまでに、更にいくつかのライブラリを見る必要があります。ある意味でlaunchと名の付いた関数を見付けた時点で、この関数がプログラムの実行を行う可能性は高いため、そこで探索を終える方法もあるでしょう。ここでは、一応最後まで関数の流れを追ってみます。
panel_ditem_launchは、./gnome-panel/panel-util.c内で定義されています。この関数はいくつかの準備を行った後、関数gnome_desktop_item_launch_on_screenを呼びます。実はこの関数はgnome-panel内の関数ではないため、ソースを読もうと試みる人は、この関数が定義されたソースを求めて方々を探す必要があります。実際にはgoogleなどを試してみるのがよいでしょう。
実際にこれを探すと、関数gnome_desktop_item_launch_on_screenは、gnome-desktopというライブラリ内の関数だとわかります。このライブラリもGNOMEのサイトから提供されているので、必要ならダウンロードしてください。実際には、この関数は、gnome-desktop-x.x.x/libgnome-desktop/gnome-desktop-item.cで定義されています。
この関数ではいくつかの引数のチェックを行った後、同じファイル内の関数ditem_executeを呼びます。この関数は関数の名前の最初に、gnome_desktop_...がついていません。このような関数は大抵staticをつけて宣言されており、そのファイル内だけで用いられる関数です。これは、staticをつけた関数は外部からは参照できないことを利用しています。他のファイルの関数名と重複することがないため、単純な名前でもよい訳です。
ditem_executeは様々なチェックなどを行った後、関数g_spawn_asyncを呼びます。この関数はg_から始まっていますが、GNOMEのアプリケーションでこの名称が出て来た場合、この関数は大抵en:glibの関数です。例えば、コールバックを与える関数であるg_signal_connectがglibの関数であることは既に述べました。
多くの関数をたどって来ましたが、g_spawn_asyncは事実上最後の関数です。この関数はglib-x.x.x/glib/gspawn.c内で定義されていますが、この関数はいくつかの関数を経て、関数fork_exec_with_pipesという関数を呼びます。この関数は名前の通りforkとexecを呼ぶ関数です。
ここまでで一応gnome-panelのメニュー項目がクリックされてから、実際に新たなプロセスが作成されるまでの道のりを見て来ました。もちろんただプロセスを作ることが目的なら、gnome-panel内で直接forkを呼ぶことも可能です。敢えてライブラリを使うのは、例えばWindowsを使うときにはこの方法が使えないことがあげられます。これは、Windows上でプロセスを作るときにはforkではなく別のWindows APIを使う必要があるからです。実際glibのgspawn.cがあるディレクトリ内には、gspawn-win32.cというWindows向けの関数も定義されており、glibライブラリをクロスプラットフォームライブラリにするよう試みているようです。
ここまでで一応ランチャーとしての役目を果たすための機能を見て来ました。メニューを表示し、そのメニュー項目と対応するアプリケーションを起動することは、ランチャーの機能としては基本的です。ただし、ランチャーが扱えるアプリケーションは、プログラムのふるまいを外部から制御する機構がないのなら、ランチャーを作った人間がプログラム内に書き込んだアプリケーションに限られます。これでは新たなアプリケーションが加わった時にランチャーの振舞いを拡張することができないことになり、不便です。
ソフトウェアの動作を制御するためには、"設定ファイル"を使った方法がよく用いられます。例えば、XサーバやWebサーバ の動作を変更するために、これらの設定ファイルを書き直すことは特にホビーとしてのPC-Unixではよく行われます。
ただし、アプリケーションの動作を制御するために設定ファイルを使った方法を用いる場合には、その設定がアプリケーション内に取り込まれるタイミングが重要になります。例えば、設定ファイルを読む操作がアプリケーションの起動時にしか行われない場合、設定ファイルを変更した後アプリケーションの動作を変更するには、設定ファイルを書き直すたびに対応するアプリケーションを起動し直す必要があり、少し不便です。
より進んだ方法では、設定ファイルを書き直した後、そのことをアプリケーションに伝達する機構を用意しています。ここで、設定ファイルを書き直すプロセスは、一般には設定ファイルを利用するプロセスとは異なっています。このため、設定が変更されたことをその設定を使用しているアプリケーションに伝達するには、"プロセス間通信"の機構を用いる必要があります。
プロセス間通信は異なったプロセスの間で情報を伝達する機構です。この機構もプロセスの操作と同様OSによって提供される機構であり、異なったOSでは異なった動作をします。Unixにおける代表的なプロセス間通信には、ソケットを使った方法があげられます。ソケットは異なったプロセスからの情報を受け取るための一般的な機構ですが、これは異なったコンピュータ上にあるプロセスに対しても用いることができます。例えばLinuxでは、TCPの通信を行うためのソケットを提供していますが、この通信手法はインターネットのあらゆるサービスを提供するための手法として用いられています。
GNOMEでは、設定を扱うためにen:gconfと呼ばれるライブラリを利用します。これは、設定を扱うための1つのサーバ(gconfd)を導入し、そのサーバに、サーバ上の設定を参照しているgconfクライアントを記憶させておき、設定が変更された際に、そのことをgconfクライアントに伝える機構です。簡単な例では、gconfdが保持している設定は利用者のホームディレクトリ~の~/.gconf/以下に記録されます。
Unixの"シェル"では、利用者のホームディレクトリを~の記号で表します。設定によるのですが、このディレクトリは大抵/home/user_name/以下におかれます。ただし、user_nameはそのコンピュータに登録されている利用者の名前です。PC-Unixでは大抵利用者はそのパソコンの所有者1人だけなので、/home以下に直接設定ファイルをおけばよいようですが、多くの利用者が異なった設定でgconfを使う場面を想定してこのような作りになっています。
実際のシステムでは~/.gconfは次のようになります。
$ls
apps/ desktop/
これはfedora core 5での~/.gconf/内のファイルを表示した例です。ここには2つのディレクトリしかありませんが,apps/以下にはen:Eye of GNOME, geditなどの各種アプリケーションの設定が記録されています。これらはそれぞれ
eog/ gedit/
などの名前を与えられています。
gconfの動作を見るために、gconfが提供するツールを使った実験をしてみます。gconfはGConf-x.x.xというライブラリとしてGNOMEのサイトから配布されているのですが、その中には、GConf-x.x.x/gconf/gconftool.cで与えられるファイルが存在します。ここで、GConfのバージョンはGConf-2.14.0を使いました。このファイルは、gconfの設定内容を変更したり参照するための簡単なツールを提供します。このツールはgconftoolと呼ばれます。
ここでは、このツールを用いてgconfを使ってみます。既に~/.gconf/の中を見てみました。ここでは、gconftoolを使ってこのディレクトリ以下に新たな設定項目を作ります。もちろんこの項目は実際にアプリケーションで使われる項目ではないのですが、gconfの動作を見る上では便利です。具体的には、~/.gconf/以下に、/aaa/bbbという項目を作ります。ここで、/aaaは項目が配置されるディレクトリ名を表し、bbbが実際に記録される設定の名前です。もちろんこの階層はいくらでも深くすることができますが、ここではこの程度でよいでしょう。
また、gconfで設定される項目には"型"が必要になります。"型"にはint, bool, float型がなどがあります。これらのうち、intとfloatはC言語の対応する型と同じで、intは整数、floatは実数を表します。boolは例えばCPlusPlusなどでは導入されているのですが、"真"、"偽"の2つの値だけを持つ型です。C言語では1 を"真"、0を"偽"などとしてint型で代用することができます。ここでは、bbbの型はboolで、値を"真"、つまりtrueとします。
具体的に、/aaa以下にbool型の項目bbbを値trueで設定するには、
$gconftool-2 -s /aaa/bbb -t bool true
とします。ここで、-sは項目を指定するための引数であり、-tは項目の型を指定する引数です。
実際にこの操作を実行すると、~/.gconf/は次のようになります。
$ls
aaa/ apps/ desktop/
新たにaaa/というディレクトリが加わっている様子がわかります。aaa/内のファイルを表示すると,
$ls
%gconf.xml
が得られます。ここではgconfの設定はXMLファイルに記録されています。この中身は,
で与えられます。この中では3行目の"bbb", "bool", "true"から、上で扱った内容が記録されている様子がわかります。
ここまででgconfの基本的な使い方を見て来ました。gnome-panelでもパネル内のどの位置にどのオブジェクトが配置されているかなどをを記録するために、gconfを用いています。ここではまず、gnome-panelがどのようにgconfdから設定を受け取り、設定への変更を取得しているかを見て行きます。
ここではgnome-panelがどのように起動するかを見て行きます。通常のアプリケーションと同様、gnome-panelは起動時に設定を参照してどこにオブジェクトを配置するかなどを決めます。この設定は設定ファイルではなく、gconfを用いて行われるのですが、ここでは実際にアプリケーションの起動時にどのようにgconfが用いられているかを見て行きます。
大抵のGNOMEアプリケーションではアプリケーションの起動はmain関数から始まります。これは普通のCプログラムと同じです。一方、Windows APIを用いたWindowsのcプログラムでは、アプリケーションはWinMain関数から始まります。これはGUIアプリケーション一般の性質という訳ではないので注意してください。
そのため、アプリケーションの起動の様子を見るためには、このアプリケーションのmain関数を探す必要があります。gnome-panelでは、./gnome-panel/main.cに、アプリケーションのmain関数が定義されています。main関数では各種の初期化や設定が行われているのですが、その中でgconfとの相互作用を扱う関数として、関数panel_profile_loadが呼ばれています。この関数は、./gnome-panel/panel-profile.c内で定義された関数で、"いくつのパネルがあるか、それぞれのパネルにはどのようなオブジェクトやアプレットが配置されているか"などの各種情報をgconfdから受け取り、対応するウィジェットを作成しています。
実際には関数panel_profile_loadの最後で、関数panel_applet_load_queued_appletsが呼ばれています。
この関数は、./gnome-panel/applet.c内で定義されていますが、おおよそ関数panel_applet_load_idle_handlerを呼び出す関数です。panel_applet_load_idle_handlerもapplet.c内の関数ですが、この中では追加されたオブジェクトのタイプに対して、動作を変更するための、大きなswitch文が用いられています。switch文はC言語の制御構造の1つで、複数の条件があるときに、それらの条件に対して場合分けを行う文です。詳しくはC言語内の説明を参照してください。このswitch文はgconfが与えた内容に対して作成するウィジェットを変更するための場合分けで、これ以降各ウィジェットを作成する手順はウィジェットの種類によって様々です。
具体的には追加されたオブジェクトが"メニューバー"だった場合にはpanel_menu_bar_load_from_gconfを呼んでいます。この関数は設定に従って対応する"メニューバー"オブジェクトを作成する関数です。この関数の詳細を追うこともできますが、一応gconfの設定を読んだ後に、設定に応じて各種のオブジェクトを与える過程が得られたので、アプリケーションの起動に限った話はここまでとします。
ここまでで、gnome-panelが起動するときに、gconfが与える設定に従って、各種ウィジェットを見分ける方法を見て来ました。実際にはgnome-panelはgnome-panelが動作している最中に設定が変更されても、それに対応してウィジェットを作成する機構を持っています。これはgconfの機能を活用した機構です。
具体的には、gnome-panelはパネルの自由な位置に利用者が指定したオブジェクトをgnome-panelを再起動すること無く導入するためのGUIを持っています。このGUIは、gnome-panelの設定の変更とそのことのgnome-panelへの伝達を同時に行っており、設定を変更するたびにgnome-panelを起動しなおす手間を省いています。
ここでは、このGUIを用いて、gnome-panelに各種オブジェクトを配置する方法を見て行きます。
まず、gnome-panelの設定を変更するためのGUIとして、gnome-panel/panel-addto.c内の関数が用いられています。このファイル内の関数はGtkDialogを用いて利用者からgnome-panel内で変更したい設定を取得しようとします。ここではこのウィジェットをAddToダイアログと呼びます。
ここで、GtkDialogはGtkWindowを継承したクラスで、GtkWindowに"OK", "キャンセル"などの各種ボタンを与えるクラスです。一般的なGtkDialogの例として、次のようなサンプルがあげられます。
#include
int main (int argc, char **argv){
gtk_init(&argc, &argv);
GtkWidget *dialog, *label;
/* ダイアログの作成 */
dialog = gtk_dialog_new_with_buttons(NULL,
NULL,
0,
"はい",
1,
"いいえ",
2,
NULL);
label = gtk_label_new("あああ\n");
gtk_container_add(GTK_CONTAINER(GTK_DIALOG(dialog)->vbox), label);
gtk_widget_show_all(dialog);
/* 応対(response)の取得*/
int response = 0;
response = gtk_dialog_run(GTK_DIALOG(dialog));
switch(response){
case 1:
g_print("はい\n");
break;
case 2:
g_print("いいえ\n");
break;
default:
break;
}
return 0;
}
AddToダイアログの動作はgconfの機能を使っています。具体的には、gconfの設定のうち、オブジェクトの種類や配置が記録されている部分にgconf_client_add_dirを使い、その値が変更されたときのコールバック関数を登録するために、gconf_client_notify_addを使っています。具体的には、これらの関数は既に見た関数panel_profile_load内及びそこから呼び出された関数内で用いられています。
関数panel_profile_loadは、途中でgconf_client_add_dir関数を呼び出しています。ここで指定するgconfの階層は、/apps/panel/generalです。この階層以下には、パネルの数やオブジェクトの位置などが記録されるため、オブジェクトの数を確認するためにはこの部分の変化を見ておく必要があります。
ここで実際のgnome-panelでの例を示します。実際にgconfの設定を見るためにgconftoolを用います。gconftoolで対応するディレクトリ以下の設定項目を見るには,
$gconftool-2 [-R|--recursive-list] ディレクトリ名
とします。
gnome-panelの設定を見るためには、あらかじめgnome-panelをできるだけ単純に設定しておくと後が楽になります。ここでは、パネルは1つだけを残して全て取り去り、残ったパネル内のオブジェクトも全て取り去りました。この操作は対応するパネルやオブジェクトを右クリックし、対応するメニューを用いることで行えます。また、最後のパネルを消そうとすると、メニューが表示されなくなるため、全てのパネルを消し去ることはできません。パネルを右クリックした場合新たなパネルを追加するメニューが表示されるため、それを用いて新たにパネルを加え、設定を元に戻すことができます。
実際にこの設定にした後,上のコマンドでディレクトリ名として/apps/panel/generalを用いると
object_id_list = []
applet_id_list = []
toplevel_id_list = [panel_1]
などの出力が得られます。ここで、object_id_list、applet_id_listはそれぞれパネルに含まれるオブジェクト、アプレットを表します。ここでは、オブジェクトを1つも用いていないので、これらは空欄となります。一方toplevel_id_listはパネルがいくつあるかを示すリストです。ここではただ1つのパネルを用いているため項目は1つだけとなります。後にわかるのですが、panelが複数になった時にはこの部分にpanel_2, panel_3, ... などの項目が追加されます。ここで、1, 2, 3などの数字はidと呼ばれます。この用語はtoplevel_id_list等の名前にも用いられていますが、以降のソース内の関数名にも何度か用いられます。
これで、オブジェクト、アプレット、パネルの数がどのように記録されているかがわかりました。更にこれらの設定の詳細については/apps/panel以下の各ディレクトリに記録されています。例えば,/apps/panel/toplevelsにはパネルの設定が記録され、/apps/panel/appletsにはアプレットの設定が記録されます。例えば/apps/panel/toplevels/panel_1の設定を見ることもできますが、設定項目の数が多いのでこれらの詳細には触れません。比較的意味が取りやすいものでは、
size = 24
orientation = top
auto_hide = false
などがあります。これらは、それぞれパネルの幅(単位はピクセル)、パネルを画面中でどの位置に置くか、カーソルが置かれていないときパネルを隠すかどうかに対応します。これらはどれもパネルの右クリックメニューから扱うことができる"プロパティ"によって設定できる項目です。
次に、パネルの数とアプレットの数を増やして同じ操作をしてみます。ここではパネルを2枚にし、メインメニュー、時計、通知スペース、ウィンドウの一覧、デスクトップの表示などの各種オブジェクトを追加しました。ただし、パネルの位置はそれぞれ上と下とし、オブジェクトのうち最初の3つは上のパネルに加え、後の2つを下のパネルに加えました。この場合/apps/panel/generalでの出力は
object_id_list = [object_1]
applet_id_list = [applet_0,applet_1,applet_2,applet_3]
toplevel_id_list = [panel_1,panel_2]
のようになります。ここで上では5つのオブジェクトを加えたのに、設定ではオブジェクトが1つでアプレットが4つとなっています。実際にはアプレットもオブジェクトの一種なのですが、アプレットは他のオブジェクトと比べてかなり動作が異なるので、アプレットは別に扱われます。
具体的にはアプレットはソース内ではOBJECT_BONOBOなどと呼ばれます。ここで、BONOBOはアプレットを扱う技術の名前なのですが、この技術は単純にはプロセス間通信を用いた技術です。実は上の時計などのアプレットの本体は、gnome-panelのプロセスとは別のプロセスとして存在します。例えば,時計が動いているgnome-panelが存在する時には,常にclock-appletというプログラムが動いています。具体的には、対応するpsコマンドの出力には、
3855 ? S 0:00 /usr/libexec/notification-area-applet --oaf-activate-
3859 ? S 0:00 /usr/libexec/clock-applet --oaf-activate-iid=OAFIID:G
3874 ? S 0:00 /usr/libexec/wnck-applet --oaf-activate-iid=OAFIID:GN
などの出力が含まれます。ここで注目してほしいのは、中間の/usr/libexec/以下の各項目です。これらは上から順に通知スペース(notification-area)、時計(clock), ウィンドウの一覧に対応するプロセスです。BONOBOのライブラリであるlibbonoboについてはここでは深くは扱いません。en:bonobo (computing)、[http://www.gnome.gr.jp/docs/inside_bonobo/index.html]などを参照してください。
ここでは更に、/apps/panel/objectsやa/apps/panel/appletsの中身も見てみます。上で導入したオブジェクトの中でメインメニューはオブジェクト(アプレットでない)なので、/apps/panel/objects内に記述があるはずです。実際にこの項目を見ると、
/apps/panel/objects/object_1:
toplevel_id = panel_1
object_type = menu-bar
position = 79
などの項目が与えられます。この中で、object_1はメインメニューに対応するオブジェクトのはずですが、menu-barの名前が3行目にあるので、確かにこのオブジェクトがメインメニューに対応することがわかります。他にpositionはメニューの位置を表し、toplevel_idはこのオブジェクトがどのパネルに含まれるかを表します。panel_1は上側のパネルなのでこれで正しいわけです。他にlockedという項目がありましたがこの項目はおそらくそのオブジェクトが"ロック"されているかを表します。"ロック"はオブジェクトの移動を禁止する機能で、右クリックメニューから選ぶことができます。
更にアプレットについては次のような項目が存在します。
/apps/panel/applets/applet_0:
toplevel_id = panel_1
bonobo_iid = OAFIID:GNOME_NotificationAreaApplet
object_type = bonobo-applet
position = 606
ここで、object_typeはbonobo-appletとなっていますが、この項目はアプレット全般に対して用いられます。また、toplevel_idとpositionについては既に扱いました。最後にbonobo_iidですが、これはBONOBOの機構内でどのプロセスからの入力を扱うかを定める1つの文字列です。ここではNotificationAreaの文字があるので、このアプレットが"通知スペース"に対応することがわかります。
ここまででgnome-panelの設定に関する実例を見てきました。これらの設定の変更を扱うために、関数panel_profile_loadの中ではgconfの設定内のパネル、オブジェクト、アプレットそれぞれの設定に対して、panel_profile_load_listという関数が呼ばれています。関数panel_profile_load_listもpanel_profile_loadと同じファイル内で定義されているのですが、この関数は関数内でgconf_client_notify_addを呼び出しています。
gconf_client_notify_addの引数は、パネルの設定に対してこの関数が呼ばれた場合とオブジェクトやアプレットに対して呼ばれた場合で変化します。例えば、オブジェクトの設定を読んだ場合には関数panel_profile_object_id_list_notifyが引数として与えられます。この関数はどのオブジェクトが消えたり追加されたりしたのかを把握し、オブジェクトに対応するウィジェットを追加したり取り除くという作業を行う関数です。実際に関数panel_profile_object_id_list_notify内ではpanel_profile_load_added_idsとpanel_profile_delete_removed_idsの2つの関数が呼ばれていますが、これらの関数は名前の通りの動作をし、付け加えられた(added)オブジェクトを読み出したり(load)、取り除かれた(removed)オブジェクトを解放したり(delete)します。
実際にウィジェットを追加するのは関数panel_profile_object_id_list_notifyの最後で呼ばれている関数panel_applet_load_queued_appletsですが、この関数は既に見た関数で、gconfから受け取ったリストを用いて、対応するウィジェットを作成する関数です。ここでは、関数panel_profile_object_id_list_notify内でリストの変更が取り入れられているので、ウィジェトの追加や削除を行うことができるわけです。
ここまででgconfの設定をアプリケーションの動作中に反映するための機構を見て来ました。これらはアプリケーションの起動時にしか変更を反映できない方法と比べて優れた方法です。同様の方法は他のGNOMEアプリケーションでも用いられており、gconfがGNOMEのライブラリとして重要であることを示しています。
既に"アプレット"がlibbonoboを通じて実現されていることを述べました。ここで、libbonoboはプロセス間通信を行うための一般的な技術です。これは、アプレットを扱うプロセスとgnome-panelのプロセスの間の通信を行うために用いられます。
アプレットはlibbonoboに加えてlibbonobouiライブラリに含まれる技術も用いています。libbonobouiライブラリはlibbonoboを用いてあるプロセスで制御されるGTKウィジェットを他のプロセスのウィジェットに埋め込む一般的なライブラリです。
まず最初に、GTKを用いたウィジェットの埋め込みを扱います。GTKの枠組みでウィジェットの埋め込みを行うには、GtkPlug, GtkSocketのウィジェットを使います。GtkSocketは、ウィジェットを埋め込まれる側のプロセスが作成するウィジェットで、GtkPlugが実際に埋め込まれるウィジェットに対応します。
X上で動くGTKのプロセス中では、GtkPlug, GtkSocketは埋め込まれるウィンドウを決めるために、WindowIDを用います。WindowIDはXのウィンドウに与えられる一意の数値で、型はXID(大抵unsigned long)で与えられます。
X上でのWindowIDを知るには、xwininfoコマンドを使うのが簡単です。
$xwininfo
これは指定されたウィンドウのWindow IDやジオメトリ(位置と大きさ)などの情報を与えます。
GtkPlug, GtkSocketを用いて埋め込みを行うには、GtkSocketにGtkPlugのWindowIDを伝える必要があります。このためのlibbonoboui内のクラスとして、BonoboPlug, BonoboSocketの両クラスがあります。これらはそれぞれGtkPlug, GtkSocketを継承します。
実際に埋め込みを行うために、BonoboPlug, BonoboSocketはそれぞれBonoboControl, BonoboControlFrameを使います。ここで、BonoboControlはgetWindowIDという名の"メソッド"を持っており、他のプロセスで実行されるBonoboControlFrameにBonoboPlugのWindowIDを伝えます。ただし、libbonobo, libbonobouiのバージョンとして、2.16.0を用いました。
BonoboControlFrameはGtkWidgetを継承していないため、埋め込まれる側のウィジェットの配置に手間がかかります。この手間を省くため、BonoboControlFrameを"private"なメンバとして持ったクラスBonoboWidgetが存在します。
gnome-panel中でも、/gnome-panel/panel-applet-frame.c内でBonoboWidgetが用いられています。panel-applet-frameはBonoboWidgetを収納するGtkWidgetで、GtkEventBoxを継承します。GtkEventBoxはGtkBinクラスを継承したウィジェットで1つのウィジェットを収納します。
一方gnome-panelでは、埋め込むウィジェットを提供する機構としてPanelAppletクラスが提供されています。(./libpanel-applet/panel-applet.[ch]を参照)このクラスはBonoboControlへのポインタを所持します。各アプレットはこのクラスを継承し、PanelAppletFrameと相互作用します。
既にgnome-panelの動作は"アプレット"によって拡張されることを見てきました。ここでアプレットはBonoboと呼ばれる技術を用いて作られており、これらはgnome-panelとは異なったプロセス内で動作しています。この時、なぜ単純にgnome-panelの新たなオブジェクトとして各機能を作成しなかったのかが疑問に思われます。
詳細は不明ですがこの方式の明らかな利点として、各アプレットを作成する言語として、Pythonを用いて作成されています。ここでgnome-appletsはGNOMEから配布されているファイルで、gnome-panelの各種アプレットを扱っています。この中には音量調節(gnome-applets-x.x.x/mixer)やごみ箱(gnome-applets-x.x.x/trashapplet)などのアプレットが含まれています。ただし、gnome-appletsのバージョンとしてはgnome-applets-2.16.2を用いました。
これに加えて既に登場した時計、通知スペースなどのアプレットがgnome-panel内に含まれています。(それぞれ./applets/clock, ./applets/notification_area内のファイル)ここでは、Bonoboの詳細には触れずに、各種"アプレット"の動作を見ていきます。これはBonoboを使う場合でもアプレット自体は通常のGTK+アプリケーションと同じように書くことができるからです。このことの詳細については[http://developer.gnome.org/doc/API/2.0/libbonobo/index.html]などを参照してください。
時計アプレットはその名の通り時計を表示するアプレットです。このアプレットはgnome-panelの./applets/clock以下に含まれています。時計アプレットの仕事はおおよそGTK+を使って時計を作成することです。簡単な時計の作り方については例えばXプログラミングを参照してください。
(赤線は筆者が導入した)基本的に時計アプレットの本体は時刻の数値をテキストとして書き込まれたGtkLabelです。GtkLabelは既にGtkFixedの中で用いたのでここでは説明しません。対応するGtkLabelは./applets/clock/clock.c内のcreate_clock_widget関数中で作られています。時刻の書き換えはclock_timeout_callback中で呼ばれるupdate_clockで行われます。この間数はgtk_label_set_textを用いてGtkLabel内の数値を変えた後、gtk_widget_queue_resize関数を呼びます。この関数はGtkWidget及びそれを継承したウィジェットに対してその変更を画面に反映するために呼ばれます。同種の関数にgtk_widget_queue_draw(_area)がありますが、gtk_widget_queue_resizeは変更によってウィジェットのサイズが変わる場合に呼ばれます[http://developer.gnome.org/doc/API/2.0/gtk/GtkWidget.html]。一方、gtk_widget_queue_drawはウィジェットのサイズを変えません。
追加の機能として、時計アプレットは24時間表示と12時間表示を切り替えたり、カレンダーを表示したりといくつかの機能があります。前者はGtkLabelのフォーマットを変更するだけで書き換えられますが、後者は多くの操作が必要となります。実際にはカレンダーはGtkCalendarとしてGTK+のウィジェットが与えられているため、時計アプレット内ではそれが用いられています。GtkCalendarについてはGTK+のソースを参照してください。
また、時計アプレットはロケールを変更してgnome-panelを起動すると表示が変化します。次の例はロケールをen_USに変更した例です。ただし、シェルとしてbashを用いています。
$LANG=en_US gnome-panel
(赤線は筆者が導入した)
ロケールの変更による時刻のフォーマットの変更は、gettextライブラリによって行われます。gettextの詳細はOSS開発ツールを参照してください。実際のpoディレクトリは./po/以下で与えられます。この中では各国語でのフォーマットが文字列の形で定義されています。
wnckアプレット(wnck-applet)は、"libwnck"を用いるアプレット群で、GNOMEデスクトップのウィンドウの管理を行います。このアプレット群は複数のアプレットを含んでおり、これらはそれぞれ"デスクトップの表示"(ShowDesktop), "ウィンドウ一覧"(WindowList), "ウィンドウセレクタ"(WindowMenu), "ワークスペース切替器"(WorkspaceSwitcher)が含まれます。既にアプレットの例でwnck-appletが起動されている場面を見ました。これらはここで与えられる複数のアプレットに対応するプロセスです。
ここで、それぞれのアプレットの機能を簡単に紹介します。"デスクトップの表示"は全てのウィンドウを最小化し、デスクトップを表示します。実はデスクトップは後に述べるNautilusの画面なのですがここでは触れません。ウィンドウの大きさを変更する機能はウィンドウマネージャの機能であるため、対応するウィンドウマネージャがlibwnckの要求を受けない場合には、このアプレットは機能しません。実際twmを用いて"デスクトップの表示"を動かしたところ、エラーメッセージが表示されました。
次に"ウィンドウ一覧"と"ウィンドウセレクタ"はどちらもその時点で存在するウィンドウを選択するためのアプレットです。ただし、"ウィンドウセレクタ"はこれをWnckSelectorとして与え、"ウィンドウ一覧"はWnckTasklistとして与えます。
"ウィンドウ一覧"はよく用いられるアプレットで、既に意識せずに使っているかも知れません。こちらもtwmで管理されるウィンドウは表示されません。
"ワークスペース切替器"は何枚もの画面(ワークスペース)があるように見せ、それらを切り替えながら使うことで画面を広く使うアプレットです。こちらもtwmと同時には使えません。
gnome-appletsにもいくつかのアプレットが含まれています。ここでは比較的動作がわかりやすいアプレットを選んで紹介します。具体的には"CPU周波数"(cpufreq)アプレットと"音量調節"(mixer)アプレットを扱います。
cpufreqアプレットは使っているコンピュータのクロック周波数を表示するアプレットです。クロック周波数はCPUの動作速度を表す指標で、基本的にはこの数値が大きい程速いCPUであるといえます。ただし、コンピュータを使う際の体感速度は、メモリの量などCPU以外の条件にもよるので、この数字だけでコンピュータの性能が決まるわけではありません。
Linux上では、使っているCPUの周波数は"ファイル"として利用者から利用できるようになっています。ただし、この値を変更してもハードウェアが変更されるわけではなく、この機能はシステムの状態を把握することを目的とした機能です。CPU周波数の情報は/proc/cpuinfo、もしくは/sys以下のディレクトリに記録されています。cpufreqアプレットはこれらの値を読み出して表示します。
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以降、『OSS開発ツール/GUIツールキット』 2019年9月28日 (土) 13:36 からの引用。統合作業中。
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ここでは、Gtkウィジェットの例として、GtkDrawingAreaウィジェットを扱います。GtkDrawingAreaは、内部にGdkWindowを持っており、利用者はその中に自由な描画を行えます。これは、WindowsでいうところのDevice Context(GDIを参照)と似た機能です。
GtkWindowを作り、GtkDrawingAreaを収納するサンプルは次のようになります。まず最初にGTKライブラリの初期化とウィジェットポインタの宣言を行います。
int main(int argc, char **argv){
gtk_init(&argc, &argv);
GtkWidget *win, *da;
/* ここで、win, daはそれぞれGtkWindowとGtkDrawingAreaに対応します。GtkWindowとGtkDrawingAreaを実際に作るには、次のようにします。*/
win = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL);
da = gtk_drawing_area_new();
/* これらの関数は対応する構造体のnew関数です。*/
/* 更に、GtkWindow*winにGtkDrawingArea*daを収納します。このためには、gtk_container_addを使います。*/
gtk_container_add(GTK_CONTAINER(win), da);
/* ここで、winに対してGtkContainer*へのキャストが行われていることに注意してください。GtkWindowはGtkContainerを継承するので、この操作は正しい操作です。しかし、GtkContainerを継承しない"クラス"に対してこの操作を行うと、プログラムの実行時に警告が出されます。*/
/* 次に、実際に描画関数を呼ぶ処理を行います。ここで、実際の描画はコールバック関数の中で行います。コールバック関数の名称はexpose_cbとします。コールバック関数を登録するために、*/
g_signal_connect(da, "expose_event", G_CALLBACK(expose_cb), NULL); // を使います。ここでは、関数g_signal_connectについて解説します。
この関数の名前はg, signal, connectの3つに分かれます。
まず、最初のgは、この関数がen:glibに属するためにつけられています。これは、名前空間の概念が無く、接頭詞g_を外すと、他のライブラリからの関数名と2重に関数が登録される危険があるためです。
次に、signalは、GSignalのことを指します。GSignalはおおよそコールバック関数へのポインタのことです。GSignalはen:glibで定義され、1つのコールバック関数と1つの文字列を対応付けます。上の例では、文字列"expose_event"で表されるシグナルが扱われます。GSignalはGObjectを継承した"クラス"に対して適用され、プログラムの実行時に"クラス"の初期化が行われる時、後に利用者のプログラム中で定義されるコールバックの置き場を与えます。
最後に、connectは、指定されたGSignalに対してあるコールバック関数を実際に与えることを指します。
結局、g_signal_connectでは、引数によってあるGObjectのGSignalを指定し、それに対して1つのコールバック関数を与える関数です。ここで、g_signal_connectの引数は
g_signal_connect(GObject *, gchar *, GCallback*, gpointer)
であり、第1、第2引数はそれぞれGSignalを指定するためのGObjectと、GSignalの名前を表します。第3、第4引数はそれぞれ、コールバック関数と関数に与える引数を表します。第4引数ではコールバック関数内で必要なデータを与えます。
また、"expose_event"は、X Window Systemなどから与えられる"イベント"の1つで、あるウィンドウ内の長方形を描画する必要があるときにXクライアントに対して与えられるイベントです。詳しくはXプログラミングを参照してください。ここでは、GtkWindowが他のウィンドウによって隠されたときや、一旦ウィンドウを最小化したときを扱うための手法であると述べるに留めます。
ここまでで、GtkDrawingAreaをGtkWindowに収納しました。これらを表示するためには次のようにします。
gtk_widget_show_all(win);
gtk_main();
return 0;
}
ここで、gtk_widget_show_allは指定されたウィジェットに収納されたウィジェット全てを"show"する関数です。
ここまででプログラムは終わりですが、expose_cbを空の関数としてこれを実行すると窓を開くだけの例と同じ結果になります。これは、GtkDrawingArea内に実際に描画を行っていないことによります。実際に描画を行うためには、expose_cb関数を書く必要があります。
expose_cb関数は次の様に宣言されます。
void expose_cb(GtkWidget *da);
ここで、"expose_event"のコールバック関数は"expose_event"を受け取ったウィジェットを渡されます。ここでは、g_signal_connectで指定されたウィジェットがGtkDrawingAreaなので、コールバック関数にもGtkDrawingAreaが渡されます。
ここで、実際にGtkDrawingAreaに描画を行う方法について述べます。GtkDrawingArea構造体には、GdkWindowが含まれています。GdkWindowはXなどから与えられる長方形の領域で、この中の各ピクセルを扱う事で、図形を描画することができます。実際にGtkDrawingArea*内のGdkWindow*は次のように指定されます。
da->window
ここで、daは、GtkDrawingArea*を表します。
GdkWindowにはいくつかの描画用の関数があります。これらは基本的にX Window Systemの関数に対応しています。例えば、線をひくための関数であるgdk_draw_lineは、XDrawLine関数に対応しています。Xを扱う関数に関してはXプログラミングを参照してください。
ここでは、実際に線をひく関数を試してみます。まず、expose_cbの定義です。
void expose_cb(GtkWidget *da){
ここで、実際に図形の描画を行うためには、GdkWindowのGC(Graphic
Context)を指定する必要があります。ここで、GCはXなどで扱われる描画要素で、図形の色や線の太さなどを表します。ここでは全ての値をデフォルトとしたGCを作るため、gdk_gc_new関数を使います。ただし、1度だけgcを作るため、staticで定義します。
static GdkGC *gc = NULL;
if (!gc)
gc = gdk_gc_new(da->window);
更にこのGdkGC*であるgcを用いてgdk_draw_lineは次のように書けます。
gtk_draw_line(da->window, gc, x0, y0, x1, y1);
}
ここで、線は(x0, y0)から(x1, y1)までひかれます。
ここで、ウィンドウの最小化やウィンドウの重なりがうまく扱われていることに注意してください。
GDKの描画関数は他に、gdk_draw_polygon, gdk_draw_rectangle, gdk_draw_point(s),
gdk_draw_arcなどがあります。これらについてはGDKのリファレンス[http://developer.gnome.org/doc/API/2.0/gdk/index.html]を参照してください。
ウィジェットは"ラベル"や"ボタン"などの様々なよく用いられるGUI要素のことを指します。ここからはこれらのGUI要素を用いたプログラムについて述べます。ウィジェットはWindows APIでは"(コモン)コントロール"と呼ばれるものです。
ここでは、GtkButtonを利用した例を扱います。この例は公式のチュートリアル[http://www.gnome.gr.jp/docs/gtk+-2.0.x-tut/gtk-tut.html]でも扱われているので、簡単に済ませます。しかし、コールバックの話をするときに、再びこの例を使います。
GtkButtonは、gnomeのソフトウェアを利用するときに頻繁に利用されるボタンウィジェットです。
ボタンウィジェットは単独で使うことは出来ず、必ずGtkWindowの中で使う必要があります。あるウィジェットの中で別のウィジェットを使うことをウィジェットのパッキングといいます。ここではGtkButtonをGtkWidgetの中にパッキングします。
GtkWindowには1つのウィジェットしかパックできないため、複数のウィジェットを表示したい場合には複数のウィジェットを収納できるウィジェットをパックする必要があります。よく使われる例にGtkVBox, GtkHBox, GtkTableなどがあり、GtkButtonを複数収納する例はよく用いられます。しかし、複数のウィジェットを利用する場合にはlibgladeを利用した方が便利なので、ここでは1つのウィジェットを扱う例だけを扱います。
GtkButtonをGtkWindowに収納するには、上の例の3行目の次に、以下のプログラムを追加します。
1: GtkWidget *button = gtk_button_new();
2: gtk_widget_show(button);
3: gtk_container_add(GTK_CONTAINER(win), button);
ここでは順を追って追加されたプログラムを見ていきます。
1行目はGtkButtonのnew関数で、buttonを作成します。やはり、この関数もGtkWidgetポインタを作成します。
2行目はgtk_widget_show関数です。GtkWindow同様、GtkButtonにもgtk_widget_showを使わないとウィジェットが表示されません。
3行目はgtk_container_add関数を利用しています。gtk_container_add関数はGtkContainerクラスを継承したクラスを第1引数に取って利用され、第2引数のウィジェットを第1引数のコンテナに収納します。ここで、GTK_CONTAINERは、glibの例で見た通り、GTK_CONTAINERのインスタンスにキャストを行なうマクロです。第1引数はGtkContainer* なので、このキャストが必要になります。
ここまででウィジェットの性質を変えたり、ウィジェット間に収納関係を与える方法について見てきました。これらはどれも似たようなコードであり、作成するのが面倒になりがちです。例えば、ボタンを10個作らねばならないプログラムでは上で追加したのと同じ内容を10回繰りかえす必要があります。(実はforループを利用することも出来ます。)これは非常に大変な作業です。幸いにもこれらの作業を手軽に行なうプログラムがあるので、ここではそれを紹介します。
このようなプログラムはインターフェースビルダと呼ばれます。現在では類似の機能は例えば、Swingに対して、Eclipseで提供されています。([http://www.eclipse.org/vep/WebContent/main.php] )
まずgladeは、GUIを用いてgtk+のウィジェットを扱うプログラムです。
次に、libgladeはgladeを含む何らかの手法で作られたXMLファイルから、実際にウィジェットを作成するライブラリです。ここではまずlibgladeを使った場合に実際に書く必要があるコードを扱います。幸いにも複雑なウィジェット群を扱うときにもここで扱うプログラムはそれほど変化しません。この例は、gladeリファレンスマニュアル([http://www.gnome.gr.jp/docs/libglade-2.4.x-refs/index.html] )で扱われている例とほとんど同じものです。
ウィジェットの情報が含まれるXMLファイルの拡張子は.gladeです。ここではXMLファイルの名前をsample.gladeとします。このときlibgladeを使ったプログラムは、次のようになります。
1: int main(int argc, char** argv){
2: gtk_init(&argc, &argv);
3: glade_xml_new("sample.glade", NULL, NULL);
4: gtk_main();
5: return 0;
6: }
単にウィジェットを表示することが目的なら、これだけで十分です。XMLファイルでコールバック関数を利用することが指定されているときには、3行目を
1: GladeXML *xml = glade_xml_new("sample.glade", NULL, NULL);
2: glade_xml_signal_autoconnect(xml);
に変更する必要があります。
stub
ここではgladeを使ってより複雑なウィジェットを作成します。幸いにもほとんどの作業はGUIを利用して行なうことが出来ます。
ここでは次のようなウィジェットを作成します。
ウィジェットの関係は次のようになります。
GtkWindow - GtkVBox - GtkButton
- GtkButton
このウィジェットはWindow内に2つのボタンが入っているだけの簡単な例です。しかしそれでも、手作業で全てを作成するのは厄介な仕事です。
1. GtkWindow(window1)を作る。
2. GtkVBox(vbox1)をwindow1に収納する。'サイズ'は2とする。
3. GtkButtonをvbox1の2つの空白に収納する。(button1, button2)
4. button1の'ラベル'をaaaとする。button2の'ラベル'をbbbとする。
gladeを使ったより複雑な例として、gtk-demoからの例をあげます。ただし、コールバック関数は提供せず、インターフェースだけとします。gtk-demoは、gtk+とともに配布されているデモで、ソースはgtk+-x.x.x/demos以下に含まれています。gtk-demoは、gtk+とともにインストールされているので、
$gtk-demo
のコマンドで利用することができます。ここでは、Dialog and Message Boxes という例を取り上げます。(demos/gtk-demo/dialog.c)
dialog.cはいくつかのウィジェットを利用して書かれています。多くはコンテナウィジェットであり、コンテナの使い方を見る上でよい題材です。
まず、それぞれのウィジェットを紹介します。gladeを使わずにこれらのウィジェットを扱う方法は、dialog.cのソースを参照してください。
Dialogsと書き込まれた外枠は、gtkframeを利用します。gtkframeは、内側に1つのウィジェットを収納できるコンテナです。ここには、gtkvboxを収納します。gtkvboxは複数のウィジェットを収納することができ、収納したウィジェットを縦に並べます。gtkvboxに収納するウィジェットは上から順にgtkhbox, gtkhseparator, gtkhboxです。gtkhboxはgtkvboxと似た性質を持ちますが、縦ではなく横にウィジェットを配置します。hseparatorは、スクリーンショット内の横棒で、ウィジェット間に距離をとる働きをします。
次に、2つのgtkhbox内のウィジェットについて順に述べていきます。上のウィジェットにはgtkbuttonを収納します。gtkbuttonにはlabelというパラメータがあり、この部分は_Message Dialogとします。label中のアンダースコアは、gtkbuttonのパラメータを書き換えることで、下線として表示させることができます。(設定次第でそのままアンダースコアとして表示させることもできます。)
下のgtkhboxには、左から順にgtkvbox, gtktableを配置します。gtkvboxには、_Interactive Dialogと書かれたgtkbuttonを収納します。下線の扱いは先程の_Message Dialogと同じです。gtktableは、碁盤目状の枠を作り、それぞれのマスにウィジェットを収納するコンテナです。ここでは、幅2、 高さ2のgtktableを作成します。gtktableには、左上から順にgtklabel, gtkentry, gtklabel, gtkentryを収納します。(左上、右上、左下、右下の順)gtklabelには、それぞれ_Entry 1または、E_ntry 2と書き込みます。
ここからはここまでの手順をgladeを利用して作成していきます。
1. gtkwindowを導入する。
2. gtkframeを加える。影の種類を'Etched In'にする。'境界線の幅'を、5程度にしておく。
3. gtkvboxを収納する。
4. gtkhboxをgtkvboxに収納し、gtkbuttonをgtkhboxに収納する。
5. gtkhseparatorをgtkvboxに収納する。
6. gtkvboxにgtkhboxを収納する。列の数は2とする。
7. gtkhboxにgtkbuttonとgtktableを加える。
8. gtktableに、gtklabel, gtkentryを加える。
9. gtkbutton, gtklabelの'ラベル'を_Message Dialog などの内容に書き換える。詳しい内容は前述した。gtklabelでは、'下線付き'を'はい'にしておく。
10. .gladeファイルとして保存し、先程のプログラムを使って表示する。
次に、gtk-demoの'Expander'の例を扱います。GtkExpanderは閉じた状態と開いた状態を持つウィジェットです。
GtkExpanderはコンテナウィジェットでもあり、GtkExpanderを開いた時に現れるウィジェットはGtkExpanderに収納されているウィジェットです。ここでは上の例を順に作成していきます。
ウィジェットの関係は次のようになります。
GtkDialog - GtkVBox - GtkLabel
- GtkExpander -GtkLabel
ここでGtkExpander自身も"Details"と書かれたラベルを持っていますが、これはGtkExpanderの一部ということで上の関係図には入れていません。
新たなウィジェットとして、GtkDialogが登場しています。GtkDialogは主となっているウィンドウではない新しいウィンドウを使いたいときによく用いられます。特に、設定を変更するときに用いられる'OK', 'キャンセル'などのボタンを含んだウィンドウはおそらくGtkDialogが用いられています。上の例では、'閉じる'のボタンが使われていますが、これもGtkDialogの標準のボタンの1つです。上の例の内で、'閉じる'だけが日本語で後は英語であるのもそれが原因です。標準の文章なのでボタンに書かれた文章だけは翻訳が進んでいます。
(Gtk+では、各国語に翻訳を行うために、gettextを用いています。gettextはコンパイル時ではなく実行時に文章を変更することができるため、gtk-demoをロケールを変更して実行することでボタンの文章を変更することができます。例えば、
$LC_ALL=en_US gtk-demo
とすると、ボタンの文章が英語に変わります。
こちらはドイツ語の例です。
$LC_ALL=de gtk-demo
)
ここからは実際にウィジェットを作成します。手順は次のようになります。
1: GtkDialogを開く。
2: GtkDialogにGtkVBoxを収納する。GtkVBoxの収納数は2とする。
3: GtkVBoxの上部に、GtkLabelを収納する。
4: GtkVBoxの下部にGtkExpanderを収納する。
5: GtkExpanderにGtkLabelを収納する。
GtkExpanderを開いた状態です。
GtkExpanderにGtkLabelを追加した状態です。
6: 2つのGtkLabelと、GtkExpanderの文章を書き換える。
7: 先程のプログラムを作成し.gladeファイルを表示する。
上の例以外でもgtk-demoの中には比較的簡単に作成できそうな物が含まれています。これらを作成してみるとよいかもしれません。gtk+を使ったプログラムは数多いので、これらを探して読んでみるのもよいでしょう。
Gtk+,Qt,SDL,gcc-3.4.4 man及びinfo
2021年現在のFedoraの最新版が搭載しているのはgtk4です。gtk4の開発環境を入れるコマンドは、ターミナルで
sudo dnf install gtk4-devel
でそのまま入る。ただし、gtk3とgtk4は文法が多少違っているので、gtk3のコードは使い回しできません。
下記のgtk4コードは[https://docs.gtk.org/gtk4/getting_started.html gtk4公式マニュアル ] からの引用をしたものに、本wiki側で説明用にコメントを加えたり、説明しやすいようにコードの数値や文字列などを少々変更しています。
// main関数から呼び出されるコールバック関数
static void activate(GtkApplication *app, gpointer user_data) {
GtkWidget *window = gtk_application_window_new(app);
gtk_window_set_title(GTK_WINDOW(window), "Window 題名"); // ウィンドウタイトルの設定
gtk_window_set_default_size(GTK_WINDOW(window), 300, 200); // ウィンドウサイズの設定
gtk_widget_show(window); // ウィンドウの表示:
// ↑ gtk_widget_showの呼び出しを消すと、プロセスを殺さない限り終了できなくなる。このコードは残せ!
}
int main(int argc, char **argv) {
GtkApplication *app = gtk_application_new("org.gtk.example", G_APPLICATION_FLAGS_NONE);
/* g_signal_connectの第2引数の"active"はイベントのニーモニックなので、
* 変更するとコンパイルエラーにならず、実行時にイベントを捕捉できなくなる */
g_signal_connect(app, "activate", G_CALLBACK(activate), NULL);
int status = g_application_run(G_APPLICATION(app), argc, argv); // GtkApplication のイベントプール
g_object_unref(app); // すぐ終了するので、この行を消しても実行できるが、公式サイトにあるので残そう
return status;
}
これはもう、このまま使ってください。
一応、いくつかの変数名を変更しても使用できますが。
ファイル名は、公式サイトのサンプルファイル名に合わせて「example-0」にしましょう。
上記コードをコンパイルするには、ターミナルでコマンド
gcc $( pkg-config --cflags gtk4 ) -o example-0 example-0.c $( pkg-config --libs gtk4 )
です。
これでオブジェクトファイルが生成されているので、あとはそのオブジェクトファイルの実行コマンドをターミナルで入力すればいいだけです。たとえばオブジェクトファイルの存在場所がユーザープロファイルなら
./example-0
で実行できるはずです。
上記コードの大まかな仕組みを言うと、main関数ではどのウィンドウを呼び出すかだけを関数名を用いて設定しており、ウィンドウのサイズなどの設定は個々のユーザ定義関数で行う仕組みになっています。もしかしたらユーザ定義関数を使わなくてもウィンドウ表示できるのかもしれませんが、しかしGTK公式サイトがそのような方法を紹介しないという事はおそらく、そのような方法を推奨していないのでしょう。つまり、ユーザ定義関数を用いてウィンドウ設定などはmain関数から分けてから呼び出して欲しいようです。
次に、ボタンをウィンドウに追加してみましょう。下記コードも公式サイトにあるコードを元にしましたが、本wiki側で説明用に若干のコード書き換えをしています。
// コールバックのユーザ定義関数. ※ ボタン設定ではない
static void print_hello (GtkWidget *widget,
gpointer data)
{
g_print ("ターミナルでhello\n"); // ボタンではなくターミナルに表示される文
}
// main関数から呼び出されるコールバックのユーザ定義関数. ボタン設定はここに追加されている
static void activate (GtkApplication* app,
gpointer user_data)
{
GtkWidget *window;
window = gtk_application_window_new (app);
gtk_window_set_title (GTK_WINDOW (window), "Window 題名"); // ウィンドウ名が「Window題名」になる
gtk_window_set_default_size (GTK_WINDOW (window), 300, 200); // ウィンドウサイズの設定、横300、縦200
// ボタン関連
GtkWidget *button;
button = gtk_button_new_with_label ("Hello World"); // ボタンに表示される文章をラベル命令で決定
gtk_widget_set_halign (button, GTK_ALIGN_CENTER);
gtk_widget_set_valign (button, GTK_ALIGN_CENTER);
g_signal_connect (button, "clicked", G_CALLBACK (print_hello), NULL); // クリック時にターミナル文字表示の冒頭関数を実行
g_signal_connect_swapped (button, "clicked", G_CALLBACK (gtk_window_destroy), window); // クリック時にアプリ終了
gtk_window_set_child (GTK_WINDOW (window), button); // これ消すとボタンが表示されない. ボタンをウィンドウに貼り付ける命令だと思われる.
// 以上、ボタン関連の追加コード
gtk_widget_show (window); // ウィンドウの表示 。この命令を消すと終了できなくなるのでコードに残せ
}
int main (int argc,
char **argv)
{
GtkApplication *app;
int status;
app = gtk_application_new ("org.gtk.example", G_APPLICATION_FLAGS_NONE);
g_signal_connect (app, "activate", G_CALLBACK (activate), NULL); // 第2引数の"active"は(冒頭のコールバック関数ではなく)コマンド名なので変更するとエラー
status = g_application_run (G_APPLICATION (app), argc, argv); // ウィンドウ描画の実行をしていると思われる
//g_object_unref (app); // この行を消しても実行できるが、公式サイトにあるので残そう
return status;
}
コンパイルは上記と同様にできます。もしファイル名を変えなければ、上記コンパイルコマンドでそのままコンパイルできます。
g_print はターミナルで文字表示する命令ですので、ここの表示文をいくら弄って、ボタンにラベル表示されている文章は変わりません。混同しないように注意しましょう。
GNOME |